Ave Mujica そのタスケビトは仮面をつける   作:お薬二錠

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最近、頭の中がチェンソーマンのレゼとサイレントヒルfでいっぱいでした。昨日、その中に元祖!バンドリちゃんが飛び込んできてしまいました。わちゃわちゃしているであろうムジカ回。今からとても楽しみです。
それにしても、あんなに濃密な1分半はなかなか体験できません。

あ、今回詰め込んだら長くなってしまいました。


第三十七話 ミテルカラ

睦と会う日程が決まった。

けれども今の睦がどのような状況なのか、何を話せばいいのか、私はよく分かっていない。

 

 

 

『祥子ちゃんってさ、睦ちゃんのこと何もわかってないよね?』

 

 

 

あの日のモーティスの言葉が脳裏に浮かぶ。

幼い頃から私の隣には睦がいて、睦の隣には私がいた。ずっと一緒だった。でも、私は睦のことをちゃんと分かっていなかった。

 

 

 

『祥子ちゃんが殺したんだよ』

 

 

 

モーティスの言う通りだ。

自分の目的を達成することしか見てなくて、こんな我儘な自分についてきてくれる睦のことを全く見ていなかった。そんな私をモーティスが嫌うのも当然だ。今も睦は眠り続けているのかもしれない。睦に償えない罪を犯した私には、出来ることなんて何一つないのかもしれない。

 

 

 

『睦ちゃん、一緒戻ってこないかもね』

 

 

 

そんなことはさせない。

 

たった一人でステージに立ち続けた燈のように。CRYCHICを大切に思い続けたそよのように。燈を見守り続けた立希のように。新たなバンドでそれぞれの過去と共に、進んで行くと決めた愛音のように。

 

私も、一人ではなく、誰かのために、誰かと共に進んでいける存在になりたい。これも我儘なのかもしれないけど、私はこれから先も睦と共に在りたい。

 

「必ず成し遂げてみせますわ。何度立ち止まっても、何度間違えても、私は決して進むことをやめません」

 

 

 

 

 

学校での一日が終わり、電車から降りて通学路を歩いていくと見慣れたアパートが見えてきた。初めは嫌悪感を抱いた外見も、今では少し愛着が湧いてしまっている。共有の入り口を清掃してる人に挨拶しようとすると、それがお父様であることに気づき驚きの声を上げた。

 

「お父様?いったい何を」

 

「おかえり祥子。ずっと寝てるだけなんてと思ってね。少しずつでも出来ることからやっていこうかなと」

 

前向きなお父様の姿が見れたことを嬉しく思ったが、それよりも赤く腫れた左の頬に目がいった。

 

「その怪我、いったいどうしたんですの!?」

 

「いや、これはそのー…ははは、なんて言えばいいのか」

 

慌てて誤魔化そうと言葉を探すお父様を私はジッと見つめる。

 

「私もお母様も、お父様の誠実さが大好きでしたわ。嘘偽り無く、答えてくださいまし」

 

「……祥子には言わないでくれと言われたんだが」

 

その瞬間、彼の姿を思い出す。

 

 

 

 

 

 

「……千明希ですの?」

 

お父様は何も言わずに頷いた。

 

お父様をこんな目に合わせたことに一瞬怒りが湧いたが、それが霞んでしまうほどのことを、千明希にしてしまった私は何も言えなかった。

 

「誤解がないように言っておくが、これは父さんの自業自得だ。今まで祥子を悲しませたこと。それに対して一発殴らないと気が済まなかったと言われてね」

 

「……千明希は何のためにここへ?」

 

「……千明希君は、お義父さんの養子になったと、そして豊川グループの跡継ぎになったからその挨拶にと言っていたよ」

 

「そんな!どうして千明希がそんなことを!?だって、千明希から見たらお祖父様は自分の人生と家族をめちゃくちゃにした存在なのに!」

 

何故お祖父様がそうしたのか分からない。どうして千明希がその道を選択したのかも分からない。頭の中がぐちゃぐちゃに混ざり合っていく中、困惑する私を落ち着かせるようにお父様は肩に手を置き真っ直ぐ目を見て言った。

 

「父さんも今の千明希君が何を考えているのかは分からない。けれども一つだけ彼について分かっていることがある」

 

「……何が、分かっているんですの?」

 

「千明希君が言っていたんだ。祥子のそばにいてあげてほしい、祥子を守ってやってほしいって。彼は今も変わらずに、祥子のことを大事に思っていたよ」

 

「そんな……だって私は、千明希に何も……与えられてばかりで、奪ってばかりで……大事にされる資格なんて……」

 

「だから祥子。守ってあげなさい」

 

「…え?」

 

「千明希君はまだまだ子どもだ。父さんよりも優れている部分ばかりだけど、それでもまだ子どもなんだ。一人じゃ道を間違える時もある。だから誰かが支えてあげるべきなんだ。祥子。千明希君を支えることが出来るのは、祥子だけだ。父さんはそう思っているよ。

大丈夫。安心しなさい。祥子なら出来る。祥子なら出来るから」

 

無精髭や、こけた頬は相変わらずだが、お父様の目は濁りの無い、透き通るような綺麗な色をしていた。

 

「って、お父さんにこんなこと言われてもって感じだよな」

 

「いいえ、そんなことありませんわ」

 

首を横に振りながら、私はお父様の言葉を否定する。

 

「昔と変わらない真っ直ぐな目をしています。私が尊敬する、大好きなお父様の目ですわ。明日、お祖父様の元へ行ってきます。どういうおつもりなのか、直接話しますわ」

 

「父さんも一緒に」

 

「まだお父様に無理はさせられませんわ。それに私を抜きにして、千明希を跡継ぎにするなんて納得いきませんもの!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様でした」

 

スタッフさん達に挨拶をしてアタシはスタジオを後にする。マルチタレントとして事務所に所属し、ありがたいことに様々なバラエティ番組に出演する機会をもらった私は成功の道を歩き続けている。だけど、それも私にとってはAve Mujicaと同じ踏み台に過ぎない。最終的な目標は女優になること。だから今も演劇の練習は続けてるし、オーディションの案内があれば積極的に受けるようにしている。

 

 

 

『目が覚めたら一緒に遊ぼう?周りを気にせず、雨の中も走り回って。お話ししよう?陽が落ちた後も、君の思いを全部聞かせて。だから、おやすみなさい。どうか良い夢を見れますように』

 

 

 

積極的に受けるように……

 

 

 

『ダメじゃないか。完璧な笑顔が崩れてるぞ?』

 

 

 

受けるだけ受けて、途中で演技が出来なくなって、失敗してを、繰り返してる。

 

 

 

台本を読んでいる時。相手と合わせて演技をする時。そいつらは私の前に現れる。アタシの演技を遮るように、偽りの光が灯る目でこちらを見つめる。

 

 

やめて。やめてよ。私は私の演技を!

 

 

『アモーリス』

 

 

 

仮面をつけたモーティスに名前を呼ばれハッとする。

生きているのに触れられている手は死人のように冷たい。

 

『アモーリス』

 

 

 

仮面をつけたインテリタスは目の部分が見えない形になっている。それなのに奴の視線を感じ、それはアタシを捕らえるように縛り付けてきて離さない。

 

 

 

『『アモーリス』』

 

 

 

やめて。私を見ないで。

 

 

 

『『そんなに私達を見つめないで』』

 

 

 

あぁ、そうだ。二人がアタシを見ているんじゃない。アタシが二人から目が離せないんだ。自分には無い才能を持つ二人が。どれだけ足掻いても、もがいても、手に入れることが出来ない魅力を持つ二人が。

 

大嫌いで。大好きで。狂ったように。魅入ってしまう。

 

 

 

 

 

「にゃむちゃん」

 

「若葉…さん」

 

思ってもみない人物との遭遇にアタシは身構えてしまった。ドラマの撮影後だろうか。若葉さんは白衣を着ていて、まるで品定めでもするかのように視線を上から下へ動かす。

 

「最近すごいじゃない。いろんな番組でにゃむちゃん見るわよ。すっかりマルチタレントが板についてるわね」

 

「ありがとう、ございます」

 

違和感なく返せているだろうか。上手く笑えてるだろうか。むーこ程ではないけれど、この人も苦手だ。

全てを見透かす様な目。それでいて相手を手玉に取るような言動。悪女という言葉がピッタリだと思う。

 

「でも大丈夫?見た感じ疲れてるみたいだけど、無理はダメよ?にゃむちゃんのゴールはまだまだ先でしょ?こんなところで疲れてちゃ話にならないし……そうだ!この後家に来る?睦ちゃんもいるし、一緒に演技のレッスンなんてどうかしら?」

 

ダメ。だめ。駄目。

これ以上侵食されたら、アタシは、祐天寺にゃむを保てなくなる。

 

「?どうかしらにゃむちゃん」

 

「わたし…は……」

 

「それ以上、事務所の先輩いじめないでもらえますか?」

 

突如、誰かに肩を抱き寄せられる。瞬間、自分の身体が震えていたことに気づき、聞き覚えのある声に顔をあげると大嫌いで仕方ないのに、目を逸らすことが出来ないアイツがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら〜千明希君、久しぶりね。先輩ってことは……そう、千明希君も芸能デビューしたのね〜」

 

「とりあえずモデルとしてですけど。演技の方は今勉強中です」

 

「何で、アンタがここに…」

 

双海と一瞬目が合うが、視線は逸らされ再び若葉さんと話し始めてしまう。

 

「色々大変ね。祥子ちゃんのバンドが無くなって、豊川グループの広告塔の代役でしょ?重荷にならないかしら?」

 

「これくらい大したことじゃ無いですよ」

 

「そう……お父さんは元気?目を覚ましたって聞いたけど」

 

それを聞くのかと思い、アタシは無意識に若葉さんを睨みつけた。でも若葉さんはそんなアタシの姿を見ても笑みを浮かべるだけで、双海の反応を待っていた。

 

双海と双海の父親の関係性は分からない。でもそれが決して良いもので無いことは分かってる。

Ave Mujicaの解散はムーコだけが原因じゃ無い。双海という存在を失い、私達という歯車は機能を失った。欠けたのがムーコだけなら、Ave Mujicaはまだ持ち堪えることが出来たのかもしれないとも思う。

 

「確かに目を覚ましましたが、すぐ意識を失いましたよ。生憎、生きてはいるみたいですけど」

 

「そう、良かったわね。それじゃ私はそろそろ撮影に戻らなきゃ。会えて良かったは千明希君。にゃむちゃんもね」

 

そう言って若葉さんは満足気に去っていった。

あの人の姿が見えなくなって、ようやく肩の荷が降りた。

 

「はぁ、何がしたいんだろうなあの人は。目的が分からん」

 

「それはアンタも同じ!てかいつまでこうしてんの!?」

 

「あぁ、悪い」

 

ようやく双海とアタシの距離はゼロではなくなった。

 

「そういうのはサキコにやりなよ」

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「何でもない。で?何でアンタがここにいんの?」

 

「さっきも言ったけど、ここの事務所に所属になったんだよ。豊川グループの看板息子としてな」

 

「意味分かんないんだけど。豊川グループの看板息子ってどういうこと」

 

「言葉の通りだよ。俺、豊川祥子の祖父の豊川定治の養子。で、豊川グループの跡継ぎになったから」

 

「は? 何で? サキコはどうなんの?」

 

「豊川家の人間であることに変わりはないよ。ムジカに加入する時、クソジジイに言われたんだよ。豊川グループの跡継ぎ、次期当主になることが加入の条件だって」

 

「何でそんな……いや、何なのアンタ」

 

「何なのって……双海千明希だけど。あ、養子になったから豊川千明希か」

 

確かに目の前にいるのは双海千明希だ。

でもアタシが知ってる双海じゃない。

 

「ねぇ何があったの。今のアンタ、なんかおかしいよ」

 

双海と目が合う。精巧に作られた仮面の様な表情に、心の底から嫌悪感を抱く。

 

「何もないよ」

 

「そんなわけない!アンタは、人ば小馬鹿にする様な態度ば取るし、いちいち癪に触る話し方ばする。ばってん誰よりも面倒見が良うて、誰よりもアタシ達ば見てくれとって、誰よりもサキコば大事に思いよって……アタシが知っとるアンタは……アタシが……ずっと、見てきたアンタはそぎゃんとじゃなか!」

 

考えなしに言葉が次から次へと出てくる。

自分でも何を言っているのか分からなくなってる。

でも今の双海には、考えて生まれた言葉は届かなくて、心の底から生まれた言葉じゃなきゃ響かない気がして。

 

「分からんばってん、アンタになんかあったことは分かる。

そっが、辛かこと、苦しかことなんやって、今んアンタば見れば分かる!

一人になるな!アンタ達ん悪か癖や!全部、全部!

一人でなんとでもなるなんて思いなすな!

はぁ…はぁ……頼りなっせ。もろうてばっかりは嫌やけん。アタシは、まだ何一つアンタに……返せて、なかとよ」

 

言いたいことは全部吐き出した。でも最後に残った言葉を一つ。アタシは残っている理性でなんとか抑え込んでいる。

 

「…なんで」

 

双海の仮面みたいな表情は崩れてて、その下に見える素顔は困惑している様だった。

 

「何でそこまで言えんの。俺達、ただの他人だろ」

 

「他人じゃない。アタシ達はムジカで、アンタはアタシのドラムの先生なの」

 

「俺が、過去に何したか」

 

「そんなのどうでもいい。アタシは今ば生きよる。今いるここから、先ば見よる。やけん、アンタが昔何ばしたかなんて関係なか」

 

「……どうしてそこまで」

 

「そら、アタシがアンタば好い…」

 

鼓動が速くなる。心音がハッキリと聞こえるくらいうるさいのが分かる。バカバカバカ!と自分の行いを悔いながら、アタシは慌ててくるりと振り返った。

 

「すい?」

 

方言が出てたし、双海にはハッキリとは聞こえていなかった様でアタシは安心した。でも、それと同時に自覚もしてしまった。

 

(ほんと何でこぎゃんやつ!)

 

「とにかく!一人で抱え込もうとすんのアンタとサキコの悪い癖だから。いい加減やめてくれる?見てるだけで何もできないウチらの気持ちも少しは考えろ」

 

少しずつ動悸も大人しくなり、ムジカでのアタシを演じる余裕も出てきた。

 

「……そうだな。本当に無理そうなら、そんときは頼るわ」

 

困った様に笑う双海。その言葉が本心ではないことが不思議と分かるから、胸がぎゅっと苦しくなる。

本心ではなくても、頼ると言ってくれるなら、少しでもコイツの負担を軽くすることが出来てるんじゃないだろうか。

 

「とか言って、結局一人で解決するんでしょ?」

 

「そりゃある程度のことは余裕でこなせるからな」

 

「ふんっ、ほんっとにムカつく。それじゃアタシ帰るから。事務所で会ったら挨拶くらいしなさいよね。アタシの方が先輩なんだから」

 

「はいはい、分かりましたよ。祐天寺先輩」

 

「ん、よろしい」

 

迷惑だと思いながらも、それでも目が離せない自分に呆れてしまう。出会いはあんな最悪な形だったのに、いつからこうなってしまったんだろう。

 

「祐天寺!」

 

「…何?」

 

「お前はお前だから。ドラムの練習にも食いついてくるし、演技にストイックなのも、自分の夢を必死に追い続けるのも俺は知ってるから。周りに流されんなよ」

 

ふざけんな。アタシをおかしくしたのはアンタなのに。自分のためだけだったのに、いつの間にか誰かのためになってた。ムジカも、演技も、ドラムも。

 

「麦は踏まれて強うなる。明日んアタシは今日んアタシより、強うて逞しかけん、ちゃんと見てなさいよね」

 

逃げない。何度踏まれても、折られても、立ち上がり続けてやる。アタシがアタシであるために。アタシがアモーリスでいるために。アンタがアタシを、これからも見てくれるために。

 

「またね、千明希」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、昨夜交わしたお祖父様との約束の時間より早く、私はあの屋敷に向かっていた。

 

『…広告塔なら適役がいる。学生は学生らしく、勉学に励みなさい』

 

「広告塔の適役。そういうことでしたのね、お祖父様」

 

千明希が事務所に所属。モデルとしてデビューし、演技の道へ進もうとしていることが今朝のテレビで大々的に放映されていた。

 

「いったい何を考えているんですの?お祖父様も、千明希も」

 

蚊帳の外に放り出され、何も知らないことに怒りを覚える。視界に屋敷の姿が入ると、私は進む足を早めた。

 

 

 

「お祖父様、説明してください」

 

始めから約束の時間よりも早く来ると分かっていたのか、お祖父様は全く驚いていなかった。何の障害も無く、すんなりと屋敷に迎え入れられ私はお祖父様の部屋で二人だけで話している。

 

「何故千明希が豊川家の跡継ぎになっているのです。それにお祖父様の養子とはどういうことですの?」

 

「お前が作ったバンドに加入したいと奴が申し出たときに条件として提示した。高校卒業後、私の養子になり豊川家の跡継ぎになってもらうとな」

 

「どうしてその様なことを!私は何も聞かされていませんわ!」

 

「お前が知る必要はない。だがバンドの加入に関しては、お前に頼んでも叶わないからと言っていたぞ」

 

「そんなことは…」

 

そこまで言って自分の行動を悔い改める。

 

(一方的に突き放された相手に、同じバンドに入れてほしいなんて頼めるわけがありませんわよね)

 

「話は終わりか」

 

「な、何故私では無く千明希が豊川家の跡継ぎになるのです」

 

「…いつ牙を剥くか分からない獣を手なづけておくには丁度良い檻だろう」

 

「ふざけないで!私達が千明希達に何をしたか分かっているんですの!?到底許されることではありませんわ。今からでも罪を償うべきです!」

 

千明希を獣に例え、手なづけるなんて言い方に心底腹が立つ。家族とはいえ、お祖父様の発言は度を超えている。

 

「お前は豊川家の恐ろしさを知らないからそんなことが言えるのだ。決して絶やしてはならん。豊川家は未来永劫でなければ」

 

「そんなのどうでもいい!貴方は千明希のお母様の命を奪い、千明希のお父様を変えてしまった。千明希の人生を滅茶苦茶にした自覚はおありですの!?」

 

「だから与えてきたのだ。罪悪感が無いわけではない。千明希の父親も意識がない間ずっと面倒を見てきた」

 

「…本気で言ってますの?罪悪感があるなんて、とても見えませんわよ」

 

「お前と私では見てる世界が違う。祥子、お前はこの屋敷に残りなさい。あの家に帰ることは許さん。準備が出来次第、スイスに留学してもらう」

 

「そんなの…私がここから出ればどうとでも…」

 

「あまり手荒な真似はさせるな。もう双海千明希はいない」

 

お祖父様がそう言うと執事服に身を包む若い男性がやってきた。屋敷の者は全てお祖父様の手が行き届いている。心強い味方だった千明希もここにはいない。

 

「それじゃお嬢様、お部屋まで案内しま〜す。スイスに行くまでの間、お嬢様のお世話と見張りを定治さんから任されてるんでよろしくっす。あ、コンプラは守るんで安心してくださいね」

 

よく喋る執事と思いながら彼の顔を見る。

 

「お、やっと目が合いましたね〜。短い付き合いですが仲良くしたいと思ってたので、嫌われてなくて良かったです」

 

「出来ることなら今すぐに以前の専属執事に変わってほしいですわ」

 

「……残念ですがそれは出来ないので俺で我慢してください。改めて、祥子お嬢様の執事を務めさせていただきます白矢です。このバイト、精一杯頑張るのでよろしくお願いします!」

 




簡単なキャラ紹介

豊川清告…千明希に殴られはしたが、以前よりも真っ直ぐ前を向ける様になりました。まずは身の回りの清掃から始めていきます。彼が千明希とどんな話をしたのかは、またいづれ…

祐天寺にゃむ…遂に自分の気持ちに気づいてしまった彼女。恋敵は多そうですが、同じドラマーであることが彼女の大きなアドバンテージです。

白矢…バイトの面接はまさかの豊川邸。千明希に変わり祥子の専属執事となった白矢。それは偶然なのか、それとも…

改めて読んでいただきありがとうございました
感想、とても励みになります。また次回も楽しみにしていただければ幸いです。
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