ゴーティス使い俺、呪術の次元は禁止カードが多すぎる【復刻版】   作:月日は花客

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☆2:ゴーティスの現状

 あれから数日、ネカフェやカプセルホテルに泊まりながら放浪していると、いくつかわかったことがある。

 この世界には遊戯王は存在しなかった。

 これはかなり由々しき事態だ…………。

 原作漫画も、OCGも、何もない。遊戯王というコンテンツ自体が生まれてすらいないのだ。

 俺のデッキ以外はカドショにも無く、店には知らないカードゲームの名前があるだけ。

 

 そんな…………俺は決闘者なのに、決闘ができないってこと?? 

 人生の楽しみの何割を持ってかれたんだろう。

 そして、あのバケモノのこと。

 あれしかいないと思っていたら、割とどこにでもいるし飛んでたり潜んでたりする。それなんてG? うらら撃つぞコラ。

 あのキモい連中は俺が見えているとわかると決まって襲ってくる。

 その度にデュエルで除外か破壊しているのだが·……数が多くて骨が折れそうだ。

 なんとなくわかる的な数値は、攻撃力1000くらい、大抵が通常モンスターで攻撃表示って感じだ。

《ゴーティスの双角アスカーン》や《ゴーティスの陰影スノーピオス》で除外したり殴ったりすることが多い

 この二つの違いはよくわからない。でも倒した判定になるからどっちも消してるんだろうか? 知らんけど。

 数回、俺のモンスターも破壊されたことがあったが、その時は自分の中の「何か」が減る感覚がしただけだ。LPかな? 

 そのLPも一晩寝たら元に戻ったし、こちらのカードは破壊されてもカードとしては残る。

 でも可愛い俺のモンスターが破壊される様は心にくるので、なるべく壊されたくない。

 

 実体化してから愛着がすごい。

 

 最後に、俺の体のこと。なんでか知らんが睡眠や食事が必要じゃなくなっていた。

 もちろんできないわけじゃなくて、腹が減ったり睡魔に襲われる事がないのだ。

 これがわかった時、俺は自分が何か得体の知れないものになってしまったんじゃないかと不安で潰れそうになったが、カードから出てきた《ゴーティスの灯ペイシス》を抱っこする事で耐えた。かわいいね…………。

 

 バケモノ蔓延るこの世界、なんとかして生き残るしかないのだが•…………うーん…………考えても仕方ない! 

 あ、重要なことを言い忘れてた。

 なんか強そうなバケモノを一体倒した時、なんとカードパックがドロップしたのだ! 遊戯王の! 

 これでゴーティス強化ができる! と思って剥いたのだが、中身は正直、うん…………って感じだった。

 強そうと言ってもアスカーンの除外で一撃だったからな…………完全に俺の勘だったから本当はそこまでだったのかもしれない。攻撃力は2500くらいだった。

 

 しかし、あいつらがカードパックを落とすとわかった以上……乱獲してカード富豪になるのもやぶさかではない。

 というかカドショに無いからバケモノ相手にするしか無い。

 デュエルもできるし。

 だから最近は警察のお世話にならない範囲で夜に徘徊しているのだ。

 

 そんなわけでカードパック強奪の旅始まるよ。

 いつまでも仙台にいるわけじゃなくて、結構あちこち歩いたりして移動してる。

 街中はバケモノがいるけど人も多いので、デュエルするなら人通りの少ない田舎や山だと考えたのだ。

 寝食がいらないから、かなり無茶ができるような身体になってしまった。

 ゆるゆると南下して、景色やデュエルを楽しみながら進んでいく。今は森みたいなところだな。日も落ちてるから足元に気をつけないといけない。

 ペイシスが辺りを照らしてくれるから、木にぶつかったりする事はない。

 

 …………むっ! バケモノの気配……というかデケェ! こっからでも見える! 

 あれはカードパック10袋くらいにはなるんじゃね? 行くぞペイシス! お前の

 仲間(予定)を助けに!!! 

 

 *

 

 ────聞いていた等級と違いすぎる!

 

「灰原ッ!」

「ッ!」

 

 報告と違う等級.・それも弱いのではなく強すぎるという意味で。最悪な未来を想像した灰原と七海の2人は、"逃走"その2文字を選んだ。

 呪具を使用した撤退.それは一見すると有用な策に見えた。しかし、それは今回の呪霊に対してはあまりにも悪手で、致命的な一手だった。

 呪霊はその巨体を変形させ、今まさに灰原に襲い掛かろうとしている。

 

 ああ、ここまでか。

 

 灰原の脳裏に浮かんだ、諦めの感情。それが逃げる身体を一瞬硬直させる。

 

「カードパック、寄越しやがれでございますわぁぁぁ!!!」

 

 殴り込んできた男の姿に、思考までも停止した。

 それは七海も同じらしい。

 カードパック? なんでここに一般人が? 呪詛師か? 口調なに? 

 

 疑問が完結しない。

 その間にも、男は奇行を重ねていく。

 

「デュエル! 俺は《揺海魚デッドリーフ》を召喚! デッドリーフの効果で《ゴーティスの妖精シフ》を墓地に送る。シフの効果! 除外してデッドリーフの攻撃力をアップ! ターンエンドだ」

 

 突如として空中に魚が現れる。

 現実にはありえない輝き、空中移動。

 それが彼の式神なのだろうが、彼の詠唱はよくわからない。

 

「ッ! いけません、早く逃げてくださー」

「相手スタンバイフェイズ、シフの効果発動! シフを特殊召喚。そしてシフの効果でシンクロ召喚!」

 

 突如、辺りに白い光が満ちる。

 

 突然の極光に思わず七海たちは目や閉じてしまう。暗闇に慣れた目には痛すぎるほどの光。

 しかしその中でも男は詠唱を続ける。

 

「遥か彼方の宇宙より、這いよれ大蛇よ! 《ゴーティスの大蛇アリオンポス》!」

 

 そこに現れたのは、溶けたような見た目を持つ蛇の様な魚の様な何か。

 あれが切り札か、と考察するが、男の詠唱はまだ続く。

 呪霊の様子を見ると、まるで試すように、それとも男の影響なのか、襲う様子を見せずに停止していた。

 

「アリオンポスの効果で《ゴーティスの紅玉ゼップ》を除外し、ゼップの効果でゼップを特殊召喚! そしてシンクロ召喚!」

 

 また強烈な白い光が辺りを包み込む。

 自分たちにとって絶好の逃げる機会だが、男が何者なのか、その術式の正体はなんなのかを突き止めるまで、七海の責任感が足を離してくれない。

 

「遥か彼方の宇宙より、その光を明日へ飛ばせ! 《ゴーティスの双角アスカーン》! アスカーンの効果、こいつとお前を……除外だぁ!!」

 

 その言葉と同時に、呪霊の姿がかき消えた。

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