『魔王』 アルバート・ソーン   作:アーっr

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その『愛』は呪いのようで··········


必要

 

 

 「ここはこういう魔法で·········」

 

 『この形状だと·········』

 

 結局、先輩(・・)と契約した。

 

 朝も、昼も、夜も。寝る間を惜しんで、なるべく休まずに『鍵』の作成について話し合っている。

 

 早く『鍵』を作りたいという考えもあるが、それ以上に、先輩(・・)を常に監視する必要があった。

 

 

 

 『寮の中でいつまでも考え続けても、うまくいかないだろう?いい場所を知ってるんだ』

 

 「··················それは?」

 

 

 

 

 

 

 

 物、物、物、物。

 

 一体どれほどの物があるのだろう。

 椅子、酒、像·········本当にさまざまだ。

 

 「ここなら、僕も外に出て一緒に特訓出来るね」

 

 「·········外に出る必要性は?」

 

 「日記だといちいち文字を認識しなきゃいけないだろう?でも、僕が外に出れば、こうして声で伝えられる。効率的だね」

 

 ·········確かに。その通りだ。

 

 「·········じゃあ、まずは場所を整備する。流石にガラクタだらけで特訓どころじゃない」

 

 「そうだね。杖を貸してくれるなら、僕も手伝えるんだけど·········」

 

 「·················いや、自分でやる」

 

 この魔女を、信じてはいけないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「··················おい、ソーン」

 

 「あ、ドラコ。どうした?」

 

 「お前、その·········大丈夫か?」

 

 いきなりどうした。

 

 「いや、お前、疲れてないか?」

 

 「··················まあ、確かに」

 

 なるべく休まず先輩(・・)の監視をして、しかも常に力を吸われている。

 

 「少しは休め。いくらお前でも、ヤバいぞ」

 

 「ドラコ·········心配してくれるのか?」

 

 「違う!お前が変な事をしないか、僕はそれを気にして────」

 

 「ありがとう、ドラコ」

 

 「────」

 

 やっぱりドラコは親友だな。

 

 「じゃあ、ちょっと休む。なんかあったら起こして」

 

 「僕たちはハロウィンパーティーに行く。お前も起きたら来い」

 

 分かった。じゃあ、おやすみ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やあ、アルバート。猫が石にされたらしいね」

 

 「お前………!」

 

 「あれ、怒ってる?でも、『誓い』は“殺さない”って言っただけで、『石にしない』とは言ってないよ」

 

 ああ、その通りだ。俺がかつてそうしたように、『誓い』の抜け道を使っただけだ。

 

 俺が怒っているのは、あくまで自分。

 俺が目を離したせいで、こいつは勝手に動いた。

 

 「君のおかげだよ。普通だったら、死ぬ寸前くらいまで吸わないと僕は肉体を持てない」

 

 「でも君はすごい!こんなに吸っても、まだ余裕がある。魔法力では僕の完敗だね」

 

 「………もう、いい。この話はやめる」

 

 結局、こいつは殺せない。

 せいぜい石になるだけだ。

 

 しかもそれは、薬で解ける。

 

 「『鍵』の中に、錬金術の要素を入れるつもりだ。ここに本がある。読んでおけ」

 

 「いいのかい?今まで、僕になるべく知識を与えないようにしていたのに」

 

 「そんなことを言ってる場合か。このままじゃ、『鍵』は作れない」

 

 一ヶ月経ったが、進捗は2%ほどだった。

 あと4、5年経てば完成するだろう。

 だが、二年後には────

 

 「『誓い』に従って、君が外の僕を復活させる」

 

 「………ああ」

 

 だからこそ、二年以内に、『鍵』を完成させなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ねえ、アルバート。こうすれば………」

 

 「いや、それを言うなら………」

 

 高め合う。競い合う。

 初めてだ。いつも簡単に一番をとれた。

 

 ああ。

 

 「こんなに楽しいのは初めてだよ、アルバート」

 

 「………そうか」

 

 彼は僕の人生を知っている。開心術で、僕の感情も知っている。

 

 「君は有象無象の魔女や魔法使いとは違う!

君だけだ!一緒にいて楽しいと思えるのは!」

 

 穢れたマグルの父も、愚かな魔女の母も。

 ホグワーツの教授も、同級生たちも。

 

 醜かった。愚かだった。僕は、嫌いだった。

 

 

 孤児院にいた頃からそうだった。

 僕が一番で、全てを支配出来る。

 僕が()で、他は下だった。

 

 僕が、僕だけが頂点だった。

 

 

 

 

 

 

 

 ああ、分かるとも。この魔女は、本心から楽しいと思っている。

 

 「なあ、アルバート。僕と一緒に、全てを支配しようよ。死を克服して、永遠に一緒に生きよう」

 

 先輩(・・)の黒く美しい髪が、俺の首に当たる。

 吐息が、耳にかかる。

 

 「ああ、『愛』だなんて馬鹿らしい、愚かなものだと思っていたけど」

 

 先輩(・・)の体がしなだれ掛かる。

 体温が、伝わる。

 

 「母も、こんな気持ちだったんだろうね」

 

 先輩(・・)の、眼が。

 吸い込まれそうな、黒い眼が、俺をみている。

 

 

 

 

 

 「··········なんで嘘を吐かないんだ。今までさんざん演技して、騙してきたのに」

 

 「君に嘘は吐きたくない」

 

 心を、見る。

 

 ··········本心からそう思っている。

 

 ああ、分かるとも。

 この魔女は、最初から、ずっと。

 

 ずっと、本心を語っている。

 

 「ねえ、アルバート。蛇語を、学んでみない?」

 

 「··········なぜ?」

 

 「君と僕だけが分かる言葉で、会話したいんだ」

 

 「··········分かった。先輩(・・)が教えてくるのか?」

 

 「任せて。きっとすぐに話せるようになるさ」

 

 

 

 

 




彼は『愛』を拒めない。
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