処刑人と白銀の英雄は世界最強   作:改革結集の会

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第4章 樹海の迷宮に入れなかったので、クソウザ解放者の迷宮で戦おうと思います
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ハルツィナ樹海の深緑に覆われた道を抜け、一行は広々とした平原へと足を踏み入れた。そこは見渡す限りの草地が広がり、遠くには地平線に沿って町のシルエットがぼんやりと浮かんでいた。風が草を揺らし、旅の疲れをそっと癒してくれるかのようだった。ハジメは目を細めてその光景を眺め、頬を緩めながら柔らかな声で呟いた。

 

「やっと町だ。久しぶりにまともなベッドで寝られるし、温かい食事も楽しみだな。」

 

その言葉に、隣を歩くアリナが優しく微笑み、ハジメの手をそっと握り返した。彼女の手は温かく、ハジメの疲れた心に寄り添うようだった。ユエは一歩後ろで無表情を保ちつつも、町の明かりを静かに見つめ、内心では安堵の息をついているようだった。長い旅路で鍛えられた彼女の鋭い感覚は、ようやく休息の時を迎えたことを感じ取っていたのだろう。

 

さらに後ろでは、ロウとルルリが軽い談笑を交わしていた。ロウの低い声とルルリの明るい笑い声が風に乗り、仲間たちの絆を象徴する音として響き合っていた。旅の疲れを癒す場所にたどり着いた安堵感が、彼らの表情にも浮かんでいた。

 

だが、一行の中でただ一人、シアだけは浮かない顔をしていた。彼女の首に嵌められた黒い首輪が、その原因だった。黒を基調としたその首輪は、シンプルながらも頑丈な作りで、小さな水晶のような装飾がさりげなく輝いている。シアの失言をきっかけに、ユエたちが半ば強引に取り付けたもので、彼女にとっては不満の象徴だった。白髪が風に揺れ、兎耳が小さく震えながら、シアは恨みがましい視線を仲間たちに向けた。

 

「……機嫌がいいのなら、いい加減、この首輪取ってくれませんか?」

 

その声は少し拗ねたような響きを帯びていたが、他の仲間たちは意図的にそれをスルーした。ハジメは前を向いたまま、アリナは微笑みを崩さず、ユエに至っては視線すら動かさない。ロウとルルリは談笑を続け、シアの訴えをまるで聞こえていないかのようだった。耐えきれなくなったシアは、涙目になりながら声を上げた。

 

「みんな酷いですぅ~!」

 

その叫びが平原に響き渡ったが、一行の雰囲気は変わらず、シアの不満は空回りに終わった。

 

 

平原を疾走する魔力駆動二輪を「宝物庫」に収め、一行は徒歩で町の門へと向かった。漆黒のバイクで乗り付ければ、町中が大騒ぎになることは目に見えていた。ハジメはその無用な注目を避けるため、慎重に旅装を整えていた。門が近づくにつれ、町の全貌が明らかになった。堀と頑丈な木製の柵に囲まれた小規模な集落で、街道に面した場所には木製の門がそびえ、その脇には門番の詰所と思しき簡素な小屋が建っていた。陽光が柵に反射し、町全体が穏やかな光に包まれているようだった。

 

門に近づくと、革鎧に身を包み、長剣を腰に携えた冒険者風の門番が一行を呼び止めた。日に焼けた顔と鋭い目つきが、彼の経験を物語っていた。

 

「止まってくれ。ステータスプレートを見せてくれ。あと、町に来た目的は?」

 

ハジメは穏やかな口調で答え、ポケットからステータスプレートを取り出した。

 

「食料の補給がメインです。旅の途中でね。」

 

門番はハジメたち5人のステータスプレートを受け取り、一枚ずつ確認し始めた。だが、その途中で彼の目が瞬いた。ステータスの数値や技能欄が隠蔽されておらず、異常な表示を示していたのだ。常識を超えた数値と、理解不能な技能の羅列に、門番の表情が困惑に変わった。ハジメはそれを察し、慌てて誤魔化すように言葉を重ねた。

 

「ちょっと前に魔物に襲われて、その時に壊れたみたいなんだ。数値がめちゃくちゃで困ってるよ。」

 

その言い訳は半ば適当だったが、門番は眉をひそめつつも納得したようだった。ステータスプレートが壊れることは稀だが、旅の中で不測の事態が起こるのは珍しくない。門番は首を振って溜息をついた。

 

「壊れたのか…まぁ、仕方ないな。そっちの二人は?」

 

彼の視線がユエとシアに向けられた瞬間、門番の動きが止まった。ユエの精巧なビスクドールのような美貌と、シアの白髪と兎耳が織りなす神秘的な容姿に、彼は完全に目を奪われた。顔を赤らめ、しばらく言葉を失ったその様子に、ハジメは軽く咳払いをして注意を引いた。

 

「魔物の襲撃で、彼女たちのステータスプレートは失くしてしまったんだ。兎人族の彼女は…まぁ、わかるでしょ?」

 

門番は「ああ」と頷き、納得したようにステータスプレートを返した。シアの首輪を見て、彼女が奴隷だと解釈したのだろう。人間族の町では、亜人族が自由に歩くことはほとんどなく、首輪は身分を示す証でもあった。

 

「それにしても、随分な美人たちを手に入れたな。白髪の兎人族なんてレアだぞ。金持ちか?」

 

その言葉に、ハジメは肩をすくめて何も答えなかった。余計な詮索を避けるためだ。門番は笑い、通っていいと告げた後、素材の換金場所を教えてくれた。一行は門をくぐり、町ブルックへと足を踏み入れた。

 

 

町の中は、予想以上に活気に満ちていた。メインストリートには露店が並び、商人たちの呼び込みの声が響き合い、通りを行き交う人々で賑わっていた。焼き立てのパンの香りや、スパイスの効いたスープの匂いが風に乗り、旅人の空腹を刺激した。ハジメとアリナは手を繋ぎ、町の雰囲気を楽しみながら歩を進めた。シアはジェイドの腕にしがみつき、ユエは静かに周囲を警戒しながら後ろを歩いていた。

 

露店の一つで、子供たちが木製の玩具を手にじゃれ合っている姿が目に入った。アリナがその光景を見て微笑み、ハジメに囁いた。

 

「ねえ、ハジメ。こういう穏やかな場所で少しゆっくりするのも悪くないよね?」

 

ハジメは頷き、彼女の手を軽く握り返した。

 

「そうだな。少し休息を取って、次に備えるのもいいかもしれない。」

 

その会話を聞きつけたロウが、からかうように口を挟んだ。

 

「おお、珍しくハジメが休息なんて言葉を口にしたぞ。ルルリ、記念に記録しておけ。」

 

ルルリが笑いながら頷き、冗談めかして手を動かした。一行の雰囲気は和やかで、旅の疲れもどこか遠くに感じられた。

 

だが、そんな中、シアは再び首輪を気にし始めた。彼女は指で首輪を触り、不満を漏らした。

 

「ハジメさん、やっぱりこの首輪、恥ずかしいですぅ…町の人に奴隷として見られてる気がして…」

 

その言葉に、アリナが優しく説明を加えた。

 

「シア、仕方ないのよ。人間族の町では、亜人族が奴隷として扱われるのが当たり前だから、首輪がないと危険なの。特にあなたみたいな珍しい白髪の兎人族で、こんなに美しい子は目立っちゃう。トラブルを避けるためには、奴隷という身分を示すのが一番安全な方法なの。」

 

シアは納得しきれず、唇を尖らせたが、ユエが静かに口を開いた。

 

「…シア、他人の目なんて関係ない。大切なのは、仲間が君をどう思ってるかだ。…私たちは君を大切に思ってる。」

 

その言葉は簡潔だったが、ユエの真剣な眼差しがシアの心に響いた。続けて、ジェイドが優しく微笑み、シアの肩を抱いた。

 

「そうだよ、シア。君は俺の大切な人だ。君を守るためなら、世界が相手でも神が相手でも戦うよ。」

 

シアはジェイドの言葉に目を潤ませ、照れ笑いを浮かべた。

 

「ジェイドさん…ありがとうございますぅ。」

 

ハジメはそんなやり取りを見ながら、シアの首輪に仕込まれた機能について再度説明した。

 

「その首輪には念話石と特定石が入ってる。魔力を流せば僕たちと念話ができるし、居場所も分かるから、緊急時には役立つよ。それに、特定量の魔力を流せば外せる仕組みになってる。シア、君が自分で外したい時に外せるんだ。」

 

シアは首輪を触りながら、少し安心した表情を見せた。

 

「なるほど…でも、やっぱりちょっと恥ずかしいですぅ…」

 

アリナが笑いながら付け加えた。

 

「シア、大丈夫よ。町では私たちがちゃんと守るから。あなたは私たちの大切な仲間なんだから。」

 

 

メインストリートを進むうち、一行の視界に一本の大剣が描かれた看板が飛び込んできた。冒険者ギルドの象徴だ。建物は石造りで頑丈そうで、入り口には重厚な木製の扉が構えていた。ハジメはその扉に手をかけ、仲間たちを見回した。

 

「ここで情報を集めて、補給を済ませよう。準備ができたら、次の目的地を決めようか。」

 

ユエが小さく頷き、アリナが微笑みながらハジメの手を握った。ジェイドとロウ、ルルリもそれぞれ準備を整え、一行は揃って扉をくぐった。




感想、評価のほどよろしくお願いします。

セリフと地の文分けると時間がかかるのですが、次話更新が数週間程度遅くなってでも分けるべきですか?

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  • セリフと地の文分けるの優先で。
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