カルラディア帝国戦記   作:カルラディア帝国

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ガミラスを離れ5年もの長期間放浪の旅をしていたロドルフ・クルーク麾下の放浪艦隊は、新たなる銀河”シュリウシア”にて羽を休めていた
しかし、突如として謎の艦隊が襲撃。多数の犠牲を払いながらもゲシュ=タム・ジャンプで難を逃れたのだった__


始まりの光 −カラーディ−

ーーーワープアウトーーー

 

 

艦隊旗艦"ロドルフィア"艦橋

 

「ワープ終了、艦体に損傷認めず」

「レーダー・スキャナー直ちにチェック! 空間座標照合!現在位置の特定急げ!」

「レーダー・スキャナー、異常なし。周辺に敵影を認めず」

「敵は撒けた様だな」

「間一髪と云った所ですな。殿(しんがり)の彼らに感謝せねば…」

「空間座標照合完了。現在位置を確認、カラーディ星系です!」

 

カラーディ星系__

ガミラスが星間国家としてその名を刻むよりも遥か昔、太古より存在するとされていた星系であり、伝承等からガミラスと何かしらの関係(・・・・・・・)があるのでは無いかとの噂をされていた星系であった……

 

「カラーディ星系…、話を耳にしたことはあるが、まさか実在するとはな……」

「閣下、観測の結果、第4惑星”ヴィルディア"のスペクトル及び大気・表面温度等の条件がガミラスに類似しています。この条件であれば、我らの移住が可能と思われます」

「なんと……、これも運命というものなのか。副長、直ちに調査隊を編成。この惑星の詳細な情報を調べてきてもらいたい。」

「はっ!調査隊を編成、惑星を調査します!!」

「艦長、艦隊は一度この宙域にて待機する。ハーマリアを離れたとはいえ、何時またあの敵が襲ってくるかわからない。全艦に警戒を厳とする様に伝えよ。」

「はっ!!」

 

クルークの指示で、即座に調査隊が編成され、ヴィルディアの調査が開始された。

ヴィルディアへ調査隊が発進すると時を同じくして、艦隊からハイ級3隻が離脱、星系の調査を開始した___

 

 

ーーー3日後ーーー

 

 

「閣下、調査結果を報告致します!カラーディ星系第4惑星ヴィルディアは、観測通り我らの居住に最適な惑星でありました!詳細はレポートに纏めましたので、そちらをご確認ください!」

「承知した。後で確認しよう。」

「また、調査報告と併せての報告なのですが、ヴィルディアに2つの衛星を確認しました。その内一つに"シェヘラザード"と思われる艦影と何かしらの基地と思われる建造物が確認されました。」

「"シェヘラザード"とは、イスカンダルのあの(・・)シェヘラザードか?」

「はい、全くの同型と思われます。」

「そうか、衛星の調査は行ったのか?」

「いえ、調査隊の備蓄が底を尽き、未だ……」

「そうだったか……。ご苦労だったな、副長。調査隊の面々にも労いの言葉を掛けてやってくれ」

「はっ!失礼致します!」

 

副長が報告を終え、艦橋を下りる

 

「早速だが、入植を開始しよう。通信士、"メルトラーデン"のアンジェロ中将を呼び出して欲しい。」

「はっ!直ちに呼び出します!」

 

 

−メルトリア級"メルトラーデン"艦橋−

 

 

「シャーフ艦長、ロドルフィアより通信です」

「ロドルフィアから?一体何事だ」

「閣下が近衛師団のアンジェロ中将にご用との事です。」

「そうか…、私が呼ぼう。『アンジェロ中将、艦長のシャーフだ。閣下からお呼び出しがあった。直ちに艦橋に来てもらいたい。』」

 

シャーフ艦長の呼びかけを受け、自室に待機していたアンジェロ中将が艦橋へ上がる

 

「閣下から呼び出しとは、珍しいな」

「あぁ、何か問題があったのだろうか……」

「心配性だな、艦長は。通信士、私に変わってくれ」

 

 

−ロドルフィア艦橋−

 

 

「アンジェロ中将が出ました!」

「うむ、私に変わってくれ。」

 

そう言って通信士席にクルークが座り、メルトラーデンとの交信を始める

 

『直々にお呼び出しとは、何事ですかな?閣下』

 

「君に頼みがあるんだ、アンジェロ」

 

『何でしょう?』

 

「一時的に艦隊の指揮権をそちらに移譲する。君に艦隊の指揮を取ってほしい。」

 

『唐突ですな、なぜまた?』

 

「ヴィルディアの衛星に、基地施設の跡が確認された。それを調査する」

 

『閣下がご自身で、ですか?』

 

「そうだ」

 

『危険です!』

 

「心配ないよ。外部からの測定で、基地機能が放棄されて既に数十年が経過して居る事と、トラップ等が無いことを確認した。」

 

『……わかりました。我らは何をすれば良いのでしょうか?』

 

「ヴィルディアに降下し、惑星への入植を進めて欲しい。」

 

『と言うことは!我らの住める星と言うことですか!』

 

「その通りだ。既に調査も完了している。頼まれてくれるか?マーク」

 

『閣下からのお頼みです。お受け致します。艦隊は私にお任せ下さい。』

 

「助かるよマーク。話は以上だ。通信を終わる」

 

交信を終え、クルークが艦隊の全員へ放送する

 

「『諸君、ロドルフ・クルークだ。調査の結果、惑星ヴィルディアは我々が居住可能な惑星であると言うことが判明した。よって、現時刻を持ってヴィルディアへの入植を開始する。我がロドルフィアはヴィルディアの月の一つに確認された反応を調査する為、一時艦隊を離れる。入植の指揮は、2番艦のアンジェロ中将に一任している。諸君との、新たなる地にての再開を心待ちにしている。以上だ。』」

 

この放送を期に、ロドルフィアは艦隊を一時離脱し、ヴィルディアの月へと向かって行った____

 

 

ーーーロドルフィアーーー

 

 

「まもなくヴィルディアの月に到着します。」

「了解。全艦着陸用意」

「着陸用意!降着装置展開します」

 

艦隊を離脱し1時間弱、ロドルフィアはヴィルディアの月に辿り着いていた。

ヴィルディアには、小さな月と大きな月が存在しており、今回の調査対象となったのは大きな月の方であった。

"ガコン"と地面に、降着装置が接触した音が艦に響き渡った。

無事に月に降りた事を感じ、艦橋の全員が安堵していた。

 

「着陸完了を確認」

「総員、船外服着用!月の探索を開始する!」

「艦長、シェヘラザードの位置は?」

「本艦の前方、約800mの位置に確認しています。」

「宜しい。艦長以下艦運用員は本艦にて待機。トイアー君、調査には君にも同行してもらいたい、良いかな?」

 

クルークに名前を呼ばれた元セカンド・オーダー幹部の"マリウス・シュトラス=トイアー"が返事をする。

 

「はっ!部下を数人連れていきたいのですが、宜しいでしょうか?」

「構わない。準備が整い次第下艦、調査に向かう」

「はっ!」

 

非常時に(ふね)を直ぐ動かせるように、艦長を含めた運用に必要な人員を残し、調査隊が編成された。

中でも、シェヘラザードと基地施設の調査隊は、クルークを中心に編成され、詳しい調査が開始された__

 

「やはりこれは、"シェヘラザード"……」

「その様ですね。この形状、間違いないかと……。実物を見るのは私も始めてです。」

「いずれはこれを回収し、イスカンダルの技術を取得したいものだ。」

「同感です。これがあれば、技術開発も捗るでしょう。」

「そうだな。技術者達には良い土産になりそうだ」

「閣下!こちらに、基地施設に通じてると思われる扉が!」

「トラップ等の類は確認できませんでした。」

「そうか。では、中に入るとしよう」

「はっ!全員続け!」

 

クルーク隊は眼前の扉を開け、その中の調査を進めていくのであった____

 

 

ーーー入植艦隊ーーー

 

 

クルークが月で到着した頃。放浪艦隊はヴィルディアへの入植作業を進めていた____

 

 

「現在、ヴィルディア軌道上1500km。まもなく大気圏に突入します。」

「通信士、全艦へ伝達。艦内各部のチェック、特に気密のチェックを入念にする様に」

「はっ!」

 

通信士が艦隊の全艦へ、大気圏突入前の最終チェックをする様に伝えられ。徐々に確認が完了した旨の報告が上がってくる。

 

「全艦の最終チェック完了。何時でも行けます。」

「了解した。宜しいですか?アンジェロ中将」

「うむ。全艦、大気圏突入せよ!」

 

アンジェロ中将の指示を受けた艦隊は、遂にヴィルディアの大気圏へ突入した。空気との摩擦で発生する熱とプラズマの輝きを放ちながら、ヴィルディアの厚い大気層を突破しいてった____

 

突入から5分後、艦隊は地上から上空80kmの位置で集結していた。

 

「全艦の大気圏突破を確認!」

「通信士。全艦に艦内機構の再チェックを急がせろ」

「はっ!」

「航海長、着陸可能な座標を早急に割り出してくれ」

「了解」

 

調査隊が持ち帰った惑星データを元に作成されたマップから航海班が急ぎ着陸に最適な場所を割り出す。

 

「シャーフ君、座標が確定次第、当該座標に着陸。着陸後、陸戦隊に周囲の安全確認をさせて欲しい。」

「了解です。戦術長、陸戦隊に出動待機命令。船外服着用の必要は無い。惑星内戦闘用の第三種兵装で待機させよ。」

「はっ!陸戦隊を第三種兵装で待機させます!」

 

「アンジェロ中将、座標の策定が終了しました。湾の様な形状で、陸地には平野が広がっては居ますが、背後には山が(そび)えていますので防衛も容易かと思われます」

「よろしい、直ちに着陸の準備を進めよ。両舷、前進半速!」

「前進半速!予定座標へ前進し、着陸の準備を進めます!」

 

アンジェロ中将乗艦のメルトラーデンが先行し、予定座標に向かいながら艦隊が着陸体制を整えていく。

 

予定座標の上空に達したと同時に降着装置を下ろしたメルトラーデンは真下の平原へゆっくりと降下して行く__

 

地面へと近づくに連れて、発生した風圧が芝を強く靡かせる。

芝に写る影が次第に大きくなり、やがて"ガコン"という音が(ふね)全体に伝わり、無事にヴィルディアの大地へ降り立ったことを感じさせる。

 

「予定座標への降下完了!」

「タラップ降ろせ、陸戦隊出動。戦術長、陸戦隊には何があってもこちらから発砲しないよう厳命せよ」

「了解!」

 

陸戦隊が周辺の安全確認に動き出すと同じくして、艦隊も徐々に着陸を進める。

陸戦隊の安全確認が終わる頃には、艦隊の全艦が着陸を終えていた…

 

陸戦隊から"周囲に脅威無し"と報告を受けたアンジェロ中将は、艦隊の施設隊を総動員し臨時キャンプの設営を開始した。

キャンプの設営開始と同時に、同行していた民間人達の下艦も進められていった。

キャンプの設営は、手の空いた軍人や民間人達の協力もあり、4時間強という驚異的な速さで完了したのだった____

 

 

ーーー調査部隊ーーー

 

 

月の基地施設内部の調査を始めたクルーク隊。

その内部は、上空から予想していた大きさよりも数倍巨大なものであった…

 

「随分と広い基地だな……、まさか衛星の内部まで広がっているとは…」

「ここまで広いと、様々な目的で使われていたと予想できますね。主な設備を見るに、メインの機能は造船だと思われますが」

「この基地を復旧する事が出来れば、あの計画の際に使えるかもしれんな…」

 

ロドルフとトイアーが基地施設の使い道を思案している時、"何か"を見つけたらしい部下が声を掛けてくる。

 

「閣下!こちらに、何かカプセルの様な物があります!」

 

部下に呼ばれ、クルークとトイアーの二人が、そのカプセルの様な物を見に行く

 

呼ばれた先で二人が目にしたものは、二人が知っている"あるもの"に酷似していた

 

「これは…、ゲシュ=タム・コア(波動コア)なのか?」

ゲシュ=タム・コア(波動コア)?この小さな物が、ですか?」

「…この形、そしてこの輝き……。

間違い無いだろう。それも恐らく、イスカンダルの純正ゲシュ=タム・コア(波動コア)だ!これがあれば、恐らく現状の2乗倍か3乗倍、いや、それ以上の出力を持ったエンジンを作れるかもしれない!」

「回収されますか?」

「無論だ。図らずも、シャーフ君に良い土産が出来たな」

「奴も喜びます。他には何か有ったか?」

「いえ、これ以外には特に目ぼしい物は」

「そうか。では、ヴィルディアに向かうとしよう」

 

イスカンダルの純正ゲシュ=タム・コア(波動コア)を手に入れたクルーク一行は、ロドルフィアへと戻り、他の調査隊の帰還を待って月を発進、ヴィルディアへと向かった。

 

ーーーーーー

 

月を発進して1時間。ロドルフィアはヴィルディア大気圏への突入準備を進めていた___

 

「現在、ヴィルディア上空1500km」

「艦内各機構、最終チェック完了。2番艦よりの位置ビーコン感知」

「閣下、本艦は何時でも大気圏に突入できます。」

「了解した。大気圏へ突入せよ」

 

クルークの指示を受け、ロドルフィアがヴィルディアの大気圏に突入する。

 

 

キャンプ設営地点の上空から大気圏へ突入したこともあり、夜に移り変わりつつある空に、摩擦による炎が映え、地上からもその様が良く見えていた。

 

「アンジェロ君、ロドルフィアが大気圏に突入した様だ」

「その様だな。無事に衛星の調査が終わった様で何よりだ。」

 

艦体が摩擦熱による炎と、プラズマの光に包まれる中、クルークは衛星にあった基地の事を考えていた…

 

 

クルーク(大マゼランから遠く40万光年以上離れたこのシュリウシアの地に、一体何故イスカンダルの基地があったのだ……。シェヘラザードが有ったこともそうだが、兄弟星とも言える我らガミラスにすら教えられぬイスカンダルの波動技術…、その核心たるゲシュ=タム・コア(波動コア)が何故あそこに有ったのか……)

 

 

「大気圏、突破しました!」

 

 

航海長の一言で、回想中のクルークが引き戻される。

 

 

「艦内機構の再チェック急げ!」

「各部異常なし」

「座標照合急げ!」

「指定座標との誤差無し、キャンプ上空100kmのポイントです。」

「下からのビーコンも継続して受信中です。このまま予定ポイントへと降下して宜しいでしょうか?」

 

(考える事はまた後でもできる。先ずは皆と合流しよう…)

 

「宜しい、降下開始してくれ」

「はっ、降下開始します。」

 

ロドルフィアが、キャンプへ向けてゆっくりと降下してくる。

最初、地上からは豆粒にも満たない大きさでしか無かったが、徐々にその姿がはっきりと見えてくる。

キャンプに居る人々も空を見上げ、クルークの到着を心待ちにして居る。

 

ロドルフィアの下ろした降着装置が接地し、サスペンションによって艦体が沈み込む。

やがてハッチが開きタラップが下りてくる。

徐々に乗員達が下艦し、最後に第3代セカンド・オーダー大将軍、ロドルフ・クルークが艦を降りてくる。

 

艦を降りたクルークを、マーク・アンジェロとシュティーア・シャーフの二人が出迎える。

 

「閣下、ご到着を心待ちにしておりました。」

「ご無事で何よりです。閣下」

「態々すまない、出迎え感謝する。早速で済まないがマーク、セカンド・オーダーの全幹部を集めて欲しい。シュティーア、集会場の様な場所はあるかな?」

「承知しました!」

「直ぐにご案内致します。君も来るだろう?マリウス」

「勿論だ」

 

こうして、ヴィルディアの大地へ降り立ったクルーク達は休むこと無く、新国家建国の為に動き始めた。

 

簡易集会場に呼び出されたセカンド・オーダーの幹部達に、クルークからの指示が飛び、国家設立までの臨時統治機構の設置や、文官達による新憲法制定等の様々な事が実施される事となる。

また、それらと並行しシュティーア・シャーフとマリウス・シュトラス=トイアーを中心にゲシュ=タム・コアの分析が開始され、小型高性能化された新型ゲシュ=タム機関導入への研究が進められる事となる__




遂に辿り着いた希望の地"ヴィルディア"
今ここに、新たなる国家が誕生する__

次回、第3話「芽吹き、新たな試練」
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