東方備忘録   作:電子の妖精になりたい

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錦上京の考察が怖くて、怖くて、震えている男…スパイダーマツ‼︎‼︎
本人出たら、差し替え。情報が出たらアド。ハイリスクハイリターン、ワクワクするね。





番外 原作地霊殿②

 

Stage 3 忘れられた雪の旧都 旧地獄街道

 

 パルスィさんを難なく退けた博麗の巫女が、再び歩みを進めます。

 先日訪れたばかりの、懐かしいと言うにはあまりに最近見た光景。忘れられた雪の旧都。旧地獄街道です。

 

 巫女がとりあえず真っ直ぐ進んでいると、道の向こうから朗らかな声が響きました。

 

(お、パルスィも倒しちまうとは、大したもんだね。あんた!この地底では、暴れる奴には暴れて迎えるが礼儀だよ!)

 

 博麗の巫女に立ち塞がるのは、鬼の四天王の一角の勇儀さんです。片方の手には星熊盃を持ち、もう片方には瓢箪を持っています。おそらく、お酒が入っているのでしょう。

 

 私の右目に映る光景で、巫女と勇儀さんの間で、挨拶代わりの激しい弾幕ごっこが繰り広げられます。まるで、二つの嵐が戯れているかのようでした。…巫女も見ないうちに強くなりましたね。

 

 やがて、弾幕が止み、勇儀さんは満足げに笑いました。

(気に入った!もっと愉しませてあげるから、駄目になるまでついてきなよ!)

 

 巫女は心底迷惑そうですが、勇儀さんの方は、すっかり彼女との弾幕ごっこを楽しんでいるようです。

 

(最近は強い人間が訪れて、嬉しいなぁ。さぁ、もっと遊ぼう!)

(……ねぇ、霊夢、少し話を聞いてあげたら?)

 

 隣で、紫が訝しげに囁くのが聞こえます。勇儀さんの口から、私に関する事が出るのは不味いですね。私がなんとかしようと考えているうちに、勇儀さんが口を開いてしまいました。

 

(そもそも、お前さんはどこに向かっているんだい?)

(知らないわよ!私は無理矢理地下に行かされたの!)

(あん?…嘘はついてなさそうだな)

 

 ほっ、と思わず安心してします。全然関係ない事で良かったですね。

 巫女だけでは勇儀さんに今回の異変について説明するのが難しいと考えたのでしょう。傍観していた紫が、陰陽玉を通して、説明を始めます。私も陰陽玉を使っていましたが、こんな使い方があるなんて初めて知りました。

 

(私は地上の妖怪を進入させない約束をした。そして貴方達は地底に大都市を築いた。ただ、その代わりに地中に眠る怨霊達を出てこないように鎮める約束だった筈)

 

 その言葉に、勇儀さんの表情から笑みが消えました。

 

(まあな、そういう約束だねって、そんな事を知っているなんて、貴方は誰?)

(今は私が話しているわ。間欠泉と一緒に怨霊が湧いてくるなんて、約束が違うんじゃないの?)

(え?地下から湧いてきた?怨霊?うーん。私は旧都と地上を行き来してるやつなんて……結構いるな。萃香に、こいしちゃん…この間の人間もそう)

 

 私の心臓が、嫌な音を立てて跳ねました。さっきから心臓に悪いです。紫に知られるのも悪いですが、巫女に私の名前を知られるのはもっと悪いです。

 能力を使われたとはいえ、今代の巫女は『空を飛ぶ程度の能力』を持っています。その本質はあらゆるものからの脱却。いつ、あの能力の範囲外に出てもおかしくありません。

 

(その人間の特徴は?)

(そうだな…そいつは私に負けないぐらい酒が強くて、後は豪胆な奴だったな!あいつが間欠泉について何かするとは思えないし、地霊殿の奴らの仕業じゃないかな)

 

 その、あまりにも大雑把な答えに、私は知らず、詰めていた息をそっと吐き出しました。助かりました…。

 その時、痺れを切らした霊夢が、苛立たしげに会話に割って入りました。

 

(勝手に話を進めないでよ。地霊殿って何?そこに行けばいいの?)

(お前はその珠の向こうにいる妖怪に言われてやってきたんだな)

 

 勇儀さんは、全てを察したように頷きます。

 

(地霊殿ってのは、旧地獄の中心に建っているお屋敷だよ。そこにはこの旧都を束ねている奴がいる。そいつならあんたらが言う異変について詳しいかもな)

(ふーん。取り敢えずそこに向かってみようかな)

 

 巫女がそう言いますが、そう簡単にはいかないでしょう。紫も私と同じ考えのようで、巫女に対して楽しげに語りかけます。

 

(ふふふ、多分すぐにはいけないわよ?目の前にこいつがいる限り)

(うん?)

 

 紫の言葉に呼応するように、勇儀さんはにやりと笑い、拳をガツンと合わせます。

 

(そこの珠の向こうの妖怪は良く判っているね!我々、鬼の性格が!強い者を見ると力比べしたくなる性格が!)

(あー、もう面倒だわ!さっさと終わらせる!)

 

 勇儀さんのことです。巫女の願いとは別に戦いは長くなるでしょう。

 私は、紫にお茶を渡すべく、戸棚から煎餅とお茶を取り出し、紫に差し出します。

 

「紫もお煎餅要ります?」

 

「ありがと、頂くとするわ」

 

 私たちがのんびりとお茶と煎餅を食べながら、巫女と勇儀さんの戦いを観戦していると、しばらくして勇儀さんが拳を下ろします。

 

(お見事!そこまで力があるのなら地霊殿に行っても大丈夫だわ!)

 

「勇儀さんにしては、意外と早く終わりましまね。もっと長引くと思いましたよ」

 

 私の独り言のような呟きに、隣の紫が反応します。

 

「…夕雲って、あの鬼と知り合いだったかしら?」

 

 どうにか言葉を濁していると、視界の先で、勇儀さんが巫女に道を開けました。ちょうどよいですね。紫のお手本を見たのでこの陰陽玉を通じた遠距離通話の使い方は、完璧に理解しました。次は私が話しましょう。

 

(貴方達が約束を破るとは思っていない。さ、巫女を地霊殿まで案内してあげて)

 

 私の言葉が届いたのか、勇儀さんは静かに頷き、巫女を促しました。しかし、当の巫女は、まだ納得がいかないようです。

 

(紫、あんた何か隠してない?)

 

 右目の先の巫女が、じっとりとした視線を虚空に向けています。それと全く同じタイミングで、私の左目に映る紫は、私が差し出した湯呑みに、優雅な仕草で口をつけました。

 

(ああ、神社にあったお茶はいまいち美味しくなかったわ)

(留守中に勝手に飲むな!)

 

 

 

 

 

◆Stage 4 誰からも好かれない恐怖の目 地霊殿

 

 勇儀さんに見送られ、巫女は旧地獄のさらに奥深く、地霊殿へと辿り着きました。

 

(鬼の言う事を真に受けてこんな大きな屋敷に来ちゃったけど、肝心なこの館の住人っぽい人が全く見えないわ…)

 

 巫女がどうしようか考えている内に、一人の少女が、巫女の前にすっと姿を現しました。胸元に光る、心を読むという第三の目。地霊殿の主にして、旧地獄の支配者、さとりさんです。

 

(予想と違う人物が来ましたね。ここに来るなら、夕雲さんだと思ったけど…)

(夕雲…聞いた事ない…ん?なんか引っかかるわね)

 

 その言葉を聞いた瞬間、私は思わず、口に含んだばかりのお茶を派手に吹き出してしまいました。

 

「げほっ、ごほっ…!」

 

 突然のことに、私のは激しく咳き込みます。熱いお茶が気管に入り、生理的な涙が滲みました。

 

 しまった…!

 まさか、さとりさんがこの場で、私の名前を出すなんて…!いや、分かってはいたのですが、対策の仕様が無いですね!

 

 隣からの、氷のような視線を感じます。そろりと横目で窺うと、紫が、扇子で口元を隠しながらも、その瞳だけは全く笑わずに、私をじっと見つめていました。

 

「……ねえ、夕雲?」

 その声は、冬の湖面のように、静かで、冷たいです。人間は口笛で誤魔化すそうなので、私もそれに倣いますが、調子ハズレの音しか出ません。

 

「貴女、いつの間に、地底の主とお友達になったのかしら。私に、何も言わずに」

 

 まずいです。非常に、まずいです。

 紫に黙って地底を訪れたのは、お酒を飲みたかっただけですし、それに、私が帰ってきた直後に、こんな異変が起きたものですから、何となく、言い出す機会を逸してしまっただけで…決して、やましいことがあったわけではないのですし…

 

 そう考えを決めた私は、開き直る事にしました。

 

「ほ、ほら、この間、紫が私に人前に出ることを禁じたじゃないですか。その時に、少し興味が湧いて、地底に行っただけですよ。異変なんかには関与してません!」

 

 右目の先では、さとりさんが巫女の心を読み、会話とも独り言ともつかない、奇妙なやり取りを続けています。

 

(……神社の近くに不思議な間欠泉…あら、そのままでも良いと思ってるのね。…え?喉が渇いたって?そう、お茶の用意でもしましょうか?)

(あー?何を独り言してるのよ。さっきから何故か暑くて……喉が渇いているのは確かだけど。お茶でも出してくれるってあんた使用人か何か?)

(申し遅れました。私はさとり、この地霊殿の主です。私には隠し事は一切出来ませんよ。何故なら、貴方の考えている事が全て聞こえてきてしまうのですから……)

 

 さとりさんの能力に、巫女は感心したのか、警戒を解いてお茶を要求します。それを見た紫が、すかさず釘を刺します。ふぅ…一命は取り留めました。

 

(……霊夢、最初に言った事を忘れたの?地底に棲む妖怪は出会い頭に倒しなさい、と)

(しょうがないじゃない。私はまだ怨霊とかよく判らないし)

 

 さとりさんの第三の目が、僅かに細められます。

 

(一体、誰と話しているの…?……そう、地上に居る妖怪と話しているのね。…………。……流石に地上は遠すぎてその妖怪の心は読めないわ)

(貴方かしら?忌まわしき間欠泉を止める事が出来るのは)

 

 紫が、今度はさとりさんに向けて、直接問いかけました。

 

(ええ、間欠泉は私の知り合いを呼ぶために、私がペットに命じました。私のペットが何やら変なモノを呑み込んでしまったらしくて、彼女に助けを求めようと)

 

 右目の先の巫女は、痺れを切らしたように、敵意の籠もった思考をさとりさんに向けました。

 

(何よ、知り合いって。そんなの知らないわよ!さっさと間欠泉を止めなさい。じゃないと、私が帰れないわ!)

 

 乱暴な心を聞き取って、さとりさんは悲しげに瞳を伏せます。

 

(そう…「面倒だからみんな倒して地上に帰ろう」と考えているのね)

(その通りよ。流石、会話いらずね!)

(貴方には、平和的に解決するという心は持っていないようね)

(当たり前じゃない。誰が妖怪の言う事なんて真に受けるのよ)

 

 巫女の言葉に、さとりさんの第三の目が、すっと開かれました。その瞳は、もはや哀れみではなく、地霊殿の主としての、冷徹な光を宿しています。

 

(しかし鬼の言う事は真に受けた。そして地上の妖怪の事を信用している。貴方がその妖怪の事を思い出している事が私にも判る…さあ、心に武器を持って!自分の心象と戦うが良いわ!)

 

 さとりさんがそう宣言すると、彼女の周囲から、色とりどりの弾幕が放たれ始めました。しかし、それは彼女自身の力ではありません。それは、巫女自身がよく知る、友人の、あるいは、かつて打ち破った敵の弾幕。さとりさんは、巫女の心象風景を読み取り、その記憶を弾幕として再現しているのです。

 

 結果としては、巫女の勝利でしたが、さとりさんもだいぶ善戦しましたね。

 

 さて、巫女が私の名前を知ってしまったので、彼女に後始末をお願いしなければ…










後始末…そろそろあのキャラ出さないとなーとは思っていました。
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