商売シミュレーター   作:名無しの権左衛門

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~530年

 

「うでくっそだりい」

「火力は熱いし、水力も場所を選ぶ。風の力もいろんな物ふっとばす割には弱い。

どこかにいい感じの力ないかなあ」

「うーん」

「どうした?」

「いや、磁石ってさ。なんかくっつくんだよね。逆っていうのかな。

そうするとくっつかないし。調べたいけど、磁石はこれしかない」

「よしわかった。磁石を研究しよう」

 

『科学』、『磁力』『反発力』

『化学』、『磁界』

 

「うーん口伝は難しいよなあ」

「人を描いて動きを書くか」

「讃岐の外交官や防衛官に言葉や慣習を身体になじませるため、

言葉だけでなく文字も必要。で、我々もいないことがあるから、

代わりの話者がひつようだ」

「翻訳と本ができるなら作るか。そして、子どもたちの中にも、外国へ行ってみたいヤツ

もいるだろうしな」

 

『経済』、『言語辞典』『旅行』『図鑑』『外国語講習』

 

「紙も増えて書き写す者も増えたが、時間がかかりすぎる。

こう、いっぺんにぽんっとできないものかね?」

「なら鉄か木を彫って、硬めの墨汁につけて紙へぽんっとするのはどうだ?」

「お、いいね」

 

『文化』、『版画』『印鑑』『名前』

 

「以前に区画整理を行い、どこに誰がいるのか戸籍をつくったが

今度は場所を知りたくなる。手紙も増えたし、送る拠点もあるがいちいち覚えてられん。

数字で決められているならわかりやすいんだが」

「では、川や山・分業しているところ等を境界に、数字を決めていきますか」

「まずは政治の中心部から行っていくか」

 

『経済』、『住所』『市町村』『郵便』

 

「ひらめいた。馬車を使った商売、手紙などを運ぶ事業をしよう」

「運んで送るですか」

「ああ、運送事業の始まりだ!」

 

『経済』、『運送』『配達』

 

 市井の中からも自動で事業が発生していってる。

しかも運営キャパシティをめちゃくちゃ上昇させる住所が発生。

また版画も一気に書物が増えるから、本がもっと手に入りやすくなったし

研究資金を賄うため取り引きされるようになっった。

 

「さて、やつらが攻めてきた場合の作戦を立案するか」

「我々はあまり沿岸整備してないですね」

「沼や川が邪魔しているからな。しかし、そこから1キロ離れたところに、磨製の石壁を作りその内側に堀を作ってある。

更に内部へいくと真っ平らにした砂地を敷いてある」

「この砂地を使って、馬車の突撃と鉄壁部隊で押し返す」

「ああ。最前線はそれがいいだろう。そして、火矢・毒矢・鉄球・油缶を投げ入れてやればいいな」

 

『経済』、『密集戦法』『事前立案』『堀』『石垣』『階段』

 

「お、なんかネバネバした豆ができた」

「ものは試し」

「うっ」

「ああ、今回もだめだったよ」

「うまい!」

「「え?」」

 

『文化』、『納豆』

 

「なぜネバネバしたんだ?」

「顕微鏡で見てみるか」

「……なんだこのちっさい生き物!?」

「こんなに小さければ風で飛んでいくんじゃないか?」

「何!? なら、この大気にもそういうのが潜んでいるということか!」

「空気をろ過しよう! たしか養蚕であまった絹があったよな」

 

『化学』、『腐敗』『発酵』

『科学』、『納豆菌』『菌類』『大気感染』

『工業』、『空気フィルター』『マスク』

 

「となれば、人が怪我した時まずくないか?」

「こいつらが体内に入ったら、食われるのでは?」

「しかし空気を吸っている我らが死なないのは?」

「体内にはこいつらを駆除する機能がある?」

「お前ら何やってる?」

「我らが王!」

「不思議に思ったら実行に移す。それが讃岐の民だろう?」

「! 失念しておりました。今すぐ研究します!!」

 

『文化』、『国民性』

『科学』、『人体』『解剖』『解体新書』『共食い』『プリオン』

 

 ああ、国民性までいくともう抜け出せられないな。

強大なバフ(制限がないとはいってない)が、永久の付与になってしまった。

39の研究所は、いまではもう国民性で研究関連の省力化が図られ、109個相当になっている。これでもローマより少し低いくらいだ。

 むしろローマに匹敵する讃岐の民すげえよ。

 

「安全な水とは?」

「沈殿・ろ過・煮沸・透明度」

「よろしい。麺に使用した水は、川に流さず食物に与えてみなさい」

 

『経済』、『上下水』

『化学』、『有機肥料』

 

「人の糞、牛、馬、魚、羊、鹿。あらゆる糞を調べたが、

どいつもこいつも寄生虫とかすごいな」

「一番すごいのはどれって言われたらわからん」

「とりあえず、熱くて呼吸困難になる灰でもぶち込んどくか。死ぬだろ」

「いやあ、製鉄でできた灰の扱いに困ってたんだ」

 

『化学』、『浄化』『糞尿の利用』

『科学』、『窒息』『炙り』

 

 だめだ。讃岐方面が面白すぎて、他のことに注力してなかった。

ちなみに在庫にも開発したその物品達が並んでいる。

竹とんぼ・音盤・翡翠装飾品・倭国辞典・倭国語翻訳・韓国語翻訳・韓国語辞典・

中国語翻訳・中国語辞典・教本・写経・街道図鑑・磨製鉄器・磨製宝石・米・麦・大豆・

納豆・粟・稗・栗・魚の干物・上質な鉄器・化石・琥珀・銅鐸・竹笛・太鼓・酒・壺・

絵の具・和紙・炭等。

 加工貿易してないか、我らが頭首。

いや、これ、加工貿易だ。讃岐が生きる道を早速確立させてやがる!

 

 色々やってるけれど、林業はほぼ死んでるから、外国から輸入せざるをえない。

現代日本のように、石油となる木材を輸入しないといけない。

だから輸入が終わると、あまりよろしくない。

 

「讃岐・伊予・阿波・土佐の管区ができました。

市政の中心は、高松・松山・高知・徳島とします」

「よろしい。支部を置く。それぞれが得意なものを生産し、お金を渡しあい経済を

豊かにするのだ」

 

 国外へ売りに行くのは、王の仕事。ただの輸出だな、これ。

 

「遠回りするのだるくね?」

「横穴掘っていけばつながるんじゃ?」

「まてまて。土の硬さだってあるだろ?」

 

「掘ってみたけど、なんだこの石かってえ!」

「壊す道具とかないかな?」

「なんかくずれてきてないか?」

「なら天上を支えるか。木枠でいいだろ」

 

『工業』、『発掘』『トンネル』『キリ』『発破』

 

 ん?画面のふちが黄色くなり始めた。

まずい。これは、宣戦布告前準備だ。誰かが布告事由を、讃岐国にたいして発布しやがった。仕方がない。いったん再生を止めて、飛ばしているであろう研究内容を見る。

 あった。銀を掘り当てる際に出てくるヒ素。

しかもちゃんと研究と一緒に、禁忌鉱物として接触不可判定で離れた倉庫に保管してある。

 

 これを外交官を設定させて、倭国の中央井戸に放り投げる。

ときにして3ヶ月かかったが、この時代は準備にも時間が掛かるし途中で解散になることが多い。

しかしそれは意思統一が弱い場合のみだ。

 残念ながら倭国は、紀元前660年から続いている正当性の高い国。

解散を願うのは不可能だ。

 

 そこでヒ素を井戸に流すんだ。

外国へ調査に行きまくってる王や外交官・スパイのお陰で、相手の国―――

とりわけ中国地方の事がわかっている。

東で活躍した氏族がいるので、彼らの生活水に毒物が交じると人口減少が加速する。

 残念だが経済でなく、人口で負けているのでどうしようもないのだ。

流石に現代へ近くなれば、経済力でどうにでもなる。傭兵もいるしね。

 

 だがこの中世未満は、人口。数が全てだ。

また技術・経済・人口の合算における指数が、相手より三倍以下だと宣戦布告される。

100%が今は95%に減っただけだ。

 

「水翼外洋船ができました。木材を南の国から仕入れましょう」

「頼む。このままだと讃岐の民が飢える。倭国の方は任せよ。

皆は未来の讃岐のため、開発をしていってくれ」

「「「御意!」」」

 

「情報を仕入れました」

「分離工作完了です」

「天皇に手を掛けるな。讃岐を殺しに来る。ひとり残らずな!」

 

 さすが倭国を識る頭首だ。

そろそろ平均寿命なんだけど、今回の件で死んでいられないという気力があるようだ。

実際に使命感がついていて、寿命限界が大幅に上昇してるし。

 

「一部寄生虫を解き放ちました」

「全井戸の制圧を完了しました」

「百済と倭国の信頼を地に落としました」

「倭国が中国大陸へ大量の朝貢をしておりましたので、人員を沈め物資を代わりに収めました」

「倭国の民に扮して、重税を理由にした蜂起を行わせました」

「この時期は、西から風がやってくるので、王都をかすめるように毒煙を焚きました」

 

 毒ガス。すでに研究されていたもの。ヒ素や鉱毒と一緒に開発され、

実験段階を繰り上げして使用させた。

ちなみに使用すると、影響を受けた場所の生産性ががくっと落ちる。

数年は生気のない大地になるだろう。

 やりすぎじゃないかって?

相手の人口50万人で、うち15万人なんだ。

宣戦布告事由で重要視されるのは指数といったけど、一番近くに経済で勝って人口が少なければ

侵攻してくるのはあたりまえだよな?

 

「神教支部から、なぞの液体がガラス瓶に入れられてきました」

 

『工業』、『黒色火薬』

『科学』、『硝酸』

『化学』、『結晶化』

 

「硝酸と名付けたんだが、糞尿集積所でも見たぞ」

「回収だ!」

「御意!」

 

 

「え、第一糞尿集積所が燃えた?」

「はい」

「では、なぜ燃えたのか確認せよ」

「一部の者は臭い匂いを回収し、火を付けると燃えたようです」

「実験の余波か。仕方がない。密封容器を準備し、その燃える空気を制御できるか研究せよ」

 

『科学』、『メタン』『水溶性』『脂溶性』

『工業』、『メタンガス』『ガス爆弾』『気体燃料』

 

「しかし一瞬で消えてしまうな」

「それはメタンが気体で、膨張しようとするからだろう?

鉄瓶に圧縮して入れればいいじゃないか」

「それができたら苦労はしない」

「メタンは水に溶けない。ならば、水中で蓋をすればいい」

「そうだな。まずはめいいっぱい、いれるところからにしよう」

 

「少しのメタンを密封容器内で燃やせばあるいは?」

「圧縮ポンプつかうか? 井戸水を揚げる要領で」

「そういや水を揚げるとき、水を蓋の上に入れてから揚げるな」

「そうそう水面張力?とか、皿から溢れにくい収縮性を利用したやつ」

「よしそうしてやろう」

 

『工業』、『初期型内燃機関』

 

 あ、黄色が消えた。色々と外交官が動いたおかげだ。

特に効果的だったのが、神道の僧に扮した外交官が仏教僧を虐げたことで

宗教対立が鮮明化したことだ。

おかげで倭国はてんやわんやだ。

 まあヒ素や毒ガスも天の怒りと理解して、人身御供で解決しやがった。

それはそれで人口を削れたからいいか。

 

 反乱は鎮圧され、全ての井戸が封鎖。しかし、地下水汚染で、池や湖の重度に汚染された

水を飲まなければならなくなり、大勢の人口が減った。

また武器貯蔵庫も、大規模な発破でくず鉄にしたからこれも効果があったのだろう。

 

 人口は50万人から23万人に低下。

取引相手は人口が少ない林業の人や高級装飾品を買い漁る高官だけなので、

あまりダメージがない。

 

「我々は天の怒りを切り口に、経済を掌握してみます」

「よろしい。もっと内部へ浸透せよ」

 

『経済』、『貨幣価値』『為替』

 

「倭国は中華の銭を流用しております」

「その銭と我らが讃岐の貨幣と同価値で交換どころか、

下に見られる始末!」

「また音盤の普及により、貨幣に仕組まれた音盤が抜かれ

貨幣としての価値が落ちております」

「よろしい。では、反射炉で作成した鉄鋼に、凸レンズで封じ込めた水銀を埋め込むのだ。

また上位貨幣は、鋼・金メッキで作るように。

勿論ただの金メッキでなく、我らが彫刻師の細やかな彫刻だ。

光の角度で屋島と桜を組み合わせるぞ」

「「「おおせのままに!」」」

 

『経済』、『偽造防止』

 

 あれ、メッキは開発されていたのか。

うわぁ、メッキやニッケルメッキ、水銀の活用、鉱毒対策も終わってる。

これがあるから、自分で開発しないといけない。

 

 




上下水道が整っていないので、ローマより発展していません。
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