キノの旅×IS リメイク   作:un

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七話 千冬とキノ

「で? 何を騒いでいたんだ小娘ども」

 

 事務室の前で騒いでいた四人は千冬に小部屋へ連行され、椅子に座り足を組んで座る千冬に睨まれていた。

 

「そ、その…ち、ちふ姉…」

 

「ここでは織斑先生だ。馬鹿者」

 

 注意され口を堅く閉じる一夏。そんな中、隣に立つ箒が時折キノをにらむが、キノは落ち着いた様子で傍でおびえた様子の簪を見てから、千冬に説明し始めた。

 

 一夏にISの操縦を教えてほしいといわれ、訓練機が空いているのか確認に来たら箒と簪が来たこと、そして何故か箒が木刀で襲ってきたことを告げると

 

「貴様の助けなど必要ない!! 一夏には私が教える!!」

 

 と言い出すが、千冬が箒を黙らせキノ達を見る。

 

「とにかく、教員たちには迷惑をかけるな。これは命令だ。わかったらさっさと行け」

 

 納得のいかない様子の箒と、そんな彼女を見て不安になる一夏が部屋から出て行き。後にキノと簪が出ようとしたところで、千冬はキノを呼び止めた。簪は自分も残ったほうがいいのか戸惑うが、キノが先に行ってくださいと言い簪は部屋から出ていく。

 

「あの、なんでしょうか織斑先生?」

 

 部屋の中でキノと千冬の二人だけになり、何故か部屋の雰囲気が変わる。千冬が席から立ちキノの前に立つ。

 

「お前は、ほかのやかましい小娘どもとは違って少しはまともだが。目的はなんだ」

 

「何のことでしょうか?」

 

「とぼけるな。たかが無名のガキが、代表候補とまともに戦闘できると思っているのか?」

 

 千冬の言う戦闘とは、先日の簪との試合の箏だった。簪はれっきとした日本の代表候補の一人であり、ISの知識はもちろん操縦技術は一般の生徒たちより上である。だが、

キノはどこかの国の候補生や軍出身者でなく、一般の入試を受け入学しISの適正値はBと出ておりそこらの初心者の生徒とは変わりはないはずだった。正しデータ上での話だが。

 

「…そうですね、ボクは別にこの学校にスパイとして入った訳ではないです。けど、ISに乗って空を飛んだりして本当に楽しいと思いました。だからボクはもっとISについてここで学びたいです」

 

 キノは真剣な目で千冬を見つめる。しばらく沈黙が続き、千冬が口を開く

 

「ふん、だったら問題を起こすな。もし面倒を起こせば教員の迷惑になる。わかったらさっさと行け」

 

「はい、ありがとうございました」

 

 キノは一礼し部屋から出る。部屋の前には心配そうに簪だけが待っていてキノと簪の二人は廊下を歩き、その後ろ姿を千冬が見ていると緑髪で小柄の女性が手に書類を持ち声をかける

 

「あれ、織斑先生? ん? あの二人って、この間の試合にいた四組の…何かあったんですか?」

 

「山田先生…あぁ、いやなんでもない」

 

「そうですか…それにしても今年の一年生はすごいですね。候補生は他にも何人もいますが特にあの四組の二人の試合。試合のデータを教員だけでなく生徒たちも閲覧しているんですよ。確か楯無さんと…もう一人は…」

 

 

 

「キノさん、大丈夫だった?」

 

 小部屋に一人だけ残されたキノを心配する簪。キノは大丈夫と答え二人は整備室に向かっていた。理由は簪の専用機である打鉄二式の進行状況を確認するためだ。

整備室に入り、すでに整備の生徒達が集まっていた。

 

「あ、かんちゃ~~ん!!」

 

その中に簪の幼馴染である布仏本音が簪を見つけ二人が話をする中、キノは整備室を出て指輪のエルメスに声をかける

 

「どうエルメス? 簪さんのISはできてる?」

 

「まぁ。少しずづだけど。こっちがばれないようにそれとなく助言したり、あと整備の人達の協力で何とか進んでるよ」

 

「そっか…」

 

「? キノ? もしかして、さっきのお姉さん怖かった?」

 

 キノは首を横に振り、どこか遠くを見つめた。

 

「確かに怖かったけど、それ以上にあの人…師匠と同じ感じがして少し懐かしかった」

 

「そういえば、なんとなくお師匠に似ていたね。あのお姉さん」

 

「そうだね…とっ そろそろ手伝おうか。エルメス」

 

 指輪をしまい。整備室に戻るキノ。簪達と混じり打鉄二式の完成に一歩だけ近づくのであったーー

 

 翌日の昼休みになり、キノは四組の教室から出て行く。

 

(あれ、キノ? どこに行くの?)

 

 キノにだけ聞こえるように声を出すエルメスに、キノは黙ったまま一組の教室前に行く。教室の中を覗くと、どこか疲れている様子で席に座っている一夏がおり、たまたまなのか同じクラスにいる箒の姿がなかった。

 

「ん? きのー? どうしたの?」

 

 キノに声をかけたのは、昨日整備室にいた簪の幼馴染である本音だった。本音とは、簪のISの制作の手伝いをする中で知り合い、いつしかあだ名で呼ぶようになっていた。ちなみに、彼女は見た目ののんきな雰囲気から、皆からのほほんと呼ばれていた。

 

 キノは、本音に一夏に用事があることを告げると。彼女は二つ返事ですぐに教室に入り本音が一夏に話かける。

 

「おりむ~~きのーが話があるだって~~」

 

「へ? …っ!?」

 

 まさかの来客に一夏が慌てて席から立ちあがり、辺りにいた生徒達が驚いて彼とキノを見る。一夏は周りの状況など考えている余裕もなく。教室の前に立つキノに慌てて話かけた。

 

「キ、キノさん? どうして…あ、その…昨日は本当にごめん!! なんか箒の奴が変なことして、それとあの後千冬姉に何か言われなかった?」

 

「いえ、大丈夫ですよ…ところで、この間言っていたISの操縦についてですが、訓練機が使えなくてもボクでよければ手伝えるところだけ手伝おうと思いまして」

 

「ほ、本当か!! あ…でも箒が…」

 

 キノの提案を受けた後、すぐに何かを思い出したのか気まずい表情になる一夏。彼の話によると、昨日の千冬の説教が終わった後もISの操縦と関係ない剣道をやらされ今日の放課後も剣道場に行かなくてはならないとのことだった。

 

「まぁ、でも。ボクが教える方法もその箒って人とあまり変わりはしませんけどね」

 

「え?」

 

 

 

 ――やがて放課後になり、一夏とキノは学園にある射撃場にいた。一夏はテーブルの上に置かれた自動小銃を見て背中から嫌な汗が出て、キノに恐る恐る尋ねた。

 

「あの、なんでこんなところに? そして、この銃って…」

 

「あぁ、そのパース..じゃなかった。銃は本物ですので、まだ触らないでくださいね」

 

 一夏は生まれて初めて見る銃に驚くが、キノはテーブルに置いた銃を取り一夏に使い方を教え始める。

 

「まずは、打たない時は銃口を人に向けない箏と引き金に指を置かない。そして、辺りを確認してから打ってください」

 

 一夏に耳栓をするように告げ、キノは弾の入ったマガジンを銃に装填し、遠く離れた的に向け照準を合わせ引き金を引き乾いた音が鳴る。

 一発目は的のど真ん中を打ち抜き、二発目、三発目とほとんど的の中心を狙い傍にあった空間ディスプレイには得点が表示され、高評価だった。

 

「じゃ、さっき言ったようにやりましょうか」

 

「え? あ、はい…」

 

 

 弾丸が尽きた銃を渡され、一夏の手に緊張の汗が出てきた。キノの指導のどうりに安全装置の確認や弾丸の装填を確認し、初心者用に目を守るゴーグルを装着し一夏は銃を構え引き金をゆっくりと引く。

 

 パンッ

 

「くっ!!」

 

 手に思った以上の反動が来て声を上げ、慌てて的を見るが弾は命中していなかった。続けて弾が尽きるまで一夏は打つが、何発かが的の端に当たる程度だった。

 一夏は震える手と、ディスプレイに表示された最低点数を見て唇をかみしめた。

 

「まぁ、初めてでしたので仕方ないですよ」

 

「だめだ…剣も銃もこんなんじゃ俺はセシリアに勝てない…」

 

「けど、今はできることをすればいいですので…と、そろそろ時間ですね。銃を戻すのはボクがやりますので、一夏さんは、箒さんのところへ行ってください」

 

 この後に箒との特訓もあり(箒には内緒で)、一夏はキノに断りを入れ射撃場から立ち去る。そして、キノが使った銃を戻そうとした時

 

「ねぇ、君!!」

 

「はい?」

 

 キノに声をかけたのは、上級生の帯をつけた生徒だった。声をかけた女性以外にもジャージや作業服を着た生徒もおり、皆キノが射撃のディスプレイに表示されている評価を見て驚いていた。

 

「すごいね!! 君、一年生なのに射撃がこんなにうまいなんて」

 

「え、まぁ…どうも…」

 

「よければさぁ、他のも撃ってみてよ!!」

 

 女生徒に強制的にどこかの建物に連れていかれるキノ。建物には「射撃部」と書かれたプレートがあり、中には人間用の銃だけでなくIS用の銃まで置かれていた。

 

 キノは射撃部の先輩や部員たちに撃ってもらいたいとお願いされ。再び射撃場に戻り様々な銃を使い次々と的を打ち抜く。特に、的の真ん中に命中するたびに部員だけでなく、たまたま通りかかった生徒や教員たちが驚きキノは「やりづらい」と何度もつぶやいた。

 

 何十発も撃った後。射撃部からの勧誘を丁重に断りキノが寮に戻ろうとした時。

 

「ふん、こんな島国でもまともな腕を持った人はいるのですね?」

 

 そんな声が聞こえ、キノが振り向くと金髪でどこか人を見下したかのような態度をした少女がいた。キノは知らないが、彼女こそが一夏とクラス代表の座を賭けた対戦相手であるセシリア・オルコットだった。

 

 「そういえばあなた。この間の試合に出てた…ふふ、どんな人かと思えば男なんかに射撃を教えるなどとしているのでは、大したことはありませんわね。」

 

「はぁ、まぁ…」

 

 キノは適当に相槌を打ち、言いたい箏を言って満足したのかセシリアはどこかに去っていく。

 

「キノいいの? あんなこと言われて?」

 

「別に…それよりも…お腹すいた、早く食堂に行こうエルメス…」

 

 セシリアの言葉に気にしていない様子で、キノのお腹の音が鳴るのであった。

 

 その後、一夏はキノの射撃と箒の剣道の特訓を受け続けた。とにかく、やれることをやろうと必死になって鈍った剣の感覚を少しは取り戻し、慣れない銃の最低限の知識を頭に入れたが射撃の腕はまだ安定してない。

 

そして、日にちが経ち一夏にとって初のISの戦いが始まろうとしていたーー

 

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