Ave Mujica そのタスケビトは仮面をつける   作:お薬二錠

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エイプリルフールなので何か書きたいと思って仕事の合間に書いたやつ
本編とはそこまで関係ないからティータイム
嘘ついていいのは午前中とか言わずに読んでください
エイプリルフールに何かしたかっただけなんです


ティータイム ユメウツツ

学業、ドラムの練習、動画撮影。

それ以外にも祐天寺にゃむには、一日のうちに必ず行うルーティンがある。

 

「うーん、トークも上手いけど相変わらず編集すごいんだよね〜この人。悔しいけどアタシの場合、一人だから限界あるもんね」

 

それは動画配信者の動画を見ることである。

マルチタレントを目指す彼女は動画配信者としても名を馳せており、Ave Mujicaのアモーリスである事を明かしたのを機に知名度は更に増えていった。しかし人気だけでは長続きしない事を彼女は理解しており、他者の良いところを取り入れようと日々努力している。

 

今日も今日とてドラム練習の合間に、動画を見ていると一つの動画が目に止まった。

 

「何これ?……インテリタス、チャンネル?」

 

再生数は決して多くはない。チャンネル登録者数も二桁。しかし知らない名前ではないチャンネル名に彼女は自然と再生ボタンを押していた。

 

 

 

 

 

動画に映るのはスチームパンクな仮面をつけた一人の男。

殺風景な部屋の中で椅子に座り、目の前のテーブルには何故かスイカが置かれていた。

 

男は手に取った輪ゴムを一つずつカメラに近づけて見せてくる。何度見せても輪ゴムは輪ゴムなのに一つずつ丁寧に。そしてそれを、スイカに巻きつけていく。この間、男は一言も喋らず、BGMも流れていない。

 

(何このクソ動画。無駄に時間長いし、どうせ最後は割れるんでしょ)

 

にゃむは呆れながら動画を早送りし、スイカは引き締まったウエストを身につけたところで勢いよく破裂した。破裂したスイカは男の顔面に直撃……するかと思われたところで動画内の動きは止まり

To be continuedの文字と共にBGMが流れ始め動画は終わった。

 

「……はぁ?」

 

 

 

 

 

 

にゃむが次に見たのは料理動画だった。

場所はキッチンにかわり、慣れた手つきで卵をとくインテリタス。その光景は中々にカオスだ。

 

(あの仮面前見えてんの?てかめっちゃ手際いいじゃんコイツ)

 

フライパンに油を引いて温め、といた卵を流し込む。どうやらオムレツをつくっているらしい。少し固まってきたところで、見せ場であるひっくり返す工程に入ろうとしていた。ちなみにこの動画も無音である。

 

インテリタスは集中し、勢いよくフライパンを上にあげた。オムレツは勢いよく宙を舞い、フライパンに着地することなく天井にべちゃっと張り付いた。

インテリタスがやれやれといった表情でカメラ目線になったところで、再びTo be continuedの文字と共にBGMが流れ出した。

 

「何しよっとあいつ!意味がわからん!こっちみんな!てか卵無駄にしなすな!普通そこは持ち手が取るるってオチやなかと?」

 

インテリタスの意味不明な動画ににゃむはツッコミをせずにいられなかった。

 

「もう見らん!時間の無駄や。ばかばかしか」

 

 

 

 

別の動画を見ようとしたところで、インテリタスがLIVE配信を始めた。内容はドラム演奏。しかし、今までの意味不明な動画を思い返し見るのをやめようかと思ったが、彼の生のドラム演奏を見れる機会はそう多くなく、貴重な瞬間を逃すわけにはいかないと、にゃむは恐る恐る再生ボタンを押した。

 

場所はどこかのスタジオ。インテリタス一人の姿しかなく、ふざけることなく真剣にAve Mujicaの音源を背にドラムを叩く様子が映し出されていた。インテリタスがドラムを叩けることをファンは知らない。ライブ合間の劇でしか姿を見せない彼の貴重なドラム演奏を見ようと、多くの視聴者が彼の演奏に釘付けになっていた。

 

にゃむもその一人だ

初めて海鈴からインテリタス 双海千明希のドラム演奏を見せられた時、心を鷲掴みにされた。スティックを叩きつけて鳴る轟音。荒々しいその音はバンド全体を支え、崩壊の恐れ一つない安心して身を預けることができる音だった。

 

 

 

自分はここだ ここにいると叫び続けているようだった

 

 

 

 

(アイツとおんなじには程遠か。ばってん負けん!負けてやるもんかな!)

 

最悪な出会いであったが、にゃむは千明希の実力を認めている。認めているから何度も演奏を見返したし、彼の背中を追いかけ続けている。

 

(いつか絶対、追い越してやるけんな)

 

彼の技術を見て盗もうと、にゃむはより真剣に動画を凝視する。叩いていた曲が終わり、次の曲が流れ始めた。

 

「え……これって……」

 

流れてきたのはPastel★Palettesの曲だった。

曲調はムジカと全く違うが、インテリタスは何食わぬ顔でその世界観に合わせドラムを叩いている。

 

(そつのうこなしてムカつく。アイツに出来んことはなかと?)

 

曲は頂点は進んでゆき、最高点のサビに辿り着く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今は〜まだ〜」

 

「うんにゃ、ぬしがうたうんかい!」

 

 

ツッコミ疲れたにゃむはそこで動画を見るのをやめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタいつの間に動画配信始めたの?」

 

翌日、にゃむは千明希に先日見た彼の動画の話をした。

 

「は?何の話?」

 

しかし返ってきた答えは予想外のものだった。

 

「何の話って、アンタ動画配信してるでしょ?」

 

「知らん」

 

「はぁ?だってこの前スイカを輪ゴムで破裂させようとしたり、オムレツ作ろうとして失敗してたりしてたじゃん」

 

「スイカに輪ゴム?どうなるか分かってんのにそんなことするかよ。オムレツだって、俺が失敗するわけないだろ?なりすまし…とか?」

 

「うんにゃ、あれは絶対アンタやった。昨日LIVE配信でドラムも叩きよったし、アタシが見間違ゆるわけなか!どぎゃんしこアンタん演奏見てきたて思うとっと?あれは絶対アンタやった!」

 

それを聞いた千明希は、ニヤニヤと嫌な笑顔を浮かべていた。

 

「な、なに?」

 

「いや、昨日の夜はクラスメイトと遊んでたよ。嘘だと思うなら八幡に聞いてみ。てかそうか、お前そんなに俺のドラム演奏見てんだな」

 

そう言われたことでにゃむは、自分が結構恥ずかしい事を言ったことに気づく。

 

「アンタよりドラムでくるごつするためやけん仕方のう!それ以外ん理由なんてなか!もういい!アタシ飲み物買うてくる!」

 

顔を赤くしながら言いきって、にゃむはケタケタ笑う千明希を無視しスタジオを出ていった。

 

後日、インテリタスのなりすましが動画配信しているとにゃむから聞いた祥子は、再びそのチャンネルを探したがアカウントはどこにも見当たらず世界から綺麗さっぱり消えていた。

 




がるぱようちえん最高でした。
祥子のコールセンターは閉鎖することなく永久保存でどうかお願いします。これから先もずっと祥子と通話したい!通話していたいんです!
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