宇宙を放浪するスローライフを目指します 〜巨大な宇宙戦艦とアンドロイドを添えて〜 作:八雲ネム
祖父さんが死んだ。
享年78歳。人類が宇宙進出を可能にし、銀河系の至る所に行ける様になった時代においては長生きした方で、くたばる前日までピンピンしていたのに朝になったらポックリ逝っていたと言うのだから周囲の人と比べたらかなり恵まれた死に方をした。
何しろ、自動車が広く普及してから自動車事故がなくならない様に宇宙船が恒星間航行できる様になってから、宇宙船同士の戦いやら宇宙船自体の事故がなくならないからだ。
その為、宇宙船に携わっていた祖父さんが一軒家のベッドで眠る様に逝ったと言うのは、一種の理想的な死に方とも言えるのだが問題なのは残された方が受け取る財産の相続に関する物だ。
幸い、祖父さんはそこの所を弁護士と膝を突き合わせて合法的にキッチリとした方法で財産を分配し、相続させた様で親類縁者を黙らせるのと同時に俺にはかなりの遺産が転がり込んできた。
それは祖父さんが所有していた土地であり、その土地がある惑星の中でかなりの好条件である一等地だった様で、祖父さんが死んだ事でその土地を所有しようとするあらゆる組織の活動が活発になり始めているらしい。
しかも、その惑星を管理する政府の法律的に相続税やらの税金が掛かる様なので、残された16のガキである俺が取れる選択肢は2つ。
1つ目は、土地を守りながらあくせく働いて税金を支払う道。
2つ目は、土地を高値で売って新しい生活を始める道。
まさか、16にもなってこんな重大な選択肢に迫られるとはねぇと思いながら葬式が終わって喪に服す期間が終わるまで考え抜いた結果、2つ目の道を選ぶ事にした。
何しろ、俺が10歳の頃に両親が宇宙船の事故でくたばってから祖父母の所で育てられてきたので、身近な人で俺を心配してくれる様な人はいないし、祖父さんが死ぬ1年前に祖母さんも逝っているので後草れなく旅立てるからだ。
その為、喪に服す期間が終わるのと同時に動き出して祖父さんが世話になった弁護士とコンタクトを取って、土地の売買に関する手続きをしてもらうと早速、競売が掛けられるとまぁ面白いぐらいに値段が上がった。
競売において、最初に設定された値段が5万クレジット*1だったのだが、どうしてもその土地を所有したいあらゆる組織によって値段が釣り上がっていき、最終的に60億クレジットと言う馬鹿みたいな金額になっていた。
そこから、各種税金や弁護士費用が差し引かれるのだがそれでも50億クレジット以上が残る為、一般的な仕事の生涯賃金の平均値が300万クレジットなのを考えると、人生を100回豪遊しても余裕で釣りが来るぐらいの金額なので散財する事にした。
何しろ、宇宙船で恒星間航行が普通に行われている世界において宇宙船を何隻も買える大金を所持している以上、宇宙を旅立たない理由がないので最新鋭の宇宙船と自立進化が可能なAIを搭載する事にした。
自立進化型AIの方は、成長過程も楽しみたいので初期スペックのままで買ったのでかなり割安だったが、宇宙船の方は全長1.5キロに全幅500メートルと言う巨大な船体に隕石相手には過剰とも言える砲戦火力と装甲を有するものなので、当然ながら一般人では手出しする事を考えないレベルで金が掛かる。
それを、分厚過ぎる札束で叩いたので取り引きに対応した担当者は喜びの余り、最高レベルの生活環境を送れる家具もオプションで付けてくれた為、結果的には40億クレジットで最高レベルの宇宙船を買えた事になる。
そして宇宙船が完成するのと同時に長年、居住してきた家を売却して身軽になるのと同時に航行中の暇潰しに多くの電子書籍やゲームを後腐れなく購入し、食料も満載して宇宙に旅立った。