Ave Mujica そのタスケビトは仮面をつける   作:お薬二錠

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やっぱり小説書くのって苦手です。原作読んだり、見ながら書いたりして、ちょっと本作と違うくらいの創作物語。他の方の作品見るとオリジナルでどうしてそこまでかけるのかと落胆します。
しかし、自分にはこのやり方しか出来ないので、何が何でも書き続けます。キャラクターに愛着ありますし、続けることが大事なので。何よりも評価をいただいたり、感想を書いてもらえたりすることがすごく嬉しくて励みになります。

長くなりましたが、今回オリジナルが強くてぐちゃぐちゃかもしれませんが、広い心で読んでください。よろしくお願いします!


第十五話 クダケチル

自分の身に何が起こっているのか、すぐに理解出来なかった。お嬢から『もし、まだ駅の近くにいるのなら睦を頼みます』とだけ連絡をもらい、雨も降っていたので急いで辺りを探すと傘もささずに立ち尽くす睦を見つけた。

 

 

 

「……むっちゃん?」

 

「……千明希」

 

 

 

雨で濡れた彼女に傘を差し出す。触れたら砕けてしまいそうと錯覚するほど、綺麗な顔でこちらを見上げる彼女は背伸びをしてゆっくり俺に近づいてくる。気づいた時には、柔らかくて、少し暖かいナニカが唇に触れている感触があった。

 

「大好き」

 

 

 

 

 

再び俺の目に映った睦がそう言った。目の前にいるのは確かに若葉睦だ。でもそれは外見、見た目、睦って名前を持った形ってだけで、中身は全く別のナニカだと俺は即座に理解できた。

 

「……誰だお前?」

 

「千明希、私は若葉睦。私の気持ちに答えて」

 

「むっちゃんの顔で気持ち悪いこと言うな。お前、誰だって聞いてんだよ」

 

睦の姿をしたナニカが俺の言葉にショックを受け俯く。大切な友人を傷つけ罪悪感を覚えたが、それを瞬時に振り払った。目の前の彼女は若葉睦ではない。俺が知っている若葉睦はあんな顔をしない。

 

 

 

 

 

「あはっ、あはははははは!」

 

 

 

 

 

若葉睦は人間だ。当然怒ることも泣くことも笑うこともある。ただ愉快そうに、狂ったように、高笑いする若葉睦は今まで一度も見たことがない。

 

「すごいね!ねぇ、何で私が睦ちゃんじゃないって分かったの?」

 

「むっちゃんが、すんごい小さい頃から見てるからな。分かって当然だろそのくらい」

 

親指と人差し指で豆を掴むようなジェスチャーをする。何に納得したかは分からないが、彼女はうんうんと、頷いていた。

 

「そっかそっか。睦ちゃんが君に好意を抱くのも当然だ。いいな〜羨ましいな〜。睦ちゃんっていつもずるいんだよ。私が欲しいものは全部手に入って……自分がいらないものは全部私に押し付ける」

 

最後の言葉には明確な怒りが込められていた。自己紹介しなくちゃねと、若葉睦の姿をしたナニカは綺麗な所作でお辞儀をし名乗りを上げた。

 

「私の名前はモーティス。初めましてだね。インテリタス」

 

「何なんだよお前は」

 

「睦ちゃんが自分を守るために生み出したもう一人の若葉睦。分かりやすく言うと二重人格かな?あなたと同じ」

 

「…は?」

 

「え?理解できなかった?だから私は睦ちゃんの」

 

「違う!そこじゃない!」

 

「……あー……え!まさか自覚ないの?ふふっ、面白いねインテリタス。私、睦ちゃんのなかからずっとあなたを見てたから分かるよ。君が小さい時からずっと見てた。祥子ちゃんを好いてることも。祥子ちゃんを憎んでることも。祥子ちゃんを恨んでいることも。祥子ちゃんに殺意を抱いていることも」

 

呼吸が荒れる。睦が二重人格であったことに驚いたからでは無い。自分の中身を見透かされてることに嫌悪感、吐き気を覚えていた。モーティスの言葉が何回も何回も頭の中で反射し繰り返される。頭を抑え、濡れることも気にせず膝を地につける。気づかぬうちに傘を手放しており、体はびしょびしょだった。

 

「やめろ…違う…俺は、お嬢にそんな感情抱いちゃいない!」

 

「ある意味よかったね。祥子ちゃんがあなたと同じ不幸になって」

 

何を言ってるんだと思った。恩人が、最愛の人が不幸になって喜ぶ奴なんているはずがない。

 

「ふざけるなよ! 俺は!……俺は、望んでない……そんなこと望むはずがない」

 

「辛かったよね。祥子ちゃんに捨てられて」

 

辛かった。でも仕方がなかった。あの時のお嬢は自分の周りのことでいっぱいいっぱいで。その選択でお嬢が救われるなら、それでいいと思っていた

 

「……そうだ。俺は捨てられた。俺はお嬢に捨てられたんだ!必要としてくれてたのに!俺はこんなに思っているのに!」

 

「嬉しかったよね。ムジカのおかげで、祥子ちゃんとまた一緒にいれるようになれて」

 

舞台の上で彼女を見たとき心が弾んだ。改めて彼女の側にいたいと、心の底から願った。

 

「そうだ!嬉しかった!またお嬢のそばにいる事ができて!俺は!」

 

「でも心の中のどこかで望んでた。祥子ちゃんがまた不幸になる事を。Ave Mujicaが壊れて祥子ちゃんがまた悲しみに暮れるのを」

 

見たかった。俺をこんな目に合わせた奴が、俺の目の前で不幸の底に堕ちゆく様を。誰よりも近くで見ていたかった。

 

「させない……もうお嬢に悲しい思いなんてさせない!」

 

「ねぇインテリタス?中身と外見がぐちゃぐちゃだよ?教えて。本当はどうしたいの?」

 

「俺は、今度こそ、お嬢の側で…お嬢を、支えたくて…」

 

「違うでしょ」

 

ゆっくり歩み寄るモーティス。俺は思わず後ずさったが、彼女が進む脚を止めることはない。そして俺の耳元まで近づき、そっと囁いた。

 

「どうせ壊れるなら自分の手で……とか思ったんじゃない?だ〜いすきだもんね祥子ちゃんのこと」

 

「え?」

 

ハッキリと否定できなかった。初めてAve Mujicaのライブを見た時、再起した感動よりも苛立ちを覚える方が早かった。インテリタスとして舞台に乱入した後の控え室で、お嬢が止めていなければ俺は祐天寺の首を絞める手を離しはしなかっただろう。そうすれば結果的にAve Mujicaは解散になったはずだ。

お嬢に拾われた時……抱いていたのは明らかに殺意だった。お前らのせいで今の俺がいるのに、何でお前はそんなに幸せそうなのかと、心の底から憎んだことを覚えている。

 

「ねぇ、破壊を愛する者インテリタス。私は睦ちゃんを守る役目がある。でもそれ以外はどうでもいいの。睦ちゃんの他の大切なものが全て無くなっても、君だけがいれば睦ちゃんは救われると思うんだ。君の望みは何?祥子ちゃんを壊すこと?Ave Mujicaを終わらせること?最後に睦ちゃんの隣にいるって約束してくれるなら協力してあげるけどどうする?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうする?そう聞かれても答えは決まってる。誰かに横取りなんかさせない。見届けるのも俺、実行するのも俺。豊川祥子を壊すのは俺でないと俺は納得出来ない。あれ?俺って何だっけ?

 

「……黙れよモーティス。アイツは俺の獲物だ。邪魔するならお前も」

 

「邪魔なんてしないよ。でもそっか……ふーん、意外と冷静なんだね」

 

冷静と言われた意味は分からないが、俺はモーティスの言葉に答えることなく道に落ちた傘を拾い上げる。

 

「俺はもう帰る。このままじゃ風邪引くし、お前もそいつに風邪引かせるなよ」

 

「はーい」

 

俺の姿が見えなくなるまでモーティスはその場から離れず見送っていた。気色悪い人形のような張り付いた笑顔を浮かべたままで

 

少しだけモーティスに感謝した。

今まで顔に張り付いていた仮面の欠片が全て振り払われたような清々しい感覚。取り繕っていた自分が死に、本来の生きる目的を思い出した。

 

 

 

人形は進む それが間違えた道とも知らずに

何故ならその人形は 生まれた時からずっと一人で歩いてきたのだから




キャラ紹介

モーティス(強)…本作よりもちょっと強化された強化版モーティス。多分原作よりも精神年齢は上。昨日祥子ちゃんにお水を頼んだら何故か彼女が電話に出ました

双海千明希?…感情ぐちゃぐちゃ主人公。どうしてこんなにぐちゃぐちゃになってしまったのかはもう少し先のお話で……

読んでいただきありがとうございます
次回も楽しみにしていただければ幸いです
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