日本国召喚if パーパルディア本土上陸作戦 作:だうんふぉーる
中央暦1640年1月――
1年前、突如として国ごと異世界に転移した日本国は、現在、戦争状態にあった。
外務省の努力の甲斐あり、日本は異世界で国交を広めつつあったが、その途上で『列強』と謳われる大国の一角『パーパルディア皇国』の逆鱗に触れてしまう。
最悪なことに皇国から過剰な怒りを買ってしまった日本は、理不尽にもかの国から殲滅戦を宣言されたのである。
日本国は、自衛隊に初の防衛出動を命令する。
中央暦1640年9月――
日本国とパーパルディア皇国が戦争状態に陥ってから、8カ月が経とうとしていた。この間、皇国は自衛隊の猛攻に大敗を重ね、衰弱しつつあった。
現代装備で武装した自衛隊に対し、パーパルディア皇国軍の技術レベルは産業革命前後のレベルでしかなく、当然の帰結といえる。
にもかかわらず、両国間の戦争は終わる気配が無かった。
本来、皇国第3外務局長カイオスが日本政府と秘密裏に計画していたクーデターを実行し、終戦工作を行う予定だったが、それが皇国首脳部に露見。カイオスは国家転覆を企図したとして即刻処刑されてしまったのである。
また、パーパルディアより独立した属領からなる73カ国の連合軍も、皇国軍の激しい抵抗を前にして潰走。むしろ皇国軍により一部の属領を奪還される始末だった。
日本も自衛隊機による空爆の継続を考えたが、皇国本土の面積は非常に広く、空爆だけでは皇国の国力を完全に削ぐまで時間が掛かっている。
しかも皇国首脳部は残存国力による日本への徹底抗戦を宣言しており、皇国がギブアップするまでかなりの時間が掛かるのは明白だった。
日本としては戦争の長期化を望んでおらず、いち早く停戦に持ち込みたかった。
すでに開戦によって最大の貿易相手であるムー国との海上交易路も脅かされており、日本経済界からも不満が出ようとしている。
かといって皇国との唯一の外交チャンネルだったカイオス第3外務局長もこの世におらず、戦争を終わらせる術がない。
日本政府は悩み果てた末に、陸海空自衛隊にヤケクソじみた命令を下した。
その命令をかなり要約すると、敵国本土へと直接殴り込みをかけ、皇国政府を強引に停戦交渉の席に着けろという命令――
すなわちパーパルディア本土上陸作戦である。
命令を受けた自衛隊・防衛関係者は頭を抱えた。
本土上陸で戦争を終わらせるなど、あまりに前時代的に過ぎる。冗談じゃない。政府の連中、ついに気でも触れたか。
しかも平和憲法で戦争行為を否定し、半世紀以上にわたって専守防衛を掲げてきたこの国に敵国侵攻の経験もノウハウもある訳がない。
というか、これって言い訳の余地なく憲法違反じゃないのか?という疑問も沸いたが――幸か不幸か、開戦直後に無実の観光客を虐殺されたこともあり、右傾化しつつある世論は本土上陸作戦にも肯定的だった。
やむなく、自衛隊は初となる敵国本土上陸の準備に取り掛かった。
お上に命令されたからには取り組まなければならない。それが自衛隊である。
3分後にもう1話上げます。