『魔王』 アルバート・ソーン   作:アーっr

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穢れた血と呼ばれても怒らない。
母を侮辱されたら話は別。


入学

 

 

 9と4分の3番線。

 馬鹿げた話だが、あの爺さんから渡されたチケットにはそう書いてある。

 どう言うことだ?魔法使いだけに伝わる暗号か?

 

 いや、集中しろ。俺だけがこの手段を使うわけじゃないはずだ。必ず、他に魔法使いが·········

 

 「ママ、私もホグワーツに行きたい!」

 

 「ダメよジニー。あなたは来年なのよ」

 

 赤毛の大家族がいる。荷物が多い。

 

 「俺がフレッドさ!」

 

 「俺がジョージだ!」

 

 ············消えた。9番線と10番線の間の柱にぶつかった瞬間、赤毛の(おそらく)兄弟が消えた。

 つまり、これが··········

 

 「9と4分の3って、そう言うことか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 列車に入った。かなり人が多い。

 母さんが倒れる前でも、ここまで人が多い場所に来たことはないな。

 

 「すまない。ここ、空いてるか?」

 

 「ああ、うん。空いてるよ」

 

 空いていそうなコンパートメント。

 そこにはさっきの赤毛の大家族の一人と思われる少年と·········

 

 「はい、どうぞ」

 

 「ありがとう」

 

 黒い髪をした少女がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「·········さて。みんなは一年生、だよね?」

 

 「ウン、そうだよ」

 

 「僕も。でも僕、お兄ちゃんたちがいっぱいいるんだ。家に帰って来たらもうずっとホグワーツの話ばっかり!」

 

 5人もお兄ちゃんが。しかも妹までいるのか。

 おっと。心を覗くのは駄目だった。早速練習通り、『声』を聞かないように·········

 

 「じゃあ、自己紹介しよう。寮は違うかもしれないけど、同級生だろう?」

 

 「オッケー。僕はロン・ウィーズリー。お兄ちゃんが5人と妹が一人。得意なのはチェスで、好きなのはクィディッチ!」

 

 「俺はアルバート・ソーン・ジュニア。親はどっちも魔法使いじゃなかったから、正直魔法を使えるのは自分だけだと思ってた」

 

 「僕はハリー(・・・)。ハリエット・ポッター」

 

 ハリー(・・・)だと?

 

 「スッゲー!じゃあ、あの、傷、あるの?」

 

 「うん。でも、何にも覚えてないんだ」

 

 「·········?何の話?」

 

 「エエッ!知らないの!?」

 

 「いや、俺の親両方普通の人だったから。魔法使いの常識とかまだよく知らないんだよね」

 

 「じゃあその、例のあの人とかも知らないの?」

 

 「???謎かけの話?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「·········へえ。俺たちが生まれた頃にそんなことが」

 

 「だからハリーは有名なんだ。赤ちゃんの頃に例のあの人を倒したから」

 

 ·········普通に考えて、赤ん坊のハリーがその闇の魔法使いを倒したとは思えない。

 何か裏があるんだろう。

 さて、自己紹介の続きだ。

 

 「僕のパパは魔法省のマグル製品不正使用取締局で働いてるんだ。それでマグルの製品に目がなくって。あの·········話電?」

 

 「·········電話のこと?」

 

 「ああそうそう。パパはそういうものに興味津々なんだ。パパからすれば、魔法よりよっぽど楽しいらしいよ」

 

 ふうん。隣の芝は青いってやつか。

 

 「俺の親は両方死んでる。父親は生まれた頃に交通事故で。母親はホグワーツの入学許可証が来るちょっと前に死んじゃった」

 

 「ああ·········おお」

 

 ヤッベ、ロンが反応に困ってる。最近人と話さなすぎて話し方が思い出せない。

 

 「·········お母さんのこと、好きだった?」

 

 「今でも好きだよ。正直会えるならもう一回でいいから会いたいけど·········死んだ人を生き返らせる魔法は無いらしいし、母さんもゆっくり寝てたいと思うから、いいかな」

 

 いいんだ。バカな俺のせいで、すれ違った。

 それでも、前に進む。開心術を使わないのも、その一歩だ。

 魔法に頼らずに、人と関わらなきゃいけない。

 

 「僕は·········あんまり覚えてないけど、緑の閃光と·········母さんの声が、今でも夢に出てくる」

 

 「ああ·········おお」

 

 またロンが反応に困ってる。俺もハリーも話し方が下手なのかな。

 

 「俺、母さんに悪いことしてさ。今でも後悔してるんだ。何であんなことしちゃったんだろうとか」

 

 「僕もママにお手伝いしないからいっつも怒られてる。僕もお兄ちゃん達みたいに、頑張ろうと思ってるんだけど·········」

 

 「だからさ、俺ホグワーツで頑張ろうと思うんだ。いつか、“俺は母さんの息子だ”って、自信を持って言えるようになる」

 

 「自信を、持って·········」

 

 「だから、ハリーも。今を頑張れば良いんじゃない?いつか、誇れる自分になるために」

 

 「················うん」

 

 よし、上手く話せたな!

 

 

 

 

 

 

 

 「君がハリエット・ポッターだね?僕はドラコ・マルフォイ」

 

 なんか金髪坊ちゃんがきた。ハリー目当てか?

 

 「ブフッ」

 

 「君が誰だか聞く必要もないね。父上が言っていた。ウィーズリー家はみんな赤毛で、そばかすで、育てきれないほどたくさん子どもがいるってね」

 

 「何だと!」

 

 「あーあー、喧嘩するなよ。おんなじホグワーツ生じゃないか」

 

 「フン。ハリエット・ポッター、友達は選んだ方がいい」

 

 そう言って、ドラコは行ってしまった。

 

 「ねえ、カエルを見なかった?」

 

 また客だ。忙しいね。

 

 「見た?」

 

 「いや········多分いなかった」

 

 「そう。そろそろ到着するから、着替えた方がいいわ」

 

 「ありがとう」

 

 結構みんな親切だな。これなら学校生活も楽しそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「イッチ年生はこっちだ!はぐれるなよ!」

 

 うおでっか。ただの人じゃないな。魔法か?

 

 デカい人に従って一年生は集まり、船に乗る。

 

 「················すげえ」

 

 きっとその一生忘れないだろう。

 水面と月光、その間に聳える城。

 

 「ここが、俺の新しい家··············」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「一年生は組み分けを行います」

 

 いかにも厳格という雰囲気の魔女········マクゴナガル先生はそう言って、大きな扉を開けた。

 

 「おお················」

 

 「すごーい········」

 

 「あれは魔法の星空よ。ホグワーツの歴史に書いてあったわ」

 

 そこは広間。他の········おそらく先輩達が先に座っている。

 天井は魔法で星空のようになっている。

 ········綺麗だ。

 

 

   グリフィンドールに行くならば

   勇気ある者が住まう寮

    勇猛果敢な騎士道で

     他とは違う

     グリフィンドール

 

   ハッフルパフに行くならば

    君は正しく忠実で

      忍耐強く真実で

     苦労をくろうと思わない

 

   古き賢きレイブンクロー

    君に意欲があるならば

     機知と学びの友人を

     ここで必ずえるだろう

 

   スリザリンではもしかして

    君はまことの友を得る

     どんな手段を使っても

     目的遂げる校搰さ

 

 

 

 

 変な帽子が歌を歌った。

 なるほど、盛り上がりのためにこんなものも用意しているのか。

 さすが魔法学校。

 

 「ABC順に名前を呼びます。アボット・ハンナ!」

 

 名前を呼ばれた少女が前に出て、帽子を被せられる。

 

 「ハッフルパフ!」

 

 そして高らかに、声を上げた。

 どういう仕組みだよ。選考基準は何なんだ?まさか帽子の独断?

 

 「グレンジャー・ハーマイオニー!」

 

 先ほどカエルを探していた少女だ。

 ········なかなか答えが出ない。壊れたのか?

 

 「グリフィンドール!」

 

 と思ったら声を上げた。なんで人によって時間が違うんだ?

 

 「ポッター・ハリエット!」

 

 「ううむ、難しい。実に難しい」

 

 ················なるほど、分かって来た。

 開心術の応用で、さっきの歌のどの寮に適しているのかを測定しているのか。

 

 「であるならば········グリフィンドール!」

 

 この場合、勇気があるからグリフィンドールなのか?いや、勇気くらいみんな持ってるか。

 じゃあ、答えは一つだ。この帽子は········

 

 「ソーン・アルバート!」

 

 「いかにも。組み分け帽子()は君たちの頭の中を見て、それぞれに最も適した寮の名前を言う」

 

 人によって時間が違うのは、複数の寮に適性があるからだ。

 さらに言えば、今そうでなくても潜在的に能力があれば、その寮に組み分ける。

 

 「そうだとも、若き賢人。そういう意味なら、君にはレイブンクローへの適性もあるが········」

 

 いや、違う。確かに知識は必要だが、重要なのは行動する事だ。

 出来る(・・・)やる(・・)は違う。

 怠慢で母の愛に気が付かなかった俺が言うと説得力あるだろ。

 

 「ああ、そうだとも。君は行動する。いかなる手段を使っても、目的を達成するだろう。故に········」

 

 「スリザリン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あのあと、爺さん(校長)が注意事項を言ってパーティーが始まった。

 

 「やあ、ドラコ、だよね?コンパートメントで会った。俺はアルバート。アルバート・ソーン」

 

 「フン。純血でもない者が、近づくな!」

 

 「········?純血って何だ?」

 

 「そんなことも知らないのか!?いい。なら教えてやろう、ソーン」

 

 教えてくれるのか。優しいな。

 

 「僕たち純血は代々魔法使いだ。マグルの血なんて一滴も入っていない、高貴な血なんだ」

 

 「··············代々って、何百年とか?」

 

 「ああそうさ。特に古い家なんかは千年を超える家もある。それくらい、僕たち純血は魔法世界のために力を尽くして来たんだ」

 

 なるほど。確かに、自分の家が数百年掛けて整備した社会に、今まで税金を払ってなかった奴が外から入って来て“仲間だよね!協力しよう!”とか言って来ても嫌だろうな。

 

 「ならば貢献で評価を上げなければならないな」

 

 この視点での(・・・・・・)問題は税金を払っていないこと。

 すなわち、社会へ貢献していないのに社会保障を受けようとしていることだ。

 なら、税金を払えばいい。

 

 金が無いなら労働力、技術力、発想力。

 己の能力で、上に上がるしか無い。

 

 「··············面白い。経済の本か何か(マグルの本)で読んだぞ。自分を会社に売り込む。確か、プレゼン、だな」

 

 プレゼンで重要な事は、確か········

 

 「相手が求めているもので、それも論理的に真っ当なものが望ましい、だったか」

 

 

 




主人公はガチガチ純血主義のスリザリンでやっていけるのか!
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