ものすごく迷走しました。
後、誤字脱字が多くて本当に申し訳ないですね。改善は注意して読み直すぐらいしかないよな…
散った桜が若々しい緑の若葉を付けた後、空には重々しい雲が広がり、優しい春の陽射しが時折顔を出しますが、それは儚く、空気は湿気が帯びて、重苦しい。
そうです。幻想郷に梅雨の季節が訪れました。
しとしとと降り続く雨は私の心を憂鬱にさせるだけでなく、妖怪たちの活動にも影響を与えるようです。特にあの紅魔館の住人たちは湿気を嫌う者が多いと聞きます。引き篭もり魔法使いは湿気で本が黴るのを防がなきゃなりませんし、雨は流水と定義されるため、吸血鬼姉妹は外に出られないでいるでしょう。
つまり、紅魔館に監査に行く良い機会です。
私はある人との約束と紅魔館の主との契約で、一年のうちに一回は紅魔館に訪れ、住民たちがちゃんと生活出来ているかを監査しなければなりません。
思い立ったが、吉日。アポは取っていませんが、抜き打ちで来ましたと言えば、なんとでもなるでしょう。…念のためにもお土産を何個か用意しておいて、姉用、妹用、紅魔館のみんなで食べる用…後、お酒も…うん、これで準備万端です。
私は長靴と傘を手に取り、紅魔館に向かいました。
紅魔館に到着すると、まず見えるのが立派な門です。そこには大体美鈴さんが門番として立っているのですが…あら、見事なまでに熟睡していますね。小雨とは言え、雨の中で熟睡するとは…よほど寝ていないのか、それとも暇なのか。彼女を起こすことも考えましたが、敢えて起こしはせずに紅魔館に忍び込みます。私が来た事に気づかれれば、彼女たちの日常を見る事が出来なそうですしね。
せーの、てぃやー!
私は小声で掛け声を出し、大きく跳びます。すとんと静かに着地した私は庭園を進み、紅魔館の本館まで足を進めました。
「お邪魔しま〜す」と心の中で呟き、扉を開けます。ふむ、相変わらず大きな家ですね。確か、メイド長の能力で空間を拡張させ、外観よりも広くしていると聞いていますが、それにしても広い。それにしても能力で空間拡張させるとはどうやってるのでしょう?空間を歪ませるのではなく、引き延ばしているような、到底私には出来ない技術ですね。私がやると破っちゃいます。
扉が開いた音で気づいたのか出てきた妖精メイドと目が合います。このままではメイド長を呼ばれてしまいますが、パッと名案を思い付きます。今にも叫びそうな妖精メイドにお土産として持ってきたお煎餅を渡します。
妖精メイドが煎餅を受け取り、一口食べたのを見て、私は口元に指を持っていきます。
「しーっですよ」と言えば、妖精メイドはコクリコクリと何度も頷き、逃げていきました。妖精メイドがいなくなったのを見届けた私は紅魔館の主人がいる部屋を探しに…
「こんにちは、夕雲様」
「あら、バレてしまいましたか」
突然、背後から現れた紅魔館のメイド長こと、咲夜は私の首元にナイフを突きつけました。とりあえず、手を挙げておきましょうか。
「それで夕雲様、ご用件は何でしょうか?」
「抜き打ち監査ですよ。梅雨ですし、住民達はみな紅魔館にいると思いまして、ちょうど監査には良いかと」
ナイフが私の肌に食い込みます。
「それで、アポは?」
「抜き打ちですよ。取ったら普通の監査になっちゃいます。それにしても何でバレたんです?」
ナイフが私の肌を切ろうとします。
「廊下を歩いていたら、なんかのカスが廊下に落ちてまして…それを追っていくと妖精メイド達が騒いでいたんですよ。どうやらお菓子を見知らぬ人からもらったとのこと。それも紅魔館には出ないような煎餅を、問い詰めたらすぐに答えてくれました」
くっ、口止めの賄賂が証拠になるとは…
「なるほど、後いい加減ナイフを取ってくれません?」
私はナイフの腹を指先で摘み、折り曲げ、彼女に返します。
咲夜は私をバケモノを見るような目で見てきます、失礼な。
「銀製のナイフって高いんですよ…」
「うっ、ごめんなさい」
指を鳴らし、折り曲げたナイフを元に戻した後、咲夜は主人がいる部屋に案内してくれるようです。正直、彼女が何処にいるのかわからなかったので、助かります。
「その前に少しだけお時間を頂けますか?」
「勿論、大丈夫ですが、何を…」
話し終える前に咲夜の姿が消えます。外から聞こえる悲鳴、なるほど美鈴さんが寝てるのを叱りに行ったんですね。
戻ってきた咲夜に案内してもらい、私たちは彼女の主人がいるであろう部屋に向かいます。
「咲夜、最近どうです?」と歩くだけでは暇なので、昨夜に話しかけます。
「なぜそれを私が…」
「無論、監査の一環ですよ。メイド長である貴女からして他の住民はどう見えているのか、気になるじゃないですか」
私は微笑みを向けると、咲夜はため息混じりに話し始めます。
「そうですね。最近の紅魔館は慌ただしいですが、みな元気です。お嬢様はよく私に仕事を押し付けて、博麗神社に遊びに行っています。パチュリー様は相変わらず引き篭もりがちですが、たまに魔理沙やアリスさんが尋ねに来ています。妹様もお嬢様よりは頻度は低いですが、神社の方に遊びに行っていますよ」
「ふむふむ、それで咲夜は?」
「私…ですか…紅霧異変前より知り合いが増えたのは確かです。人間の里にも出れるようになりましたし、そうですね、楽しいですよ」
「それは良かったです」
あまりにも自然に美鈴さんについて話さなかったのは気づかなかった事にしましょう。よほど怒ってるのでしょうね、それとも天然なだけなのでしょうか?
ちょうど会話が終わったところに、私たちは咲夜の主がいるであろう部屋、応接間に着きました。
「お嬢様、お客様です」
「今日そんな予定あったかしら?あら、夕雲じゃない」
「久しぶりですね、レミリア。今日はいつもと趣旨を変えて、抜き打ちで来てみました」
紅魔館の主人でもあり、自称カリスマ吸血鬼でもあるレミリア・スカーレットと私は邂逅しました。
私、十六夜咲夜にとって、夕雲様はなんとも処分に困る感情を持っている。
恩義でもあるが、仇でもある。紅魔館の野望は彼女によって阻止されたが、紅魔館は彼女によって助けられた。
彼女と会った時のことは今でも昨日の夜のように思い出される。
強大な妖怪の一撃で壊滅した紅魔館の瓦礫の上に佇み、紅い月を眺めていた彼女はどこか幻想的で儚かったが、それよりも、私が今まで見てきた何よりも、恐ろしかった。あの時の私は何の能力も持たない小娘であったが、「時間を操る程度の能力」を持った今でも彼女が恐ろしいモノに見える。先程のナイフも全くもって傷を負わすのに至らず、それどころか粘土細工のように曲げられ、挙げ句の果てには直された。
夕雲様は「幻想郷で誰よりも長生きなだけの少女」と自称しているが、私からすれば「人間の皮を被ったバケモノ」だ。まぁ、それを言ったところで彼女は「私は人間ですよ」と囁くように笑うのだろう。
彼女が紅魔館の味方であればそれで良い、だが、敵になれば…私は刺し違えてでも彼女を殺せるだろうか?
私は妄想を振り払い、厨房に入る。さて、早くお嬢様に言われたケーキを完成させなければ…
咲夜さん全然描けなくてワロタ。