東方に本格的にハマった要因は幾つかありますが、かわやばぐさんの「ミミズクとコウモリ」はその要因の一つです。つまり、神子好きなんですよね、普通に。それこそ東方の中でも十指には入ります。
ちなみに前話の後書きで一番重要なのは、「自動」です。
博麗神社にいつもの気だるげで、そしてどこまでも平和な日常が戻ってきてから数日が過ぎました。あれだけ幻想郷を騒がせた神霊騒ぎも、今では里の人々の間では夢か現か分からない不思議な噂話の一つになっています。
私は人間の里の甘味処でぬるくなったお茶をお供に、みたらし団子を食べながら、そんな他愛もない人々の噂話に耳を傾けていました。ええ、もちろんレイボとしてです。私はといえば、霊夢の(半ば強引な)厚意により、この博麗神社に居候するような形で、のんびりとした日々を送っていました。羅万館に帰ってもよかったのですが、霊夢の日常に触れる大義名分があることですし、ふふっ、役得です。
「ふあぁ」
隣で霊夢が大きなあくびを一つ。彼女もすっかりいつもの調子に戻っているようです。まあそれも当然かもしれません。あの後も神子さんたちとは、一悶着も二悶着もありましたから。…と言うより、あの邪仙さんでふね。
それはそうと、今回の
神子さんたちは異変解決後、命蓮寺の地下から新たに作り出した仙界へその拠点を移したそうです。そしてそこに道場を建て、今では静かに修行の日々を送っているとか。本当に幻想郷という場所は、昨日までの敵が今日には奇妙な隣人になっている不思議な場所です。
そして、里の状況も大丈夫そうですね、平時の時とほぼ同じです。そう考え、私たちは甘味処から移動し、博麗神社に戻ります。
「ん?」
私の一歩先を歩いていた霊夢がおかしな声を上げます。
「また面倒事の気配がするわね」
彼女の視線の先、神社の何もないはずの地面が水面のようにぐにゃりと歪みました。そしてその地面の中から、敷石を上げて、最近私たちの頭を悩ませる顔が見えました。
「やあ、博麗の巫女と支援者殿。この間は失礼したね」
先の異変の元凶である聖徳王こと、豊聡耳神子その人です。
「なっ…!あんたどこから出てきたのよ!」
「ふふ、ちょっとした秘術だよ。命蓮寺の地下からはもう引っ越したものでね。今日はその謝罪と、新築祝いの招待に来たのさ」
神子さんは悪びれる様子もなく、にこやかにそう言います。「異変の落とし前はきっちりつけさせてもらうわよ」と腕を組む霊夢を、私はまあまあと宥めます。
「もちろん、迷惑をかけた償いはさせてもらうよ。だが、まずは我が新しい住まいを見てもらおうと思ってね。さあ、遠慮なく入ってくれたまえ」
神子さんが手招きするのは、敷石の下に広がる、ぽっかりと口を開けた暗い穴でした。
「冗談でしょ。こんな怪しい穴に入るわけないじゃない」
「まあそう言うな。布都も屠自古も、君たちが来るのを楽しみに待っているぞ」
神子さんの言葉に、霊夢はちらりと私を見ます。その目は「どうせあんたも興味あるんでしょ」と語っていました。別に興味なんてないですが…霊夢が行きたいなら、どうしてもって言うなら言ってあげても…
「そんなこと言うなら、私は行かないわ」
「…お邪魔します」
私が先に立つと、霊夢も「ちょっとだけだからね!」とぶつくさ言いながら、渋々といった体で後に続きました。
穴の中は、不思議なことに暗闇ではなく、柔らかな光に満ちていました。数歩も進まないうちに、私たちは全く別の空間へと足を踏み入れていました。
「ようこそ。我が仙界へ」
神子さんの声に促され顔を上げると、そこは先ほどまでの博麗神社とは全く異なる、清浄な空気に満ちた別世界でした。ふわりと足元が軽くなる感覚。地面は磨き上げられた白玉石のようでありながら、どこか雲の上を歩いているような心許なさがあります。
「ここがあんた達が作り出した仙界ね」
「いかにも。ここは私が作り出した、俗世から切り離された聖域だよ。空気も幻想郷とは違うだろう?」
神子さんが言う通り、ここの空気はどこまでも清浄で、深呼吸をすると身体の内側から清められていくようでした。霊夢も、どこか感心したような、それでいて少しだけ居心地が悪そうな複雑な表情を浮かべています。
「さて、こちらへ。まずは道場を見ていくといい」
神子さんに案内されるままに進むと、やがて壮麗な門が見えてきました。その門の前には、綺麗に磨かれた石畳の広場が設けられています。その奥にそびえ立つ大陸風の道場は、屋根には豪奢な黄色の瓦が乗り、柱や壁は鮮やかな赤色と清浄な白色を基調としながら、その一面に壮大な中華風の絵が彩られていました。幻想郷のどの建物とも違う、独特の様式美を持っています。
「ここで私と布都、そして屠自古も、日々修行に励んでいる。そのうち里の人間を弟子に取ろうとも考えているよ」
神子さんが道場の入り口を指差すと、そこでは物部布都さんが厳しい表情で瞑想しており、私たちの姿に気づくと、瞑想を解いて律儀に一礼してきました。
「中へ入るといい。屠自古がお茶を用意してくれているはずだ」
道場の中へ入ると、蘇我屠自古さんが亡霊の姿のまま、ふよふよと浮遊しながらお茶の準備をしていました。彼女が出してくれたお茶は、口に含むと桃のような香りが鼻を抜ける、不思議な味わいで、とても美味しかったとだけ記しておきましょう。
道場の奥は広く、修行のための道場だけでなく、彼女たちが生活するための質素な居住空間も備わっているようです。
にしても、華扇の仙界とは全然違いますね。この空気が月を思い出して、どうにも嫌な気分です。そういえば、冥界もいつもはこんな空気らしいですね。私はたまたま西行妖が咲いているときに行ったので、不快には思いませんでしたが。
「さて、二人とも。せっかく来てくれたのだ。夕餉(ゆうげ)でもてなそう」
道場を一通り案内された後、神子さんから思いがけない提案がありました。
「え、いいの!?」と、食べ物の匂いに釣られたのか、それまで退屈そうにしていた霊夢の目が輝きます。やれやれ、本当に現金な子ですね。
「もちろんさ。君たちには迷惑をかけたからね。これも謝罪の印だ」
私たちが通されたのは、道場の奥にある質素ながらも清潔な食堂でした。食卓に並べられたのは、幻想郷では見たこともないような料理の数々。ほんのりと光を放つ霞を煮込んだ汁物、食べたことのない瑞々しい果物、そして仙界で採れたという霊気の宿る野菜の炊き合わせ。どれもが人の世のものとは思えない、繊細で奥深い味わいでした。
「どうかな、口に合うといいのだが」
「うん、まあまあね。ちょっと味が薄いけど」
「こら霊夢。これは俗世の料理とは違うのだ。気を練り、心身を清めるための食事なのだぞ」
霊夢の素直すぎる感想に、布都さんが真面目に反論します。その横で、屠自古さんが音もなく私たちのお茶を注ぎ足してくれる。奇妙な食卓ですが、不思議と居心地の悪さはありません。戦いが終わればノーサイド、というやつでしょうか。
和やかな食事が進み、場が一段落した、その時でした。神子さんが、ふと隣で瞑想している(お皿を見つめているだけにも見えますが…)布都さんに声をかけました。
「布都。確か、道場の奥に面白い道教の宝具があっただろう。博麗の巫女に見せてやるといい」
「はっ。して、それはどのような…?」
「行けばわかるさ。きっと気に入る」
神子さんの言葉に、霊夢は「宝具?」と興味深そうに眉を動かします。布都さんは何かを察したように、しかし恭しく立ち上がると、霊夢を手招きしました。
「博麗の巫女よ、こちらへ。太子様がそうおっしゃるのなら、何か面白いものがあるに違いない」
「え、ちょっと…まあ、見てあげるだけだからね!」
まんまと好奇心を釣られた霊夢が、布都さんと共に食堂の奥へと消えていきます。屠自古さんも、お茶の追加を淹れるためか、すっとその場から姿を消しました。
静かになった食堂で、私と神子さんは、しばし無言で向かい合います。
先に口を開いたのは、神子さんでした。すっとその瞳を細め、真っ直ぐに私を見据えます。その視線は、人の本質を見抜くかのような、鋭い輝きを宿していました。
「さて、レイボ殿」
凛とした声が、静かに部屋に響きます。
「これで邪魔者はいなくなったな。…改めて問わせてほしい。君は、何者だ?」
「先の戦いで君が使ったあの力。敗者を完全な状態で蘇らせるなど、尋常な術ではない。あれは、時間か、あるいは因果そのものに干渉する神の御業の類だ。ただの人間、いや、ただの人間にできることではない。…君の正体は、一体?」
聖徳王と呼ばれた才覚は伊達ではない、ということでしょう。彼女の問いは、私の核心に迫っていました。
(まずいですね。どう言い訳したものか…)
私は内心で思考を巡らせます。当たり障りのない嘘をつくか、あるいは、いつものように適当にはぐらかすか。
(一番の問題は、私の正体を霊夢に知られてはならないという事。いつ、彼女に慧音の能力が効かなくなるかわかりませんし)
私がどう答えようかと思案していると、神子さんはその鋭い視線を和らげ、まるで私の心の中を見透かしたかのように、穏やかに微笑んだのです。
「ならば、誓おう。私は博麗の巫女にはそなたの正体を明かさないと。また、知られないための協力も辞さないよ」
「…やはり、心が読めるのですか?」
思い出すのは、彼女との初対面。
『?おや、急に君の欲望が聞こえなくなってしまった。だけど、断片的にだが、君の欲望は聞こえてきたよ。『巫女を守りたい』という強烈な願い。それと同時に『決してこの正体を知られてはならない』という鉄の扉のような固い願い』
私の考えてもいなかった欲望を瞬時の見抜いたその力。
「あぁ、そうだね。私は人の欲望を聞くことが出来る。そして、それを理解することで人の本質を知ることが出来るのさ。そうだね、この地になぞって言うのならば『十人の話を同時に聞くことが出来る程度の能力』といったところか」
「それで、いったい君は何者なんだい?」
「…そうですね。私は◾️◾️◾️◾️◾️◾️です」
「なんだい?その名前…聞いたことがない」
「ふふ、そうでしょう。私の神名は既に忘れられています。そうですね…他の名前としては、“黄泉神”と言えばわかりますか?」
「!?」
その名を口にした瞬間、神子の表情から余裕の笑みが完全に消え失せました。彼女の全身から放たれていた神々しい光が、まるで強い風に煽られた蝋燭の炎のように、一瞬だけ激しく揺らぎます。
「…黄泉神、だと…?」
ようやく絞り出したような声は、微かに震えていました。
「まさか…。死と穢れを司る冥府の神か。そのような存在が、なぜこの幻想郷に…。いや、それよりも…」
神子さんは、そこで一度言葉を切ると、天を仰いで、何か途方もない運命の悪戯を噛みしめるかのように、乾いた笑いを漏らしました。
「は、はは…。そうか、そうだったのか。…面白い。実に、面白い!」
彼女の態度は、恐怖からある種の学究的な求道者としての純粋な好奇心へと変わっていました。
「…レイボ殿、いや、黄泉神よ。私がなぜ仙人になったか聞いてくれるか」
「…ええ、勿論」
私としても興味がありました。聖徳太子と言えば、仏教の第一人者的な立ち位置。まさか、道教を信仰して、仙人になっているとは思いもしませんでした。
「私はね、若い頃から、死が何よりも恐ろしかったのだよ」
それは、意外な告白でした。聖人として生まれ、数多の伝説を紡いだ彼女の最も根源的な欲望。
「どれほど偉業を成そうと、どれほど人に慕われようと、人は等しく死ぬ。肉体は朽ち果て、魂は暗く冷たい黄泉の国へと送られる。その摂理が、私にはどうしても受け入れられなかった。…死にたくない。ただその一心で、私はあらゆる道を模索した」
神子さんの瞳が、遠い過去を見ています。
「そして、出会ったのだよ。不老不死を謳う道教の思想に。死を穢れとして遠ざけ、更には死そのものを克服し、人でありながら仙人となる道に、私は光明を見出した。…私が道教を学び、尸解仙として眠りについたのは、他でもない。君が司るその『死』という絶対の運命から、ただ逃れたかったからなのだよ」
聖徳王が、死の恐怖から逃れるために道教を求めた。そして永い眠りから目覚めた先で出会ったのが、他ならぬ死を司る神であった、私。
なんという皮肉でしょう。
「…つまり、貴女が今の貴女である理由は、私、あるいは私が象徴する『死』そのものにあった、と」
私の言葉に、神子さんは静かに頷きました。
「ああ。皮肉なものだ。私が最も遠ざけようとした存在に、こうして助けられ、そして今、こうして茶を酌み交わしている。…ふふ、幻想郷とは、実に面白い場所だ」
彼女はそう言うと、吹っ切れたように心からの笑みを浮かべました。
恐怖の対象であったはずの私に全てを打ち明けたことで、彼女の中で、永い間燻っていた何かが、ようやく浄化されたのかもしれません。
「別段、『死』はそこまで悪いものではないのですが…」
私の不意の言葉に、神子さんは興味深そうに目を細めました。
「ほう?と言うと…。なるほど、確かに我が国の神話では、黄泉の国は不浄の地とされるばかりで、人の魂が死後どうなるかの記述がとても少ない。恐怖とは、未知から生まれるものか。実に、興味深いな。…よければ、君の国での魂の旅路を、この私に聞かせてはくれないか」
神子の純粋な探究心。私は静かに頷くと、ゆっくりと語り始めました。
「私の国…黄泉国は、決して罰を受けるための場所ではありません。むしろ、長い旅を終えた魂が、次の旅に出るための準備をする静かな休息地といった方が近いでしょう」
「休息地…」
「ええ。まず、魂だけの状態で、皆等しく黄泉に来ます。ですが、その魂は生前の記憶や想い、喜びや悲しみ、後悔といった、人生の重みを強く纏っている。それが『穢れ』の正体のひとつです。その重みのせいで、魂は亡くなった時の姿を保っているのですよ」
私は、お茶の入った湯呑に指でそっと触れます。
「そこから、黄泉の穏やかな時間の中で、少しずつその『穢れ』…つまり、人生の重荷を解き放っていくのです。黄泉を流れる川で身を濯げば、現世での苦しみの記憶が洗い流される。黄泉の風に吹かれれば、執着が剥がれ落ちていく。それは罰などではなく、ただ静かに、あるがままに還っていく、ごく自然な過程です」
話が逸れるのでシステムについては説明しませんが、まぁ、端的に換言すれば、リサイクルです。
「あるがままに…」
「ええ。そして、魂が全ての重荷を下ろし、生まれたての無垢な状態に近づくにつれて、その姿も若返っていきます。老人から大人へ、大人から子供へ、そして、やがては赤子の魂の形になる。全ての記憶を次の生に持ち越さないための、優しい忘却の旅です。…そうして、完全に清められ、赤子のように純粋な魂となった時、また現世へと旅立っていくのです。新たな物語を紡ぐために」
私はそこで言葉を切り、神子さんの顔を見ました。
「つまり、死とは終わりではないんですよ。どこぞの馬鹿どもはそれがわからなかったようですが」
私の話を聞き終えた神子さんは、しばらくの間、じっと何かを考えるように押し黙っていましたが、やがて、深く、そして穏やかな息を吐きました。
「私が逃れようとしたものの正体は、それほどまでに優しく、そして美しい理であったのだな」
彼女の瞳には、もう死への恐怖の色はありませんでした。
「そう言ってくださると嬉しいですね。ちなみにご飯だって、美味しいんですよ。お米は八雷神が美味しいのを作ってくれますし、桃だって当時では信じられないほど甘く、お肉や魚は保食神が作ってくれました」
「雷神が米を炊き、保食神が馳走を…? まるで高天原の神々の宴のようだ。…だが、それならば尚更、話が分からなくなる」
彼女は、真理を探究する求道者の瞳で、私に問いかけます。
「もし君の言う通り、黄泉の国がそれほどまでに穏やかで、恵みに満ちた場所なのだとしたら…。なぜ、現世に伝わる神話では、あれほどまでに穢れた、恐ろしい場所として描かれているのだ? なぜ、その記述はこれほどまでに少なく、断片的で、恐怖に満ちている?」
それは、もっともな疑問でしょう。
私は、少しだけ寂しそうな、あるいは悲しいような笑みを浮かべて、その問いに答えました。
「まぁ、単純です。誰も覚えてないからですよ。生者が、黄泉の国の様子を見たのは、黄泉比良坂を越えた伊奘諾のみ。彼が見たのは、穢れが落とされていない妻の伊奘冉。彼の嘆きと恐怖から生まれたその断片的な物語だけが、現世で語られる唯一の黄泉の国の姿となってしまったのです」
私は、少しだけ遠い目をして、言葉を続けました。
「そして何より、生と死の境とは、記憶の境でもあるのです。生者は死者を忘れることで前へ進み、死者は生を忘れることで、新たな生へと旅立つ。だから、たとえ垣間見たとしても、その記憶は曖昧になり、人の心にある根源的な恐怖によって、捻じ曲げられて伝わってしまう」
「…なんと」
「後は…黄泉竈食ですかね。知っているでしょう?」
「あぁ… 黄泉の竈で調理されたものを一度でも口にした者は、二度と現世には戻れないルールだろう?」
「一応、私の許可があれば帰れたりするのですが、みんなご飯が美味しくて帰らないのですよ」
「……」
私の言葉に、神子さんは絶句していました。
黄泉国から帰ってこない理由が、「ご飯が美味しいから」。
彼女が人生を賭して逃れようとしたものの真実が、あまりにも俗っぽく、そして平和であったことに、さすがの聖徳王も言葉を失ったようです。やがて、彼女は肩を震わせ、くつくつと笑い始め、ついにはお腹を抱えて大笑いしました。
「ははははは! そうか、そうだったのか! 帰らないのではなく、帰りたくなかった、と! なんという…なんという滑稽さだ! 私の悩みは、一体なんだったのだ…!」
ひとしきり笑った後、神子さんは涙を拭いながら、すっかり晴れやかな顔で私を見ました。
「ありがとう、黄泉神よ。君のおかげで、私は最後の迷いからも解き放たれた」
「とは言え、神子さんの考えは結果的に合っていますよ。貴女たちが生きている頃には、既に黄泉の国はありませんから…」
「ほう?それはどういう…」
その時でした。
「大したことなかったわね。それより、まだ何か食べるものある?」
霊夢と布都さんが、ちょうど食堂へと戻ってきました。どうやら、本当に宝具を見に行っていただけのようです。
「…おお、戻ったか。すまないな、少し込み入った話をしていてね」
神子さんが立ち上がると、布都さんと屠自古さんも、私たちを見送るために静かにその後に続きます。
「さて、二人とも。今日は来てくれて感謝する。これからも、良き隣人として、よろしく頼む」
神子さんはそう言うと、深々と頭を下げました。その隣で、布都さんと屠自古さんもそれに倣います。
「…あんた達が変なことしないんなら、こっちだって何もしないわ」
霊夢は、照れくさいのか、そっぽを向きながらそう言います。
私たちは丁重なもてなしを受けた後、元来た道を通り、博麗神社へと帰りました。敷石の下の穴が静かに閉じると、神社の境内には夜の静けさが戻ってきます。隣で歩く霊夢は、美味しいものを食べられたからか上機嫌です。私は、仙界の不思議な料理の味と、死の恐怖から解放された聖人の晴れやかな笑顔を思い出しながら、これから先、あの新しい隣人たちとどう付き合っていくことになるのか、少しだけ、本当に少しだけ、考えていました。
死んだ神様はみな黄泉の国行きです。とは言え、日本神話で死んだ神はほんと少ないのですが…
①穢れは生命の情報であり、“変化”を生むものである
②穢れが剥がれれば、元の状態に戻るのでは?
③ほな、魂は赤子に逆再生される?
ついでに川云々はギリシャ神話のレーテ川、若返る云々は大生部多の「病は癒え、貧者は富み、老人は若返る」が後付けで補強されました。やったね。
この設定通るかなーといろいろ調べていたら、幽々子は穢れが少ない事を忘れていました。…………埋まってる方に溜まってるってことにしましょう。
これだいたいの伏線は貼り終えたかなー。回収パートに入りたいな…
とは言え、ちょっと疲れたのとリアルが忙しいので、しばらく休むかもです。現在、ストックあるので、10月13日まではそのまんま(あんま推敲してなし)出せると思います。それと展開悩みと知識不足を実感するので。
なんだかんや、ストックが尽きるまでに執筆を再開出来たらいいんだけどな。