宇宙を放浪するスローライフを目指します 〜巨大な宇宙戦艦とアンドロイドを添えて〜 作:八雲ネム
第1話 初戦闘
「目的地の惑星に到着するまで1年ぐらい、掛かるんだっけ?」
「ハイ。今ノ航行速度デ1年ト27日ホドノ予定デス」
「オーケイ。じゃあ、今から船内を見回りをするから何かあったら呼んでね」
「畏マリマシタ」
宇宙に進出し、巡航モードになった段階で安全用のシートベルトを外して席を立った俺は、船内の内部構造が気になって仕方ないと言う好奇心から見回りと称した探索をする事にした。
目的地までに有するのに、1年と言う期間が必要と言う事はこの船が鈍足なのかと言う疑問が生まれるかもしれないが、そもそも俺がいる銀河系の直径が20万光年*1と言う広大な銀河なのでそれだけ、出発地と目的地によっては移動距離が長くなる場合がある。
今回の場合もそのケースで、長く暮らしていた惑星は銀河系の中では端っこの開拓した結果、田舎だと認定された恒星系から人類が未開の地に認定している領域まで行く為、銀河系の直径の1/3に当たる7万光年と言う距離を移動する事になる。
光の速さで7万年も掛かる、と言う距離を1年で行けるのだからかなりの技術進歩と言えるのだがその代わり、後期中等教育*2を中退して宇宙に旅立ったので一緒に来てくれる様な友達や仲間はおらず、ましてや恋人なんてものは夢のまた夢である。
そして、今回の目的地は未開の領域に程近い恒星系の1つに資源は豊富にあるが強力な現地生命体が
これでスローライフを目指すのではなく、冒険物に憧れていたのなら銀河系内にある傭兵ギルド等に入ったのだろうが生憎、陰キャ寄りの気質から創作物だから良いんだろと思いながら惑星を開拓する事を選んだ。
傭兵ギルドに行けば、創作物に登場する様な女の子と仲良くなれるかもと考えたものの、ああ言うのは創作物だから上手くいっているだけなんだよなと思い直したのも大きい。
その為、目的地を変えないままに船内を探索したのだが素人目にはどうしても豪華客船が無理に武装を載せた様に無駄が多い感じがして仕方がない。
まぁ、宇宙船の設計から建造までを手掛ける会社として可能な範囲で利益率を上げたいのは理解しているし、そんな彼らの言う通りに造ったのでそうなるのも予想できたので目的地の惑星に着いて落ち着いたらこの宇宙船の改装工事を行おうと思い至った。
幸い、この船を所有するのに必要な権利書の類は一式持っているしね。
そんな訳で、宇宙船の改装計画を練りながらゲームをしたり、映画鑑賞したりして暇を潰していると火器管制のアラームが鳴った。
「警告! 所属不明艦船カラレーダースキャンヲ受ケテイマス!」
「やっぱりか。まーいるよねー、そーゆー奴」
その為、やっていたゲームをスリープ状態にしてから超光速ドライブと言う恒星間航行に必須な移動方法を解除する様に伝えてから、急いで艦橋に向かって席に座ると丁度良く、通信が入って正面の画面に通信相手の柄が悪そうな顔が表示された。
『よう。こんな所で何やってるんだ?』
「目的地に向けて移動しているだけですよ」
『単艦でか?』
「えぇ。移動距離がそこそこありますし、物好きな奴に着いてくる奴なんていなかったもんですから」
『じゃあ、護衛として着いて行ってやるよ。報酬はカーゴの中の半分な』
多少の会話をして、彼の反応から察するに所謂宙賊という物であり、彼が乗る宇宙船の他に2隻の宇宙船が超光速ドライブを解除して通常空間に現れた。
『所属不明艦船の武装、オンライン』
その上、相手の武器がこちらに向いているともなれば向こうからすれば足回りが良くて、ハリボテの武装で相手を威嚇している大型の民間船と見える訳か。
ただまぁ、これに関しては相手の目が節穴だって事で諦めてくたばってもらうしかない。
本船のカーゴ、貨物室に入っているのは惑星の開拓で必要な物ばかりなので渡せないし、こう言うのはいつまでもせびられるので早めに対処するのが肝心だしね。
「すまんがその要求は呑めない」
『あぁ? 拒否らねーで早く 』
「だからここで死んでくれ」
相手の反応を待たず、こちらの武装もオンラインにしてから回転砲塔を動かして相手の宇宙船に標準を定めると、大型の艦載砲が青いレーザーを発射して3隻の宇宙船を有無を言わさずに爆発四散させた。
どうも、本船の武装はメインのジェネレーターと共に邪魔な隕石やらを排除するには過剰とも言える威力を持っていて、どう見ても大型の戦艦とかを破壊する軍用の大型砲なのだが隕石破壊用として登録されている。
名称やら威力やらに関してはこの際、脇に置くとして今回の相手は宙賊としても小物と言って良いレベルの物であり、彼らが乗っていたのは数世代前のバランスが取れた民間船を武装させた物だった。
その為、メインジェネレーターやシールドの出力は今の民間船と比べると微妙な上、武装としても貧弱と言っても過言ではないし、整備も行き届いていない様で船の装甲もベコベコに凹んでいた。
ここで見逃しても、いずれは爆散する運命だった事を考えればここでやっておいて損はないな、と判断して攻撃のスイッチを押したのだが初めての戦闘で人を殺めてしまった事を考えると少し気分が落ち込む。
とは言え、一々落ち込んでも仕方ないので何か金目の物はないかなぁと思いながら無人の回収ロボットを派遣して、彼らが爆散した場所を漁るとデータキャッシュや宇宙船に搭載されていた積荷が出てきた。
積荷の方は、オンボロの民間船だった事から低品質な食料や醸造酒と言った如何にもな物しかなかったので、交易コロニーの方で換金するとしてデータキャッシュに入っているデータを漁ると意外な物が出てきた。
それは、この辺りの星系を拠点としている宙賊の活動拠点としている座標が出てきたので、こちらを公的機関に渡せば宙賊3隻分よりも多めの情報料としていくらかもらえるだろう。
その為、人を殺めた事に関してはあまり考えない様にしながら交易コロニーへと向かった。
☆☆☆☆☆
『こちらコロニー、コメヨ・リロムの港湾管理局。当コロニーへのドッキング要請を受諾。キャプテン・ジェイソンさん、ようこそいらっしゃいました』
「よろしくお願いしまーす」
無補給で航行しても良かったのだが折角、換金できるのだからできる内にしておこうと思って比較的、近場で大きめの交易コロニーに向かったのだが想定していた物より、数百倍は大きい交易コロニーで第三者目線で見れば本船が虫ケラの様に見えるぐらいに大きかった。
(田舎から都会に来た際、高層ビルに呆気を取られる様なお上りさんの気持ちが今、分かった気がする)
そんな事を考えながら、交易コロニーの港へ向かったのだった。