鬼狩りの過去
雪鬼獣ゴシャハギから作られる防具に身を包んだ青年、ドラコ・ラスターが、寒冷群島を眺めていた。
背中には大剣ゴシャズバァと双剣フラムエルクルテを背負っている。
「やっと......ここまで来たぜ」
ドラコは自分の過去を回想していた。
雪国の某地方では、「悪い子の元には寒冷群島にいる雪の鬼が家に来るぞ」
という言い伝えがあり、子供の躾にも使われていた。
少年だったドラコも、「寒冷群島にいる雪の鬼」の言い伝えを母から聞いて育っていた。
「.....なあ母ちゃん、本当にいるのかな?雪の鬼」
「さあねぇ~....でも悪い子の元にはやってくるかもよ~」
「俺って悪い子?」
「ドラコはいい子よ」
・・・・・
「おい、やめろ!」
ある日、ドラコはいじめを行っている同年代の悪ガキ共に注意した。
「なんだよラスター。ハンターごっこの邪魔すんなよ」
「そんなことしてると、寒冷群島に住んでる鬼が来るぞ」
ドラコの言葉を聞いた悪ガキ共は全く信じてないようで笑い声を上げた。
「はー?鬼?」
「そんなんいるわけないじゃん!」
「ショーコ見せろよショーコ!!」
「上等だよ、俺が雪の鬼を連れてくる」
そして夜、防寒服を着てこっそり家を出ると、寒冷群島に向けて歩き出した。寒冷群島までは結構近い距離にあるのだ。
「うう、寒いなぁ.....」
――――オォォ
どこからか唸り声がきこえてきた。
「......っ!」
―――グオォォ
徐々に大きくなっていく。近づいてきた証拠だ。
――グオオオォォォ
ドラコはとっさに木の陰に隠れ、様子を伺った。熊のような大柄な牙獣種のモンスターが唸り声をあげながら闊歩していた。
(......ほ、本当に出た....寒冷群島にいる雪の鬼....!)
気づかれないようあとずざりするが、\パキッ/ と音が鳴ってしまった。枝を踏んでしまったのだ。
「!!」
ドラコがハッとした時には既に遅し、ゴシャハギは既に目の前にいた。
ゴシャハギが右腕を振り上げる。その手には氷を纏っており、刃のように鋭い。
ドラコは最早ここまでかと目をつぶったが.....
何者かに助けられた。それは、ドラコの育った村....ワーニェ村に常駐しているハンターだった。
「.....やっと見つけたぜ....大丈夫かい?」
「おじさん.....」
ドラコはホッとしかけたが、突然恐怖で目を見開いた。
ゴシャハギの振り下ろしでハンターの左腕が切断されてしまっていたのだ。
「おじさん、腕が.....!」
「大したこねーよ。おっさんそろそろ引退を考えてたんだ....丁度いいぜ」
「....ごめんなさい」
「無事でよかった、ドラコ」
その後、ゴシャハギは応援に駆けつけたハンター達により討伐され、村に運ばれ、これが雪の鬼の正体だと知らされた。ただ、ドラコは気づいていた。ゴシャハギはもう1体いたことを。討伐されたゴシャハギは、実はドラコを襲ったゴシャハギではないことを。
無事に村に戻ってきたドラコだが、ひとりのハンターの、「ハンターとしての生命」を奪ってしまったことを後悔し、ハンターとなりゴシャハギを狩猟することを誓った。
そして......
現在、ドラコは寒冷群島を通ってカムラの里に向かっていた。
友の里を破壊せんとする災害、百竜夜行を食い止めるために。
「今行くぜ、ウツシ!」