Ave Mujica そのタスケビトは仮面をつける   作:お薬二錠

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お久しぶりです。
今回も何とか書ききれました。文章浮かんでこない時って、ほんとに何も浮かばないのでどうしようもありません。
休日よりも仕事してる日のほうがアイデア湧くのは何なんだろうか。

アークナイツとムジカのコラボ。イラストが神すぎて語彙力失いました。


第三十五話 サラケダス

要の後を追ってたどり着いたのはライブハウスRiNG。

椎名がバイトだったらと考えたが、幸いなことに彼女の姿はどこにもなかった。

 

「楽奈ちゃんと千明希君?なんだか珍しい組み合わせだね」

 

「お久しぶりです。凛々子さん」

 

「久しぶり!千明希君の接客、お客さんからすごい好評だったから、もしよければまたお願いしたいな」

 

「そうですね…時間に余裕があれば、ぜひ」

 

「うん!その時は声かけるね。ところで…

MyGO!!!!!は予約入ってなかったはずだけどどうしたの楽奈ちゃん?」

 

「ギター弾きにきた」

 

「ふふ、楽奈ちゃんはいつも突然だね。それじゃカフェに行って準備しちゃうね」

 

そう言って凛々子さんがその場を離れようとした時、要は彼女の服の裾を掴み首を横に振る。

 

「部屋、空いてない?」

 

「え?」

 

「あと、ドラムも」

 

「え、え〜!?」

 

こんなことを言うのはこいつくらいだろう。要の無茶な要求に凛々子さんは戸惑いを隠せずにいた。予約はすでにいっぱいらしく、凛々子さんは難しそうな顔をしていたが、ジッと見つめる要の眼力に根負けし少し待っててと言い残しと事務所の中へ消えていった。

 

「お前凛々子さんに迷惑かけるなよ。そんないい加減なことばかりしてると将来きっと困るぞ?」

 

「千明希の方がいい加減」

 

「は?」

 

「りっきー泣かせた」

 

「それとこれとは話が」

 

「戻ってきた」

 

俺が言い終わる前に、要は戻ってきた凛々子さんの元へ駆け出して行く。

 

「人の話を聞けよ」

 

一言二言言葉を交わし終えると、要は俺に向かって手招きをする。

 

「ギター弾けるって。早く行こ」

 

そう言って要はスタジオへ駆け出していく。

 

「……常識からはみ出しすぎだろ。自由人め」

 

小声でぼやいた俺は苦労が目に見えていた凛々子さんに礼を言ってスタジオへと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、何の曲やんの?流石に楽譜ないとMyGO!!!!!の曲叩けないけど」

 

「やらない」

 

「は?」

 

俺の言葉と感情を気にも止めず、ギターを弾き始めた要。それが何の曲なのかは分からない。要は目を閉じながら、繋げたアンプから鳴り響く音に身を任せギターを弾き続けた。とても楽しそうに。

 

(…羨ましい)

 

その音に乗せられ俺もドラムを叩き始める。

その瞬間、要が俺を見て笑ったような気がした。

 

ギターの音にドラムの音が混ざり、気分が上がったのか、要は音の流れをどんどん速めていく。バンドの土台となるリズム。そのリズムを奏でるドラムの音を無視して自由に謳歌する要に少しずつ苛立ちを覚えていった。

 

(何がしたいんだこいつは。いきなりここに連れてきて、訳も分からずドラムをやらされて……こんな時間俺には必要ないのに。こんなことしてる場合じゃないのに……やめられない、止められない)

 

相反する思いに俯かされる俺を叱咤するように、ギターの音が叩きつけられる。顔を上げると要と目が合った。

 

(本気でやって)

 

スタジオ内に響く音に遮られ、要の声は届かなかったけれど、要の眼と、要の奏でる音がそう言ってるような気がした。

 

(……うるさいな。勝手なこと言うなよ。ドラムなんてどうでもいいんだよ。無駄なんだよこんなこと。お前に何が分かんだよ。お前が俺の何を知ってんだよ。本気でやれ?舐めんな……)

 

 

 

 

 

 

「ぶち壊してやるよ!お望み通り本気でやってやるから簡単に壊れんなよ!?」

 

ギアを上げる。手首の動きだけじゃなく身体全体を使ってドラムを鳴らす。打音を増やし、視界に広がる要の音を全部俺の音で埋め尽くす。

 

「どうしたどうした!こんなもんでへばんなよ!もっとこいよ!全部ぶつけろ!俺も全部ぶつけて、ぶっ壊しあいしようぜ楽奈!!」

 

「…おもしれーけど、それよりもやべー男の子!」

 

俺の楽奈の壊しあいは時間を見ることも忘れさせ、次のスタジオ利用者が部屋のドアを開けても、しばらく鳴り止むことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にすみませんでした」

 

楽奈とのセッションは時間を忘れさせるほど俺を没頭させた。結果、時間が過ぎても戻ってこない俺達の元へやってきた凛々子さんの声で、ようやく現実に帰らされた。

 

「全然大丈夫だから、その頭を上げて?」

 

「いえ、そもそも予約してないにも関わらずスタジオを使わせてもらい、挙げ句の果てに次の利用者に迷惑をかけてしまったので……すみません。楽奈お前も謝れ!」

 

「ん?ごめん」

 

「もっと真面目に謝れお前は」

 

次にスタジオを使用する黒髪ロングのギタリストは、怒る様子もなく俺と楽奈のやり取りを見て笑みを浮かべていた。

 

「二人は仲良しなんだね」

 

「そんなことないです」

 

「こいつやべー奴」

 

「ふふ、息もぴったり」

 

どこがぴったりなんだと心の中でツッコミを入れ、凛々子さんにも改めて礼を言おうとカフェを見渡していると携帯から着信音が鳴り響いた。

 

(……あぁここまでか)

 

「どうしたの?」

 

「何でもない。ちょっと電話に出てくる」

 

楽奈と本気で音楽をやるのはとても楽しかった。不安、悩み事、全て忘れさせ頭の中を音楽で埋め尽くしてくれる。でもそれは続かない。必ず終わりが来る。

 

(結末は決まってんだから…そこに向かって進むだけだろ)

 

今だに鳴り続ける着信音。画面に表示される名前から相手の顔を思い浮かべ、殺意を込めて舌打ちをし会話を聞かれないよう二人から離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電話に出るために外に出た双海君を、楽奈ちゃんは寂しそうな目で見ていた。

 

「…見えなくなった」

 

「見えなくなったって、どういうこと?」

 

「らーなじゃダメだった」

 

そう言い残して楽奈ちゃんは帰ってしまった。双海君もいつ戻ってくるか分からないし、私はスタッフさんに伝言をお願いしてスタジオに入ることにした。

 

ドアを開けてスタジオに入ると、彼等の姿がまだそこにあるような、彼等の音がまだ部屋の中に残っているような感覚に陥った。

 

「すごい…」

 

今思い出しても鳥肌が立つ演奏だった。もちろん私達だって負けてるつもりはない。でも彼等の音楽は、双海君のドラムは、包み隠さず自分の感情が全て剥き出しで乗っていて、私には出せない音をしていた。

 

「いつか一緒に演奏してみたいな」

 

彼等と同じステージに立つ自分を想像し、居ても立っても居られなくなった私は急いでベースを取り出して音を奏で始めた。彼等に負けないよう、いつもより少しだけ自分を曝け出して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅かったな」

 

豊川の屋敷に帰り、忌々しいクソジジイの開口一番はそれだった。いついかなる時も自分を中心に世界は動いていると考えているようなこいつに心底呆れる。

 

「退学手続きの話が少し長引いたんで」

 

「下手な嘘をつくのはやめろ。お前がライブハウスで道草を食っていたのは知っている」

 

「別に関係ないじゃないですか。俺がどこで何をしようが勝手でしょ?」

 

自身の行動が筒抜けなことに嫌悪感を抱き、目の前の人物に対する警戒心を強める。豊川家のトップだけあって一筋縄ではいかないと改めて思い知らされる。

 

「祥子のバンドが解散した今、新たな広告塔が必要だ。千明希、お前に役割を与える。準備はこちらで進めておく。今までやってきた物は全て不必要だ。学校、友人関係、ドラムもな」

 

「……そういうところが嫌いって言ってんだよ。上等だクソジジイ。今までの俺を粉々に壊して、あんたが望む俺になってやるよ。首洗って待っとけ」

 

「…期待してるぞ」

 

 

 

豊川定治は自分に殺意を向ける子どもを前に不敵な笑みを浮かべる。しかし彼は知らない。何の力もない子どもの、隠された刃と、変わることのない結末を




簡単なキャラ紹介

要楽奈…たまたま学校で泣いている立希を目撃し、意味も分からないまま千明希を探し始める。出会うことはできたが何をすればいいか悩んだ楽奈は自分の音楽をぶつけることを決めた。

黒髪ロングのベーシスト…千明希とは初めまして。楽奈とは顔馴染み。何気にマイムジ以外のバンドリキャラで初めて登場したバンドリキャラだったりする。


今回も読んでいただきありがとうございました
次回も楽しみにしていただければ幸いです
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