日本国召喚if パーパルディア本土上陸作戦 作:だうんふぉーる
最初にそれに気がついたのは、パーパルディア国内の駐屯地に対する爆撃を終え、補給のために本土へ向かっていたF-2戦闘機のパイロットだった。
同機が対地爆撃用に外装していたJ/AAQ-2赤外線監視装置が、上陸地点に向かう皇軍地上部隊の姿を捉えたのだ。
F-2パイロットは即座にE-767警戒管制機にそれを通報したが、同じ頃に別の戦闘機パイロットなども同様の通報を上げ始めていた。
「上陸部隊。こちら、いずも。敵地上部隊が接近中。会敵に注意せよ」
「いずもへ、近接航空支援を要請。艦砲射撃支援も要請する」
「いずも了解。可能な限り支援する」
揚陸作業中だった陸自と米海兵隊からなる第1次上陸部隊は、護衛艦『いずも』に置かれた前線司令部からの報告を受け、海岸堡の防衛準備に取り掛かる。
まずいことに上陸作業は完了しておらず、日米合わせて2,000人の第1次上陸部隊のうち半分も上陸できていない。戦車などの重装備もまだ一部しか陸揚げできていない状態だ。
敵は各個に出撃したらしく、様々な方角から100人から300人程度の皇軍地上部隊がいくつも向かっており、それら皇軍兵は総数1万人を超えるという。
しかも皇軍部隊にはフェン王国での戦闘で確認された、
幸いにも空自と海自の支援攻撃が行われるため、上陸部隊としてはそれらが敵を可能な限り漸減してくれることを望むしかなかった。
「畜生、何が起こってるんだ!」
上陸部隊の撃退に向かっていたベテラン皇軍兵が悲鳴じみた悪態をつく。
彼の部隊は徹底的な爆撃に晒されていた。
彼が所属する皇国軍歩兵中隊は、
これにより進撃スピードが非常に早く、二ホン軍上陸部隊の撃退を命令された彼らは、命令受領から短時間で集合地点のデュロに到着しようとしていた。
だが到着直前、風を切るような甲高い音が響いたと思った途端、列の先頭を往く地竜が貨車とそれに乗る歩兵ごと爆散した。
状況からして魔導砲の砲撃に似ており、慌てて兵達は貨車から降りた。
魔導砲なら第3文明圏の文明国にも普及しているが、射程は短いのでどこから砲撃されているかくらいは分かる筈である。だが奇妙なことに、自分たちがどこから撃たれているのかまるで分からなかった。
その間にも部隊は徹底的に砲撃され、移動用の貨車と地竜がすべて吹き飛ばされた。
中隊長も爆死し、指揮官を失った中隊は恐慌状態に陥いる。数分間続いた砲撃で、悪態をついたベテラン皇軍兵も爆死した。
彼らは自分たちが、海上自衛隊、はたかぜ型護衛艦『はたかぜ』による2門の127mm単装速射砲を用いた対地艦砲射撃の餌食になったことを終ぞ知ることはなかった。
『いずも』の前線司令部から支援要請を受けた『はたかぜ』は、上陸部隊に近づく彼らを殲滅するべく艦砲射撃を実行したのだった。
これと同時刻、上陸地点を目指す皇軍部隊はあらゆる攻撃に晒されていた。海空自衛隊と在日米軍が上陸地点を防衛するため、自らの全力を投じたからである。
護衛艦の艦砲射撃に始まり、ヘリ搭載護衛艦『いずも』から発艦した陸自AH-64D戦闘ヘリなどによる対地射撃、F-2やF-4EJ改といった空自戦闘機の空爆、長い航続距離を見込まれ、
米軍も強襲揚陸艦『ボノム・リシャール』から発艦したAH-1Z攻撃ヘリやAV-8BハリアーII攻撃機による空爆、そして米海兵隊が給油機に30mm機関砲と対戦車ミサイルを搭載してガンシップ化したKC-130Jハーベストホークによる航空攻撃を行った。
海空のあらゆる支援攻撃により、上陸地点を目指した1万人の皇軍地上部隊は消耗し、上陸地点に到達できたのは僅か1,000人未満だった。
だがそんな彼らを待ち構えていたのは、上陸地点で強固な防御陣地を築いていた陸自と米海兵隊混成の上陸部隊である。
皇軍兵の持つマスケット銃では、自衛隊員の89式小銃、海兵隊員のM16A4アサルトライフルにあらゆる面で劣り、対抗できる訳がなかった。
さらに海岸堡には12.7mm重機関銃を据えた機関銃陣地や、120mm重迫撃砲を連射してくる迫砲陣地まで築かれていたため手も足も出せない。
なけなしの対マスケット銃用鎧を着けた装甲地竜が数体、何とか空爆を受けず到達したが、それらは
皇軍地上部隊による、ニホン軍上陸部隊の撃退の試みは失敗に終わった。
そして最大の脅威を排除した日米の上陸部隊は、揚陸作業の完了を急いだ。