外道の華   作:鬼瓦☆レボリューション

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前話投稿から半年以上空いてるってマジ?


再び

【ブラックマーケット・西の大道】

 

"来ちゃったね、ブラックマーケット"

 

 サオリの方を見ると、なんだか浮かない顔をしている。

 

"……どうしたの?"

「その、先生は着いてきて良かったのか? いやもちろん有難いのだが! ……今日もいきなり連絡してしまったし、仕事もたくさんあって忙しいだろうに……」

 

 何だそんなことか。私は笑って親指を立てる。

 

"乗り掛かった船じゃない、最後まで一緒にいさせてよ。……それに"

「……それに?」

"――危険なところに向かう生徒を、先生(わたし)が放っておくわけないでしょ"

「……本当に、先生には頭が上がらないな」

 

 サオリと一緒にやけに静かな道を歩いていると、突然私の胸ポケットから電子音が鳴り響いた。

 

"あ、ごめん。ちょっと電話に出てくる"

 

 首肯するサオリに背を向けて、私はスマホに表示された名前を確認する。――空崎ヒナ?

 

"ヒナちゃん!"

『ヒナちゃ……っ⁉ か、開口一番何を言っているのあなたは』

 

 スピーカー越しに困惑した声を上げるヒナちゃんは、咳ばらいを挟んでから『元気そうで何より』と柔らかく言った。

 彼女から電話がかかってくるというだけでもテンションがブチあがるというのに、久方ぶりのヒナニウム摂取ということで、私の脳内中枢には既に熱異常が巻き起こっている。

 

"ヒナたそ〜、声だけだと先生寂しいな。ビデオ通話にしてくれないかな……"

『えぇ?』

"お願いだよ〜。私とヒナの仲じゃない~"

『も、もう……。まあいいけど、先生もやってね。――あなたの顔も見たいから』

"! もちろん!"

 

 根負けしたのか、ヒナは小声で囁く。

 程なくして、ブゥンという機械音とともにヒナの顔がホログラムで浮かび上がってきた。少しのノイズに揺れる彼女は照れたように俯き、前髪をいじりながら短くため息を吐いた。

 

『――これで、いいかしら』

"最高。もう思い残すことはないよ……"

『縁起でもないこと言わないで。はぁ、本当に呆れた人ね』

 

 彼女はちょっと肩をすくめた後、木陰に咲く一輪の百合のように『ふふっ』と笑った。

 

"それで、どうしたの?"

『……便利屋68って知ってるでしょう。彼女たちのことよ』

 

 ヒナの口から紡がれた予想だにしない単語に、私の頭は一瞬まっさらになる。だがすぐにペンとノートを脳内で持ち、艶がかった白磁の声に耳を傾けた。

 

『最近、彼女たちの動きが不穏なの』

"不穏?"

『ええ。――静かすぎるのよ』

"……いいことじゃない?"

 

 どこかでしたような返事をして、首を傾げる。シャーレの先生であると同時に便利屋の経営顧問でもある私は、彼女たちから相談を受ける機会も多い。……特に、もはや日常茶飯事とも呼べる緊急状態には。

 それにも関わらず、アロナたちが通知を受け取った気配は微塵も無かった。金欠にしても、臨時収入があったにしても、よく考えてみたら不可解なことだった。

 

『先生が知らないのも無理ないわ。……ほら、見栄っ張りで意地っ張りな顔がどこぞの社長の顔が思い浮かぶでしょう?』

"ああ――"

 

 白目をむいている自称社長(陸八魔アル)(イマジナリー)に目を細めていると、ヒナは『ただ』と少し曇った声を漏らした。

 

『便利屋には、鬼方カヨコがいる。そもそも、あいつらは金を手にすれば大騒動を起こすのに、まるで音沙汰無しなのよ。――となれば、恐らくの原因は金欠。だったら彼女……鬼方カヨコが先生に相談しないはずがない』

 

 確かに、カヨコは何も話を持ち掛けてこなかった。カヨコだけじゃない。ムツキも、もちろんハルカも。便利屋の現状を知れたのは、恥ずかしながらヒナのおかげなのだ。私は自分の失態に、心の中で頭を抱えた。

 

"……まあ、そうだといいんだけど"

『――私も、杞憂であることを願っているわ』

 

 そう言って微笑を揺蕩わせるヒナに、私は意地悪な質問を投げかける。

 

"意外と、心配してるんだ?"

『……別に。ウチの行政官が、最近何かにつけてはカヨコさんカヨコさんって煩いだけ』

 

 彼女は眉間に皺を寄せて、深く息を吐き出した。

 

『――そういえば出先のようだけれど、忙しかったかしら』

"ううん、ちょっと用事でブラックマーケットに"

 

 ブラックマーケット、とヒナは言葉と眉の尻を上げる。……そんなに変なこと言っただろうか?

 

『いいえ、気にしないで。最近少しその名前を聞いたものだから、つい。……まあ、先生も変なことに巻き込まれないように注意してね』

"うん、ありがとうヒナ"

『こちらこそ。久しぶりに話せて嬉しかったわ。――お、お仕事頑張って頂戴ね』

 

 最後は言葉を辿りながら、ヒナは逃げるようにして通話を切った。"ヒナはかわいいなあ"と無意識ながら呟いて顔を上げると、なぜかムッとした表情のサオリと目が合った。

 

"あっサオリ……待たせてごめんね"

「全くだ。――どんな重要な話をしているかと思えば、まさか恋人とイチャついているとはな」

"そ、それは誤解だよ!?"

「そうか? 私もあまりそういうこと(・・・・・・)には明るくないと自分でも思っているが、今の会話はどこからどう聞いても恋人同士のじゃれあいだったぞ」

 

 露骨に眉を顰めるサオリに平身低頭で言い訳しつつ、灰色の地面を並んで歩く。日差しは公園にいた時よりも幾分か強まり、コート要らなかったかも、と後悔する。

 ちらりと左を歩く彼女の白い首筋を盗み見ると、透明な雫がうっすらと滲んでいた。

 

"なんか……静かじゃない?"

「言われてみればそうだな。以前訪れた時は、あそこのような場所に半端者が(たむろ)していたような気がするのだが」

 

 サオリのしなやかな指が、半開きのシャッターを指す。そこには無法(アナーキー)な街よろしく、ガムと靴跡で薄汚れたアスファルトの上に数本の吸い殻が虚しく転がっていた。

 

"サオリ、ここにはよく来るの?"

「仕事の一環でな。しかし、ここまで活気がないのは少し珍しいな。どこか違う場所でお祭りでもやっているのだろうか」

"……。最近、お祭りにでも行ったの?"

「⁉ す、すごいな。先生はエスパーだったのか?」

 

 先ほども人気(ひとけ)があることをお祭りに例えていたので、何の気なしに質問する。すると彼女は切れ長の目を純粋に見開いた。

 

「この間、ヒヨリと偶然鉢合わせてな。トリニティの古本を見に行きたいと言っていたから、少し遠出をしてきたんだ。……なかなかの人出だったぞ?」

"それって、例の古書館のイベント?"

「それだ。やはり先生は物知りだな」

 

 アロナの情報もたまには役に立つことがあるんだな。ぼんやりとそう思う。

 

『先生……何か失礼なことを考えてませんか?』

"まさか。ありがとねアロナ"

 

 小声で文句を投げかける青髪の電脳少女に、私は小声で感謝を述べる。……本心だよ?

 

"こんなこと聞くのは心苦しいけど……トリニティに行って大丈夫だった?"

「――問題ない。昔、深夜に突発で行われた潜伏訓練に比べれば造作もないことだ」

"そっ、かぁ……"

 

 何だかとんでもなく過酷な話の気配を察知し、私は口ごもった。

 ――しかし、ブラックマーケット。リンちゃんからの依頼に、ヒナからの忠告。それにいち会社への襲撃。この場所で、いったい何が……。

 

「先生、地図によればここを右だ」

 

 手に持った紙切れを眺め、私に道を譲るサオリ。怪訝に感じながらも赤茶色のレンガ壁を横切る。

 

「…………。」

"? サオリ?"

「――何でもない。次の曲がり角も右だな」

 

 ふと振り返ると、サオリは足を止めていた。思わず疑問の声を漏らすと、彼女は漆黒のキャップを深く被りなおしてまた歩き出す。その後もなぜかサオリは、私を先頭に据えて道案内に徹していた。

 

「……ここも右に折れるぞ」

"ねえサオリ、それだと元いた所に戻っちゃう――むぐ"

「静かに。言った通りにするんだ」

 

 サオリの華奢な手が、私の口を軽く押さえる。こくこくと頷くと、サオリは私の影にぴったりとくっつくようにして着いてきた。

 

「……最悪だ」

"最悪? なにが?"

 

 いまいち状況の飲み込めない私に、サオリは「説明は後だ」と短く口にして顎で先程の曲がり角を示した。

 

 そして、2度目のレンガ壁を折れると。

 

「先生――手を離すなよ!」

"ちょっ、サオリ!?"

 

 今度は力強いサオリの手が、私の手を引っ張った。ぐんぐんと駆けてゆくサオリの背中に、私は足をもつれさせながら喘ぐ。

 

"いき、なり、どうしたのっ!?"

「尾行されている。恐らく、さっきの会社にいたオートマタだっ」

 

 カイザー? あの社長が始末命令でも(くだ)したのだろうか。

 ――様々な疑問を抱えたまま、私の身体は東西南北(じょうげさゆう)にブラックマーケットを引き摺られていったのであった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「すまない、私としたことが尾行に全く気が付かないなんて……。相手の目は誤魔化せたと思うが、しばらくは警戒しながら――先生?」

"ぜぇ……はぁ……。もうちょっと、運動習慣をつけようかな……"

 

 何とか追手から逃げられたらしい私たちは、陰の濃い裏路地に腰を下ろしていた。一切息を切らさずに深々と頭を下げるサオリに対し、地面を見つめて情けなくゼイゼイと肺に呼吸を送り込むことしか考えられない私。相変わらず表通りには雑踏の残滓だけが漂っている。

 それから私たちが汚れたアスファルトから目をお互いの顔に移したのは、しばらく間があってからだった。

 

「……しかし、ここはどこだろうな。尾行を撒くことだけに集中していたせいで、現在地を見失っ(ロストし)てしまったようだ」

"とりあえず、周りを見てから考える?"

 

 サオリは静かに頷くと、物陰から慎重に顔を出し耳を澄ませていた。……ようやく息の整った私は、ともすれば耳鳴りすら聞こえてきてしまいそうなほど――不気味な静寂と肩を並べて、彼女の反応を待った。

 

「……どうやら、一歩遅かったようだ」

 

 ようやく振り向いたサオリの顔は、後悔に歪んでいた。一瞬反応の遅れた私の身体は彼女に担ぎ上げられ、そのまま蓋の開いていたダストボックスの中に投げられる。

 

"ちょっ、どうしたのサオリ!?"

「……囲まれた。ここは私が何とかするから、先生は隙を見計らって逃げてくれ」

 

 サオリの真剣な瞳、その背後の空から徐々に整った足跡――もはや異音とも呼べるそれが、サラウンドで箱の中に反響する。

 

「銃火器を持った大勢のオートマタ……奴らは危険だ。先生を守りながらあいつらと()り合える自信は、はっきり言って無い。ともすれば、先生に重傷を負わせてしまうかもしれない。だから……」

"でも、じゃあサオリは……!"

 

 私は手を伸ばして叫ぶ。――だが逆光に浮かぶ彼女のシルエットは、まるで私の慟哭が聞こえていないかのように微笑んだ。

 

「――嬉しかった、先生。こんなどうしようもない私の、願いを聞いてくれて。……だから、先生は逃げてくれ。逃げて、他の子にもその優しさを届けてあげてくれ。……それで救われたと思える人は、必ずいるはずだから」

"っ、サオ――!"

「……。先生、またどこかで」

 

 プラスチックの蓋が光を閉ざす。風圧に思わず目を(しばたた)くと、そこはもう闇の中だった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「ほう? 先程の追手と同じかと思えば、どうやらそれは見当違いだったようだな」

 

 表通りに出た私は、両側から迫りくる黒いオートマタ達の行進を見渡す。

 数にして、最小規模の小隊――だがオフィスで戦った機械兵とは装甲が若干異なっている。また遠目にではあるが、奴らが持っている突撃銃(アサルトライフル)……恐らく、違法改造が施されている。

 

 

 ざっざっざ。

 

 

 重たい金属音を踏み鳴らしながら、漆黒の軍団が近づいてくる。

 

「……お前ら、マーケットガードだろう。私も少しバイトをしていたから分かるぞ? 昔のよしみだ、少し話をしよう」

 

 これは先生が逃げるための時間稼ぎ……。だが案の定というべきか、彼らの足音が止むことはなかった。――距離にしておよそ10メートル。脚を止めた機械兵たちは電子光の灯っていない頭をやにわに下へと傾けて、一斉に銃を構えた。

 

「分からないな。マーケットガードはブラックマーケットの自治組織、ただ足を踏み入れただけの私になぜ銃口を向けるんだ?」

 

 ……返事はない。私はふう、とため息を吐き、ポケットに手を突っ込む。――先生、どうか無事に逃げてくれ。

 

「どうやら対話は無駄なようだな。少しばかり心苦しいが――貴様らにはここで倒れてもらおう!」

 

 私は腰元から手に取った物体を、勢いよく地面へと叩きつける。

 

 

 パァンッ!!

 

 

 ――瞬間、炸裂音と肌が痺れる感覚。同時に、目の前の敵は次々に銃を手から落とし、膝から前のめりに倒れ込む。

 

「今のは、強力な妨害電波(ジャミング)を周囲にばら撒く爆弾だ。人間にはさほど害をなさないが、貴様らのような機械の身体には十分堪える代物だろう?」

 

 

 タタタタタ!

 

 

 背後から銃撃。回避したと思ったがどうやら掠っていたようで、傷の増えた右頬に熱い液体が枝垂(した)る。ストックを振り上げて突進してきた敵兵の胸板に後ろ蹴りをかまして、再び状況を確認する。……かなり強力な兵器を使ったにも関わらず、小隊の半分ほどはまだ銃を下ろさずにいた。

 

「しぶといな。だが、いつまで()つかな!」

 

 立っているとはいえ、さっきの電磁攻撃を喰らって無事なはずはない。敵の機動力が低下しているうちに勝負を決めるつもりで、まずは密集地帯に手榴弾を投げ込む。――刹那、爆発の衝撃が身体を揺さぶる。何体かには命中したものの、大半は体勢を立て直してすぐさま射撃を行ってくる。降りしきる鉛の雨に濡れないよう、私は全速力でアスファルトを蹴る。

 

「――お前、いい銃を持っているな?」

 

 私は近くにいた敵の足元に滑り込み、下から頭部めがけて銃弾をぶち込む。そして力を失った彼の手から改造アサルトライフルを奪い、アリウス製の愛銃と共に小隊を掃射する。

 

 

 ズガガガガガッ!!

 

 

「……まだ立ち上がるか」

 

 弾倉(マガジン)を交換しながら短く言い捨てる。こいつらが並大抵のオートマタだったら、今頃装甲ごと砕け散っているだろうし、いくらマーケットガードと言えどもただでは済まない傷を負っているはずだ。だがこのオートマタ達は落とした銃を何度でも拾い上げ、気でも()れているかのように攻撃の手を止めない。仮に腕が機能しなくなっても、体当たりでこちらへと突っ込んでくる様には、アリウス出身の私でさえ背筋が凍る思いがした。

 

 ――ゴトン。

 

「!? しまっ――」

 

 滲み出る不気味という感情に、一瞬反応が遅れた。足元に転がる手榴弾にピンは無く、私は襲い来る業火と爆風を予期して咄嗟に腕で顔を守る。

 

 

"サオリ、危なーいっ!!"

 

 

 ――瞬間、何かに突き飛ばされる感覚。

 

 ボゴォンッ!

 

 やや遅れて、手榴弾の炸裂。そのまま私の身体は荒いアスファルトを擦るかと思ったが、柔らかいものによって力強く抱き留められた。

 

"サオリ、だいじょうぶ!?"

「せ、先生!? どうして、逃げたはずじゃ……」

 

 倒れた私と地面の間には、息を荒くした先生の身体があった。事態を飲み込めない私に、先生は優しく微笑みかける。

 

"私がサオリを置いて逃げるわけないでしょ。最後まで一緒にいるって言ったの、忘れちゃった?"

「あ……」

"あと、私だって生徒に助けられてばっかりじゃあカッコつかないからさ。……少しサオリにいいところ、見せないとね"

 

 そう言って先生は、懐からタブレットを取り出す。……そうだ。この人は、こういう人だった。――私は立ち上がって、座っている先生に手を差し伸べた。

 

"ほっ――と。ありがとうサオリ"

「気にするな。……ぐっ」

 

 先生の顔を見て気が緩んだのか、はたまた長い間全力疾走をしていて全身に酸素が回っていなかったのか。ぐらりと視界が歪んだ私は、奪った方の突撃銃をアスファルトに突き刺し、どうにか倒れるのを堪えた。

 

「――! 危ない、先生!」

 

 未だに十全でない目で捉えたのは、身体を軋ませながら先生めがけて突っ走るオートマタの姿。だが先生は一歩も引かずに、ゆったりとした笑みを浮かべた。

 

"あとね、サオリにいいところ見せたいってのは、どうも私だけじゃないみたいだよ?"

 

 

 ――バァンッ!

 

 

 敵の爪が先生の喉元に触れる寸前、その姿は激しい轟音とともに真横へ吹き飛ばされる。

 

「これは……狙撃? いったい誰が――」

「やだなあサっちゃん。私たちの武器の音、忘れちゃった?」

 

 ――背後から聞こえたそれは、鈴が鳴るような、可憐な声だった。死線と死線が絡み合う戦場において、最も不釣り合いな彼女の呼び名。真っ先に()ぎったその言葉を喉元で堪えて……。

 

 ――愛すべきスク()ッドの名前を、私は呟いた。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

"アツコ、ミサキ! 久しぶり!"

 

 私が全力で手を振ると、アツコは淑やかに手を振り返す。が、隣にいたミサキは、顔を真っ赤にして大きな舌打ちをする。

 

「やめて、(だい)の大人が恥ずかしい……」

「ふふ、ごめんね先生。ウチのミサキは照れ屋さんだから、誤魔化してるだけなの」

"そっか! そんなミサキも可愛いよ!"

「姫も先生も、勝手なこと言わないで……!」

「――話したいことは山々だが」

 

 銃声が響き、オートマタが1体倒れる。片手で蒼い突撃銃を撃ったサオリは、もう片方の手で地面に刺さった黒い突撃銃を引き抜く。

 

「とりあえず、この状況を脱するぞ。……アツコ、ミサキ、ヒヨリ、そして――先生。力を貸してくれ」

 

 サオリは遠くの建物をちらりと見た後、鋭い目で私たちのことを見据えた。

 

「足引っ張らないでね、サッちゃん?」

「……早く命令して。ヒヨリ、援護の準備を」

"私はみんなのサポートに徹するよ"

「……。すまない。アリウススクワッド――戦闘開始」

 

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