「【───まあ、試作品でこれなら、十分だな】」
『鍵』の試作品は完成した。
完成、したのだが·········
「【明らかに出力不足だね】」
「【………そうだな】」
魔法で水をワインに『変容』させ、『鍵』を使用してまた水に戻した。
戻した、のだが。
「【この程度の『変容』を解くのに5分以上かけて、しかも自壊するなんてね】」
全くスペックが足りていない。
これなら普通に杖を使う方が早い。
「【だが、基礎は出来上がった。これからもっと良くしていけばいい】」
方向性は合っている。
水圧カッターを作ろうとして、ようやく水道インフラを整備したところだ。
………我ながら、とんでもないことをしたなぁ。
「【………少し、休む】」
「【うん。おやすみ】」
………そして、次に目を覚ました時。
「………おい、おい。おいおいおいおい!
嘘だろ!?あんの性悪魔女!」
『日記』と、
「クッソ〜〜!!」
確かに、あの魔女を信じた俺が悪かった。
己の半身とも言える杖を、ちゃんと保管しなかったのも、悪かった。
しかし………!
「やられた〜〜!!!!」
あれから、力を吸われることもなくなった。
おそらく、俺が逆探知して見つける事を嫌がったのだろう。
しょうがない。切り替えるしかない。
「で、ドラコ。俺が出した『宿題』はちゃんと出来上がったんだろうな」
「い、いや、クィディッチが忙しいんだよ!お前とは自由に使える時間が違うんだ!」
まったく。ちょっと反論が難しい話題だ。
というか、自由に使える時間の話はその通りだ。
ドラコはクィディッチの練習、普段の授業、授業での課題、純血との交流、俺との勉強など、多くの時間を使っている。
対して俺は、普段の授業とその宿題が終われば、その後は『鍵』の作成に時間を使っていた。
圧倒的に時間の差がある。しかし、まあ。
「スネイプ先生にも言われただろ。“クィディッチに力を入れるのはいいが、勉学にも励まなければいけない”って」
「うぐぐ………」
そう。ドラコが名指しで言われたわけではないが、スリザリンのクィディッチチーム全体にスネイプ先生はそう言った。
「ドラコのご両親は、頑張る息子を誇りに思うだろうな」
「………分かったよ。ちゃんとやるさ」
「スネイプ先生。差し入れです」
「………これは、まさか」
「はい。ドラゴンの血液です!普段先生には大きな負担をかけていましたから、そのお礼です!」
『鍵』を作成する時に採った
去年から先生の私物の素材を使っていたからな。これはその恩返しの一つだ。
「………ソーン。お前も知っていると思うが、ドラゴンの血液は様々な魔法的利用価値がある」
「はい、知っています」
「魔法薬の素材としても優秀で、かつ希少性が高い素材でもある」
「そうですね」
「そんなドラゴンの血液を、これほどまでに大量に、
「はい!先生に喜んでもらいたくて頑張りました!」
どうしたんだろう。まさか、気に入ってもらえなかったんだろうか?
「………我輩が聞きたいのは、つまり────」
「────違法な手段で手に入れたものではないのか、という事だ」
「………あっはっはっは!いやいや、まさか。
先生に渡すものですよ?そんなわけ────」
────あ。
つまり、登録していない俺は────
「今すぐ合法にしてきます!」
「マクゴナガル先生。お話があります」
「ミスターソーン。一体どんな用件があって私に会いに来たのですか?何か相談事なら、セブルスのほうが仲が良かったはずですが………」
「その………。変身術に関する事なんです」
「おや、貴方が?何についてでしょう。
「いえ、試験に関する事じゃないんです。実は、
「ほう!貴方が興味を持ってくれるとは。
ですが、
「あ、いえ。実はもう、習得は出来てるんです。あとは登録をするだけで………」
「───本当に?」
「え?は、はい。本当です」
「………見せてもらいましょう」
さて、わざわざ校舎の外に出てきた。
「変身したら結構大きいので、ここら辺でやりましょう」
「それではソーン。見せてください」
大きくなる。大きくなる。
校舎を越すほど、大きくなる。
角が生える。尻尾が生える。翼が生える。
瞳孔が縦に変わる。指がかぎ爪になる。
腹の周り以外に、赫い鱗が生える。
火を、吹く。
ヒトを動物に変化させるという、とても危険かつ難易度の高い魔法。
アルバート・ソーンは、ドラゴンの
「ブラボー!貴方は素晴らしい魔法使いです!
ソーン、貴方がグリフィンドールに来ていれば!」
「ありがとうございます。それで、魔法省への登録は………」
「私が申請を出しましょう!今の暗いホグワーツで、とても良いニュースになりました!」
「あー、疲れる。まったく、なんでこんなに宿題があるんだよ」
ドラコ・マルフォイはそう愚痴る。
彼の友──ドラコは認めないが──であるアルバート・ソーンは彼に多くの
それは座学だけでなく、実技も含まれている。
「えーっと。次は………
呪文の通りに蛇が出た。
シュー、シューと、
「………え?」
いつからだろう。ドラコのすぐ後ろに、美しい翠の鱗を持った蛇がいた。
「お、お前………!誰かのペットか?」
ただの蛇が寮に入れるとは思えない。
誰かのペットだろう、とドラコは考えた。
「気にするな。そのまま勉強しろ」
「分かってる!いちいち言うなソーン!………
………あれ?」
今、誰が………
「ま、まさか、蛇が………!」
「いいから。そのまま勉強しろよ、ドラコ。集中力はクィディッチでも重要だろ」
「集中できるか!というか、この蛇、まさかソーンか!?」
蛇が大きくなる。
手足が生え、そして………
「その通り。俺はソーンだ」
アルバート・ソーンに変身した。
「どういう事だ!?お前、ドラゴンの
アルバート・ソーンがドラゴンの
「ドラゴンに変身する時は気合い入れて頑張るんだけど、力を抜いて変身したら蛇とかにもなれたんだよ。びっくりした?」
「お前、やっぱりおかしいぞ………」
七変化+繊細な魔法のセンス+圧倒的な魔法力が生み出した怪物。