宇宙を放浪するスローライフを目指します 〜巨大な宇宙戦艦とアンドロイドを添えて〜   作:八雲ネム

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第2話 副業としての傭兵稼業

「はい。これで情報提供料、振り込んどいたから」

「ありがとうございます」

 

 コロニーに到着する前、軽く調べたのだが宙賊に関する情報だったりを扱う組織は各コロニーに設置してある宇宙警備隊本部と言う組織らしく、入港する前に情報提供の申請すると受理されたので向かうと情報を精査した上での支払いとなった。

 そしてついさっき、有効な情報だと判明した為に情報提供料と言う名目で電子マネーとして15万クレジット*1という金額が振り込まれる事になった。

 宇宙進出が本格化した結果、大金を持ち運ぶのにそこそこのスペースが必要で重量があり、強奪されるリスクもある紙幣や硬貨を生産して運ぶよりも電子決済に必要な情報にしてしまおう、と言う流れは至極当然の話で俺もその恩恵を享受している。

 

「長旅で必要になった物資ってあったっけ?」

『今スグニ必要ナ物ハアリマセン』

「だよな。出航してすぐだったし」

『消費シタ分ノ補充ガデキマスガ、如何シマショウカ?』

「じゃあ、補充しておいてくれ」

『畏マリマシタ』

 

 その為、情報提供料を貰って宇宙警備隊本部を出てから宇宙船の状態を確認すると今すぐに必要な物はなく、食料品などの細々とした消耗品ばかりだったので補充をAIに任せてから今後の事を考えた。

 大元の未開の惑星を開発する、という目的自体は変わっていないものの人から物を強奪する宙賊の被害を実害はぼぼ皆無と言っても受けた以上、何かしらの後ろ盾が欲しいなと思うには充分だったからだ。

 宇宙船の戦闘力を背景に、どこかの企業に所属すると言う手もあるがそうするとやりたくない事、正確にはその企業が必要とする業務の一部を押し付けられるので、自由気ままなスローライフを送りたい俺からすればにっちもさっちも行かなくなった際の最終手段にしたい。

 

 そう言った背景から、交易コロニー内の大通りをこれからどうしようかと悩みながら歩いていると傭兵ギルドの看板を掲げた建物があったので、持っていた携帯端末で検索してみると正規軍を出すレベルではないが民間企業がやるにはコストが掛かり過ぎる事案に対処する為に組織されたギルドらしい。

 傭兵ギルドに所属する人の割合は、高給取りとしてそこそこの資産がある退役軍人が第二の人生として送るのが多く、ギルド全体で7〜8割を占めていて残りは傭兵の養成学校から来る事が大半らしい。

 いわば、軍人としての適性はないが食い詰めた輩が最後に行く所が傭兵ギルドと言った感じなので、柄が悪い奴が多いイメージを持ったものの対処した宙賊について一々、宇宙警備隊に行くのも面倒なので傭兵ギルドに参加するのも悪くはない。

 

 そう思いながら、建物の入り口から入って受付に行き、傭兵になりたい事を伝えると応対した厳ついおっさんが怪しい者を見る様な目でこっちを見てきた。

 

「まだ15、6の若造だろうに入りたいのか?」

「えぇ、他に行く場所もありませんから」

「………はぁ、分かったよ。シップネームとIDを見せろ。それで入っていいかを決める」

「分かった」

 

 おっさんの懸念は当たり前であり、本来なら10代半ばの若造は教育機関に通っていてもおかしくない年齢だし、そうでなくとも他の道に行っても問題ないのに傭兵になろうとしているのだから余程の後ろ暗い過去でもあるんじゃないかと疑っているのだ。

 その為のID確認なのだが、こちらとしては犯罪組織と1ミリも関わった事がないし、クソデカ宇宙船だって相続としてたまたま転がってきた土地を売ったらかなりの高値で売れたから、そのお金を使って造ったからに過ぎないので問題ない。変わり者だと言う自覚はあるがね。

 

「………こっちで確認したが問題はなさそうだな。どうして傭兵になろうとした?」

「単純に後ろ盾がほしかったからですよ」

「おめぇさんぐらいの資産を持っていたら安全な星やコロニーで気ままに生きていけただろうに」

「そこら辺は暇潰しって事でよろしくっす」

 

 実際、安全な世界で安穏に暮らすルートもあったがそれだと余りにもつまらな過ぎるし、かと言って戦争やっほいなバーサクウォーモンガーって訳でもない。

 なので、そこそこの稼ぎができて惑星の開発の片手間で暇が潰せる傭兵が今の俺に合っていると思ったのだ。

 

「………まぁ良い。登録は済ませた。後はテストを受けてもらおう」

「テスト?」

「シュミレーター室でどれぐらいの腕前なのかを見せてもらうぞ? じゃないとどんな仕事を回したら良いのかが分からんからな」

「分かりました」

 

 すると、厳ついおっさんからそれ以上の追求はされなかったのでシュミレーター室に行くと、軽トラック大のシュミレーター室と思われる筐体がいくつかあったので案内に従ってその一つに入り、乗り始めた宇宙船に近いコックピットを選んで評価試験を受ける事にした。

 

「ほう、軍用のハイエンドじゃないか。じゃあ、用意するから準備を済ませておけ」

「分かりました」

 

 宇宙進出が一般化している為、宇宙船に関する企業がいくつも存在しているのでコックピットと一言で言ってもデザインは企業毎に種類がいくつもあるし、操作系も変わってくる。

 とは言え、企業間での取り決めによってコックピットブロックは統一規格になっている為、船全体で大破してもコックピットブロック自体が無事なら船からそれを取り出して別の船に付け替える事も可能だ。

 その結果、シュミレーターでも同じコックピットブロックを使っている事から入ってから軽く操作すると違和感なく、扱う事ができたので評価試験が始まるまで待つ事にした。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「合格だ」

「ありがとうございます」

「お前さんが乗っている船のデータを引っ張ってきて使ったんだがあのやり方、どこで覚えた?」

「家にあったゲームで覚えました」

「はっ、随分な腕前で」

 

 評価試験でやったのは、俺が乗る宇宙船   ミネルバが搭載している艦載砲などの火力で近寄る敵を片っ端から沈める、と言う宇宙における固定砲台的なやり方でクリアしていった。

 最終的に、シュミレーター内と言っても数百もの宇宙船と対峙した時には対応するのが大変だったがミサイルの他、近距離まで近づいた宇宙船に対しては対空砲を連続で当てて撃沈判定に持ち込むと言う芸当までやって退けたので何とか、最後までクリアする事ができた。

 

「宇宙船のスペックに感謝する事だな。今回はシュミレーターだった上にあの船じゃなかったらいつか、必ず沈む事になるからな」

「実戦では慎重に行こうかと思います」

「そうしてくれ。ほい、ランクはブロンズ認定にしておいたぞ」

「ありがとうございます」

 

 その結果、ブロンズのランクで傭兵を始める事ができたのだが冒険者系の創作によくあるランクの制度が傭兵ギルドでもあり、下からアイアン・ブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナの5段階のランクがある。

 その中で、下から2番目のブロンズが新人の俺の評価なので特に不満はないし、傭兵で食っていこうとは思ってもいないので当面はブロンズのままだろうな。

 そう思いつつ、受付の厳ついおっさんに礼を言って依頼が表示される端末がある所まで行って操作すると色んな依頼が表示された。

 

 AからBまで行く道中の護衛から物資の輸送、或いは戦力の足しにする為、戦争に参加要請の依頼まで多種多様な依頼が表示されるので、その中から俺が目的地としている惑星の道中で完了しそうな依頼に絞って検索を掛けるといくつかの依頼が表示れた。

 その殆どが、物資輸送の依頼だったのだがその中で目に付いたのは調査依頼であり、調査内容は俺が目的地にしている惑星を調査ほしいとの事だった。

 購入された後の惑星の調査は、所有者とのやり取りで許可を得る必要があるのだが俺が宇宙に出る前、到着するのに1年掛かるからその間に終われば良いか、と思って許可したものの惑星の調査は領有している政府が予めしているんじゃないのか?と言う疑問が湧いていた。

 

 とは言え、今ここで俺が引き受けずにスルーするといつかは他の誰かが調査しに来ると思うので、赤の他人が開発中の惑星に土足で入ってくるのは嫌だなと思いながら宇宙船(ミネルバ)のAIに連絡を取った。

 

「どう思う?」

『正直ニ言ッテ関ワラナイ方ガ良イト思イマス』

「だよなぁ。だがな、購入しちまった以上は無視する訳にもいかないだろう?」

『分カリマシタ。オ任セシマス』

「分かった。引き受けるから何かあった際のプランを作っておいてくれ」

『畏マリマシタ』

 

 すると、彼女はやや否定的な反応を示したものの調査の割には高額の報酬な上に依頼内容の詳細は実際に会って話したい、との事だったのでいくつかの物資輸送の依頼と共に引き受ける事にして端末を操作をし、無事に受理されたのを確認してから傭兵ギルドを去った。

*1
1500万円相当

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