龍虎戦記 項羽vs劉邦【翻案・通俗漢楚軍談】 作:外清内ダク
七十九の上 赤松子の遊ぶに従い
漢建国の功臣である韓信は、王位を
同じように家に
張良である。
穀物を
張良は、仙人になりたいという
言うまでもなく、
それを一切食べないのだから、肉体は深刻な栄養不足に
周囲の人々が心配して止めようとすると、張良は、こう語って聞かせた。
「人が天地の間で暮らす一生は、ほんのちょっとの距離を白馬が駆け抜けていくかのごとく、あっという間に過ぎ去ってしまうものです。
100年3万6千日さえ、ほんの一瞬、ほんの一息の時間でしかありません。
だから私は、深い山の中に
どのような功名も、しょせんは浮雲が往来するようなもの。そんなものでは、私の心は少しも動きません。
しかし、私は皇帝陛下から深く目をかけていただいております。
それを思うと、陛下を捨てて去るのも忍びない。
それゆえ、こうして
とはいえ……
金印
そんなふうに人間社会で富貴を
そのうえ私は病気がちで、血気が日に日に
早く修養しはじめなければ、精気が
その後で修養しようとしても、もはや手遅れでしょう」
この話は、側近たちの口から劉邦に伝わった。
この後、張良は
*
あるとき劉邦は、張良を
「俺は、張良先生の教えを受けたおかげで、たくさんの大功を立て、ついに天下の
そのことを、俺は今でも忘れてないよ。
だから、張良先生を大国の王に
しかし張良は、静かに目を伏せた。
「臣が陛下に従って関中に入って以来、陛下は臣の言葉に耳を傾け、臣の計略を何度も用いてくださいました。
その中に、たまたま上手くいった計略もあったでしょう。
しかし、それはみな天の助けであって、臣の能力ではありません。
大国の王など、臣には、もったいのうございます。
ただ
陛下の深き恩情によって
金印
しかし臣は体が弱く病気がちですので、そういう栄華を浴びせられると体がもたないのです。
決して、陛下の御恩に
劉邦は、張良の言葉を聞いて、
「そうか。張良先生は、本当に
と考え、それ以上は
そこで劉邦は、張良を望み通り
「それなら、心静かに療養するといいよ。
今後は、1ヶ月に1回だけ朝廷に出てきてくれればよし、ということにしよう」
と言って、張良を
それ以来、張良は
そうして身の修養に取り組みながら、1ヶ月に1回だけは群臣と
(つづく)
●注釈
張良のセリフに『金印
『印』は印章(ハンコ)、『
印の素材と
金印
銀印
銅印
銅印
また、「後漢書・輿服下」にも、
こうしてみると、皇帝や諸侯王の血縁を除けば金印
余談だが、日本人なら誰もが学校で習う『漢委奴国王印』や、卑弥呼が