龍虎戦記 項羽vs劉邦【翻案・通俗漢楚軍談】 作:外清内ダク
山と積まれた金銀財宝を
その中でただ一人、文官の
彼は真っ先に
後日、
*
一方そのころ、劉邦は大将たちを引き連れて
よい香りの漂う女性の居室、
皇后の住まう御所、
広大にして壮大なる
きらびやかに輝く御殿、
善を尽くし美を尽くした
貴重な宝物が山の
若々しい
見事な
「
俺、今日からここに住む! この宮殿から天下に
が、
「兄貴ッ! あんたは天下を治めたいんですか!? それとも単に裕福な家のジジイになりたいだけですか!?
こんなふうな華麗な品物が、結局みんな
さあ、さっさとこんな宮殿から出て、
劉邦は口を
「えーっ、でもー」
軍師張良も重ねて
「
天下のために残虐暴虐を取りのぞこうとする者は、質素倹約を貫かねばなりません。この宮殿に留まってお楽しみになるなら、それは
『
張良のことを「先生、先生」と呼んで
劉邦はしぶしぶ宝物庫に封印を
そして自身は兵を引き連れて
*
それから数日後、
「
劉邦は、うなずいた。
次の日、各
「
俺は
そして俺が一番乗りした。というわけで俺は、もうすぐ
だから、王として法律を三章だけ定める。
『人を殺すものは
『人を傷つけたり、盗みを働いたりする者は、罪の重さを議論して罰を与える』
『その他、今までの
俺が
だからみんな、ぜんぜん怖がらなくていいよ! 今まで通り安心して暮らしてくれ」
そして劉邦は、民の物を盗まぬよう全軍を
「ああ、思いもよらなかった。また太陽を見られる日が来ようとは!」
*
さらに、劉邦は
人民は大喜びで、羊を引き、酒瓶をたずさえ、劉邦に献上しようと持参した。
しかしこの贈り物を、劉邦は丁重に辞退した。
「まだウチの倉庫には食料がたくさん残ってて、俺はぜんぜん困ってない。それなのに、みんなの財産をむやみにいただくわけにはいかないよ!」
人民はますます喜んだ。
「
そんな声が、あちこちから聞こえ始めた。
一方、こんな不安を抱く者もいた。
「天下を狙う者は他にもいる。はたして
(つづく)
■次回予告■
ひと足早く
迫る強兵。震える劉邦。
次回「龍虎戦記」第十五回
『新たなる暗雲』
●注釈
(1)
『色事をやりすぎる。野獣のように欲望のまま暴れる。酒に飲まれる。音楽に没頭しすぎる。高く大きく色鮮やかで豪華な屋敷に住む。これらのうち一つでも当てはまる者は必ず滅びる』
張良が引用したこの言葉は、「
その中の第二の歌で、以下のように歌われている。
『訓有之。内作色荒、外作禽荒、甘酒嗜音、峻宇彫牆。有一于此、未或不亡』
大意は、おおむね本文に記したとおりである。
ただし、ここに大きな問題が存在する。
この「
一方、それ以外にも別系統の「
それから10年ほど経ったある日、
この
それ以来、
説明が長くなってしまったが、ここで本題に戻る。もうお察しかとは思うが、つまり、本文で引用されていた「五子之歌」は、この「偽古文
というわけで、例によって、「通俗漢楚軍談」の記述を尊重してそのまま採用した。なにとぞご理解、ご容赦をいただきたい。
(2)
『
この文章は、現代日本においても特に後半部分が極めて有名だから、耳にしたことがある方も多かろうと思う。出典は「
『孔子曰、「良薬苦於口、而利於病。忠言逆於耳、而利於行」』
良薬と忠言が前後逆になってはいるが、意味はおおむね上記の通りである。