処刑人と白銀の英雄は世界最強   作:改革結集の会

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タールザメの階層からさらに五十階層を進んだ。

 

ハジメ、アリナ、ジェイド、ルルリ、ロウの5人は、【オルクス大迷宮】の奈落の底で驚異的な速度で攻略を続けていた。

 

時間の感覚は薄れ、昼夜の区別も失われていた。

 

何日、いや何週間が過ぎたのか、誰も確信を持てなかった。

 

それでも、彼らの絆は揺るがず、互いの存在が過酷な迷宮を進む唯一の支えとなっていた。

 

薄暗い通路を歩くたび、足音が湿った岩に反響し、どこか遠くで滴る水音が途切れることはなかった。

 

ハジメはリュックを肩に掛け直し、息を整えながら呟いた。

 

「まだ終わりが見えないね。でも、みんなと一緒なら怖くないよ。」

 

その声は穏やかで、仲間たちに安心を与えるものだった。

 

 

その間、数え切れないほどの死闘を繰り広げてきた。

 

ある階層では、迷宮全体が薄い毒霧に包まれ、空気すら敵に感じられた。

 

そこでは、2メートルの虹色ガエルが毒の痰を吐き出し、麻痺の鱗粉を撒き散らす巨大な蛾が襲いかかってきた。

 

見た目はまるでモスラのようだった。

 

「こんな化け物、ヘルカシア大陸でも見たことねぇよ!」

 

ロウがそう叫んだほどだ。

 

常に神水を携行していなければ、ただ立っているだけで命を落としていただろう。

 

虹色ガエルの毒を受けた時、ハジメは膝をつき、神経を焼かれるような激痛に顔を歪めた。

 

初めて魔物の肉を食べた時を思い出す痛みだった。

 

アリナが駆け寄った。

 

「ハジメ、大丈夫!?」

 

アリナはそう叫んだ。

 

彼女の瞳には、ハジメを失うかもしれない恐怖が浮かんでいた。

 

ハジメは奥歯に仕込んでいた薄い石製の容器を噛み砕き、神水を飲み干した。

 

冷たい液体が喉を流れ、痛みが徐々に引いていく。

 

「うん、大丈夫だよ。アリナがそばにいてくれたから冷静でいられた」

 

ハジメはアリナの手を握って、アリナを安心させた。

 

アリナは安堵の息をついて呟いた。

 

「もう…無茶しないでね」

 

その瞬間、彼女の脳裏には幼い頃、ハジメが自分をいじめから守ってくれた記憶が蘇っていた。

 

当然、二体とも食料にした。

 

蛾を食べるのは抵抗があったが、強化のためだと割り切り、意を決して口に運んだ。

 

意外にもカエルより少し美味かったことに、ハジメは「なんだか悔しいね」と呟き、仲間たちを笑わせた。

 

「ハジメ、味に文句言う余裕があるなら、まだまだいけるな!」

 

ロウがハジメを明るくからかい、場の空気を和ませた。

 

 

また、地下迷宮とは思えない密林のような階層に遭遇したこともあった。

 

蒸し暑く、鬱蒼とした木々が視界を遮り、今までで最も不快な環境だった。

 

そこに棲む魔物は巨大なムカデと樹だった。

 

密林を歩いていると、突然、巨大なムカデが木の上から降ってきた。

 

「うわっ、気持ち悪い!」

 

ハジメでさえ全身に鳥肌が立ち、声を上げた。

 

ムカデは体の節ごとに分離し、まるで黒い台所のゴキブリのように増殖しながら襲いかかってきた。

 

一匹いれば三十匹はいると思えと言わんばかりの執拗さだった。

 

ハジメはドンナーを連射したが、数が多すぎてリロードが間に合わない。

 

アリナが「ハジメ、私が援護する!」と叫び、巨神の破鎚でムカデを叩き潰した。

 

ジェイドが盾で防ぎ、ルルリが回復魔法でサポートし、ロウが攻撃魔法で焼き払う中、ハジメは風爪で切り裂き、慣れない蹴りも使って必死に戦った。

 

「これからは素早くリロードする方法と蹴り技を磨こう」

 

紫色の体液を全身に浴びながら、ハジメはそう決意した。

 

樹の魔物は、いわゆるトレントに似ていた。

 

根を地中に潜らせて突いてきたり、ツルを鞭のようにしならせて攻撃してきたりした。

 

しかし、その最大の特徴はピンチになると頭部を振り、赤い果物を投げつけてくることだった。攻

 

撃力は皆無で、ハジメが試しに食べてみると、数十分硬直してしまった。

 

毒ではない。あまりにも美味かったのだ。

 

甘く瑞々しいその果物は、スイカに似ていた。

 

「こんな美味しいものが迷宮にあるなんて!」

「私も食べる!」

 

ハジメが目を輝かせると、アリナも手を伸ばし、5人で果物を味わった。

 

不快な密林の記憶は吹き飛び、一時的に迷宮攻略すら忘れてしまうほどだった。

 

結局、トレントモドキを狩り尽くし、満足して探索を再開した時には、その階層のトレントモドキはほぼ絶滅していた。

 

 

そんな過酷な戦いを経て、5人は五十層に到達した。だが、迷宮の終わりはまだ見えない。現在のハジメのステータスは以下の通りだ。

 

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:49

天職:錬成師

筋力:700

体力:750

耐性:800

敏捷:900

魔力:850

魔耐:850

技能:

錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成][+鉱物加工]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・言語理解・処刑人の守護者

 

 

他の5人も毒耐性、麻痺耐性、気配遮断の技能を身に付けていた。

 

五十層で拠点を構えた5人は、一時足踏みしていた。

 

ハジメは銃技や蹴り技、錬成の鍛錬、アリナは槌を用いた攻撃の鍛錬、ジェイドは戦略の考案や剣や盾の鍛錬、ルルリは治癒の鍛錬、ロウは遠距離魔法の鍛錬に取り組んでいた。

 

ハジメはアリナの攻撃力を挙げるために、巨神の破槌の分析を行って、魔力を流し込んで改良に挑んでみたが、今のハジメには魔力が足りず、断念した。

 

 

階下への階段は既に見つけていたが、この階層には明らかに異質な場所があった。

 

脇道の突き当りに広がる空間には、高さ3メートルの荘厳な両開きの扉がそびえていた。

 

装飾が施され、扉の脇には二体の一つ目巨人の彫刻が半分壁に埋まった状態で鎮座している。

 

不気味な雰囲気が漂い、ハジメが足を踏み入れた瞬間、全身に悪寒が走った。

 

「これは…ヤバいね」

 

ハジメは呟き、一旦引いた。

 

だが、避けるつもりは毛頭ない。装備を整え、仲間たちと相談しながら準備を進めた。

 

長い探索の中で初めて出会った“変化”だ。調べないわけにはいかなかった。

 

「まるでパンドラの箱みたいだね。どんな希望が入ってるんだろう?」

 

ハジメは穏やかに言ったが、内心では期待と不安が交錯していた。

 

アリナが強く言った。

 

「ハジメ、私たちも一緒に行くよ」

「何か危険が待ってるなら、俺が先頭に立つ」

 

そして、ジェイドが剣を握り直した。ルルリとロウも頷き、5人の決意が一つになった。

 

準備を整え、ハジメはドンナーを手に持った。

 

額に銃口を押し当て、目を閉じて深呼吸した。

 

「僕は生き延びて、みんなと一緒に故郷に帰る。日本に、家に…帰る。邪魔するものは敵だよ。敵は…倒す」

 

ハジメは静かに宣誓した。

 

目を開けると、彼の口元には穏やかな笑みが浮かんでいた。

 

 

扉の部屋に到着した5人は、油断なく歩みを進めた。

 

近くで見ると、扉には複雑な装飾が施され、中央に二つの窪みのある魔法陣が浮かんでいた。

 

ハジメが首を傾げて呟いた。

 

「これ、見たことない魔法陣だね。勉強したつもりだったけど…」

「神代のものだろう。俺が転移前にヘルカシア大陸のダンジョンで見た古文書に雰囲気が似てる。解読は難しいが、何か重要なものが隠されてるはずだ。」

 

ジェイドが冷静に答えた。彼の言葉には、経験に裏打ちされた確信があった。

 

ハジメはかつて「無能」と呼ばれた自分を思い出し、それを克服するために座学に励んだ日々を振り返った。

 

ハジメより頭がいいはずのアリナも、ともに魔法陣について学んでいたが、アリナもわからない様子であった。

 

ジェイドやハジメ、アリナの知識でも解読できないとなると、この魔法陣の古さが際立つ。

 

「仕方ないね、錬成でいくよ」

 

ハジメは魔法陣に右手を触れさせると、赤い放電が走り、「うわっ!?」と弾かれた。

 

煙が立ち上り、神水で回復しながら彼が「仕掛けがあるね」と呟いた瞬間、野太い雄叫びが響き渡った。

 

「オォォオオオオオオ!!」

 

扉の両側に彫られていた二体の一つ目巨人が壁を砕き、動き出した。

 

暗緑色の肌に4メートルの大剣を握るサイクロプスの姿だった。

 

ジェイドが即座に前に出て指示を出した。

 

「俺が引きつける!ハジメ、アリナ、後ろから援護を頼む。ルルリ、ロウ、左右を固めてくれ!」

 

その声には迷いがなく、仲間たちは一瞬で動きを合わせた。

 

右のサイクロプスがハジメに大剣を振り下ろした瞬間、ドパンッ!と発砲音が響き、弾丸が一つ目を貫いた。

 

脳をかき混ぜ、後頭部を爆ぜさせ、巨体が前のめりに倒れた。

 

ジェイドが「見事だ、ハジメ!」と称賛しつつ、左のサイクロプスに突進した。

 

そしてサイクロプスの大剣を盾で受け止め、押し返した。

 

「ハジメ、私が行くよ!」

 

アリナが巨神の破鎚を振り上げ、足を狙ったが、サイクロプスが発光し、皮膚で攻撃を弾いた。

 

「固有魔法か!」

「麻痺手榴弾だ!」

 

ジェイドが叫び、ハジメが鱗粉を投げ込んだ。

 

爆風で麻痺が広がり、ロウの攻撃魔法とルルリの回復が連携し、ジェイドの豪脚でサイクロプスの頭を蹴り上げ、目を露出させ、ハジメが錬成で地面を隆起させて動きを止めて、ドンナーで目を封じ、アリナが巨神の破槌で仕留めた。

 

戦闘は瞬く間に終わり、5人は息を整えた。

 

「この扉、ただの障害じゃない。何かを守ってるんだ」

 

息を整えながら、ジェイドが呟いた。

 

 

ジェイドがサイクロプスの魔石を風爪で取り出して嵌め込むと、魔力光が迸り、扉が開いた。

 

部屋が発光し、眩しさに目が慣れるまで時間がかかった。

 

中は大理石のような石造りで、太い柱が並び、中央に巨大な立方体が置かれていた。

 

その前面から微かな魔力の揺らぎが感じられた。

 

「何が…いるんだ?」

 

ジェイドが呟いた瞬間、「…だれ?」とかすれた声が響いた。

 

金髪の少女が上半身だけを立方体から出し、紅眼でこちらを見つめていた。

 

12、3歳ほどのやつれた姿だが、美しさが際立っていた。

 

ジェイドが剣を手に近づき、「封印されてる…助けよう」と強い決意を込めて言った。

 

ハジメもそれに同調し、他の3人も賛意を示した。

 

この5人の姿はどこぞの魔王とは大違いである。

 

ハジメが「人なのか?」と驚きつつも、ジェイドの背中を見つめた。

 

彼の行動には迷いがなく、5人はその決断を信じて続いた。

セリフと地の文分けると時間がかかるのですが、次話更新が数週間程度遅くなってでも分けるべきですか?

  • 更新優先でお願いします。
  • セリフと地の文分けるの優先で。
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