最強と最凶の生き残りたちに鍛えられた白兎がオラリオに来るのは間違っているだろうか 作:有頂天皇帝
今回で化物祭での戦闘は終わりになりました。短めですがどうかよろしくお願いします。
ベルの日常(幼少期)
エレボス「いいかベル。オラリオの地下には
ベル「クソ雑魚・・・」
エレボス「そうだ。ゼウスとヘラがいなくなったことで自分たちが強くなったと勘違いして好き勝手暴れ回った連中だ」
ベル「強くないの?」
エレボス「まぁそれなりに強い奴らはいるけど基本的には数だよりの連中だな」
ベル「へー」
ザルド「おい、あいつ自分で作った闇派閥をボロクソに言ってるぞ。しかもそんなボロクソ言ってるところに俺たちを巻き込もうとしてたくせに」
スティーブン「まぁ、過ぎたことだしいいんじゃないかな?」
ベルのことを気に入ってオラリオで起こす予定の大抗争をほかの邪神に丸投げしてエスケープしたエレボスによる八割方膨張した闇派閥に関する話を聞くベル(7歳)を遠目から見ていたザルドとスティーブンたち。
突如オラリオの各地に出現した食人花なるモンスターたち。突然のモンスターの出現に祭りを楽しんでいた町民やLv1や2の冒険者たちは我先にと逃げ出した。町民はおぞましいモンスターの姿を見て、冒険者たちはLvが低かろうと長年冒険者としてダンジョンに潜りモンスターと戦ってきた長年の経験とカンからでは絶対勝てぬと悟ったのだ。
「オオオオオオオオ!!」
そんな逃げ惑う獲物に、蔓を一振りする食人花。
鞭のように振るわれた蔓は建物の壁を破壊し、落ちてきた瓦礫に人々が叫ぶ。その殆どが一般人。全力で走っても、モンスターからすれば笑える程遅い。無数の触手が再び振るわれる。
「【壁となれ、大地の大盾】!」
しかしそんな彼等とモンスターの間に割って入る影。重武装の鎧をその身に纏ったドワーフはタワーシールドを構え、詠唱しながら割り込んだのだ。
「【グランド・ウォール】!!」
ドワーフの足元に
超短文詠唱。詠唱の短い魔法だが、本来なら威力に劣る魔法。しかし男はそれを補うために大量の魔力を消費しながら土壁をタワーシールドで支えることで食人花の攻撃を防ぎ、食人花は土壁を破ろうとしているのかガリガリと土壁に牙を突き立てる。
「う、うおおお!!」
と、勇敢な一人の冒険者が食人花に突っ込むが、蚊でも払うかのように無造作に振るわれた蔓でゴミのように飛んでいく。それを見ていたエルフの女性は遠距離ならばと魔法を放つべく長杖を構え魔力を溜め始めた。
「──っ!?いかん、逃げろ!!」
「えっ・・・・・・」
真っ先にそのことに気づいた食人花たちの攻撃を防いでいたドワーフがエルフの女性にその場から逃げるように叫ぶが、突然のドワーフの叫びに困惑したエルフは一瞬動きを止めてしまう。逃げ惑う人々を獲物と定めていた食人花は突如魔法を放とうとしたエルフの女性に振り返り、蔓の一本を振るう。脇腹に腕のように太い蔓が直撃し、エルフの女性の体が吹っ飛ぶ。
「あ、かぅ・・・げほ!おぇ・・・げぇ!」
エルフの女性───ロキファミリアのアリシア・フォレストライトは意識外からの攻撃と後衛とは言え、Lv4のアリシアを一撃で吹き飛ばす威力を前に苦悶の声をあげる。アリシアの口の中は鉄の味が広がり、胃の中のものが赤い液体と共に地面に零れ落ちる。あまりの激痛を前に手足が痺れたように動かない。そんな動きが鈍いアリシアを餌と判断したのか食人花はアリシアに向かって近付いていく。
「ヒッ・・・・・・!」
嫌だ、とアリシアは思った。少しでも食人花から距離を取ろうと立ち上がろうとするアリシアを嘲笑うかのようにゆっくりと近付く食人花。ボタボタと垂れる唾液。生暖かい息が近付く。嫌だ、嫌だ。もう嫌だ。動け、腕でも足でも体でも、何処でも良い!心は叫ぶ。こんな所で死にたくないと。まだみんなといたい。何より、諦めるのは嫌だと。なのに、体は動かない。動いてくれない。
アリシアが生きることを諦めかけたその時、ゴォン、と鐘の音が広場に響いたかと思えば白い流星が食人花の頭を貫いた。
椿に何も言わず各地で暴れ回っているモンスターたちから人々を守るべく走り出したベルは椿から貰った赤竜翼剣で暴れ回る食人花の蔦を斬りながら町民の安全の確保を優先しながら他の冒険者たちと協力して戦っていた。
それを5回ほど繰り返した際、ベルは視線の先でエルフの女性が今にも食人花に捕食されそうになっているのを確認するや否や、【ケラウノス】を発動させて瞬発力と俊敏をあげて加速しながら【大英雄願望】のチャージを始め、そのまま食人花の真上に向かって飛んだベルは落下の勢いも合わせて勢いよく赤竜翼剣を振り下ろし、食人花の頭を貫いた。
しかしチャージの時間が20秒と短かったことで先程のように一撃で食人花にトドメをさすに至らず、食人花は頭の上にいるベルを振り落とそうと暴れようとしたが、それよりも先にベルは魔法を使用した。
「【
ベルは逃がさないと言わんばかりに赤竜翼剣を握る手に力を込め、刀身をより深く差し込みながら【エアリアル・ブレード】を発動させて頭の内側から風の斬撃波を繰り出して食人花の口の中にある魔石を破壊して確実にトドメをさした。
「ふぅ・・・・・・」
離れた場所でドワーフがその手に握るバトルアックスで食人花の頭部を両断したのを確認したベルは一息ついてから
「【傷ついた英雄、怯える民、失われた箱庭、絶望を乗り越え立ち上がれ。】」
再びベルを中心に大鐘楼の鐘の音が響くが、先程の【大英雄願望】を発動した際に響いた人々の勇気を奮い立たせるような力強さを感じさせるものとは異なり、安心感と安らぎを与えるような穏やかで優しさを感じさせるものだった。
「【我が力、我が願いををもって癒せぬ者さえも癒しつくすることをここに誓う。】」
魔法による鐘の音が響くのに合わせてベルの足元を中心に
「【さぁ顔を上げよ、我らが戦士たちよ、我が鐘の音を聞き、その傷を癒せ。────
そしてベルが詠唱を紡ぎ終えるのと同時に魔法は発動し、鐘の音がリィン・・・。リィン・・・。と響く度に周囲の人々の傷が癒えていく。突然の出来事に誰もが困惑している中でアリシアはただ1人、ベルから視線を逸らせないでいた。
「あの・・・」
「ひゃ、ひゃいっ!!」
魔法の効果で傷を癒したことで誰もが動いている中、頬を染めて虚空を見ていたアリシアが気になったのかベルが顔を近づけて安否の確認を取ろうとしたが、ベルの顔を間近で見てしまったアリシアは飛び起きるように立ち上がるとそのままベルから数歩距離を取ってしまった。ベルはアリシアがエルフであることから触られることを嫌がったのだと1人納得してから立ち上がる元気はあるのだから大丈夫だと判断する。
「えっと、大丈夫そうなので僕行きますね?あっ、良かったらこの回復薬使ってください」
「えっ?あっ、あの・・・」
アリシアは助けてくれたお礼を何とか言おうとしたがベルはそれに気づかず別の悲鳴が聞こえた場所へと向かうべく走り出した。
─────この日、白兎のような少年冒険者に助けられたもの達、またはその戦う姿に見惚れたもの達によって白兎ファンクラブなるものが後日結成されることをベルはまだ知らないのであった。
ベルが各地を走り回って食人花の討伐に勤しむ中、冒険者たちもまた突如出現した食人花を相手に奮闘していた。いち早く動いたのは極彩色の魔石のことを知って何が起こっても対処できるように各地に眷属たちを待機させていたアトラスファミリア。レベル3~5の冒険者たちが最低5人でパーティを組んで一体の食人花に対処し、レベル6、7の冒険者は一人で対処していた。全員が武装していることによって問題なく食人花を相手に戦えていた。
他にもオーディンファミリアの幹部、レベル7《獣王》の
また彼ら以外にもこの日ダンジョンに潜っていなかったロキ、フレイヤ、シヴァ、オーディンファミリアを含めた五大派閥の冒険者、ガネーシャ、アストレアたち都市を守るために活動するファミリア、それ以外にも多くのファミリアの団員たちが活動していた。
冒険者たちの活躍によって食人花たちの数は既に半分を切っていた。この調子ならば食人花の殲滅も時間の問題であると誰もが考えていた中、ロキファミリアの団員であるレフィーヤ、ティオナ、ティオネ、アイズが食人花と戦っている広場にてそれは起こった。
「────【吹雪け、三度の厳冬───我が名はアールヴ】!」
《
当然魔力に反応した食人花たちはレフィーヤに襲いかかるが、それをティオナ、ティオネ、アイズが妨害すべく食人花たちの足止めをする。そして3人の奮闘によりレフィーヤの詠唱は紡がれ魔法が唱えられた。
「【ウィン・フィンブルヴェトル】!!」
三条の吹雪。
アイズたちが間一髪で魔法の射線上から離脱すると、大気をも凍てつかせる純白の細氷がモンスター達に直撃する。
体皮が、花弁が、絶叫までが凍結されていき、食人花たちは佇立する氷像となった。
「ナイス、レフィーヤ!」
「散々手を焼かせてくれたわね、この糞花っ!!」
歓呼するティオナと若干鶏冠にきているティオネが、先頭の食人花たちの懐に着地する。
深い蒼色の氷像へ、二人は申し合わせたように同じ動きをなぞった。
「ッッ!!」
「いっっくよおおおぉ────ッ!!」
一糸乱れない、渾身の回し蹴り。褐色の素足が体躯の中央に炸裂すると同時に、食人花の全身が粉砕される。──だが、これで終わりではない。
「これでえええぇ────ッ!!」
「終わりだ、こらあああぁ────ッ!!」
ティオナ達はすかさず破壊した食人花たちの後ろのもとへ行くと、次もまた一糸の乱れもない拳打を放ち、食人花の全身を粉砕した。
「────【
そしてアイズもまた近くに落ちていた剣をその手に取ってアイズの風属性
(モンスターの気配はない・・・これでこの辺りは大丈夫かな?)
アイズは食人花を倒したことを確認し周囲を警戒するが少なくともアイズたちのいる周囲にはモンスターの気配がないため少しだけ一息つこうとしたその時、魔法を放ち食人花を一掃したことで気が緩んだレフィーヤに迫ろうとしている影に気づいた。
「っ!?レフィーヤ!!」
「えっ・・・」
思わずアイズは叫びながら再びエアリアルを発動させて走り出すが、それよりも先にレフィーヤの背後に現れた骨を被った男の腕がレフィーヤの首を掴もうとした。レフィーヤもアイズの叫びによってようやく気づいたが、突然の出来事と魔法を放った反動で動きが鈍っていたレフィーヤはその動きに対応できず────
「───【
「がはっ!?」
特大の鐘の音が響き渡り大気を揺すり、レフィーヤの首を掴もうとした男が勢いよく弾き飛ばされたのを目の前で見せられた。
「───大丈夫ですか!?」
「あ、あなたは・・・」
息を荒らげながらボロボロの体でレフィーヤに声をかけたのはベルだった。度重なる戦闘によって赤竜翼剣は食人花の血肉がこびりついて切れ味が落ちてしまい、身体の至る所にも打撲跡である青アザができていた。また
「貴様ァ・・・!!」
魔法で吹き飛ばされた男は大したダメージは受けていなかったのかすぐさま立ち上がるとベルを強く睨む。その間に何時でも飛び出せるようにアイズ、ティオネ、ティオナは戦闘態勢をとって男を睨む。
「よくもレフィーヤを狙ってくれたわね・・・!!」
「覚悟は出来てるよねー?」
「許さない・・・」
アイズたちは仲間であるレフィーヤの命を奪おうとした男に殺気を向けながら今にも襲いかかろうとしたが、それよりも先に男の前に桃色のショートヘアの大剣を構えた女性がやって来た。
「はっ!ざまぁねぇな《
「黙れ《
男───《白髪鬼》を小馬鹿にする女──《殺帝》にたいして男は怒気を隠さずに女を睨むが、女はそんなこと知るかと言わんばかりにニヤニヤと笑みを浮かべていた。だがそんな二人の会話の内容よりもアイズたちは二人の2つ名を聞いて驚愕の表情を浮かべていた。
「《白髪鬼》に《殺帝》・・・!どっちも7年前の大抗争で
「そんな連中がなんで今更表に出てるって言うのよ!?」
7年前の大抗争で実際に闇派閥と戦っていたアイズは二人の2つ名を聞いて目を見開きながら驚愕し、そんな連中が表舞台に出てきたことにティオネは何をやらかす気なのか声を荒らげる。それに気分を良くした男と女は何か話そうとしたがそれより先にベルから放たれた言葉が殺伐とした空気を凍りつかせた。
「────あぁ、あなたたちがあのゼウス様とヘラ様がいなくなってようやく外に出てきたクソ雑魚連中の闇派閥なんですね。道理で小物臭い連中だと思いましたよ」
ベルの何気なく放たれたその言葉を聞いたアイズたちロキファミリアは『えぇ・・・』とベルに対して軽く引き、《殺帝》はボロボロのベルのその言葉を戯言と切り捨て無視するが唯一ベルの言葉に反応した《白髪鬼》は侮辱されたことに怒りを感じその場から飛び出すと同時にベルに殴りかかる。それをベルは難なくかわすとカウンターの要領で《白髪鬼》の顎を砕かん勢いでアッパーカットをお見舞いする。
「がっ・・・!?」
「ふんっ!」
そこに追撃だと言わんばかりにベルはメリケンサックを装備した右拳で《白髪鬼》の鼻、喉、鳩尾に鋭い拳を叩き込んでそのまま《殺帝》へと殴り飛ばした。《殺帝》は飛んできた《白髪鬼》を横にひょいと飛んでかわし、地面を転がりながら殴り飛ばされた《白髪鬼》は殴られた痛みよりも明らかに格下であるベルに一方的に殴られた屈辱の方が勝り、再びベルに襲いかかるべく立ち上がろうとした瞬間どこからともなく現れた黒ローブの人間が《白髪鬼》の頭を掴み、地面に叩きつけた。
『勝手ナコトヲスルナ』
仮面をつけているせいで声がくぐもってるために男か女か判別がつかないが、神の
「貴様ァ・・・っ!!」
『我々ニハヤラネバナラヌコトガアル。ソノタメ二無駄ナ損害ヲ出ス訳ニハイカナイ』
「チィっ!!」
黒ローブの言っていることの方が正しいとわずかに残っていた理性で納得せざるを得ない《白髪鬼》はその言葉に従い耐える。
「ア゛ァ゛!?私のベルに手を出しておいて逃がすと思ってのかクソ闇派閥がっ!!」
しかし恋する
その後、《白髪鬼》たちが完全にいなくなってしまったことを確認したアイズたちと回復薬と魔力回復薬で無理やり回復したベルはオラリオを駆け回り他の冒険者たちと協力して食人花を倒し回った。そして冒険者たちの尽力により夕陽が沈むよりも前に食人花の殲滅が完了しオラリオに平穏が戻った。
冒険者たちの尽力により負傷者はいるものの町民含め犠牲者はゼロに抑えられたことで誰もが安堵する中、フィンやシロエなどを始めとした勘のいい冒険者やロキやフレイヤなどの神々は今回の一件は始まりに過ぎず、何らかの騒動の前触れではないかと疑り、表面的には普段通りに過ごしながらも彼ら彼女らは何かが起こっても問題ないように、否、何かが起こる前に止めるために行動を開始する。
───────ちなみに全てが終わった後、心身ともにボロボロに疲弊したベルがホームに帰るとそこには目が笑っていないエイナ、アミッド、フィルヴィスが待機しており、ベルは思わず引き攣った笑みを浮かべるがそんなことはお構い無しにベルは3人からありがたい説教を5時間ほど受ける羽目になり、ベルはヘスティアによるステータスの更新を先延ばしする結果となった。そのベルのステータスを更新した後日、ヘスティアファミリアのホームに主神であるヘスティア含め団員たちは驚愕することをこの時はまだ誰も知らない。
あとがき
今回で化物祭での戦闘が終わります。あっさりとした終わりになってますがどうかお許しを・・・。次回の予定としては今回の騒動に関する神々の会話や冒険者たちの会話をメインにするかベルくんのステータスに関連する話をやりたいなと思ってます。まぁもしかしたら察している人達は何人かいるかもしれませんが今回ベルくん描写されてないけどLv1としては異常なくらい偉業を稼いだと思うんですよね・・・。今後の予定としてはリヴィラの騒動→リリとの出会い(多少オリジナル展開を入れる予定)→24階層での戦闘と言った感じでソードオラトリアと原作の話をまずやりたいなと思ってます。また、リリとソーマファミリアでの話で少しやってみたいことがあるので色々と展開が変わるかもしれないのでどうかお許しを・・・。色々とやってみたいことがあるので活動報告などで相談するかもしれませんがどうかよろしくお願いします。それではまた次回の投稿も頑張りますのでどうかよろしくお願いします。ちなみに今回ベルくんにいいようにやられた《白髪鬼》ですがまだ出番はあります。レベル1のバグ兎にあっさりやられた彼にも見せ場(ボコられ)もっとあげなくては、ね?
獣やドラゴンよりの亜人などを登場させてもいいか?
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あり
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なし