宇宙を放浪するスローライフを目指します 〜巨大な宇宙戦艦とアンドロイドを添えて〜   作:八雲ネム

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第3話 依頼内容

 傭兵として、傭兵ギルドに登録して幾つかの輸送依頼の他に調査依頼を受けた交易コロニーから次の寄港地である依頼主がいる惑星へと向かった。

 この惑星は人間が居住可能な惑星であり、その惑星がある恒星系は銀河系の中では小規模の地方都市並の人口を誇り、惑星に住んでいる人口だけであれば十数億人が居住していて、軌道エレベーターと繋がっている宇宙港や交易コロニーの他に居住専用のコロニーなんかも存在している。

 それに加えて、人間が居住不可能な惑星で資源を採掘する為の無人機械をコントロールする為のコロニーも含めると、20億人に届くかどうかの人口で銀河系の中では小規模な地方都市と言うのだから、人類の進歩を体感できる良い機会ではある。

 

 そんな惑星、サンタ・マルタの地上にあるホテルの一室に呼ばれたので拳銃型のレーザーガンを一丁、脇の下に通すショルダーホルスターに入れて指定された部屋に向かった。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「依頼主のアイリーン・マリアン・フィンチです」

「傭兵のオーガスト・ジャレッド・ムーアヘッドです」

「まさか、あの惑星を購入した方と直に会えるとは思ってもいませんでした」

「私も購入した惑星に対する調査依頼が傭兵ギルドに来ているとは思ってもいませんでした」

 

 依頼主と名乗った女性、フィンチさんは50代後半から60代前半の見た目をしていて、如何にも優秀な社員として会社勤めをしている感じの女性だったのでより一層の疑問が生まれてくる。

 それは何故、会社員であろう年配の女性が旦那さんやお子さんに因縁がないと、やらないであろう未開の惑星に対して多額の調査依頼を出したのかであり、それを聞き出す為に彼女な世間話を聞いていると本題に入りそうな話が出て来た。

 

「そもそも何故、あの惑星が未開なのか。知っていますか」

「自分が知っている範囲では強力な現地の生命体がいるとしか」

「えぇ、それも一つの要因です。ですが、それ以上に自分達の失敗を公にしたくなかったからですよ」

「と言いますと?」

「碌な装備や戦い方を持たずに現地に行ったらどうなるか、目に見えていると思います」

 

 どうやら、俺が購入する前にあの惑星を開発しようとした政府は費用対効果を重視して利益を可能な限り、増やそうとして偵察機などで事前に情報を掴んでいながら調査隊に碌な装備を持たせずに向かわせたらしい。

 その結果、調査隊の9割以上は現地の生命体に殺された挙句に避難時の混乱で残りの1割の内、半分は宇宙船の事故等で亡くなった為に彼女の旦那さんと娘さんを一気に失ってしまったらしい。

 宇宙進出において、宇宙船同士が衝突する事故はAIの発達によって事前に回避できる様になったので、割合としてはそこまで多くないが内部機器の不具合や事前の想定以上のイレギュラーや見積もりの甘さによって、事故に陥る事になる場合がかなりの割合であると聞いている。

 

「結局、私の元には死亡通知書とある程度の保険金しか来ませんでした。夫と娘の遺品すら来なかったのです」

「………」

「なので写真一枚、或いは当時身に付けていたネックレスや腕時計だけでも良いから見つけてほしいのです」

「分かりました。できる範囲で最大限、やらせて頂きますが時期によっては当時の物品が風化している場合もあります。なので、事前に依頼として登録されていた調査期間で調査をし、物品が残っていた際は調査報告書に付随して送ればよろしいでしょうか?」

「よろしくお願いします」

 

 彼女の話では、惑星の調査が行われたのが今から10年前で当時はニュースにもなったものの再調査されずに放置された結果、今回の調査依頼に繋がっているのだが正直に言って当時の物品が残っているかはかなり怪しい所ではある。

 何しろ、その惑星は陸地と海洋の割合が半々で海岸線からある程度の面積は森林地帯だが内陸に行くに従って荒野や砂漠が広がる場所であり、風雨による摩耗に加えて現地の生命体に壊されている場合もある。

 その為、あまり期待させない様にしながらもあったらあったで送れる物は送ると言う契約で一筆書いてもらい、その上で当時の彼らが普段から持っていきそうな物をピックアップして貰ってそのデータを持ってから出立する事にした。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「まぁ、悪くはない取引だったかな?」

「アマリ良イ取引トハ思エマセンガ」

「まぁ、到着してから5年と言う期限と何もなかったとしてもこちらを訴えないって言う念書に署名して貰ったからね。彼女自身が何かをするとは思えないよ」

 

 政府が放置した惑星を俺が購入して、惑星に向けて移動している間にも傭兵ギルドにあの惑星に対する調査依頼が舞い込んでいない以上、調査隊のメンバーに家族として送り出した人達の大半が諦めたり、別の新しい道を見つけたりしていると思われるからだ。

 勿論、諦めきれない人達が新たに調査依頼を出す可能性はあると思うが依頼を受けるかどうかはこっちの判断に任されているし、そもそも購入して所有しているのは俺なので調査を拒否すればいいしね。腰の重い政府がそう簡単に動くと思えないし。

 その為、輸送任務としてこの惑星に運ぶ必要のある物品を指定された企業に荷下ろしする作業を傭兵ギルドで行い、依頼達成して報酬を受け取ってから目的地までの経路上で完了する新たな依頼がないかを探し、新たにいくつかの依頼を受けてから傭兵ギルドを立ち去ろうとすると受付が妙に騒がしい。

 

「ねぇ! ミネルバとか言う宇宙船の持ち主に会わせなさいよ!」

「会わせねぇよ! そもそもあいつはここ最近、登録した新米(ニュービー)なんだぞ! そんなに新米狩りしたけりゃ宙賊を大量に狩ってこい!」

「何よ! そんなに会わせたくない訳!?」

「ちげぇよ! 心が折れた新米が次々に辞めてってるから会わせるなっつー上からのお達しだ!」

 

 どうやら、迷惑な輩が起こした面倒事の様なのでそう言った事に関わりたくない俺からすれば、火の粉がこちらに来ない様に素早く立ち去るのが1番だと思って傭兵ギルドを出て、宇宙船の貨物室に依頼の荷物が積み込まれるまで引き篭もる事にした。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「まぁた挑戦状だよ。暇人だなー」

「ソレダケ、嫉妬シテイルノデショウ。彼女ノ経歴カラスレバ当然ノ反応デショウガ」

「だからと言ってここまで粘着するかね。俺ならその時間を使って金を稼ぐ方に動くけどね」

「私モソウ思イマス」

 

 荷物の搬出と搬入を済ませ、後は出港するだけなのだが傭兵ギルドの受付で騒がしくしていた輩、エレナと言う女傭兵からの挑戦状が再三に渡って来ていたのでその度に断っていたし、あまりのしつこさだったので傭兵ギルドの方に苦情を入れたのだが一向に辞めそうにない。

 まぁ、最新鋭の巨大な宇宙船を所有する若造が傭兵になったと言うだけでそこそこのやっかみは来るとは思っていたが、だからと言ってここまで粘着されると顔を見せたくもないと強く思ってしまう。

 その為、お断りの返事をしてから出港許可を求めると普通に許可してくれた為、出港する順番を待ってから出港した。

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