処刑人と白銀の英雄は世界最強 作:改革結集の会
橋の両サイドに現れた赤黒い光を放つ魔法陣。通路側は十メートル級の巨大な円が脈動し、階段側では一メートルほどの小さな魔法陣が無数に点在し、赤黒い光が不気味に瞬く。そこから骨格だけの魔物「トラウムソルジャー」が溢れ出した。剣を握る骸骨の手がカタカタと震え、空洞の眼窩から赤黒い光がギョロギョロと輝く。骨が擦れ合うガチャガチャという音が響き合い、ハジメが「何!? こんなの見たことない!」と目を丸くした。アリナは「ハジメ、そばにいて!」と巨神の破鎚を握り締め、その重さが手にずっしりと伝わる。「ハジメを守らなきゃ…私の全てだから」と心の中で呟く。彼女にとって、ハジメはただの恋人ではない。この騒がしく危険な世界で、唯一の心の拠り所だった。
アリナの視線は通路側の巨大魔法陣に引き寄せられる。そこから現れたのは、体長十メートルの四足獣。頭部に兜のような突起が聳え、赤黒い瞳が爛々と輝く。鋭い爪が石畳をガリガリと削り、牙がカチカチと鳴り、角からチリチリと炎が噴き出す。厚い皮膚は鉄のように硬く、威圧感が空気を圧縮するようだ。メルド団長が呆然と呟く。「まさか……ベヒモス……なのか……」その言葉に、ハジメが「ベヒモスって何!?」と叫ぶと、アリナが「ハジメ、危ないよ!」と腕を引き寄せた。「こんな化け物でも、ハジメがいるなら怖くない…私が守るんだから」と自分を奮い立たせるが、内心では「もしハジメを失ったら…私、どうなるんだろう」と一瞬の恐怖がよぎる。
ジェイドが「白銀の剣、準備しろ!」と剣を抜き、ルルリが「はいなのです!」と杖を握り、ロウが「やべぇのが出てきたな」と呟く。
ベヒモスが大きく息を吸い込み、「グルァァァァァアアアアア!!」と咆哮を上げる。空気が震え、耳をつんざく轟音がアリナの鼓膜を打ち、頭がキーンと鳴る。「うっ!」と耳を塞ぎながら、「こんな音でも、ハジメの声なら聞こえるよね」と一瞬ハジメの笑顔を思い浮かべる。メルドが「アラン! 生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ! カイル、イヴァン、ベイル! 全力で障壁を張れ! 光輝、お前達は階段へ急げ!」と指示を飛ばす。光輝が「俺達も戦います!」と反論すると、メルドが「馬鹿野郎! ベヒモスは六十五階層の化け物だ! 今のお前達じゃ無理だ!」と一喝。アリナは「ハジメ、私達ならやれるよね?」と囁き、ハジメが「アリナと一緒なら!」と頷く。「ハジメの言葉だけで、私、どこまでも強くなれる」と胸が熱くなる。
騎士団最高戦力が「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず――『聖絶』!」と詠唱。純白の半球状障壁が展開され、ベヒモスの突進が激突する。ドォン!という衝撃音が響き、爆風が橋を揺らし、石畳がビリビリと震えた。生徒達が「キャア!」「うわっ!」と悲鳴を上げて転倒し、ハジメが「アリナ、しっかり掴まって!」と手を握ると、アリナが「平気だよ、ハジメを守る!」と力強く返した。ハジメが「アリナ、大丈夫!?」と叫ぶ。「ハジメの手、温かい…これがあるなら、何だって耐えられる」と安心感が広がるが、「でも、この状況…私だけでハジメを守れるのかな」と不安が頭をよぎる。ジェイドが「くそっ、でかいな!」と剣を構え直し、ルルリが「皆さん、気を付けるのです!」と叫ぶ。
一方、生徒達はトラウムソルジャーに襲われていた。剣を振り回し、骨が軋む不気味な音が響き、赤黒い光が闇の中で不気味に揺らめく。アランが「落ち着け! 隊列を組め!」と叫ぶが、パニックで誰も聞かない。そんな中、釣り目がちの女子生徒である園部優花が突き飛ばされて倒れ、「うっ」と呻く。トラウムソルジャーが剣を振り下ろし、刃が空気を切り裂く音がする瞬間、ジェイドがその剣を封じ、ハジメが「錬成!」と叫び、地面を隆起させた。ゴゴッと石畳が波打ち、魔物の足元が崩れてバランスを失い、剣がカンッと地面を叩く。ハジメが「奈落に落とす!」とさらに錬成を重ね、滑り台のように魔物を奈落に滑らせた。骨が砕ける音が響き、ハジメが「大丈夫?」と手を差し伸べると、優花が「ありがとう!南雲!ジェイドさん!」と涙目で駆け出す。
ハジメはさらに足止めを続ける。地面を隆起させ、トラウムソルジャーの足を絡め取り、剣を振るう隙を与えない。「これなら少しは時間稼げる!」と汗を拭うが、心臓がバクバクと鳴り、「僕、こんなところで死にたくないよ……アリナと一緒にいたいんだ!」と恐怖が込み上げる。アリナが「ハジメ、よくやってるよ! 私が守るから!」と励まし、巨神の破鎚を肩に担ぐ。ジェイドが「ハジメ、援護するぞ!」と剣を振り、トラウムソルジャーの腕を切り落とす。ルルリが「癒しの光を!」と魔法を放ち、ハジメの軽い擦り傷を癒し、ロウが「黒炎!」と炎を放って骨を焦がす。
ハジメは混乱するクラスメイトを見て、「みんなバラバラだ……リーダーがいないとダメだ! 天之河くんだ!」と決意し、光輝のもとへ走った。足が震え、「僕なんかにできるのかな…」と不安がよぎるが、「アリナが信じてくれてるなら!」と自分を奮い立たせる。
ベヒモスは障壁に突進を繰り返し、純白の表面に亀裂が広がる。ドゴォン!と衝撃音が響き、風圧がハジメの髪を乱す。メルドが「もう持たん! 撤退しろ!」と叫ぶが、光輝が「見捨てません!俺が守らなきゃ…!」と抵抗。ハジメが「天之河くん! みんながパニックだよ! 一撃で道を開いて!」と胸ぐらを掴むと、光輝が「分かった!」と頷く瞬間、障壁が砕けた。ガシャン!という音と共に衝撃波が吹き荒れ、ハジメが「錬成!」と叫び石壁を作り出す。石が積み上がるが、ベヒモスの力に耐えきれずバキバキと砕かれ、ハジメが「うわっ!」と吹き飛ぶ。アリナが「ハジメ!」と駆け寄り、メルド達が倒れる。
光輝が「龍太郎、雫、時間を稼げ!」と指示。龍太郎が「オラァ!」と拳を振り、衝撃波がベヒモスの足をわずかに揺らす。拳が当たるたびにゴンゴンと鈍い音が響き、地面に小さなひびが入る。雫が「ハッ!」と剣を閃かせ、鋭い斬撃が角に浅い傷をつけるが、刃が弾かれキィン!と金属音が鳴る。ベヒモスが「グオオ!」と咆哮し、角から炎が噴き出す。香織が「天恵!」と詠唱し、淡い光がメルド達を包む。ハジメが「僕も何かしないと……アリナと一緒に戦うんだ!」と呟き、アリナが「ハジメ、私がやる!」と巨神の破鎚を手にベヒモスに突進した。
ハジメが「錬成!」と叫び、地面を沈めてベヒモスの前足を一メートル以上埋める。ズブッと石畳が陥没し、ベヒモスが「グゥゥ!」と唸る。さらに「固めろ!」と叫び、沈んだ足を固めて拘束。アリナが「この野郎ッ!」と飛び上がり、「お前のせいで、私のハジメとの大事な平和な時間が奪われたんだよッ!クソがクソがクソがクソが!死ねぇぇぇ!」と叫ぶ。巨神の破鎚が振り下ろされ、ズドン!という鈍い衝撃音が響き、ベヒモスの頭部にひびが入る。兜が歪み、血が飛び散り、石畳に赤い染みが広がる。アリナが「ハジメ、私やったよ!」と笑うと、ハジメが「アリナ、すごいよ!」と目を輝かせた。
ジェイドが「今だ!」と剣で足を斬りつけ、刃が硬い皮膚をガリガリと削ぐ。血が滲み、ジェイドが「リリアーナのために死ねねぇ!」と叫ぶ。ルルリが「癒しの光を!」と魔法を放ち、アリナの擦り傷を癒し、光が彼女の腕を優しく包む。ロウが「黒炎!」と叫び、黒い炎がベヒモスの側面を焦がす。炎がチリチリと音を立て、焦げ臭い匂いが漂う。クラスメイトが「やれるぞ!」と活気づき、魔法を準備する。ハジメが「アリナと一緒なら怖くない!」と拳を握り、アリナが「ハジメのためなら何だってやるよ!」と抱きついてくる。
生徒達が一斉に魔法を放つ準備を進める中、香織の表情が歪んでいた。彼女の脳裏には、前夜の記憶が蘇る。ハジメの部屋を訪れた時、扉の隙間から漏れるアリナの嬌声。「ハジメ、もっと……」「アリナ、大好きだよ……」その甘い声に、香織は唇を噛み締め、爪が掌に食い込むほど拳を握った。アリナの嬌声が耳に焼き付いて離れない。「ウソ…、あの女とハジメくんがエッチしてるなんて…。ハジメくんの童貞は私がもらおうと思ったのに…。許さない許さない許さない」と心の中で呪詛を吐く。目が血走り、「あの女が巨神の破鎚を使って、ハジメ君を脅して洗脳してるんだ♪なら、私があの女を奈落に落として洗脳を解いてしまえばいいんだ♪」と歪んだ笑みを浮かべる。「ハジメ君は私の優しさに気づいて、私を選ぶよね♪ アリナなんかいらないよね♪」と独り言を呟き、杖を握る手が震えた。
一方、檜山大介も暗い感情に支配されていた。彼の脳裏には、香織がネグリジェ姿でハジメの部屋を訪れた夜の光景が焼き付いている。物陰から見た香織の美しい姿、ハジメとアリナの甘い声。「南雲が…あの無能が香織と…いや、それ以上にアリナとあんなことを…!」と歯ぎしりする。「俺の方がマシだろ! 香織には俺の方が似合うだろ! 南雲なんかに何があんだよ!」と憎悪が膨らむ。グランツ鉱石を奪おうとしたのも、香織への焦りとハジメへの嫉妬が爆発した結果だった。「南雲さえいなけりゃ…香織やアリナは俺を見てくれるはずだ!」と瞳が暗く光り、橋の崩壊を見ながらほの暗い笑みを浮かべていた。
生徒たちが魔法を詠唱し、火球を放つ。赤い炎が空中を切り裂き、ゴォォと音を立てた。しかし、2つの魔法の軌道が不自然に曲がり、アリナとハジメを狙った。アリナが「何!?」と叫び、ハジメが「アリナ!」と駆け寄る。ジェイドが「二人を守る!」と盾を構えて飛び込むが、火球が爆発。ドカン!という衝撃で炎が広がり、ハジメ、アリナ、ジェイドが吹き飛んだ。3人の三半規管が平衡感覚を崩す中、アリナが「クソッタレッ!」と怒号を上げ、巨神の破鎚を握り締める。ハジメが「どうして!?なぜ僕たちが狙われたの!?」とパニックになった。
ベヒモスが「グオオオ!」と咆哮し、赤熱化した角がマグマのように輝く。角を振り回し、橋に突進。ズガァン!と石畳が砕け、亀裂がメキメキと広がる。ハジメが「アリナ、しっかり!」と抱きかかえ、アリナが「ハジメ、私…!」と呻く。ジェイドが「くそっ、リリアーナとの約束が…! こんなところで終われねぇ!」と剣を握り締める。リリアーナの笑顔が彼の脳裏に浮かんだ。橋が完全に崩れ始め、石片が奈落に落ちる音が響く。ルルリが「ジェイドさん!」と叫び、ロウが「アリナ、ハジメを見捨てられねぇ! 行くぞ!」と決意し、二人も奈落に飛び込む。
ベヒモスが「グウァアア!」と悲鳴を上げ、爪で石畳を引っ掻くが、崩壊に抗えず奈落に消える。ハジメが「アリナ…!」と手を伸ばし、アリナが「ハジメ、私達一緒だよ…」と微笑む。ジェイドが「リリアーナ…待っててくれ…」と呟き、五人が闇に飲み込まれた。香織が「ハジメ君!」、光輝が「アリナ!」と叫び、雫と龍太郎に羽交い締めにされる。メルドが「くそっ、坊主達が…!」と拳を握り、檜山が暗い笑みを深めた。
こうして愚者たちによって本来なら倒されるはずだったヘビモスが倒されず、王国は「白銀の剣」を失うこととなる。これが王国にとってどれだけ大きな損失であるかは、一部を除きまだ誰も知らない。そして、処刑人の怒りを買った愚者たちの末路が悲惨になったことも。
ついに奈落に落ちてしまいましたね。
感想・評価をお願いします。
セリフと地の文分けると時間がかかるのですが、次話更新が数週間程度遅くなってでも分けるべきですか?
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更新優先でお願いします。
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セリフと地の文分けるの優先で。