処刑人と白銀の英雄は世界最強 作:改革結集の会
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アリナ・クローバーは、前世でヘルカシア大陸と呼ばれる異世界に生まれた。両親は小さな町の宿屋のオーナーだった。宿の酒場に集まる冒険者から聞く物語は大変興味をそそられるものであったが、仲良くしていた冒険者の一人がクエストで死亡してから一転、安定を求めるようになり、冒険者ギルドの受付嬢を目指すこととなった。
成長したアリナは、安定を求めて冒険者ギルドの受付嬢に就職。だが、ギルドでの仕事は想像以上に過酷だった。冒険者たちの非効率な行動や同僚や先輩の仕事押し付けにより、残業が常態化。アリナは「残業嫌い」という信念を強く持ち、それが彼女を「ボスをソロ討伐する」という大胆な行動へと駆り立てた。この過程で「巨神の破鎚」を覚醒させ、潜在的な強さを発揮した。
前世の終わりはあっけないものであった。仕事を押し付けられ数日間眠らずに取り組まざるを得なくなり、過労で意識を失ってしまった。結果として、彼女は地球に転生した。この世界ではイギリス人と日本人のハーフとして生まれ、両親の愛を前世以上に受けたが、5歳の時に交通事故で両親を失った。この悲劇が、アリナの新たな人生の始まりと、ハジメとの出会いへと繋がっていくこととなった。
アリナが5歳の春、それは彼女にとって世界が一変した季節だった。両親を乗せた車がDQNが運転する改造車と衝突し、即死。突然の孤児となったアリナは、茫然自失のまま病院の待合室に座っていた。黒髪に小さなリボンを結び、白いワンピースを着た少女は、周囲の喧騒の中でまるで置き去りにされた人形のようだった。彼女の心は、仲が良かった冒険者を失うという前世の記憶と混ざり合い、「また一人になった」という感覚に苛まれていた。
そこへ、南雲家の夫妻が現れた。ハジメの父はゲームクリエイター、母は少女漫画家で、二人ともアリナの両親と旧知の仲だった。事故の報せを受け、急いで駆けつけたのだ。アリナの母とは学生時代からの友人だった南雲菫は、涙を流しながらアリナを抱きしめた。
「アリナちゃん、大丈夫よ。私たちがいるから。一緒に暮らそうね」
アリナは言葉を返せず、ただ小さく頷いた。彼女の心はまだ凍りついており、温もりを素直に受け入れる余裕はなかった。だが、その時、小さな少年が菫の後ろから顔を覗かせた。
「お、お母さん、この子誰?」
南雲ハジメだった。5歳の彼は、短く切り揃えた髪と少し眠そうな瞳が特徴的で、手にはニンテンドーDSを握っていた。アリナの異国的な容姿に驚いた様子で、じっと彼女を見つめる。菫が優しく説明した。
「ハジメ、この子はアリナ・クローバーちゃん。お父さんとお母さんがいなくなっちゃったから、これからうちで一緒に暮らすの。仲良くしてあげてね」
ハジメは少し困惑した顔をしたが、やがてニンテンドーDSをポケットにしまい、アリナに近づいた。そして、ぎこちなく手を差し出す。
「えっと……よろしくね。僕、ハジメ。南雲ハジメ」
アリナは無言でその手を見つめた。前世で育まれた精神が、「他人に頼るのは弱さだ」と囁く。だが、ハジメの純粋な瞳とぎこちなさが、彼女の心に小さな波紋を広げた。ゆっくりと手を握り返すと、ハジメが少しだけ笑った。
「アリナ、って呼んでいい?」
「……うん」
その瞬間、アリナの凍りついた心に、微かな温もりが灯った。前世での両親との穏やかな記憶と重なり、ハジメが「家族」の一部として彼女の中に刻まれた。南雲家に引き取られた日から、アリナとハジメの物語が始まったのだ。
南雲家での生活は、アリナにとって新しい試練だった。ハジメの両親は優しく、彼女を本当の娘のように扱ったが、アリナは「ハーフ」という出自に微かな疎外感を抱いていた。
ハジメはそんなアリナにとって、初めての「同世代の仲間」だった。彼はオタク気質で、アニメやゲームに夢中だったが、アリナにはその趣味が新鮮だった。前世で過労に苦しめられ、自分の時間を奪われていた彼女にとって、ハジメの「趣味を楽しむ」姿は、自由の象徴に見えた。
「アリナ、これ見てよ! このアニメ、めっちゃ面白いんだ!」
ハジメがテレビでアニメを見せると、アリナは隣に座って一緒に観た。最初は興味本位だったが、次第に物語に引き込まれ、ハジメと笑い合う時間が彼女の癒しとなった。ハジメとともにゲームやマンガ、アニメを楽しむ日常は、前世の疲弊を忘れさせる、穏やかなものであった。
ハジメもまた、アリナに心を開いていった。彼女の面倒見の良い性格が、彼の生活を支えた。宿題を手伝い、夜更かしを叱り、効率的な生活を教えるアリナに、ハジメは「残業しないように気をつけるよ」と笑いながら応じた。二人は同じ部屋で暮らし、夜にはアニメを見ながら眠りにつく。そんな日常が、アリナにとって「失った家族」を取り戻す時間となった。
アリナが小学校に入学すると、彼女の人生に新たな試練が訪れた。ハーフであること、黒髪に翡翠色の目という独特のスタイルが、同級生の好奇心と悪意を引いた。
「ねえ、アリナって外人なの? 変な顔!」
「日本語喋れるの? おかしいね!」
休み時間になると、数人の男子がアリナを取り囲み、からかい始めた。彼女は前世の強さを思い出し、「自分で解決する」と立ち向かおうとしたが、小学生の体では限界があった。悔しさと屈辱が募る中、アリナは黙って耐えた。
ある日、事態がエスカレートした。校庭で、アリナが一人で本を読んでいると、男子たちが近づき、本を奪って地面に投げつけた。
「 お前みたいなガイジンには、こんな本なんかいらねぇんだよ!ガイジンはここから出てけ!」
アリナは唇を噛み、涙を堪えた。前世の記憶が蘇り、「泣くのは負けだ」と自分を励ます。だが、その時、小さな影が彼女の前に立ちはだかった。ハジメだった。
「お前ら、やめろよ! アリナに何するんだ!」
ハジメは震える声で叫び、アリナを庇うように両手を広げた。彼は運動が得意ではなく、普段は大人しい少年だったが、この時だけは違った。男子たちは一瞬驚いたが、すぐに笑いものにした。
「何? 南雲がヒーロー気取り? キモオタが!」
「殴られたいの? お前なんか簡単にやれるよ!」
リーダー格の男子がハジメを突き飛ばし、彼は地面に倒れた。アリナの心に、前世での無力感と怒りが渦巻く。だが、ハジメは立ち上がり、再びアリナの前に立った。顔に土がつき、膝が擦りむけても、彼は引かなかった。
「アリナは僕の家族だ。お前らにいじめる権利はない!」
その言葉に、アリナの心が震えた。前世で「白銀の剣」に感じた信頼が、ハジメの小さな背中に重なった。男子たちは呆れつつも、ハジメの執念に気圧され、結局その場を去った。
ハジメが振り返り、アリナに手を差し出す。
「大丈夫、アリナ? もう平気だよ」
「……ハジメ、ありがとう」
アリナは涙を堪え、彼の手を取った。擦りむけたハジメの膝を見て、彼女は初めて「守られる」感覚を知った。前世で自分で全てを解決してきたアリナにとって、ハジメの勇気は新しい光だった。この日から、彼女のハジメへの想いは恋心へと変わり、彼を「自分の全て」とする決意が芽生えた。
小学校時代を通じて、アリナとハジメの絆は深まった。アリナへのいじめは減ったが、クラスメイトのアリナへの嫉妬は残り、アリナは「ハジメ以外は敵」と感じるようになった。代わりにハジメがイジメのターゲットになってしまい、前世で覚醒させた「巨神の破鎚」がでそうになることもあったが、ハジメが「これは自分の問題だから大丈夫だよ」と言ったこともあってなんとか抑えつけることができた。ハジメを守った日から、彼女は彼の勉強を指導し、生活を支え、二人の時間を作り上げた。
小学校の卒業式の日、アリナはハジメを校庭の桜の木の下に呼び出した。黒髪にリボンが揺れ、緊張した顔で彼女は言った。
「ハジメ、私、ずっと言いたかったことがある。……大好きだよ。付き合ってほしい」
ハジメは驚きつつ、照れ笑いを浮かべた。
「僕も、アリナが好きだよ。ずっとそばにいてくれるから」
二人は手を握り合い、恋人としての第一歩を踏み出した。関係を隠すのはハジメの提案だったが、アリナにとっては「ハジメを独占できる」喜びでもあった。
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ミレディはジェイドハーレムに加えるべき?
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加えてください
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おとなしくオーちゃんと仲良く