最強と最凶の生き残りたちに鍛えられた白兎がオラリオに来るのは間違っているだろうか   作:有頂天皇帝

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まえがき

お久しぶりです。1ヶ月ぶりの投稿になりますがどうかよろしくお願いします。感想・コメント求めます


第二話 ロキファミリア

ベルの鍛錬その2

 

アルフィア「今日から1ヶ月、そのナイフだけを持ってこの山で過ごせ」

 

ベル「そんな無茶な!?」

 

アルフィア「黙れ、反論は許さぬ。《福音(ゴスペル)》」

 

ベル「プギュッ!?」

 

アルフィアに福音されて魔物たちが跋扈する山に飛ばされたベルはナイフ1本で1ヶ月必死に頑張って生き延びた。その際に双子のアマゾネスを倒したことで惚れられ一緒に帰った結果、双子のアマゾネスがアルフィアにベルへの求婚許可を求めて福音される日々がしばらく続いた。

 

◇◆◇◆◇

 

かまっ子倶楽部とサイゴウたちから解放されたベルは疲れた身体を動かして夜のオラリオを歩いていた。女装しているベルをナンパしようとする神や冒険者もいたがそういった連中はベルを心配して後をつけていたアゴ美たちシヴァファミリアによってお縄になっていたりする。ベルはお腹の音を鳴らしながら歩いているとウェイトレス姿の少女が声をかけてきた。

 

「あの・・・」

 

「はい?」

 

「お腹が空いているのでしたらうちのお店に来ませんか?」

 

ウェイトレスの少女がにこやかに微笑みながら誘ってきた。ベルは突然の誘いに驚いて少し悩んだが、お腹が空いていたのと少女が紹介したお店からいい匂いがして思わずお腹の音が鳴った。

 

「っ//////」

 

「ふふっ、どうやらよっぽどお腹が空いているみたいですね」

 

ベルはお腹を鳴らしたことを恥ずかしそうに顔を赤らめ、ウェイトレスの少女はそれを微笑ましそうにクスクスと笑う。

 

「そ、それじゃあよろしくお願いします・・・」

 

「はーい、1名様ご案内ですね」

 

ベルは恥ずかしさを誤魔化すように来店することを伝えるとウェイトレスの少女はニコニコと微笑まれながら店へと案内された。店の中は多くの冒険者たちや神達で賑わっており誰もが楽しそうに食事と酒を楽しんでいた。ベルは村で叔父やその友人たちに連れていってもらった酒場とはまた違う賑わいに新鮮さを感じて思わずキョロキョロ周りを見ており、それを周りのものたちは微笑ましそうに見る。

 

「それじゃあ冒険者様、こちらの席にどうぞ」

 

「は、はい」

 

ベルは案内されたカウンター席にそのまま座るとテーブルの上にあるメニューを見る。 メニューをぱっと見た感じではそれなりの値段はするが周りの客たちの料理を見る限りそれなりの量があるから値段相応だと分かる。

 

「そういえばまだ名前を聞いていませんでしたね。私はここ《豊饒の女主人》のスタッフの1人、シル・フローヴァです」

 

「えっと、僕はヘスティアファミリアのベル・クラネルです」

 

ここでベルとシルは初めて自己紹介をする。その後ベルは空腹だったのと先日のミノタウロスの魔石を売ったお金がまだそれなりに残っていたことから今日は奮発することにした。

 

「ベルさん、見た目によらず結構食べますね・・・」

 

「もぐもぐ・・・叔父さんに食える時は食っておけって教えられてるので・・・それにここの料理美味しくて食べる手が止められません・・・」

 

シルはベルの前に置かれている山盛りのパスタと唐揚げ、サラダをベルがもりもりと食べている姿に呆気にとられながらそう聞くとベルは一度食べる手を止めてからシルにそう答える。ベルがまだ故郷から離れる前、ベルの叔父であるザルドから毎日美味しい料理を作ってくれていたことからベルは食べることが好きになっていた。ザルドの影響でベルの舌は肥え自分でも料理をするのも好きになり、ザルドに教えてもらい訓練の合間にアルフィアたちに振舞ったこともある。(その際、顔には出さないもののアルフィアはとても嬉しそうにしていたのはベル以外の全員が気づいていた)

 

「すいません女将さん!追加でこれとこれ、あとこれもお願いします!!」

 

「おっ!いい食いっぷりだねぇ!!任せな。腕によりをかけて作ってやるよ!!」

 

ベルは思った以上にお腹が空いていたのと美味しい料理を前に我慢できずに追加注文をする。ドワーフである女将のミア・グランドはベルの食いっぷりに感心したのかニヤリと笑ってその腕を振るってくれる。

 

「ふふっ、ベルさんミアお母さんに気に入られましたね」

 

「?そうなんですか?」

 

「そうですよ。ねぇベルさん、せっかくですからベルさんの冒険話でも────」

 

「ニャー! ご予約のお客様ご来店にゃ!」

 

シルが最後の言葉を紡ぐ前に猫人(キャットピープル)の店員の元気な声で予約していた団体の客が来たと知らせてくる。その言葉にシルは固まってしまったが、女将さんと他の店員さんたちの声で帰ってくる。

 

「うう・・・もう少し話せると思ったのに・・・」

 

「あははは・・・頑張ってください、シルさん」

 

少し哀愁のようなものを漂わせながらシルは持ち場へと戻っていく。持ち場へと戻るとすぐに纏う気配と表情が切り替わったことにプロ意識を感じる。ベルは気にしないで食事を済ませようとすると周囲の客の囁き声が聞こえてくる。

 

『・・・おい』

 

『ん?・・・おお、えれえ上玉ッ』

 

『ばか、ちげえよ。エンブレムを見ろ』

 

『・・・げっ、【ロキ・ファミリア】かよ』

 

【ロキ・ファミリア】。五大派閥の1つであり、団長であるLv7の小人族(パルゥム)のフィン・ディムナと彼と同じ創設メンバーであるハイエルフのリヴェリア・リヨス・アールヴ、ドワーフのガレス・ランドロックの《三巨頭》を中心とした第一級冒険者の幹部陣と彼らを支える幹部候補の第二軍メンバー、そして下位団員で構成されている。ファミリアの団結力が非常に強く、どちらかと言えば『個』よりも『組織』としての力を重視しており、連携力の高さは全派閥の中でも随一。その為、ダンジョン探索は勿論だが、《戦争遊戯(ウォーゲーム)》といった数が物を言う戦いにおいても、圧倒的有利に物事を進める事が可能と誰もが認めている。

 

ベルはロキファミリアと聞いて思わず振り向きそうになったが、グッと堪えて食事の続きに取り掛かろうとしたところでベルの頭に手が置かれた。

 

「よう白兎、優しい兄弟子に挨拶もなしたぁ随分偉くなったもんだな」

 

ベルの頭に手を置いたのはベルの兄弟子であるザップだった。その瞬間ベルは兎のような可愛らしい瞳を一瞬にして黒く濁らせたがザップはそんなことに気づくわけもなくそのまま話し始める。

 

「いや~助かったぜ。サイゴウの旦那ブチ切れ一歩手前だったけどお前がオラリオにいてくれたおかげで何とかなったわ。次も頼むぜ」

 

ザップは悪びれもなくそんなことをゲラゲラと笑いながら言っているためフィンを含めた少数は呆れたようにため息を吐き、残りはベルを憐れむかザップをゴミを見るような目で見ているものたちとなっていた。調子に乗っているザップはそんなことにも気づかずベルもまた食事に被害が出ないように料理を少しずらしてからザップに向き直り、満面の笑みを浮かべたかと思えばがら空きのザップの股間に向けて手甲を装備した右腕によるコースクリュー・ブローを叩き込んだ。

 

「ッ■☆△○!?!?」

 

ぐちゃっという生々しい音が聞こえたかと思えばザップは顔を青白くさせ口から泡吹いて白目を剥いてそのまま倒れ込む。ベルは勝者の証だと言わんばかりに右手を高らかに掲げるが、それを賞賛するのは女性陣だけであり、男性陣の多くは顔を青ざめ内股になって股間を手で庇うような体勢になる。

 

「ざ、ザップさんのザップさんがーーー!?」

 

「お、お前!お前ェ!!それはダメだろぉっ!?それは同じ男としてやっちゃダメだろぉっ!?」

 

「あぁ!ザップさんが泡吹いて倒れてます!!」

 

「ざまぁみなさいザップ!!」

 

「そのまま不能にでもなっちゃいなさいよ!!」

 

男たちの絶叫と女たちの賞賛の嵐が巻き起こる中、ザップが倒れる姿を見て多少溜飲が下がったベルは席に座り直して食事を再開しようとしたが、大事な眷属であるザップの息子を潰されたことを黙って見過ごす主神のロキではなかった。

 

「おい待ちぃや、うちの子をこんな目に合わせといてタダですむと思っとんのか?」

 

ロキはベルを睨みながらそう言ってきたことでベルは怒りに任せてやらかしてしまったことをここに来て気づくとすぐさまその場で土下座して謝罪をする。

 

「すみませんでした!この度し難いクズをこの場で男としての機能を完全に破壊したくてついやりすぎてしまいました!!」

 

「お、おぅ・・・そんな綺麗な土下座しながらえげつないこと言いよるな・・・」

 

ベルの言葉に嘘がないことを神の力でわかったロキは若干引いていた。流石に酒場の中で土下座させたままにさせるのはロキとしても本意では無いのでとりあえずロキファミリアの団員たちが揃っているテーブルにつかせる。

 

「えっ、と・・・」

 

「まぁどうせザップの奴がなんかやらかしたんやろ?やりすぎだってわかっとるんやったらそれ以上はウチからは何も言わへんよ。ただやり過ぎた場合はそれなりの礼はするで?」

 

ベルはロキがそこまで怒っていないことにホッとしつつ付与魔法使わないでおいてよかったと内心冷や汗ものだった。

 

「ところで自分の名前はなんや?ザップの知り合いらしいけど・・・」

 

「あ、僕の名前は────」

 

「「ベル─────!!」」

 

「へぶぅっ!?」

 

ベルがロキに自己紹介をしようとしたところでロキファミリアの双子のアマゾネスに両脇からタックルされて一瞬意識が飛びかけた。ロキたちはベルという名前にも驚いたがそれ以上にロキファミリアの幹部であるティオネ・ヒリュテとティオナ・ヒリュテのふたりが知り合いであることに驚きを隠せないでいた。

 

「お、お久しぶりですティオネさん、ティオナさん」

 

「もう、昔みたいにティオネお姉ちゃんって呼んでいいのよ?」

 

「私もティオナって呼び捨てでいいからねー」

 

ベルは第一級冒険者である2人のタックルをまともに食らった衝撃に耐えながら、2人に再会の挨拶をすると2人は満面の笑顔を浮かべた。

 

「あーすまない。再会して盛り上がっているところ悪いんだがこっちの話をしてもいいかな?」

 

「あっごめんねフィン」

 

「すいません団長」

 

ロキファミリアの団長であるフィンが苦笑しながらティオネとティオナに声をかけると2人は名残惜しげにベルから離れる。

 

「さて、君がベル・クラネルで合ってるかな?」

 

「そうですけど・・・もしかしてそこのクズから僕のことを聞きましたか?」

 

「そうだねザップから君のことは少し聞いてたけどそれとは別件で君には話したいことがあったんだ」

 

クズだけで通じることからオラリオでもこの愚兄弟子は相変わらずなのだなとベルは思いながら、ロキファミリアの団長であるフィンが自分に一体なんの用があるのだろうかと疑問を感じた。

 

「まずは謝罪と感謝を。君が僕たちが逃がしてしまったミノタウロスたちを討伐してくれたおかげで上層の冒険者に被害がでなかった。ロキファミリアの代表として感謝をしたい」

 

「あ、頭を下げないでください!!」

 

フィンはそう言いながらベルに頭を下げる。オラリオの最大派閥の一つであるロキファミリアの団長からの謝罪に困惑して慌てふためく。

 

「そうもいかないさ。もし君がミノタウロスを討伐しなかった場合冒険者たちにも少なくない被害が発生した可能性が高い。そうなればロキファミリアの信頼を失ってしまったかもしれない。それを考えればこれくらい大したことでは無いさ」

 

ベル自身は大したことをしていないと思っているが、フィン自身は自らの悲願達成のためにも名声を求めているために今回の一件でもしものことがあったらその悲願達成も困難になるのは目に見えていた。故にベルのミノタウロスたちの討伐はロキファミリアとしてもフィン個人としても感謝してもしきれないことだった。

 

「だからもし君が望むことがあればこちらとしても叶えられる限りの願いは叶えるつもりだ。何か希望とかはないかな?」

 

「希望、ですか・・・」

 

ベルはフィンからの提案に正直迷っていた。オラリオ最大派閥である彼らならばある程度のことは出来るのだろうが、今のベルはそこまで欲しいものがなかったために返答に迷っていた。身の丈に合わない防具や武器を貰ったところで振り回されるだけだし、魔導書(グリモア)や魔道具などの高価な道具(アイテム)を貰っても小規模ファミリアであることからよそのファミリアに狙われる可能性もある。他にも色々と考えてはみたが今欲しいものは思いつかなかったのでベルは悩みに悩んだ結果

 

「・・・一旦保留にしてもいいでしょうか?」

 

「いいよ。それならこれはロキファミリアから君への貸しとしておこう」

 

フィンは申し訳なさそうに言うベルに優しく微笑みながら貸しにすることを認めた。これで話は終わりになったかと思ったらベルにアイズが話しかけてきた。

 

「ねぇ君はどうしてそこまで強いの?」

 

「強い、ですか?」

 

ベルはアイズの質問に思わず首を傾げる。ベルはオラリオに来るまでの間格上とばかり戦っていたので自分がそこまで強いと思えないでいた。だがアイズは冒険者となってまだ一月も経っていないLv1であるはずのベルがミノタウロス、それも強化種を倒したその力の秘密が気になって仕方がなかった。故にその秘密を少しでも知りたくて質問した。ベルはどう答えるか悩んだが素直に答えることにした。

 

「いっぱい修行したからだと思います」

 

「修行?」

 

「はい。7歳からオラリオに来るまでの7年間、お義母さんや叔父さん、その友達のお兄さんお姉さんたちに鍛えてもらいました」

 

「どんな、修行・・・」

 

アイズはかなり食い気味に聞いてくる。彼女も、強くなりたいのだろう。

 

「えっと・・・モンスターの巣に放り込まれて陵辱されたり、川底の岩にくくりつけられて死の感覚を叩きこまれたり、拳大の石一つ渡されて熊も出る森の奥深くで一ヶ月生き残ったり、ナイフだけ渡されて雪山に放置されたり、一時間以内に登ってこいと崖に落とされて落ちてくる岩や丸太を避けながら登りきっても一秒遅刻すれば遅いとやり直しさせられたり、ワイヴァーンの足に紐で結ばれて迎えが来るまで頑張ったり、山奥を拠点にする盗賊たちと戦わせられたり、戦場をはしごしたり、毒草、毒を持った動物が犇めく森の中を一ヶ月生き残ったり、素潜りで海の魚をなんの道具も使わず取れるようになったり、闘技場に連れられて連続でモンスターや剣闘士と戦わされたり、どこかの国の御用人の護衛をしたり・・・まあ、そんな感じです」

 

「それはしゅぎょうではないとおもいます!」

 

話を聞いていたエルフの少女であるレフィーヤ・ウィリディスが思わず敬語で叫んだ。興味深そうに聞いていたロキファミリアや酒場にいる人間の誰もがベルがやらされていた修行内容を前にドン引いていた。

 

「はい」

 

「・・・・・・・・・」

 

「限界を三百回ぐらい超えろと言われて」

 

「限界の意味とは!」

 

レフィーヤの反応を見て昔似たようなことを突っ込んだなあ、と懐かしさにしみじみするベル。思えば随分遠くまで来た。

 

「そ、そっか・・・強くなるには、それだけしなくちゃ」

 

「参考にするなアイズ・・・しかし、よくそんな修行続けられたものだな」

 

「・・・誓ったんです。あの人に」

 

「誓った? 何を?」

 

「『英雄』になる」

 

瞬間、空気が変わる。少なくとも、対面していたアイズ達はそう感じた。それを理解しているのかしていないのか分からないがベルは優しい笑顔を浮かべながら続ける。

 

「あの人が言ってた、『終末の絶望』を、滅びを覆らせる・・・笑顔を浮かべてくれたあの人みたいに、多くの人が笑ってくれる。滑稽でも、無様でも、誰かを救える世界最高の英雄になる。そう、誓ったんです」

 

大切な宝物を思うような、そんな顔。その言葉に嘘がないとわかったロキははー、と口を開け惚ける。

 

「・・・英雄」

 

アイズは思わずといったふうに呟く。ベルはそんなアイズに反応することも無く食事を再開する。

 

「面白い子やなーベルたん。よし!今日はウチが奢ったる!!」

 

「「「あっ」」」

 

ロキはベルのことを気に入ったのかここの食事を奢ってやると太っ腹なことを言ったが、それを聞いたティオネ、ティオナ、そして気絶から目覚めたザップはロキの迂闊な発言を聞いて思わず間抜けな声を出してしまう。

 

「いいんですか?その、僕って結構食べますけど」

 

「かまへんかまへん。育ち盛りや、好きなだけ食べるとええ」

 

「じゃ、じゃあ・・・・・・すいませーん、さっきの注文も含めてメニューに載ってるの全部くださーい!!」

 

「「「・・・・・・は?」」」

 

その後、ベルはメニューに乗っている料理を全部制覇した上にガレスとザップ、ベートと酒飲み勝負をしてその日は解散し、その夜ロキは薄っぺらくなった財布を片手に『二度と奢らんからな〜!』と涙目で叫ぶのだった。

 




あとがき
原作とは違うロキファミリアとベルの出会いになりますがどうでしたでしょうか?原作よりもキャラが増えているのとベルくんがゼウスファミリアとヘラファミリアの生き残りたちによって鍛えられている影響があります。次の話は《神会》かベルの日常のどちらかを書きたいなと思ってます。そろそろアーディやアリーゼたちも出したいなって考えております

獣やドラゴンよりの亜人などを登場させてもいいか?

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