モンスターハンター 〜寒冷群島の紅き鬼狩り〜   作:北凍武人

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百竜夜行後編
毒妖鳥をもとめて


 

「あれ、なんでこうなったんだっけ.....」

 

ドラコは、拠点のワーニェ村に戻るはずが、なぜか水没林に来ていた。

 

「よ~し!プケプケに遭いに行きましょ~!」

 

「おー」

 

同行者であるヒルバーボウIを持ち、プケプケシリーズを身にまとった小柄な少女が天真爛漫な笑顔を向けていた。

 

彼女の名前はフィオドーラ。ドラコの同期の1人である。

 

北方の貴族令嬢だった彼女は、毒妖鳥プケプケの持つ独特な愛嬌に魅入られて以来、装備のすべてをプケプケ系統で揃えるという愛着ぶりを発揮していた。

 

同期の間でも「プケプケ」はある意味NGワードで、一言でも発すればフィオドーラがすっ飛んできてプケプケの魅力について延々と語られる」とされていた。

 

なおドラコも被害者の一人であり、ヤツマに厳しい一言を放ったディノと争いになったときにフィオドーラが駆り出され、二人まとめてプケプケトークの餌食になったという。

 

後に「喧嘩両成敗」ならぬ「喧嘩両プケプケ」なる言葉が訓練所で流行ることになったとかなってないとか。

 

 

 

そしてなぜこのフィオドーラと水没林に来ることになったのか。それは、百竜夜行から砦を守り抜いて宴を行った後、解散した時に。

 

「さて、俺も帰りますか。村長やイリーナも待ってるだろうし」

 

お土産を持って帰ろうとしたドラコの前にフィオドーラが立ちはだかった。

 

「待ってください!!」

 

「どうしたフィオドーラ...」

 

 

「責任、取ってください!」

 

「ファッ!?」

 

突然言われたことに驚くドラコにフィオドーラはさらに続ける。

 

「わたし、ウツシさんから『プケプケ来るよ』って手紙が来たから、わざわざ新大陸からここまで来たんです!それなのにドラコさんたちが狩ったせいでプケプケに会えなかったじゃないですか!」

 

頬を膨らませ怒っているフィオドーラ。彼女を怒らせた原因はただ一つ、『プケプケに会えなかった』からである。その怒りは現れたジンオウガにぶつけたのだが、まだ怒りは収まっていない様子だ。

 

 

「ごめんて...プケプケ素材渡したじゃん...」

 

「そーいう問題じゃありません!ドラコさん、プケプケ狩りに行きましょう!せめて1頭は狩らないと帰れません!」

 

「なあ、あんときはゴウとカエデもいたぜ?アイツらには声かけなかったのかよ」

 

「ゴウさんとカエデさんは誘おうとする前に帰られました...」

 

あの二人は宴の席でもあまり機嫌のよろしくなかったフィオドーラを見ていろいろ察したようだ。

 

肉と酒と団子に夢中だったドラコは気づいていなかったらしい。

 

「ちっ......逃げ足だけははえー奴らよ......。しゃーねえ、少し付き合ってやる。プケプケのクエスト、ヒノエさんかミノトさんにあるか聞いとい......」

 

「そういうと思って、すでに受注済みです!」

 

「仕事早いねぇ......」

 

・・・

 

 

フィオドーラの推しモンスター「プケプケ」を勝手に狩猟してしまったドラコ。せめて一体倒したいという彼女の我儘という依頼を受け、水没林に行くことになったのだった。

 

 

水没林を探索している二人。ドラコは途中で環境生物エンエンクを拾った。

 

そしてようやくプケプケを見つけたのだが...

 

「そんな...」

 

「なんてこった...」

 

2人が目にしたのは...。なんとプケプケを完膚なきまでに叩きのめしている牙獣種のモンスターだった。

 

「ひどいです...!プケプケが...」

 

飛び出そうとするフィオドーラの腕をつかみ、それ以上行かないようにさせるドラコ。

 

「なにするんですかぁドラコさん!」

 

「ダメだ。アイツは金獅子ラージャン...俺達新人が勝てる相手じゃねえ」

 

そのモンスターは大型のサルのような姿で、頭には大きな二本角が生えている......はずだったが、片方折れているようだ。怒ると背中の毛が金色に染まることから金獅子と呼ばれているが、この個体は黒いままだった。

 

「ドラコさんはゴシャハギに勝てるのでしょう?ラージャンにも勝てるはずですよ!」

 

「バカ言うな...俺が倒してるのは下位個体...上位にはまだ上がってねえ。それにラージャンはそんじょそこらのモンスターとは格が違う...。ゴシャハギの数10倍は強いぞアイツは。下手したら二人とも殺されちまう。プケプケはあきらめよう」

 

「うう...わかりました...」

 

その時、片角のラージャンが二人に気づいてしまった。

 

「不味いな...フィオドーラ、お前だけでも逃げろ。そしてギルドに報告するんだ」

 

「ええ!?ドラコさんは?」

 

「俺はあいつをできるだけキャンプから遠ざける。このエンエンクを使ってな。大丈夫、戦わねえよ。」

 

 

 

そして二人は一旦別れ、ドラコはラージャンの前にわざと躍り出てエンエンクのフェロモンを付与した。

 

 

「ガアアアア...!!!」

 

「さあ、俺についてきな!」

 

百竜夜行前にレンタルし、その後正式にオトモ契約を結んだガルクに乗りラージャンを誘導しながら逃げていく。

 

 

 

 

だいぶ引きはがせたと感じたドラコだったが、後ろを確認したあとに前を向くと、何と目の前にラージャンが!

 

 

「ファッ!?」

 

「ガアアアァァァ!!!」

 

ラージャンは強烈なパンチを放ってきた。

 

「ぐわあああ!?」

 

「きゃうん!?」

 

なすすべなく吹き飛ばされるドラコとガルク。そんな一人と一匹にとどめを刺すべくラージャンが迫る。

 

何とか立ち上がり、ゴシャハギの素材で作ったチャージアックス、ゴシャガチャを構え防御の姿勢をとるが、一撃で破壊されてしまった。

 

 

(同期の中で最初の殉職者になるのか...俺は....!くそ、ディノより先に死ぬなんて......冗談じゃねえぞ......!ディノよりは長生きしてやるって決めたのに......)

 

ドラコは内心あきらめかけていた。その時。

 

 

 

「やめなさーいっ!」

 

プケプケに乗ったフィオドーラが駆けつけてきた。驚くラージャンに舌攻撃を食らわせた。

 

 

「フィオドーラ!?」

 

「ギルドに連絡は済ませてきました!でもドラコさんを見捨てるわけにはいきません!」

 

「フィオドーラ.....」

 

「さあ、プケプケの背中に乗って!行きますよっ!」

 

プケプケを操りラージャンにぶつけて二体の動きを封じた隙に逃走、ラージャンの追跡を何とか免れ、2人はキャンプ前に辿り着いた。

 

 

 

 

「ありがとな、フィオドーラ」

 

「いいえ...もともと私の我儘でしたし...付き合ってくれてありがとうございました」

 

2人はギルドの調査団を待つことにした。

 

「見事なプケプケ捌きだったなぁ」

 

 

「ふへへ....プケプケに乗っちゃったぁ~♪」

 

「なんか凄い顔になってんぞ!?」

 

「にへへ...プケプケぇ~♪」

 

 

そして調査団に事情を説明し、二人はカムラの里へ。ゴコクにも報告する。

 

「報告感謝するでゲコ。あとはこちらで調査を進めるゲコ」

 

「まさかラージャンに遭遇するなんて思わなかったす」

 

「百竜夜行の影響は少なからず出ているかもしれないでゲコな。とにかく無事で良かったゲコ。」

 

「ですね。......プケプケの狩猟は失敗しましたが......」

 

「プケプケに乗れたので結果オーライです!」

 

最後まで変わらずプケプケ愛を貫くフィオドーラであった。

 

 

フィオドーラと別れ帰路につくドラコ。ふと、自分の装備を眺めた。ひどくボロボロである。

 

「...あーあ、装備がボロボロになっちまったぁ...新調するかー....」

 

カムラの里の刀鍛冶、ハモンに頼んで装備を新調してから、拠点であり故郷のワーニェ村にたどり着いた。

 

「ドラコ、帰ったか」

 

「お帰りなさい、ドラコくん」

 

 

村長と受付嬢であるイリーナがドラコを出迎えた。ドラコはヘルムを取り、笑顔を向ける。

 

「ただいま!!」




片角のラージャン

角が片方折れており、なくなっているラージャン。
成獣しててもおかしくない体格だが、何故か闘気化を会得していない。
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