『魔王』 アルバート・ソーン   作:アーっr

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一緒で良いんだよ。


杖と鍵

 

 

 杖に必要なのは『木材』と『杖の芯』だ。

 

 杖は魔法使いの右腕であり、最も信頼出来る相棒である。

 故に、それぞれに合った杖がある。他人の杖を使っても、十分な力は発揮できない。

 

 その人に合ったもの、というのはさまざまなだ。親族の髪の毛であったり、長年狙っていた魔法生物の一部だったり。

 

 

 

 サラザール・スリザリンの杖には、バジリスクの角とスネークウッドが使われたという伝説がある。

 

 ならば、『スリザリンの継承者』である俺に合ったものとは───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 四つの『炉心』を動かす。

 ドラゴンが吐く火よりも熱い。火山が噴火した

ような熱さだ。

 

 さあ、作ろう。時は来たのだ。

 

 

 『秘密の部屋』にある死骸から取ってきたバジリスクの角を、熱し、削り、加工する。

 牙もそうだったが、角はそれ以上に固い。

やはり、ドラゴンのように旧い魔法が込められているのだろう。

 

 角を細長く加工したら、ゴブリン銀を掛けて、

設計図通り(・・・・・)に鍛造する。

 熱して、叩いて、冷まして、固くする。

 

 本来、冷ます時は水に入れるが、今回は特別に

魔法生物達(全部俺)の体液に入れて冷ます。

 入っているものは様々だ。ドラゴン()ユニコーン()の血、不死鳥()の涙、バジリスク()の毒液。

 

 これで、『芯』を作る。

 

 

 

 『芯』が出来上がったら次は『木材』だ。

 

 イルヴァーモーニーのスネークウッドの枝。これは、事前に接木してホグワーツで育てた。

 

 ドラゴンの角の粉末などを筆頭に、錬金術で濃度を高めた血、心臓や不死鳥の尾羽根、ユニコーンのたてがみ、バジリスクの鱗を合わせてすり潰したものなど、様々な肥料を使った。

 

 すると、接木した木は成長せず、枝だけが変色し、スネークウッドの模様が銀色になった。

 

 

 銀色のスネークウッドと『芯』を合わせる。

 

 枝が芯に絡み付く。俺が何かをしているわけではない。勝手に、引き寄せ合うように、絡み付いた。

 予想外ではあったが、むしろ手間が省けた。

 

 

 

 

 最後に。とても、とても重要な工程がある。

 

 俺は、今作っているものを『杖』として使うが、『鍵』としても使う。

 だから『鍵』の設計図通り(・・・・・)に角を加工したのだ。

 

 だが、大型化し、ドラゴンの心臓すら使用した

37号であっても壊れたのだ。

 これほどの素材や労力を払っても、失敗するかもしれない。だから───

 

 

 俺の魂を、『杖』に込める。

 

 

 

 禁書の棚ですら名前しか言及がなかった最も深い闇の魔術、分霊箱。

 

 自らの魂を物体に込め、自身の肉体が滅びたとしても手順を踏めば復活出来るようになる魔術。

 

 その作り方を、俺は知っている。先輩(・・)が、教えてくれたのだ。

 

 分霊箱を作るのに必要なのは、何かしらの魂を込める物体。そして、殺人(・・)

 人を殺した時こそ、人の魂は引き裂かれるのだ。

 

 

 ああ、やったとも。三年前のあの時。ホグワーツの入学許可証が来るより前に。

 俺は母を殺したのだ(・・・・・・・・・)。あの時から、俺の魂は引き裂かれていた。

 

 その魂を、『杖』に込める。『鍵』であることに耐えられるように。誰かを助けるために。

 

 

 

 

 

 特殊な加工を施したバジリスクの角。

 特別な育て方をしたスネークウッド。

 

 継承する、ということは、ただ過去のものを真似るだけではない。

 先人が残したものを、より良く進歩させてこそ、継承と呼ぶことが出来るのだ。

 

 ───かくして、それは完成した。

 

 『スリザリンの継承者』の杖であり、ありとあらゆる魔法を解く『鍵』。

 

 この世で最もアルバート・ソーンに合った杖。

 ただ一つしかない、『鍵』の完成形。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「アストリア。ちょっと来てくれ」

 

 スリザリン生に緊張が走る。あの(・・)アルバート・ソーンが、純血であるグリーングラスの次女を?

 一体なぜ?

 

 「………分かりました」

 

 アストリア・グリーングラスは言うことを聞いた。本当に、大丈夫なのか?

 

 「えい」

 

 「え───」

 

 アルバート・ソーンが杖を持って、何かした。

 なんらかの呪文を使ったのか?よくわからないが、何かした。

 

 というか、杖は持っていないんじゃないのか?

授業でも、杖を使っていなかったが。

 

 「おい、ソーン!何してる!」

 

 「あ、ドラコ」

 

 来た!アルバート・ソーンを唯一操れる、スリザリンの中でも位の高い純血、ドラコ・マルフォイ!

 

 「後輩達が怯えてる!お前は刺激が強いと言っただろう!」

 

 「えー?ひどいなぁ。俺は後輩と、ペットと、尊敬する人と、そして何より、友達には優しいんだよ。なあ、親友(ドラコ)

 

 「うるさい!とにかく、グリーングラスに近づくな!」

 

 おお、なんと男らしい啖呵だろうか!

 怒り狂ったアルバート・ソーンを見ていながら

あそこまで言えるだなんて!

 

 「ああ、いいよ。もう終わったし。じゃあね。

健康に気をつけなよ」

 

 「はい、先輩」

 

 「おい、ソーン!話は終わってないぞ!」

 

 

 




とうとう、完成した。
次は───
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