Ave Mujica そのタスケビトは仮面をつける 作:お薬二錠
嫌だ!もっと見たい、もっと見ていたい! AveMujicaのおかげでバンドリに再熱したのに…オブコのおかげでこの小説が始まったのに…
受け止め難いですが、明後日の最終回しっかり受け止めます
放課後、私はRiNGのカフェスペースにいた。隣には双海さんが気まずい表情で座っていて、その向かいにはいつもより鋭い目つきの椎名さんと、彼女と同じバンドメンバーの長崎さんが笑みを浮かべて座っている。
そんな私達を見守るように、カウンターには高松さん、千早さんが座っていた。
ふむ、これは俗にいう修羅場というやつでしょうか。
「双海さん、豊川さんという人がいながら不特定多数の女性に手を出すのはいかがなものかと」
「……色々ツッコミたいけど、今回の元凶は100%お前だからな八幡」
「私が元凶?私何かしましたか?」
「お前、椎名に俺がAve Mujicaメンバーってこと言ったろ?」
「あぁ、確かに言いましたね。でも安心してください。双海さんがインテリタスであることは話していないので」
「「えっ!?」」
「や〜は〜た〜!」
「……あ」
私の発言に驚きを隠せない椎名さんと長崎さんが双海さんに質問攻めを始めました。今、私がその会話に入る余地はないので心の中で謝っておきましょうか。
すみません、双海さん。うっかりです。
四人が座っていた席に高松さんと千早さんが加わり、今回の件について話し合いが始まります。
先日のライブ。祐天寺さんが私達の仮面を外したあのライブを、長崎さんと千早さんは二人仲良く見に来ていたそうです。
「とりあえずライブを見に来てくださり、ありがとうございました」
「あ、ううん!ライブ前の劇も凄かったし、演奏のレベルが高すぎて私驚いちゃった」
「ありがとうございます。劇の台本を書いてくれている豊川さんにも伝えておきます」
「愛音、今は違うでしょ」
「ご、ごめん、りっきー」
椎名さんはため息を吐くと私達二人に目を向けました。
「で、Ave Mujicaって何なの?」
「何なのと聞かれても、私は豊川さんにAve Mujicaのベースとして勧誘されたので、結成された理由は分かりません」
いつものようにサポートとしてライブをした後、観客としてステージを見ていた豊川さんに誘われた。最速でデビューすることが目に見えてるということで、特に断る理由もなかったのでAve Mujicaに加入した。保険の一つにでもなれば……と、そういった理由もあるが。
では彼は?
私は隣に座る双海さんに目を向ける。相変わらず困った表情をしている彼だが、よくよく思えば私は彼のことを詳しく知らない。
クラスメイトで、周りから頼られているお人好し。
趣味でドラムをやっていて、たまにサポートに入ることがある。彼のことと言えばそれくらい。
最近知った新しい一面といえば、豊川さんと何らかの関わりがあり、彼女より大きな力を持つ何者かの手によってAve Mujicaに加入した。
それから………
「……っ」
祐天寺さんとの一連のやり取りを思い出し、私は無意識に彼との隙間を広げた。
「双海は?何でAve Mujicaやってんの?」
「俺は……」
言葉に詰まる彼は、何故か高松さんの方を見た。高松さんは彼の視線に気づくと力強く頷く。
(どういうこと?)
「いつか話そうと思ってたけど、なかなか機会がなくて。元々俺、豊川家で執事をしてたんだ。祥子の専属の執事として。CRYCHICのこともお嬢から聞いてたし、高松とは一度豊川家で会ったこともおる。本当はライブの日にお嬢にみんなを紹介してもらうはずだったんだけど……色々あって無しになったから」
また知らない彼の一面を知った。
CRYCHICという単語に聞き覚えは全くないが、椎名さんと長崎さんの反応は寂しげだった。
「今も祥ちゃんの執事をやってるの?」
「今はやってない。少し前にクビになった」
「だったら何で双海がAve Mujicaやってんの?」
「大切だから。次は手離したくない」
彼はまっすぐな目でそう言った。
「器用そうに見えて何だかんだ不器用だし、お嬢様気質だからどこか危なっかしいし、だから側で見守れるようにお嬢のお祖父さんに頼んだんだ。俺をAve Mujicaに入れてくれって。高松との約束もあるし」
「うん!双海君が……祥ちゃんの隣に、いてくれれば…安心。私じゃ、出来ないことも……あるから。祥ちゃんを!よろしく………お願いします」
「ってことなんだ。なかなか言えなくてごめんな椎名」
「……なにそれ。別に、そういう理由ならいいけど」
椎名さんは彼の説明で納得したらしい。でも長崎さんは違ったようだ。
「何で祥ちゃんは新しくバンドを組んだの?わざわざメンバーを新しく集めて、あんな仮面までつけて」
少しムッとした。直接的ではないがAve Mujicaのことを悪く言われたような気がして、気づけば私は口を開いていた。
「今更聞いてどうするんです?豊川さんは新しくAve Mujicaを作った。それは紛れもない事実です。あなた達の過去に何があったかは知りませんが、今豊川さんは私達一緒にバンドを組んでいます。理由、必要ですか?」
「何も知らないのに口を挟まないで」
「部外者ではないので私。Ave Mujicaのティモリスですから」
「ちょっと!そよりんストップ、ストップ!」
「八幡も落ち着けって!お前らしくないぞ?」
口論寸前だった私達を双海さんと千早さんが止める。自分でもどうしてここまでと思ったが、今の私にはその答えを見つけることができなかった。
「Ave Mujicaをつくった理由は悪いけど俺も分からない。でも、お嬢を見守るって決めたからMyGO!!!!!のみんなも見守っていてほしい。迷惑はかけないから」
そう言いながら頭を下げる双海さん。その行為はAve Mujicaのためか、豊川さん個人のためか分からない。前者なら嬉しいが、もし後者だったら……
(あれ?何でモヤっとしてるんだろう)
話し合いを終え、MyGO!!!!!メンバーは帰って行った。私達はというと、スタジオに空きがあるということでせっかくならとベースとドラムをそれぞれ奏でている。
「あー!ビクビクしたー!椎名も怖かったし、長崎さんなんか笑ってるのに目が笑ってない。ああいうタイプが一番怖いんだよ!」
先程、私に情報漏洩の件をしっかり注意した彼は、恐怖から解放された喜びからかのびのびとドラムを叩いている。
「すみません私のせいで!今後気をつけます!」
「いいよいいよ!むしろ八幡がAve Mujicaのこと大事にしてくれてるの分かって嬉しかったから!」
「私が、Ave Mujicaを?」
「あれ?だから長崎さんと口論になりかけたんじゃないの?」
「そう…見えますか?」
「見えるよ」
双海さんはドラムを叩く手を止め、私の言葉を待っているようだった。
「正直、実感ないんです。Ave Mujicaも、他のバンドと同じサポートとして入っただけなので。でも他のバンドとは何か違う。それが何か分からなくて……あの時は、Ave Mujicaを悪く言われたような気がして、気づいたらヒートアップしてました」
「人間らしいね」
「私、人間ですけど?」
「それは分かってるよ。ただ、自分の中に分からないものがあって、それを探そうとするっていうか、違和感を覚えて少しずつ変わっていってるところが人間っぽいな〜って思っただけ」
「それが間違いだとしてもですか?」
またあの時の光景が蘇る。良かれと思ってやっていたのに、それが裏目に出て裏切られた。だから踏み込まず、一線を置いて、予防を用意して、もしもの時、自分が傷つかないように生きてきた。だから……
「いいんじゃない間違っても。間違っても俺らがいるから何とかなるよ」
Ave Mujicaでいること。双海千明希という支えがあることが、とても嬉しかった。
「それじゃ、私が間違えたその時は、なんとかしてくださいね」
「分かった。対価は缶コーヒー一本な」
「ふっ、それはいくらなんでも安すぎませんか?」
私にとってAve Mujicaが、他のバンドとどう違うのかはまだ分からない。だからその答えを、追い求めることにした。
八幡海鈴はAve Mujicaのティモリスなのだから。
キャラ紹介
八幡海鈴…本作よりもAveMujicaが大事なものになっているが、まだそこまで自覚してない。千明希に対する思いもまだ自覚していない。
長崎そよ…本作初登場。しかし黒そよりんの登場でした。MyGO!!!!!を見た時、何てキャラだ愛音ちゃんのこと考えろ!と思いましたが、彼女も年相応の女の子。寂しくて、どこか孤独を感じていて、そんな時CRYCHICに出会ったら、そりゃ必死に追い求めますよね。裏の部分も表に出せるようになったそよりん。非常に魅力的なキャラで素敵。最近のドリフェス⭐︎5のそよりんはオシャレすぎてドストライクでした!
今回も読んでいただきありがとうございます
次回も楽しみにしていただければ幸いです