『怪盗団』と『強盗団』   作:不知火勇翔

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第3話

 あの後、なんとか誤解を解いて帰宅したのは27時を過ぎた後だった。

 芳澤ママは娘の異常行動を認知してはいたが、娘のためならと不干渉を貫いていたらしい。そこで俺が掘り返してしまったために芳澤ママは激怒したが、結局は芳澤ママの方が折れて今日のことは水に流すことになった。

 精神が不安定になった『すみれ』の方は芳澤ママが完璧に見守るらしく、今日は帰された俺だったが・・・・・・正直心配ではあった。

 部屋から急に飛び降りるんじゃないか。壁や頭を打ちつけたりするんじゃないか。そんな不安が頭を占領して一切眠りにつけなかった。

 そして翌日。昼休みの時間帯に、電話で。

 すみれが部屋から消えたことを伝えられた。

「すみれが消えたぁ!?!?!?」

「・・・ごめんなさい。探したんだけど・・・・・・」

 いきなり席から立ち上がって叫んだ俺を多くのクラスメイトが睨み付けてきたが、そんなものに構っていられる余裕が俺には無かった。

「は、はぁ!?ちゃんと見ておくって言ったじゃないですか!どうして、どうしてそうなるんですか!?」

 俺が更に問い詰めようとすると・・・。

 ブチッ。

 芳澤ママは一方的に電話を切ってしまった。

 アッチからしたら、不要な掘り返しをしたお前が原因だろ、とでも言いたいのだろうが、次女のために長女の存在を消して生活してきたクズ野郎はそんなこと考えずにまず『かすみ』に謝れと思った。

 まぁいいか。良くないけど。

 そんなことより今は『すみれ』だ。

 俺が学校を飛び出そうと全身に力を込めると、そのタイミングでクラスメイトの1人が話しかけてきた。

 

 

「私、もしかしたら芳澤さんの行き先を知ってるかも」

 

 

 口を開いたのは喋ったこともない女子だった。

 ソイツはスタスタと廊下に出ると、「ついて来て」と言ってきた。

 こういう時の女子の情報網は侮れないことを嫌でも知ってる俺は素直に女子の後を追う。

 やがてその女子は校舎裏まで来ると、足を止めて俺の方に向き直った。

 そして、意味不明なことを言い出した。

 

 

「芳澤さんは、テレビの世界へ行ったんだと思う」

 

 

 

「テレビの世界へって、・・・どういうことだよ」

「そのまんまの意味だよ。クマさんが反応した。つまりテレビの世界へ何者かが侵入したってこと。

 密室殺人のように部屋から消えたのなら、多分テレビの世界へ侵入したのはその子なんだと思う」

 昨日はパレスなるピンク色の異世界へ行って散々な目にあったが、次はテレビの世界らしい。

「ってか、お前誰だよ。急に喋りかけてきてテレビの世界って・・・意味が分かんねぇよ」

「私?私は『堂島菜々子』。アナタと同じペルソナ使いだよ」

「ペルソナ?」

 たしかアイツもペルソナって言ってたっけ・・・。

「・・・・・・・・質問は走りながら答えるからとりあえず急ごっか。早く助けないと間に合わなくなるよ」

 堂島さんはそう言うと、使われていない体育倉庫に入って行き、何故か置いてあるテレビに頭から突っ込んだ。

「は?」

 まるでテレビの液晶なんて無いかのようにスルスルと入って行った堂島さんは、そのままテレビに吸い込まれてしまった。

 え?は?これがテレビの世界?

 疑問符ばかりが頭を埋め尽くしたが、一刻も早くすみれに会いたい俺は覚悟を決めてテレビ向かって頭突きした。

☆☆

☆☆☆☆

☆☆☆☆☆☆

 テレビにパンチしたら突き刺さった。

 何を言ってるのか分からないと思うが、私にも分からない。というか、そんなことを考える余裕が私には無い。

 身を投げるようにしてテレビの中に入ると、中はビックリするぐらい何もない黄色い霧の世界だった。

 自決するための物も何も無くて私は舌を噛み切って死のうかと考えていると、ソイツが現れた。

「こんにちは。かすみ」

「・・・誰?」

 ソイツは私と同じ顔をしていて、ニタニタしながら私を見下ろしていた。

「えぇ、酷いなぁ、私だよ私。『芳澤すみれ』だよ」

「・・・・・・・・・芳澤すみれは、私」

「そっか。でも私も『芳澤すみれ』だよ。

 姉の彼氏を奪って、いい気になって、スポーツも上手くないのに推薦もらって笑っていた醜悪な異常者。

 姉が死んだら喜んで、姉のいない住みやすい世界でしか笑えない欠陥品。それが君の全て。君の真実さ」

「ち、ちが、・・・・・・・・・」

「認めなよ。君は私。死んだ方が良いくらいの、最低のクズだよ」

「ちが、違う!!!違う!!!」

 

 

「・・・・・・・・・そっかぁ。違うかぁ」

 

 

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