「さ、入って入って。椅子に座ってこれからについて話しましょ」
「おじゃましま〜す…」
あれから1~2週間くらい経ちました。
ようやく、ようやく外に出れた…!
久々のシャバだぜぇテンション上がるなぁ!!
今はホロウ抜け出してアカリの家におじゃましているところだけど、やっぱいいとこのお嬢様なのかな?家はデケェし家具も高そうですわね。
ちなみに懸念していたホロウ外での実体維持なんだけど、なんか全然余裕。
理由はよく分かってなくて、外に出た時2人でやっぱりおかしくね?と首を傾げた。
自分の身体のことだけど僕もサッパリ分からないぜ!
まあ霧散してTheENDってなるよか全然いいし、むしろありがたいね。
僕の謎パワーに感謝感謝。
「まず話す前にこれね。とりあえず予備のも含めて3つ。あとこっちもね」
「うっひょー!こんな短い間に作ってくれるなんて…本当にありがとう!アカリ好き!愛してる!抱いて!」
「はいはい、お礼を言うなら作ってくれた人達にね。壊さないように気をつけなさいよ」
ふふふ、これで僕のホロウ外での生活が捗るってもんですよ。
今僕が貰ったのはこのホロウ外で生きる上での生活必需品、そうそれは…!
メンダコマスク(ハイテク)とメンダコフードケープ!!!
…………なんだよ、文句あんのかよ。そうだよ僕の趣味だよ。
この世界にメンダコの概念があって心底ホッとしました。僕は生きていけないですメンダコがいないと。
しかしなぜこんな趣味に走っているかというと、それはこの世界の今の状況に関係していましてぇ…。
聞くところこの世界はどうやら結構追い詰められてるらしいんですよね。
街の賑わいとか見る限りだとそうは見えなかったんですけど。
元々エリー都なる場所があったらしいんですが、それがユリちゃんが亡くなる原因となった旧都陥落事件、零号ホロウの急激な拡大によって消えてしまったと。
そして今のここ『新エリー都』が人類にとって最後の地となっており、ホロウをどうにかしようと人類が頑張っている←イマココってことなんですわ。
ホロウの中が世紀末世界でホロウの外は終末世界って…終わってんねぇ!
そうして僕はこの冴え渡る頭で考えました、この終末世界でどう生きるかを。
そうだ!いつ滅びるか分からんなら、やりたいことをやれる内にやらないのもったいないよね!
この考えに至ったんですよ。
だから僕はこの世界でメンダコの可愛さを知らしめて、一大ムーブメントを起こし神になります。(なれない)
まあそれはそれとして僕はあまり顔とか見せない方がいいので顔が見えずらくなるフードケープとそもそも目元を隠せるマスクをチョイスしたんですがね。
「で、早速本題に入りましょうか。始めにあなたがここで普通の生活が出来るように私が考えてきたプランなんだけど」
「うん」
「まず半年以内にこの家を出て完全に自立してもらいます」
「そりゃあそうですよね〜。何時までもお世話になるわけにもいきませんし。生計のめどが立ち次第、なるはやでそうさせてもらいます」
「よろしい」
流石にニートやヒモは良くないですからねぇ…。
それに彼女は心を許してくれてるみたいだけど、僕みたいな得体の知れないバケモノが近くにいるのはバレた時にとてもよろしくないんですよ。
だからちゃちゃーっと自立して離れちゃいましょうね〜。
「言っておくけどこれはあなたと私の物理的距離を離したいために提案した訳ではないわよ。これはあくまでユーマが普通の生活を送れるようにするため。だからここを離れてもいつでも遠慮なく遊びに来ていいからね。わかった?」
「うへぇ…ナチュラルに心読まないで…」
「はぁ、まったく…。ああそうそう、普通に生活する上でこれも必要だったからツテを頼りに作ってもらったわ。はい、あなたの戸籍と住民票」
「ああ、ありが……え、いつの間に?というかツテ??」
「そこはあんまり深くつつかないこと、いい?」
「い、イエッサー」
こんな短期間で架空の人物の戸籍と住民票作れるって一体どんなツテなんですかねぇ…ボクニハサッパリダァ。
でも何にせよこれがないと普通の生活は始まりませんからね、めちゃくちゃありがたい。
あっなるほど、この前適当な人に化けて写真を撮ったのはこのためだったのか。
道理でその姿は絶対忘れずにって言われたわけだわ。
「で、次。何で生計を立てたい?」
「今のところ考えてるのはホロウ専用の失せモノ探し屋さんとかどうかな〜って考えてます。ほら、ホロウの中に置いていかざるを得なくて大事な物を無くしちゃった人も多いって言ってたでしょ?僕なら探すのも難しくないし、エーテリアスにも襲われないし、活動時間にも制限がないからうってつけかなって」
普通のホロウレイダーでもやってる事ではあるけど、ホロウの中で無くしたモノを探すのは結構めんどくさいはずなので労力に見合わないとそもそも探し物の依頼を受けないなんてことがあると思うんですよね。
そこを僕なら安全かつ記憶レーダーを頼りにスマートに探すことが出来るからこの隙間に入り込めるんじゃないかと踏んでるわけですよ。
いわゆる隙間産業ってやつですな。
「なるほど…悪くないんじゃない?活かせるものは活かしちゃった方がいいわ。稼ぎはそれだけで足りる?」
「ん〜足りないならバイトをやるとか、インターノットから自分でも出来そうな依頼を適当に探してどうにかするよ」
「…もし本当に困ったなら私に言いなさい。仕事持ってきてあげるから」
「え、ほんと?じゃあヤバくなったら頼ろうかな」
「ええ、そうしなさい」
っぱ頼りなるのはアカリ様なんですわぁ!
へへへ、やばくなったら脛をかじらせていただきますねぇ。(ニチャア)
「ああでも一つだけ、迷ってることがあってですね…プロキシ?さんをどうしようかなぁと」
「どうしよう、っていうのは?」
「ほら、なんだかんだ言って僕って結構デリケートな存在でしょう?それこそ正体ができる限りバレたくないくらいには。
ホロウを楽に行き来するにはプロキシさんがいたほうがいいんですけど、そこから僕の情報が漏れ出る可能性もあるわけでして…。
僕ならホロウでも生きていける身体ではあるから、プロキシさんがいなくてもゴリ押しでどうにかすることはやろうと思えばできるんです」
「なるほどね。利便性を取るか、情報の機密性を取るか悩んでいる、と」
これはすごーく大事です。
何度も言いますが僕ってば人間だけど身体は正直なことにエーテリアスで、これがバレてしまうっていうのは普通の生活をしたい僕にとってかなり致命的なんですよね。
即追放もしくは討伐ですよ。あっという間にお陀仏orホロウ生活に逆戻りです。
だから何かの間違いでプロキシさんに僕の正体がバレて、然るべきところにリークされたりすると僕はそのプロキシさんを、もう殺すしかなくなっちゃったよ、しないといけないんですね。
冗談ですが。
しかし逆にプロキシさんがいればホロウの行き来はかなーり楽になります。
身体はエーテリアスな僕といえどホロウの内部構造を完全に把握出来るわけではないので、プロキシさんのサポートがあるに越したことはないんですよね。
仕事を円滑に進めようとするなら尚更。
だからプロキシなしだと僕の秘密が漏れる心配はないけど、代わりに出入りが大変で仕事の出来も不安定。
プロキシありだと利便性は上がって仕事も捗るけど、秘密が漏れる心配があり普通の生活喪失の可能性。
なので僕としては『例え秘密を知ったとしても黙っていてくれる口の堅いプロキシが欲しい』なんですが、果たしてこの終末世界にそんな誠実なプロキシさんが居るのでしょうか???
「…後で私のツテに当てがないか聞いてみるわ。見つからなかったらごめんなさいね」
「何から何までありがとう、アカリママ…」
「残念だけど認知はしないわよ…さ、どんどん詰めれるところは詰めていきましょ。それが終わったら出前でピザでも頼みましょ」
「さあどんどん話を進めていきましょう。次はなんですか?住む場所?契約の確認?」
「ふふっ露骨ね。それじゃあまずは───────」
久しぶりに食べたピザは死ぬほど美味かった
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羊飼い:よう、我が友よ俺だ。誰だか分かるだろう?俺だよ俺。
パエトーン:これは老人しか引っかからない悪質な『オレオレ詐欺』ってやつだね。ブロックしておこうか。
羊飼い:おいおい、あまりの塩対応におっさん泣いちゃうぜ。
羊飼い:ま、そんな俺のことは置いといて、あんたに新たな顧客の紹介をしようと思ってな。
羊飼い:先方は長期的な契約を望んでいるようだ。ほんの少しだけ条件を付けてだがな。
パエトーン:長期的な契約…何をしようとしてるかは知ってる?
羊飼い:ああ、ホロウ内専門の探し屋をするらしい。ホロウ内の失せ物を探すのは苦労するからかその手の依頼は余りがちでな、そこに目をつけたんだろう。
パエトーン:なるほど。じゃあ条件っていうのは?
羊飼い:『機密の絶対の遵守』これだけだ。つまり先方にとって隠すべきことをあんたが見たとしても絶対に黙っていろってことだ。その条件を呑んでくれるなら3割増しだそうだ。
パエトーン:3割増しか〜…うーんもう一声欲しいな
羊飼い:やっぱりか。実は先方にはそれでダメなら5割増しでとお願いされてるが、どうだ?
パエトーン:5割増し…うん、それならいいよ!
羊飼い:そうか!なら契約成立だな。
羊飼い:ああ、それとこれは出来ればでいいんだが、本人が契約するプロキシと面と向かって会いたいと言っててな。本当に秘密を黙っていてくれそうかどうか見極めたいんだとよ。
羊飼い:今回の契約者は黒いことは一切してないクリーンなやつだ。この契約を依頼してきた先方も信用できるやつだと俺が保証する。
羊飼い:どうだ、会うか?
パエトーン:うーん…ちょっと考えさせて
「お兄ちゃんこれどうする?」
「面と向かって会いたい、か。向こうも誠実な姿勢は見せてるし、その要望に応えてあげたいけど…直接は少しリスクかもしれないな」
「うーん断っておく?」
「そうだな…「すいませーん!ここのビデオ借りたいんですけどどうすればいいですかー!」おっとお客さんだ。リン、お願いできるかい」
「うん。はーいすぐ行きまーす!」
フロアに出るとレジ前に可愛らしいデザインのフードケープを被った人が待っていた。
オーバーサイズなのか、フードが目深で顔はよく見えない。
「えーっと多分初めてのお客さんかな?」
「はい、初めてです!」
「じゃあ会員証作ろっか。ここに名前とか書いてくれる?」
「分かりました。…それにしてもここ良いですね。店内の雰囲気も、品揃えも。どれも知らない作品でワクワクしてます!あ、これ書き終わりました」
フードで相変わらず表情はよく見えないが、雰囲気からソワソワワクワクしているのが伝わってくる。
「えへへ、ありがとう。えっと名前は『ユーマ』さんで合ってるかな?」
「はい合ってます。えっと良ければなんですけど店員さんのおすすめを教えてくれますか?どれもこれも目移りしちゃって」
「そうだなぁ…まずどんなジャンルが見たい?はい、これ会員証」
「ありがとうございます。コメディ系がみたいですね。とにかく面白いのならなんでも」
「じゃあこれとかどうかな?主人公の男がある日ボンプになってて、自分の身体を取り戻すために冒険するハチャメチャな作品なんだけど」
「お〜とっても面白そうですね。これ借ります!」
「まいどあり〜」
そのままユーマさんは上機嫌でお店を出ようとしたが、突然何かを思い出しかのようにバッ!と振り返った。
「そういえば店員さんお名前は?」
「私?私はリン」
「いい名前ですね〜。じゃあリンちゃんまた次もおすすめ教えてくださいね〜。バイバーイ!」
「は〜い、待ってるからね〜……ふぅ、なんか凄い元気な人だったな」
嵐というより突風のような人だった。
一瞬でやって来て、一瞬で帰っていったがとても印象に残る人。
何はともあれ新たな顧客ゲットは喜ばしいことだ。
「お兄ちゃん、新しい顧客ゲットしたよ。さっき楽しそうに1本借りていってた」
「お、それはいいね。こっちでもそっちでも同時に顧客を獲得とは今日はツイてるね」
「それで、結局契約する人とは会うの?会わないの?」
「色々考えたけど、長期の契約となるといつかは顔を合わせないといけないだろうから───────」
パエトーン:いいよ。ウチの店でなら会っていい。
原作本編はまだ開始してません。
補足ですが、ゆーまちゃんは基本エーテリアスに襲われることはないですが、ゆーまちゃんからエーテリアスを殴った場合は流石にゆーまちゃんも襲われます。