日本国召喚if パーパルディア本土上陸作戦   作:だうんふぉーる

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8.電撃侵攻

「間もなく敵首都に到着!」

「止まるな! 全速前進!」

 

 大内田師団長率いる陸自第7機甲師団は、全車を最高速力で前進させ、数時間のうちに敵国首都エストシラントへと到達させた。

 

 その道中、皇軍の歩兵隊と遭遇したり、砲兵隊が魔導砲を並べて待ち構えていたり、何十頭というリントヴルム(地竜)の部隊とかち会うことがあった。

 今の今まで何とか生残していた竜騎兵が、上空からワイバーンロードを単騎で突っ込ませてくることもあった。

 

 待ち伏せの敵兵は先行したAH-64D戦闘ヘリが30mmチェーンガンと70mmロケット弾で大半を吹き飛ばしたが、それに見つかることなく第7師団と対峙した敵歩兵は10式戦車の120mm多目的榴弾と機関銃が瞬く間に掃討している。

 魔導砲に関しても、最前列を突き進む戦車隊が何発か被弾することがあったが、いずれも陸自最新の複合装甲を前にはじき返され、全く被害はなかった。

 リントヴルム(地竜)の集団はフェン王国の戦いの二の舞だった。リントヴルムの鱗は戦車砲を防げないので、簡単に始末されたのだった。

 

 上空から飛来するワイバーンロードも、これは師団に属する高射特科連隊の87式自走高射機関砲が35mm機関砲で叩き落し、事なきを得ている。

 

 今回一番の被害が出たのは、皇軍工兵隊によるものだった。工兵隊は障害破砕用の爆薬を収束し、原初的な即席爆発装置(IED)を促成したのである。

 それを車列が通過するであろう街道に仕掛け、魔導通信を応用して遠隔起爆したのだ。

 幸いなことに、皇軍の爆薬は黒色火薬程度の性能しかなく、威力不足だった。それでも先頭を進んでいた10式戦車の履帯が切れ、行動不能にする戦果を上げたのは特筆に値する。

 

 それら障害を乗り越え、エストシラント近郊に展開した第7師団は、先に展開していた第1空挺団と合流する。

 

「第7師団です! 遅くなりました!」

「こちら第1空挺団、待ちくたびれたぞ! 早く敵を大人しくしてくれ!」

「任せて下さい!」

 

 大内田は第1空挺団の指揮官と会話を交わした後、師団に指示を飛ばす。

 戦車隊はエストシラントを取り囲むようにして周囲に展開。エストシラント内部からの突破を図る敵皇軍兵への攻撃を開始する。

 90式戦車や10式戦車の連装機銃(同軸機銃)が火を噴き、装甲が皇軍砲兵隊の魔導砲をはじき返す。第7師団に同行してきた装甲車両から普通科隊員(歩兵)や海兵隊員も展開し、皇都の包囲に加わった。

 第7師団の到着によって、皇都防衛隊はエストシラントからの包囲突破が不可能になったことを悟り、しばしして攻撃を控え始めた。

 

「敵が首都に引き返し始めてます!」

「ここからは持久戦だ。敵が首都を無血開城するまで俺たちは包囲を続けるぞ」

 

 大内田師団長は全部隊にそう伝えつつ、師団に同行してきた施設科(工兵)に防御陣地の構築を命令する。

 今までは凄まじいスピードでの進撃だったが、ここからは数週間、あるいは数ヵ月という長期戦が始まろうとしていることを大内田は覚悟した。

 

 

 

 

 

 第7師団がエストシラントを包囲してから、皇国軍は包囲網の内外から突破を図ろうと何度か大規模攻撃を仕掛けたが、いずれも現代装備の充実した第7師団の前に悉く撃退された。

 また沖合では海自の護衛艦隊と空母『ジョージ・ワシントン』率いる第7艦隊が展開し、海上封鎖を始めたため、海にも逃げ場はなかった。

 

 さらにその間、エストシラントにほど近い砂浜に米海軍工兵大隊が展開し、もうひとつの仮設埠頭を構築。これにより第7師団は十分以上の補給を受け、長期の持久戦が可能な状態になっていた。

 

 

 

 だが敵はそれより早く音を上げた。

 2週間後、エストシラント内から皇軍の軍使が現れ、第7師団と接触した。

 

 軍使は、パーパルディア皇国は日本国に降伏すると伝えた。

 

 人々の予想に反し、戦争はクリスマスの前に終わった。

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