『魔王』 アルバート・ソーン   作:アーっr

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するべきだ。愛していなくても、育てたのだから。
それに見合う報酬がないならば、それくらいは。


炎のゴブレット
説明


 

 

 

 プリベット通り4番地。

 

 そこに、男が来た。

 

 「本日は、お忙しい中ありがとうございます」

 

 「………それで?お前もあのイかれた………」

 

 「ええ。ハリーと同じです」

 

 この家の主人………バーノン・ダーズリーはとても、とても嫌な顔をした。

 

 この男から手紙が来たのはつい先日。

 

 『プリベット通り4番地

 バーノン・ダーズリー様。

 

 初めまして。私はハリエット・ポッターさんの

学友のアルバート・ソーンと申します。

 

 この度、バーノン・ダーズリー様、そして奥方様にどうしてもお話したいことがあり、手紙を書かせていただきました。

 

 もしお時間ございましたら、ご連絡ください。

 

         クレアモント通り113番地

            アルバート・ソーン』

 

 

 まず、あの学校(・・・・)──口にするのも悍ましい!──の生徒ということに驚いた。

 何せ、バーノンが知っている奴ら(・・)──ま、から始まる奴らのこと──は、ろくでもない奴らだった。

 

 カエルの卵をポケットに入れたり、かわいいダドリーに尻尾を生やしたり!

 

 だから手紙を見て、奴らの中にこんなまとも(・・・)な奴がいるなんて!と驚いた。(奴らはふくろうを使うが、この手紙は郵便で送られてきた)

 

 しかし、どうしても話したいこととは何なのか。正直バーノンはすぐにでも手紙を破り捨て、見なかったことにしたかった。(奴らに関わると碌なことにならない!)

 

 だが、愛する妻チュニーが、話を聞くべきと言ったのだ。

 

 チュニーはバーノン以上に(妹が奴ら(・・)だからだ!)ま、の付くあれが嫌いだが、そんなチュニーがそう言ったので、バーノンは連絡を返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「………それで?一体何の用だ!」

 

 「こちら側(・・・・)の話についてです。あなた方にも、知る権利があります」

 

 その男──ソーンというらしい──は、本当に、本当にまとも(・・・)だった。

 

 服装から、バーノンは驚いた。

 奴ら(・・)が着るようなローブなどでなく、妙な柄の服でもなく、ビジネスで着るようなスーツだった。

 

 男は(およそだ。正確にはわからない)185cmほどの身長で、がっちりとした体格だった。(ラグビーのアスリートと言われても信じただろう)

 

 その髪は黒く、全く乱れていない。しっかりとセットされていた。

 言葉遣いも、話し方も、いかにもまともだ。

 

 どこを見てもまともで、本当に奴ら(・・)なのか、バーノンが疑問に思うほどだった。

 

 「まず、ヴォルデモートについて、ご存知でしょうか?」

 

 「知っている!その──ヴォルなんちゃら──のことなど、耳が腐るほど聞いた!」

 

 本当に、嫌になる程聞いた。もう2度と聞きたくないほどに。

 

 「良かった。では話が早いです。実はですね。

ヴォルデモートが、復活しました」

 

 「───は?」

 

 何と言った?復活?

 いくらま、の付く技術といえど、そこまでできるのか?

 

 「奴は、肉体を失っても魂をこの世に残す魔法を使い、生きながらえていたのです」

 

 「そして、ついに肉体を取り戻した」

 

 原理などどうでもいい。ま、の付く技術の話など聞きたくない。

 だが………

 

 「それがわしらに何の関係がある?お前ら(・・・)の中で解決すればいい話だ!」

 

 「待って、バーノン」

 

 チュニーが、話を止めた。

 一体なぜ?

 

 「………本当に、蘇ったの?」

 

 「はい。全盛期の力はまだ持っていませんが、確かに肉体を取り戻しました」

 

 「このままでは時間の問題でしょう。少なくとも、一年。来年までに、完全に力を取り戻します」

 

 チュニーは何か思うところがあるようだった。

 ──というか。

 

 「………そもそも、なぜ貴様がそれを教えにくる?ハリーか、大人が来るものだろう!」

 

 「これを知るのは私たち(・・・)の中でもごく少数であり、あなた方(・・・・)に伝えるべきと思ったのが私だけだからです」

 

 「ならばなぜお前は伝えに来た!?この話でわしらを脅す気か!?」

 

 「気をつけてほしいからです。アレ(・・)は躊躇なく殺し、必要なら何人でも気にしません」

 

 「あなた方(・・・・)の言い方なら、テロリストなのです。友達の家族がテロの被害に遭うのは、避けたい」

 

 バーノンは思わず口を閉じる。

 この男の言葉が、嘘には思えない。

 

 「………お前、働く気はあるのか?」

 

 「は、はい?」

 

 「まともに働く気があるのかと聞いている!」

 

 「ま、まあ。将来は魔法省………こちら(・・・)の政府に入るか、あるいは研究をしたいと思っています」

 

 政府。つまり、公務員か?

 ………まあ、この男ならなれるだろう。

 

 バーノンから見ても、この男はいかにも優秀でまともだった。

 

 「研究とは何だ?カエルの卵を食べるのか?それとも馬で空を飛ぶのか?」

 

 「分野で言うなら、錬金術ですね。金を作るようなものなら一般的でしょうか」

 

 錬金術?金を作る?

 ………やはり馬鹿げている。まともだと思ったのは気のせいだったか。

 

 「お前の親は?何の仕事をしている?」

 

 「両親はどちらも死にました。私が生まれた頃に、父が交通事故で。母は一人で育ててくれましたが、病気に罹って………」

 

 「孤児か。では、親の遺産で生きているのか?」

 

 チュニーの妹の夫も、親の脛を齧って生きているような、バーノンからすればクズだった。

 

 「いえ。遺産はほとんどないんです。

両親はあなた方(・・・・)と同じで、普通でした」

 

 「実は私、一年生の頃に被服業で成功しまして。ほとんどそのお金で過ごしています」

 

 「………お前が?」

 

 まともで優秀そうだが、ここまでとは。

 もし普通(・・)だったら、部下に欲しいほどだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「………本日はありがとうございました。今日のこと、ハリーには秘密にしてください」

 

 帰る時、男はそんなことを言った。

 

 「なぜだ?お前のお仲間だろう?」

 

 「あなた方に言ったことを、ハリーはまだ知る必要がないのです。いえ、知っていてはいけない」

 

 「ならばなぜわしらに言った?」

 

 「………実は、その………」

 

 それまでハキハキ話していた男が、言い淀んだ。

 

 「………俺、実はハリーのことが好きなんです。だから、ハリーには伝えられなくても、ハリーの家族にはちゃんと話したいって思って………」

 

 「………………は?」

 

 好き?好きと言ったのか?

 

 「あなた方とハリーの仲については、知っています。あなた方がまとも(・・・)であろうとするのも理解出来るし、ハリーを遠ざけたいのも、わかります」

 

 「でも、家族です。愛していなくても、実の子じゃなくても。それでも、家族なんです。俺が失った、家族なんです」

 

 ………この、男は。

 

 「………ふん!さっさと行け!」

 

 

 

 




まとも(・・・)でなくても、誠実ではある。
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