『魔王』 アルバート・ソーン   作:アーっr

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まさかの助け(マーリンの髭)


相談

 

 

 

 「さて、アルバート。儂に何か、相談があると聞いたが?」

 

 「·········爺さん、前に言ったよな。”善意から来る行為でも、他者を傷付けることがある“って」

 

 「おお、覚えているとも。儂は年老いているが、去年のことくらいは鮮明に思い出せる」

 

 「···········俺は今、善意で行動してる。確かに、迷いもあるし、他の考えもある。でも、確かに善意で動いてるんだ」

 

 だから。

 

 「もし、俺が。誰かを傷付けるようなことがあったら」

 

 「俺を、止めてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 「···········良いとも。しかし、他の者には相談したのかね?」

 

 「他···········?」

 

 「まずは君の周りの、君を心配してくれる友や、先生方に頼るべきじゃ」

 

 「君の考え。君の迷い。それらを君一人で解決する必要など無い」

 

 「一人で全てをこなそうなどというのは、傲慢で、愚かな者のすることじゃ」

 

 ···········そう、か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ロックハート先生。実は、相談したいことがあります」

 

 「おお、ソーン君!女の子の扱いかね?それとも有名になる方法?何でも聞きなさい!」

 

 「·······どちらかと言うと、女の子の扱いですね」

 

 「おやおや!確かにソーン君は、私には及びませんが、かなりのイケメンですからね!さあ、どう言う相談ですか?」

 

 「実は···········俺の、尊敬してる女の先輩が、悪いことをしそうなんです。止めるべきなのは分かってるんですけど···········」

 

 「ソーン君はその先輩が好きだから、どうすべきか迷っているんですね?」

 

 「はい···········」

 

 正直相談相手を間違えたかもしれない。

 でも、誰にも相談しないよりは良いはずだ。

 

 「君は最初の授業で、”現時点までのギルデロイ・ロックハートの業績の中で、あなたは何が一番偉大だと思うか?“という問いに対し、『正しい事を行う』ことが最も素晴らしいことだと言いましたね」

 

 「では、君が実践するべきです。尊敬する私の、最も偉大な業績を、今度は君がやってみなさい」

 

 ·········マジか。

 

 「覚えていたんですか?俺の回答を?」

 

 「覚えているとも。私はファンレターは一つ一つ手書きでサインをして返すんだ」

 

 「───先生、ありがとうございました」

 

 「また何かあれば来なさい。私は、ファンの声にいつでも応えるさ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 厨房。

 ホグワーツ全体の料理が作られるその場所に、その男はいた。

 

 「アルバートお坊ちゃま!追加の料理でございます!」

 

 「ああ、ありがとう。これ食い終わったから下げて良いよ」

 

 おおよそ6人前と思われる大皿を完食し、また次の料理を食べる。

 

 肉を、野菜を、骨すら残さず食べ尽くす。

 その全てを、己の力に代えていく。

 

 「足りない(・・・・)。もっとだ。もっと、強くならなきゃいけない。魔法力も、体力もまだ足りない」

 

 かれこれ数時間が経過している。

 食べた量で言えば、まさにホグワーツ全体。その一日分ほどだろう。

 

 明らかに、大きくなっている(・・・・・・・・)

 ただ太ったわけではない。

 

 身長は10cmほど伸び、170cm前後となった。*1

 生気を失っていた体に熱が入る。

 

 腕、胴体、脚。力が漲る。

 体重も増え、さらに筋肉質になった。*2

 

 

 

 

 

 

 

 「【開け】」

 

 「【いいね。どんどん上手くなってるよ】」

 

 蛇語もかなり上手くなった。

 

 「【そう言えば、アルバートは七変化だよね。だったら、動物もどき(アニメーガス)に挑戦してみない?】

 

 動物もどき(アニメーガス)

 

 特定の動物に好きなときに変身することができる魔法。

 習得の際どの動物かは選ぶことはできず、当人の資質にもっともふさわしいものに姿を変えることとなる。

 この能力を身につけるのは非常に難しく、その危険性と能力が悪用されるのを防ぐため、魔法省が厳しくその動向を監視しており、「動物もどき」は名称やその特徴を記した登録簿が作成されている。

 

 

 

 「【変身術の要素も、『鍵』の作成に応用出来るかもしれないよ】」

 

 「【………わかった。やってみよう】」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルバート・ソーンが変身する。

 人の形を外れ、どんどん大きくなっていく。

 

 小さい建物くらいならすっぽり入りそうな『必要の部屋』の天井ギリギリにまで、大きくなった。

 

 その瞳孔は、蛇のように縦長に。

 その指は、かぎ爪になった。

 体には赫い鱗が生え、背中には翼が、腰には尾が生えた。

 

 

 その生物の皮、血液、心臓、肝臓、角は強力な魔法特性を持ち、卵は取引禁止品目Aクラスに指定されている。

 

 M.O.M.分類*3は最大のXXXXX。

 

 ウェールズの国旗にも使われている、マグルすらも知っている、世界で最も有名な魔法生物。

 

 「【………流石】」

 

 ドラゴン(・・・・)に、変身した。

 

 

 

 

 

 

 

 ハァ、と。ドラゴンが息を吐いた。

 ただそれだけで、『熱』が部屋に広がる。

 

 「【ドラゴン、ドラゴンか………。使えるかも】」

 

 ドラゴンの皮膚や血肉には、旧い魔法が込められている。

 魔法を弾くその強い護りは、半ダース(6人)の、しかも熟練の魔法使いが同時に失神呪文(ステューピファイ)を当てなければ突破できないほど。

 

 その魔法を応用すれば、『鍵』の完成はすぐ近くだろう。

 

 「【アルバート。ちょっと血を採っていい?】」

 

 「グルルルルルァァァァ(いいよ)!!」

 

 

 

*1
日本の12歳男子の平均身長は約150cm

*2
このあと会ったドラコは「お前やっぱり巨人だろ」と言った

*3
生物の危険度を示したもの




男の子はみんなドラゴン好きだよね。
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