龍虎戦記 項羽vs劉邦【翻案・通俗漢楚軍談】 作:外清内ダク
翌日。
項羽は、諸将を呼び集めた。
「汝らは、俺に従って戦場に
いまだかつて1度も敗北していない!
今回も大いに戦ってもらおう!
漢軍は数が多く、簡単には対抗できない。
いつもの倍は用心し、
では、諸将に配置を伝える!
季布! 同じく3万で右翼!
他の諸将は、俺に従って出撃せよ!
もし敵を破ることができれば、すみやかに追撃せよ!
もし味方が負けたなら、互いに救援しあえ!
重要なのは、とにかく持ちこたえることだ!
おそらく1ヶ月もしないうちに、漢軍は
諸将は、一斉に拝伏した。
「覇王陛下の
こうして、鼻息荒く戦闘準備を整えた
*
……が。
ここに1つ、誤算があった。
確かに項羽の言う通り、漢軍は常識を超えた大軍である。
無論、
だが、項羽は理解していなかった。
漢軍は、100万の大軍をも安定して支えられるほどの圧倒的
漢
いや、項羽だけではない。
その他の
項羽の立てた作戦を聞き、これこそ
この事態が、
*
同じ頃。
韓信は、日夜、三軍の
誰もが自分の役目を守り、兵たちも
軍全体が、まるで1つの生き物のよう。
戦場の状況変化に従って自由自在に働くことができる。
今や、漢軍の
そんなとき、陣の外から報告が来た。
「ただいま、
韓信は、急いで
「
「上手くいきましたよ」
季布や
大風が旗を折り、
結局は、項羽が
韓信は、限りなく喜んだ。
「さすがは
先生でなければ、項羽を、ここまで誘い出すことは不可能だったでしょう。
さて、こうなったからには、
……とはいえ。
そのためには、敵を罠の奥深くにまで入り込ませねばなりません。
これが、なかなか難しい。
願わくは、黄金や
「またまた。そういう大元帥も、とっくに良い考えを持っておられるのでしょう?
お
どうでしょう? 私の策と、大元帥の策。同じか違うか、確かめてみませんか?」
韓信は、
「そうしましょう。先生、ぜひとも教えてくださいませ」
「大元帥は、これまで数回にわたって項羽と戦い、しばしば負けを
そのうえで伏兵を用い、項羽を破ってこられたわけです。
今また同じ計略を用いたとしても、項羽は今までの敗戦に
そこで……
明日の合戦には、漢王様
漢王様が色々な悪口を言って項羽の怒りを刺激し、西に向かって逃げなされば……
項羽は狂暴で忍耐力のない性格。きっと追いかけてくるでしょう。
しかし、項羽の側近たちが項羽を
そこで、この
私は、つい先日、
項羽は大いに
私の顔を見れば、ますます怒り、速度を上げて追ってくるに違いありません。
こうなれば、もう誰が
こうして十数里ほども引っ張り回してやれば、思い通り
いかがでしょう? 大元帥のお考えは、こんな感じでございましたか?」
韓信は、手を叩いて、大喜びした。
「あはははは!
すばらしい! よくこれだけ意見が一致したものです!」
そして韓信と
*
韓信と
劉邦は、力強く、うなずいた。
「よーし、分かった。
その話は前に聞いてたから、もう覚悟は決まってるぞ。
覚悟は決まってるけど……でも、俺の左右前後は、強い大将でキッチリ守ってくれよな!」
韓信が言う。
「もちろんです。
漢王様の両翼は
明日、漢王様は項羽の前に姿を見せ、負けを
目指す先は、
臣は、その地で準備を整え、項羽を待ち受けます」
劉邦は、斜めならず喜んだ。
そして、その夜、君臣3人、
(つづく)
■次回予告■
準備
次回「龍虎戦記」第七十回
『九里山十面埋伏』
●注釈
『……が。ここに1つ、誤算があった』から『この事態が、