龍虎戦記 項羽vs劉邦【翻案・通俗漢楚軍談】 作:外清内ダク
劉邦は、
とにかく本人に問いただしてみよう、と考えたのである。
「
あんたは昔、
しかし
これが信義と忠義を持った正直者のやることと言えるか?」
「臣は、誰でも使える器具のようなものなのです。使うか使わないかは、使う人間が決めること。
このように、人が器具を愛して用いるかどうか、全てはそれ次第です。
項羽は、自分の強さに
しかし項羽と違って、漢王様は人材を用いることができるお方だ、と耳にしておりました。
それゆえ、千里の道さえ
先日、臣が漢へ来たとき、黄河を渡る途中で水賊に出くわし、衣服まで奪われて全裸になりました。
諸将から指摘されたことは事実。確かにそれは、臣の汚点です。
しかし、漢王様が、この小さな汚点を受け入れて、臣の立てた計略を採用なされば、莫大な実利を得られましょう。
一方、もし漢王様が人々の風評に耳を貸し、臣の計略を捨ててしまわれるなら……
臣が金銭を得たのは、ただ私服を肥やすためだった、ということになってしまう。
その時は、得た金品を一銭のこらず返上し、
中国において、官に仕えることは、自分の全身全霊を主君に捧げることを意味する。
それゆえ、「捧げたあとの
劉邦は、
すべて聞き終えると、劉邦は、深く
「俺が
うっかり賢人を失ってしまうところだった。
そして
劉邦のこの態度を見た諸将は、それ以後、まったく
*
さて、そんな
大元帥韓信から、劉邦の元へ使者が送られてきた。
「
劉邦は手を叩いて喜んだ。
そういう人材の中には、とてつもない大物も混ざっていた。
ある日、
「漢王様。
臣のところへ、
漢王様への
ここまでに何度か登場した人物である。
もともと
その後も
(第九回、第二十回参照)
その
「そうか……やっぱり来たか」
というのは、
親友の名は
2人は、『お互いのためなら、たとえ
それほどの仲だったのである。
だが……
覇王項羽による十八王の
項羽の
項羽の家臣たちも、「
項羽に敵対する
この
劉邦は、深く、ため息をついた。
「
よし、会おう。すぐ連れてきてくれ」
(つづく)
●注釈
(1)
『刎頸の交わり』は、戦国時代の
『完璧』の事件などで多大な功績をあげた
これに反発したのが、
「俺は実戦で多大な功績をあげてきた。だが
この話を聞いた
「私たちがあなた様にお仕えしてきたのは、あなた様の高潔な義を慕っていたからです。それなのに、あなた様はビクビクと
すると
「君たち、
「それは、
「私はその
その私が
よく考えてみよ。強国の
この話は、
こうして和解した
(2)
しかし、そこで
「
しかし
なお、このとき使者として送られてきた
その後、本編と同様に項羽
こうして再会を果たした
「
「彼らは君を救出するために
「信じられるものか! お前が殺したんだろう! 自分の地位を守るためには、彼らを生かしておくと都合が悪かったんだな!?」
「そこまで言うか!? この私が将軍の地位などにこだわっていると思うのか!? だったら……こんなもの、お前にくれてやるっ!」
「ほ……本気にする奴があるか! どうして
……と、言ったかどうかは分からない。最後の台詞は筆者の創作だが、とにかく
2人の友情は、この時点で壊れてしまっていた。項羽による不公平な封建は、最後の一押しをしたに過ぎない、と言ってよいだろう。