後、お気に入り登録や評価ありがとうございます。私、とっても嬉しい。おっし、続きかんばるぞー!!!
ちなみにこんな感じでした。
初日…「あっ、お気に入り増えてる。やったぜ!やっぱりお願いしてみるもんだなぁ…」
二日目…「評価されてる!!!!!うおっしゃ!!!!ゲージに色ついた!!まじ?????」
三日目…「なんかUA伸びまくってる…なんで???怖…嬉しいから神だけど…」
秋。それは食欲の季節。お芋に梨、柿や栗、サンマ、松茸…秋に旬を迎える食材は多く、まさに天高く馬肥ゆる秋とはこの事です。
秋を満喫したい、そう考えた私は美味しい食材を得るために、朝早くから妖怪の山に登り、山に住んでいる秋の神様から幸を譲り受けました。
「わ、わかりました。お芋なら幾らでもあげますー!」
ええ、快く譲ってくれましたとも、なんだか彼女の声が震えていたのは気のせいです。
そんな極上のお芋を使い、秋の紅葉を見ながら食べる焼き芋の美味しい事、美味しい事。ですが、流石に物足りないのも事実。いくつかは持って帰って、他の料理に使うつもりですし、そして、何よりお芋だけでは秋を満喫したとは言えません。ついでに秋の神様の頭にある葡萄も貰っておけば良かったですね。
さて、私がいる場所は九天の滝。焼き芋だけでは足りなかった私は、ここでのんびり釣りをしながら、釣った魚を焼いて食べようという算段です。焼き芋を作りましたし、既に火は点いています。後は魚だけ……
サンマとか食べたいのですが、川にはいないですし、狙うはニジマスやアユ、イワナ辺りでしょうか?
しばらく釣りをしていたら、ようやく釣竿に反応が…能力を使い、水面を回転させ、渦を作ります。こうすれば、魚は渦潮に閉じ込められ、逃げることが出来ず、楽々取ることができます。魚釣りの際に重宝してる技です。
1匹目はイワナ。野趣溢れる香りと斑点状の模様が特徴的な魚です。
2匹目はアユ。体表が金色に輝き、脂が乗っている個体ですね。
3匹目はワカサギ。旬は冬のイメージがありますが、案外秋でも取れます。
4匹目は河城にとり。リリースです。
5匹目はアユ。2匹目ですね。この時期のは子持ちの個体が多いです。
6匹目はまたもや、にとり。即リリースです。
「いやいやいやいや、ちょっと待てって!夕雲、そんな反応はないだろ!」
「あら、にとり。久しぶりですね。今日は貴女にあげる胡瓜を持っていませんよ」
「えっ、そうか、残念。…って、違う!夕雲。普通な、人間が河童を釣り上げたら驚くんだ!そんな無表情に無反応に無造作に河童をリリースすることなんてことしない!」
現れた河童こと、河城にとりが、ぷんすかと頬を膨らませ、水面をバシャバシャと叩きました。その勢いで、私の顔にも水しぶきが少しかかります。
河城にとり。幻想郷に住む河童で、私に人間について教えてくれた教師…つまるところ、師匠です。人間について詳しい種族の河童である彼女がそう言うなら、本当に人間は河童をリーリスしないのかもしれません。
ですが、にとりは『人間の盟友』を自称しながらも、結構人間に対して、変な偏見や認識を持ってきるのも事実。『男子、三日会わざれば、刮目してみよ』という故事成語を、にとりは『人間は三日会ってなければ、知らない人間になってしまう』と解釈していましたしね。
盟友って言ってるぐらいですし、相当人間に対して詳しいと思っていたら、別にそこまでだった時の驚きは忘れられません。
「まぁ、いいです。それで?今日は何用ですか?」
「特に用はないよ、強いて言うなら世間話。私の愚痴でも聞いてくれよー」
「別にいいですよ」と答える前に、にとりは川から上がり、私の横に座って喋り始めます。おそらくは誰かに聞いて貰いたいのではなく、喋りたかっただけなのでしょう。河童はおしゃべりですからね。私は釣りを続けながら、話を聞くことにします。
「最近な。妖怪の山の情勢が不安定なんだよ。山の上に変な神様がやってきて、天狗がぴりぴりしてるし、河童や山童はそれに対して不安を感じてる。ほんと大変だよ、夕雲は何か知ってる?」
「あー、その件ですか。おそらくは近い内に収まると思いますよ。博麗の巫女がなんとかしてくれるでしょう」
「えー、博麗の巫女は幻想郷のバランサーだけど、所詮は人間だろ?人間が妖怪の山に関与するのか?」
「ええ、スペルカードルール制定のおかげで、人間が妖怪の山に入ること増えそうですし、これから関与が増えるかもしれませんね」
そうしてるうちにヒット。おっ、ニジマスですね。塩焼きも良いですが、揚げるのもまた美味しいです。
「ふーん、そんなもんか」
と適当な相槌を打ちながら、焼き魚に手を伸ばすにとり。…少しぐらいなら見逃してあげましょう。
「ええ、そんなもんです。にとりもさっさとこの騒ぎを止めたいのならば、巫女に手助けしてあげてくださいね」
にとりは「わかった、わかった」と聞き流すように言いました。
「それで、夕雲は最近どうだい?」
にとりはバックから取り出した機械の手…確かのびーるアームでしたっけ?の手入れを始めます。油の匂いが鼻につきますが、不思議と嫌ではありません。
「ぼちぼちですかね。にとりみたいに商売繁盛とまでは行きませんが、時々お客さんが来てくれます」
「それは良い。たとえば誰が来るんだい?」
「えーと、例えばですか…つい先日は幻想郷の閻魔さんが来ましたよ」
「これまた、大物だね」
少し目を開くにとりですが、すぐに平静な顔に戻ります。
「あら、驚かないんです?」
私が意外に思って問い返しますと、にとりはすぐにいつもの調子を取り戻し、肩をすくめてみせます。
「もう、驚き疲れたさ。夕雲の意味わからない人脈は理解できないからね。話半分ぐらいに聞いておくのが丁度良い」
そう言いながら、のびーるアームの手入れを終え、今度は私の焼き芋を食べ始めるにとり。熱いのかハフハフと息をしながらも、美味しそうに食べています。さてさて、この子はどれくらい食べるのでしょうか?…後、焼き魚はともかく、私の焼き芋を了承もなく食べた罪は重いですよ。
「それにしても、髪の毛だいぶ短くなったな、夕雲」
そう言い、私の髪に触れるにとり。昔は地面に付くほどの長さでしたが、今はその半分もありません。
「ええ、正直洗うのも面倒でしたし。紫に言われて伸ばしてましたが、もう伸ばす必要もないですので、お役目を終えたらすぐに切りましたよ」
「あんなに長かったのに勿体ない。服でも作れそうぐらい長かったんじゃないか?」
「嫌ですよ。気持ち悪い。もう、髪の毛を注連縄で縛るのは散々。洗うのも乾かすのも一苦労なんですから」
にとりも髪の毛を伸ばしたら、手入れの面倒臭さがわかりますよと続けます。
「そんなもんかー」
と言い、焼き芋二つ目に突入したにとり。
「ちょっと、食べ過ぎじゃありません?一つ、二つは見逃しますが、次は怒りますからね」
私は隣でモグモグと焼き芋を食べるにとりに、じっと視線を送ります。
「ふふ、夕雲。これを見てもそんな事言えるかな?」
その言葉と共に出されたのは、黒色の機械。一瞬、カメラのように見えましたが…こ、これは!
「気付いたようだね、夕雲。これは河童特注幻想郷最新型スライド映写機!」
「な…んです……と」
焼き芋の最後の一口を口の中に放り投げ、にとりは続けます。
「外の世界から流れ着いたものを修理、改造を施したものさ。画質の向上に、冷却機能を強化した優れ物…耐久性も上がったけど、物を直せる夕雲には関係ないか」
にとりが色々説明してくれますが、私の視線は新しい映写機に釘付けです。
「それで、夕雲。お願いなんたが…「いいでしょう、任せてください」まだ何も言ってない!」
私は「こほん」と咳払いし、気分を戻します。
「それで、頼みってなんです?」
「あぁ、頼みってのは今度の宴の出し物の手伝いをして欲しいんだ。人手が足りないからね、これ幸いだったよ。スライド映写機は諸々の調整をしたいから、祭り当日に渡すさ」
その表情は先ほどまで私の焼き芋を貪り食っていたのとは打って変わり、発明家としての自信に満ち溢れています。ふふ、かなりの自信作のようですね。
それに、私も宴の賑やかな雰囲気を想像して、少しワクワクしてきました。最後に宴に行ったのはいつでしたっけ?能力を使えば、すぐ思い出せそうですが、まぁ、いいです。
「それで?その宴はいつやるんですか?」
「日程は決まってないけど、夕雲が言うならどうせすぐ始まるさ。そこまで手伝いは難しい物じゃないし、当日…いや、決まったら呼ぶよ」
私が言うなら?まぁ、細かいことはどうでもいいです。高品質、高画質、高音質の新しい映写機、久しぶりの宴…あぁ、楽しみ仕方ありません。
ん?
…スライド映写機は宴の手伝いの報酬として、私の焼き芋を食べた罪はどう贖うつもりなんでしょう?
それを聞くと、にとりはカチンと固まり、黙ってしまいました。
ふむふむ。なるほど、だいたいわかりました。私は愛すべき友人でもあり、焼き芋を食べた大罪人の頬に手を伸ばし…
秋晴の空の下、河童の悲鳴が幻想郷に木霊しました。
毎度のこと思いますが、にとりの頬は良い手触りですね。
◆
毎度思うんだけど、夕雲は理不尽だと思う。たった少しの芋と魚を食べただけで、あんなにほっぺたを引き伸ばされるなんて…頬が赤く腫れているが、夕雲が治してくれる気配はない。ずっと、魚釣りに専念している。
(こいつめ、スライド映写機に自爆機能でもつけてやろうか)
まぁ、そんな事をしたら後が怖い。
一度本気で夕雲を怒られた時は、本当に怖かった。
私に石抱き*1させ、私が身動きの取れない状態にし、極上のきゅうりを夕雲が食べるのを見せつけられた。時々、他の河童に「にとりの前で食べるように」と注釈をつけて、渡すのだから、お腹が減って減って、しょうがなかった。
そんな拷問が一晩続き、最後にはお腹いっぱいになるぐらいのきゅうりをくれたのだが、もう二度と夕雲を怒らせてはならないと魂から理解した。
「おっ、イワナです。にとり食べますか?」
「おおー、美味しそうじゃないか!食べる、食べる!」
それにしても夕雲とも、結構長い付き合いになった。
先先代巫女の時から顔見知りではあったが、本格的に仲良くなったのは次の代の時からだろうか。
夕雲が、人間について詳しく知るために私に会いに来たんだっけ?
何故だが、そこら辺の記憶は曖昧で、頭に霧がかかったかのように思い出せない。しばらく思い返そうとしたけど、靄が晴れる事はなかった。
まぁ、いいや。思い返せないと言う事は、たいした記憶じゃないのだろう。大切なのは今、私たち妖怪は生きている現在が一番大切なのだ。
「夕雲〜、焼き芋…もう一つ食べていいか?」
夕雲は少しジト目で私を見たが、すぐに「しょうがないですね」とばかりに笑い、私に焼き芋を差し出した。
なんだかんだ言って、友人に優しいところは夕雲のいいところだと思う。