龍虎戦記 項羽vs劉邦【翻案・通俗漢楚軍談】 作:外清内ダク
項羽は、劉邦からの挑発的な
項羽は、
劉邦は、項羽接近の知らせを受けて、諸将を召集した。
「
だから、今はまだ戦いを交えるべきじゃない。
しばらく敵の
「漢王様のお考えは、まさに
城の四方に多くの
そのうえで、敵の様子を
というわけで、漢軍は、
*
それから10日あまり。
この間、両者は1度も交戦していない。
漢軍の消極的な態度は、項羽の目には
そこである日、項羽は、大将たちを集めて
「劉邦は、わざわざ
それなのに、俺たちが
一体どうしてなんだ?」
季布と
「おそらく、劉邦は
「つまり、覇王陛下の兵が疲れるのを待ち、その後で交戦しようと考えているのです」
そこへ、
「いや、私は、そうではないと思います。
漢軍が交戦せず待ち続けているのは、我々が疲れるのを待っているのではなく……韓信が合流していないから、なのではないでしょうか?
韓信が不在で、城内に兵も少なく、まともに戦えば防ぐことができない。
ゆえに固く守って交戦を避け、戦いを引き延ばしているのです。
覇王様は、遠方から来たばかりで、兵馬は勢いに乗っています。となれば、速戦が有利。
一方、劉邦のほうは、様子を見れば見るほど
よって、すぐにでも、こちらから攻め立ててやるのが一番よいと思います。
覇王様。明日、うるさいほどに太鼓を鳴らして攻め込みましょう。
これ以上、奴らに遅延行為を許してはいけません」
項羽は、うなずいた。
「なるほど。
*
というわけで、翌日。
劉邦は、
「くそっ、ついに来たか!」
と
たちまち城から出馬する、王陵、
漢4将の軍勢は、押し寄せてくる
その戦いの
「劉邦! 馬を出せ! 話がしたい!」
その項羽を、漢の4将が取り囲む。
「漢王様は、我ら4人を
覇王、汝を捕まえて
項羽は激怒した。
「やれるもんなら、やってみろォ!」
項羽が槍を
これを迎えうつ漢4将。
両者、得意の武器を振るって戦い合うこと30余合。
4対1でさえ、戦況は項羽に有利。
戦えば戦うほどに漢将たちの力は弱っていき、ついに、
「ダメだっ! これ以上は、もちこたえられない!」
と、王陵たちが撤退しはじめた。
そのとき、漢の陣から、さらに別の大将たちが飛び出した。
そうそうたる顔ぶれが、一斉に項羽へ挑みかかる。
これを見た
季布、
4人が
「
と
両軍入り乱れ、
朝から始まった戦いは、決着する気配も見えないまま、いつしか日暮れを迎えようとしていた。
そのとき。
鉄砲の合図を出したのは……
漢陣を守る諸将は、突然つっこんできた
この様子を見た項羽は、
「お!
と、ますます精神を倍加させ、力を尽くして漢兵を追い殺しはじめた。
このとき、劉邦も城外の陣に出て、直接指揮を取っていた。
ところが、項羽と
他の漢の大将たちも、手痛い損害を受けながら、どうにかこうにか
城の四方の門を固く閉ざし、守りを固めた。
項羽は、すぐさま全軍に命令を飛ばした。
「今日という今日は、劉邦を生かしておけん!
汝ら! このまま息も継がずに
しかし、これを
「覇王陛下!
今日の
今日のところは、本陣に戻って人馬を休め、明日また城を攻めるのが良いかと思います。
なあに、たかがこの程度の
仮に城内に兵が
まず3日もあれば攻略は終わるでしょう」
「ん? そうか?」
項羽は、馬を止めて、
項羽本人は、さほど疲れた感じもしていないのだが……
丸一日一緒に戦ってきた
項羽は、納得して、うなずいた。
「なるほど、汝らの言うとおりらしいな。
それなら、今晩は人馬を休息させよう。
しかし、敵の
諸将が言う。
「陛下のご
こうして、この日の
*
一方、
「あああああ……
やっぱりダメだあ! 項羽は強すぎる……
この
汝ら、何か
張良が言う。
「
おそらく今夜は、
それに
劉邦が問う。
「うん。どうやって?」
「まずは四方の城壁に
そして、敵の守りが手薄な門から元気な大将を飛び出させ、退路を確保させる。
その後で漢王様が城を出て、一路、
夜中のことでもありますし、項羽は、そう遠くまで追ってはこないでしょう」
劉邦は、冷や汗の浮いた顔で、うなずいた。
「よし。急がないとヤバい。すぐに取りかかろう」
劉邦は、さっそく諸将に
「敵軍の配置は、北門方面が手薄のようです!
北方面は道幅も広く、一気に駆け出るには最も適しております!」
「よし!」
劉邦は、
その後に続いて、劉邦が諸将と
この北門方面を守っていたのは、
このとき時刻は深夜で、あたりは暗闇に包まれていた。
しかも、丸1日つづいた戦いによって、
まさか交戦初日の夜に劉邦が城を脱出するはずがない、という油断もあり、
そこへ漢軍が全軍で飛び込んできたのだから、止められようはずもない。
結局、劉邦は1人の兵も
*
劉邦が城から逃げ出した!
その報告を受けた
追撃を
「覇王様、お聞きになりましたか?
劉邦は
しかし、追撃しては、なりません。
視界の悪い
今は、陣の守りを固めながら、夜明けを待ちましょう。
動くのは明るくなってからのほうが安全です」
項羽は、
(つづく)