『魔王』 アルバート・ソーン   作:アーっr

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アストリアが原作より一年年上なのはわざとです。
本作品の展開上、そうしなければいけなくなってしまいました。
2歳下の嫁が好きな原作ドラコ・マルフォイ氏に、深く謝罪いたします。


勉強する意味

 

 

 「うおおおおおお!!!」

 

 「喧しい!貴様は獣か!」

 

 吠えずにはいられない!だって、だって!

 

 「脱狼薬の簡略化に成功したぞぉぉぉ!!!」

 

 「叫ぶなソーン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 長かった。

 ほぼ一年かけて、ようやく簡略化に成功した。

 

 マグルの知識や、途中で錬金術で学んだことも組み込んで、なんとか完成させることができた!

 

 「さて、この知識を共有しなければ」

 

 正直狼人間に対する世間の評価は低い。

 しかもただのホグワーツ生である俺が声を上げたとしても、誰も聞いてくれないだろう。

 

 「先生の知り合いで、魔法薬学に詳しくて顔が広い人っていますか?」

 

 なら、誰か声が大きい人に広めて貰えばいい。

 

 「·········いるとも。かつてホグワーツで魔法薬学の教鞭をしておられた、スラグホーン教授が」

 

 「じゃあ連絡してくれません?」

 

 「··················いいだろう」

 

 めっちゃ嫌な顔してる。

 あとで甘いものでもあげようかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さてドラコ。自習クラブを再開するか?」

 

 「ああ。僕にも一年生が何人か、相談に来た。 “どう勉強すれば良いかわからない”ってな。特に、闇の魔術に対する防衛術のことで」

 

 「あー。うん。あれはなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「私だ」

 

 いきなり出てきた。

 

 「ギルデロイ・ロックハート。勲三等マーリン勲章、闇の力に対する防衛術連盟名誉会員、そして、『週刊魔女』五回連続『チャーミング・スマイル賞』受賞__もっとも、私はそんな話をするつもりではありませんよ。バンドンの泣き妖怪バンシーをスマイルで追い払ったわけじゃありませんしね!」

 

 ロックハートはみんなが笑うのを待ったが、誰も笑わなかった。

 

 「全員が私の本を全巻揃えたようだね。たいへんよろしい。今日は最初にちょっとミニテストをやろうと思います、心配ご無用__君たちがどのぐらい私の本を読んでいるか、どのくらい覚えているかをチェックするだけですからね」

 

 テストペーパーを配り終えると、ロックハートは教室の前の席に戻って合図した。

 

 「三十分です。よーい、はじめ!」

 

 

 

 

 

 

 1 ギルデロイ・ロックハートの好きな色は何?

 2 ギルデロイ・ロックハートのひそかな大望は何?

 3 現時点までのギルデロイ・ロックハートの業績の中で、あなたは何が一番偉大だと思うか?

 

 こんな質問が延々三ページ、裏表に渡って続いた。最後の質問はこうだ。

 

 54 ギルデロイ・ロックハートの誕生日はいつで、理想的な贈物は何?

 

 全部本に書いてある内容だ。

 そして、当然俺は予習として全巻読んだ。

 つまり。

 

 「チッチッチ__私の好きな色はライラック色だということを、ほとんど誰も覚えていないようだね。『雪男とゆっくり一年』の中でそう言っているのに。『狼男との大いなる山歩き』をもう少ししっかり読まなければならない子も何人かいるようだ__第十二章ではっきり書いているように、私の理想的な贈物は、魔法界と、非魔法界のハーモニーですね__もっとも、オグデンのオールド・ファイア・ウィスキーの大瓶でもお断りはいたしませんよ!」

 

 「おや·········アルバート・ソーン君の答えは面白い!どこですか?」

 

 ゆっくりと、手を挙げる。

 

 「現時点までのギルデロイ・ロックハートの業績の中で、あなたは何が一番偉大だと思うか?という問いに対し、君は“差別をしない心”と回答しましたね」

 

 「あなたの著書を端から端まで読みましたが、あなたが戦うのは基本的に“相手が悪だから”です。魔法使いとか、魔法生物とか、相手に関係なく、『正しい事を行う』ことが中心に描かれています」

 

 「素晴らしい回答です!そしておめでとう!満点です!」

 

 これ(満点)は、当然の結果だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あの後の授業も、劇で物語の再現しかしてないしな」

 

 役者はやったことがなかったから楽しかったが、闇の魔術に対する防衛術の授業としては駄目だろう。

 

 「僕たち(スリザリン)はまだましだ。お前がいるからな」

 

 「じゃあ、明日から再開するから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あの、先輩。ここはどうすればいいんですか?」

 

 「ああ、これはな··················」

 

 生徒同士で教え合っている。

 コミュニケーションと勉強、両方できるいい機会だ。残念なのは·········

 

 「「「··················」」」

 

 怯えられている。

 下級生は俺に話しかけてこない。

 

 「あの、先輩」

 

 「ああ、アストリア。どうしたんだ?」

 

 「正直に言ってください。この勉強は、将来の役に立つのですか?」

 

 うお、教師が言われて面倒なこと第二位だ。

 ちなみに一位は“彼女いますか”だ。

 

 「「「··················」」」

 

 他の生徒も俺を見ている。

 みんなおんなじこと思ってるんだな。

 

 「よし。じゃあ、考えてみよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ”人生は当てのない旅だ“。とある人は言った。

 

 「では、みんなは今から旅人だ。森を越え、野原を越え、あと少しで目的地に着く」

 

 「ああ、だがなんと!あと少しなのに川が邪魔で目的地に着けない!」

 

 「さて、君たちはどうやって目的地に着く?」

 

 これはある種の実験。

 勉強の大切さを伝えられるのか。

 

 「じゃあ·········そこの君。君ならどうやって目的地に行く?」

 

 「え?えーと·········迂回します」

 

 おお、いい考えだ。

 

 「確かに。川は山から流れるものだからね。迂回して別の道を通るのも一つの手だ」

 

 「はい」

 

 アストリアが手を挙げる。

 

 「はいアストリア。君はどうする?」

 

 「魔法で橋を掛けます」

 

 「それもいい考え方だ。時間と労力を掛ければ橋を作れるだろう」

 

 だが、魔法はもっと自由(・・)だ。

 

 「クラッブ。お前はどうする?」

 

 「え〜。うーん。空を、飛ぶ?」

 

 よし来た!

 

 「おお、まさに『魔法的』な答えだ。箒で、あるいは何らかの魔法生物などの力を使って、俺たちは空を飛べる」

 

 「ゴイル!もう一息!」

 

 「·········出来ないけど、『姿くらまし』?」

 

 よし!ちゃんとわかってる!

 

 「これは今まで挙げた案の中で最も難しいが、効果的だな。瞬間移動してしまえばいい」

 

 「さて·········まだあるぞ。分かる奴はいないか?」

 

 「川を止めればいい」

 

 「おお、ノット!その通りだ!熟練の魔法使いでもなければそんなことは出来ないが、逆に言えば、頑張れば出来る(・・・・・・・)

 

 

 

 さて。

 

 「多くの案が出た。じゃあ、この中でどの手段を取りたい?」

 

 

 「迂回は確実だが、時間がかかる」

 

 「魔法で橋を掛けるのも同様」

 

 「道具無しで空は飛べない」

 

 「『姿くらまし』は免許が必要」

 

 「川を止めるには、研鑽を積む必要がある」

 

 

 さあ、何を選ぶのだろうか。

 

 「選んだ手段によって、それが必要とするものは違う。時間か、道具か、努力か」

 

 「難しい手段を選べば、難しい人生になるだろう。だが、それ故に得るものも大きい」

 

 必ず、跳ね返ってくる。

 

 「みんな、帰る時(・・・)のことは考えたか?」

 

 

 「迂回するなら、どれだけ時間がかかる?」

 

 「橋を掛ければ、壊れるまでは使えるだろう」

 

 「空を飛ぶ時、道具が壊れない保証は?」

 

 「『姿くらまし』は他の目的地へ行く時も使えるだろうな」

 

 「もしかしたら、川の底に宝が埋まってるかもしれない」

 

 

 跳ね返ってくるそれ(・・)が楽にしてくれるのか、苦しめてくるのかは手段次第だ。

 

 「最高なのは、全部やる(・・・・)だ。幾つもの手段を用意していれば、一つ駄目になっても目的地に着ける」

 

 だが、そんなの無理だ。

 

 「だから考えるんだ(・・・・・・・・)。自分にとって最適な手段は、どれなのか」

 

 「その最適な手段を考えるために。あるいは、用意するために、勉強があるんだ」

 

 分かってくれたかな?

 

 「·········ありがとうございます、先輩」

 

 「いいよ。なんでも聞いてね」

 

 「では一つ聞かせてください」

 

 うお、行動力ありすぎ。

 もう質問するのか。

 

 「先輩だったら、どうやって目的地に向かいますか?」

 

 俺だったら、か。

 よし。

 

 「俺が使う手段を当てた奴には、学年一位を狙える授業をしてやる。誰でもいいぞ。当ててみろ」

 

 「橋!」

 

 「空だろ!」

 

 「いや、川を止めるんだ!」

 

 おうおう、みんな必死に考えてる。

 

 「こんなの簡単だな。コイツがやりそうなことなんて、大体分かる」

 

 「お、ドラコ。じゃあ言ってみろ」

 

 「『泳ぐ』、だろう?」

 

 ドラコ、お前·············

 

 「お前がただ魔法を使ったり、ましてや迂回なんかするはずがない」

 

 「お前は、正面からぶち壊す」

 

 

 

 

 「おめでとう!正解だ!」

 

 いやあ、やっぱり俺たちって親友だな!

 心が通じ合ってる!

 

 「やめろうるさい」

 

 「照れなくていいから!」

 

 「違う!」

 

 

 

 




アルバート理解度の高いフォイフォイ。
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