ちはっと★ホロポケ   作:たかしクランベリー   

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18話・一つめバッチ、決着ゥーウッ!

 

 

「「「――うわぁぁあああああ!!」」」

 

開いた床から現れたのは、

ジャングルのように

植物や木々が鬱蒼としている

ビオトープ風バトル場。

 

飛び上がった椅子は

気が付かぬ間にちは達を拘束して

落下へ誘う。

 

はあとサンと

フィジカルつよつよ天使は

問題なく着地出来るだろうが、

一般人枠のちはとニコは

確実にタダじゃ済まない。

 

「おいおいおい……!

どうするよ千速ァ!?

このままじゃニコたん潰れちまうぞ!」

「それはちはも同じだって!!」

 

「僕の心配は!?」

「「…………。」」

「何で2人して目ぇ逸らすの!」

 

『セーフティ装置、起動――』

 

パッ。

 

危機一髪の緊急事態……

そんな混乱の渦中に突然

耳馴染みないAI音声が

椅子の背凭れから流れる。

 

アナウンス通り、

椅子が謎の音を立てて

何かを開き始めた。

 

「何が……起こってるだよ?」

「千速、上を見ろッ!」

「こ、これは――パラシュート!」

 

マジでビビったぁ。

変に逆恨みかって痛い目

見せられると心配してたけど……

杞憂で済んで良かった。

流石に、煽りんどーのし過ぎて

やらかしたと思ってた節が

あったからね……。

 

(とりま、助かっただよ。)

 

ちはが、そう安堵に包まれる中……

各自バトル場へと着地する。

 

ホントこのジムリーダーは、

普通じゃ思いつかないような

びっくり演出を

ドンドン仕掛けてやがる。

 

ジムに挑んでからというもの。

終始心臓に悪いのなんの……。

 

「うふふ。

束の間のスカイダイビング、

楽しんで頂けたかしら?」

 

「「楽しかねーよッ!!」」

「僕としては、もうちょっと

高さが欲しかったね。」

 

「「かなた先輩!?!?」」

 

「あら、みんな若干不服なのね。

ま、良いわ。」

 

何故かかなた先輩の感想が

基準となって話が進んでいるが、

これ以上2人して

ツッコミを入れても

大して流れは変わらないだろう。

 

それよりは、

次のステップへ意識を向けた方が

勝率は僅かでも高まる。

 

レプリカかも分からない

大きな樹木群の配置も今一度

目に焼き付けて置こう。

 

「ちゃーまちゃまっ♪

今度はステージ観察?

残念だけど千速ちゃん、

小手先の戦略をすぐさま

組もうとか目論んでも無駄よ。」

 

「…………。」

 

分かってる。

だってこのバトル場を

セッティングしたのは他でも無い……

 

「知ってますよ。

これら全てのセッティングに

携わってるのははあとサン。

アナタ自身である事も……。」

 

「ふふっ、よくお分かりで。

そしてもう、アナタ達に

考える時間なんて与えないわ。

試練の場ではない以上、

ポケモンバトルの流儀に

乗っ取って貰うわよ。」

 

「目と目があったら

ポケモンバトルってヤツですね。

ええ、ちはも

最初からそのつもりです!」

 

「じゃあ、各個別に……1対1で

バトルと行きましょう。」

「待ってください。それじゃあ

時間がかかり過ぎるんじゃ……」

 

「その心配は要らないわ。」

 

パンッ。

 

彼女が一回手を鳴らすと、

茂みの中から

六脚歩行の金髪少女……

っぽい、新種のポケモンか

何なのか分からないクリーチャーが

ノソノソと2体現れた。

 

「何なんですか……この子たち。」

 

「――『タランちゃま』。

ポケモンではなく、

私の自慢のクローンたちよ。

彼女たちは普段気儘に生きてるけど、

人手に困った時……こうして自ら

手を貸してくれるの。

ほら見て、余った手で

モンスターボール握ってるでしょ?」

 

「いや、握ってはいるけど。

トレーナーとして指示とか

出来るんですか?」

 

「そこらの人間より

ポケモン言語に詳しいわよ。

意思疎通と卒なくこなせるわ。」

「「チャマチャマァ!!」」

 

「説得力が凄ェ!!」

 

はあとサンは、モンスターボールを

上に弾ませながら

ちはに歩み寄っていく。

 

「それでね。

私、今さっき決めた事があるの。」

「!?」

 

「輪堂千速、アナタは特別よ。

このはあちゃま自身の手で……

直々に潰してあげる。

トレーナーとしての

威勢・尊厳・意欲……

それら情熱全てをね。」

 

あちゃぁ……やはり、

煽りんどーが効きすぎたか。

 

「特別……?

とんだ語弊ですね。只の

憂さ晴らしにしか見えませんよ。」

 

「ふふ、威勢だけは認めてあげる。

さ、時間も惜しいし、

ポケモンバトルといきましょう。

……楽しみだわ。

その顔が絶望に染まる瞬間が。」

 

ジムリーダー・赤井はあとが

勝負を仕掛けてきた!

 

彼女はイトマルをくりだした!

 

「イトォ!」

 

「行けっ、ゴマゾウ!」

 

PONっ!

 

「ゴマァ!」

 

草タイプ主軸と見せかけて

虫タイプメインのジムリーダーか。

幸いにもゴマゾウがもっている技

〝ころがる〟の通りがいい。

 

しかし、この入り組んだ地形で

俊敏な虫ポケモンに

ヒットさせるのは

中々に困難を極めるだろう。

 

「先手は私が頂くわ!

イトマル、〝かげうち〟!」

 

予想通り、最速でゴマゾウに

攻撃かけてきたか。

 

「ゴマゾウ……〝まるくなる〟」

「影の面積を

減らしたって無駄よ!

そのまま決めなさい、イトマル!」

 

バシンっ!

 

かげうちの衝撃で

球体状になったゴマゾウが、

ゴムボールのように

不規則にステージ内を弾み回る。

 

「ほら見なさい!

受け身すら取れず弾み回ってるわ!

これじゃ余計なダメージを

蓄積してるだけよ。

まさか、

これも戦略の内と言うつもり?」

 

「…………。」

 

カッ!

 

(来たか……)

 

突如、強い直射日光が

ステージ全体を照らし尽くした。

 

かなた先輩かニコたん。

2人のどちらかのポケモンが

展開した『にほんばれ』による

ものだろう。

 

特にこれといった

打ち合わせはしてないし、

もしやるとしたら

相応の理由があるはずだ。

天候・ひでりの恩恵を受けれる

ほのおタイプポケモン……

ニャビーか。

 

となると、消去法で

ニコたんの仕業だな。

 

「ん?」

 

プルルルと懐に仕舞った

スマホが震え出す。

慌てて手に取るとAIこよりが

グッドサインを向け、

楽しそうに口を開いた。

 

『凄いです千速さん!

天候・ひでりの影響で

ゴマゾウの特性・古代活性が

発動しました。現在、

ゴマゾウのパフォーマンスは

極限まで高まっています……!!』

 

ギュルルル。

 

AIこよりの発言は

どうやら本当のようで。

先程まであちこち弾み回ってた

ゴマゾウは、

地面に回転したまま着地している。

 

まるで狙いを定めるかのように、

軸を維持して回転する。

これは、トレーナーとして

期待に応えねば。

 

「行けっ、ゴマゾウ。

そのまま〝ころがる〟を

ぶちかませぇええええっ!!」

「ゴマッ!」

 

バァンっ!!

 

効果は抜群。

 

避ける暇も与えない豪速球が

クリティカルヒットして

イトマルは再起不能。

 

はあとサンも

予期せぬパワーアップに

狼狽えながらも次なるポケモン、

バチュルを繰り出すが

その子も成す術なく『転がる』の

餌食となった。

 

「天晴れね千速ちゃん!

生誕祭を越えて

一皮剥けたのかしらッ!」

 

「いいえッ! 

ちはもまだまだ新参者!

ここまでやれたのは、仲間や

色んな人の助力あってです!!

今の天候も含めて……!

でも、大きな階段を一段だけ

登り越えたような気もします!」

 

「ふふっ♪ いい事教えてあげる。

寸進尺退。一歩進んだなら、

2歩下がるモノよッ……!」

「――!!」

 

「ゴ……ゴマァ……。」

「ど、どうしたのさゴマゾウ!?」

 

「会話に気を取られて、

時間管理を疎かにしたわね。

上を見なさい。」

「日照りが……消えてる。」

 

マズい。

いつの間にか、まんまと

彼女のペースに乗せらていた。

ちはにあった僅かな慢心が、

利用されてしまったのか……。

 

「日照り中、自分のパワーを

過剰に使っちゃったのかしら?

その子、疲労困憊ね。

マトモに継戦できそうにないわよ。」

 

「…………。」

 

「私のエースポケモンで、

美味しくいただくわね。

さぁ、おやりなさい。ワナイダー。

――〝むしくい〟」

 

「ワナァァ!」

 

「ゴマゾウぅううう!!」

「良いわ良いわ、その絶望。

その調子で、ちゃまを

もっと愉しませてご覧なさい。」

 

古代活性。発動すれば強いけど、

やはり戦い慣れてない

ゴマゾウには負荷が大き過ぎたか。

 

身体が追いついてない事を、

事前に把握しておかなかった

ちはにも責任はある。

残るはゴマゾウよりも

戦闘経験を積んでるが、

これといった特殊な力は有してない

モクローのみ。

 

エースポケモン同士の勝負。

 

翼を使った機動力で撹乱しつつ、

隙を見て〝つつく〟を何発か

当てる必要があるな。

ワナイダーの攻撃1発1発が

大ダメージな分、つついた後の

回避行動が勝敗を決す要因となる……。

 

ん、待てよ。

 

弾み回ってついた

木々の傷や周辺の跡、

これらを利用できないか?

 

(出来そうだ。

いや、やるしかないだよ。)

 

「ゆけっ――モクロー!」

「もくぅ!」

 

「ふっ、あははははっ!

あなたのエースポケモンは

草ポケモンのモクローなの!

ちゃまは虫ポケモン使いの

ジムリーダーよ!?

タイプ相性をご存知ない!?」

 

「存じ上げてるだよ。

でもそれは、

勝利を諦める理由にならない……!」

 

「ならお望み通り。敗北の苦汁を

提供してあげるわ!

はぁちゃまっ★ちゃま〜★★」

 

「モクロー、木の傷に沿って移動。

3テンポで〝はっぱカッター〟!」

 

ビュンビュン……ズザザザ!

 

はっぱカッターを何度か打つが、

効果はいまひとつ。

あまり効いた様子ではない。

 

「素早い空中移動で撹乱しつつ

遠隔攻撃……考えたわね。

でも草技だけじゃ、

簡単にちゃまのワナイダーは

突破できないわよ!」

 

「知ってるだよ。」

 

「知ってても尚悪足掻きするって訳ね。

だけど、私もそれに付き合って

あげる程暇人じゃないの。

これ以上、ちょこまか動くのは

許さないわ。

ワナイダー、〝いとをはく〟」

 

「ワナァァ!」

 

動き回られないよう、モクローを

狙ってどんどん粘土の高い糸を

放ってくが不発。

 

空中機動力に長けたモクローには

難なく躱せる。

しかし、その回避行動も

繰り返すにつれ

速度と精度が次第に鈍くなる。

 

遂にスタミナが枯渇気味となり、

モクローはワナイダーの

糸に捕えられた。

 

「あらあら、遂に捕まったわね。

あなたのモクロー。

これで千速ちゃん、

アナタの勝機はゼロ。

ちゃまのワナイダーで、じっくり

再起不能に追い込んであ・げ・る♪

ちゃーまちゃまぁっ♪」

 

高笑いし、彼女は両方の手を

バッと広げた。

 

「助かりましたよ。はあとサン。

あなたが慢心してくれたおかげで、

どうやらちはは勝てそうです。

……まぁ、なんて言うか。

ドカンと大きな一撃、

かませそうだよ。」

 

「ふふ、負け惜しみぃ。

この状況で入れる保険なんて……」

 

「よく見てくださいよ。

自分で仕掛けた〝糸の軌跡〟を。」

「ふっ。弾み跡に沿って

張り巡らされた糸が、アナタに

何のメリットをもたらすと言うの。」

 

「偶然にも、ちはには

都合が良かったんですよ。

この糸の繋がり方が。

モクロー、地面に向かって

〝たいあたり〟」

 

「も、もくぅ!」

 

空中で糸に巻かれたモクローの

体当たりが地面に届くことはない。

精々、糸を前に伸ばす程度だ。

それ程までに拘束力、粘土、弾性が

優れた技なのだろう。

……だが。

 

周囲の傷や跡に沿って紡がれた

糸が持つそれら性質は、

利用もできる。

なぜなら、角度も場所も位置も。

都合良く仕上がったから。

 

ぐいーーん!

 

「――!?」

 

なぜか縛られたモクローが

回転しながら後ろに引っ張られる。

先述した通り。

傷や跡の影響もあるが……

これも、糸の持つ性質のおかげだ。

 

はあとサンも

謎の事態に目を見開いた。

 

「モクロー、

そのまま〝つつく〟だぁあ!!」

「もっ、もくくぅ!!」

 

ギュルルルッ バーンンン!!

 

「ワナァァああああ!!!」

 

弾性で弾け飛んだモクローの

回転式つつくが、

ワナイダーへ命中。

 

……トリックは至ってシンプル。

一言で言うと、輪ゴム銃の要領だ。

 

(決まった……だよ。)

 

外的要因で威力が高まった

つつくは、

想定外のパワーを叩き出し。

即座にワナイダーを

再起不能へと追いやった。

 

「―――名付けて、

『即席ドリルくちばし』。

成功率は、半分にも

満たない賭けだっただよ。

でも、ちはたちの勝ちです。」

 

「くっ……甘く見てたわ。」

 

 

『決着ゥゥーーーッ!

映えある勝者はぁ、

ありんこ組でぇえええすッ!』

『ォォォオオオオオ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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