それは隠され、闇の手に堕ち、そして───
「
「あとにする」
女の、声だ。似ているが、それぞれ少し違うように思える。
呼んだ女は若さ、呼ばれた女には深みを感じる。
「デルフィーニ、俺様をもっと火に近づけるのだ」
少し空いた扉の間から、姿が見えた。
おそらくデルフィーニと呼ばれた女だろう。20代ほどと思われる、若い女だった。
どこかで、見たことがある。
「ナギニはどこだ?」
「わ、わかりません。ご主人様」
今度は小太りの女が答えた。
「家の中を探索に出かけたのではないかと……」
「寝る前にナギニのエキスを絞るのだぞ、ワームテール。夜中に飲む必要がある。この旅でずいぶんと疲れた」
一瞬間を置いて、デルフィーニと呼ばれた女が言った。
「お母様。ここにはどのぐらいご滞在のおつもりか、伺ってもよろしいでしょうか?」
「一週間だ」
深い闇のような声が答える。
「もっと長くなるかもしれぬ。ここはまあまあ居心地がよいし、まだ計画を実行はできぬ。クィディッチのワールド・カップが終わる前に動くのは愚かであろう」
「ご主人様、ク__クィディッチ・ワールドカップと?」
今度はワームテールと呼ばれた女が言った。
「お許しください。どうしてワールドカップが終わるまで待たなければならないのでしょう?」
「愚か者めが。今この時こそ、世界中から魔法使いがこの国に集まり、魔法省のお節介どもがこぞって警戒に当たり、不審な動きがないかどうか、鵜の目鷹の目で身元の確認をしている。マグルが何も気付かぬようにと、安全対策に血眼だ。だから待つのだ」
怒りを隠さない声で姿の見えない女は言う。
「それでは、お母様は、ご決心がお変わりにならないと?」
「デルフィーニよ。もちろん、変わらぬ」
「ご主人様。ハリー・ポッターなしでもおできになるのではないでしょうか」
また言葉が途切れた。今度は少し長かった。
「ハリー・ポッターなしでだと?」
見えない女が囁くように言った。
「なるほど……」
「ご主人様。わたくしめはなにも、あの子供のことを心配して申し上げているのではありません!」
ワームテールは必死に弁解している。裏切りと思われたく無いようだ。
「あんな小娘、わたくしめはなんとも思っておりません!ただ、ほかの魔女でも魔法使いでも使えば事はもっと迅速に行えますでございましょう!」
「ほんのしばらくお側を離れさせていただきますならば、ご存知のようにわたくしめはいとも都合の良い変身ができますので、ほんの二日もあれば、適当な者を連れて戻って参ることができましょう!」
「ハリー・ポッターはなにしろ厳重に保護されておりますので、手をつけるのは非常に難しいかと」
ワームテールが説得しようとしているのはすぐにわかった。本心からそう思っているわけではない。
「だから貴様は、進んで身代わりのだれかを捕まえにいくというのか?果たしてそうなのか……ワームテールよ。俺様の世話をするのが面倒になってきたのではないのか?計画を変えようというおまえの意図は、俺様を置き去りにしようとしているだけではないのか?」
「滅相もない!わ、わたくしめがあなた様を置き去りになど、決してそんな──」
「俺様に向かって嘘をつくな!」
激しい、火のような怒りが爆発した。
「お前が俺様の下に来たのはその臆病さと、あの小僧の命令だからだ!俺様への忠誠では無い!」
「10年以上己のために隠れ潜んだお前が、俺様を助けにこようとしなかったお前が馳せ参じたのは、小僧の命令だからだ!」
「お、お許しください、ご主人様!」
小太りの女は、怒りをやり過ごそうと必死になっている。
だが、まだ治らない。
「ご主人様だと!?あの小僧に助けを求める時にもそう言っただろう!俺様だけが主人だというのに!」
「お母様、怒りをお鎮めください。ナギニからの報告です。マグルが、話を聞いていたと」
しまった。そんな、どうして。
「中にお招きするのだ。ワームテールよ。礼儀を知らぬのか?」
ドンドン。小太りの女が急いで動いた。
「ああ、お前は確かこの館の管理人か」
「な、何故知ってる!?」
「俺様には全てお見通しだ、マグル。このヴォルデモート卿の前では、全てが……」
「
「よかろう。おまえと向き合おう……デルフィーニ、椅子を回すのだ」
若い女は命令通りにした。
そして、椅子があなた……フランクの方に向けられ、そこに座っているものをフランクは見た。杖がポロリと床に落ち、カタカタと音を立てた。
フランクは口を開け、叫び声をあげた。あまりに大声で叫んだので、椅子に座っている何者かが杖を振り上げ何か言ったのも聞こえなかった。
緑色の閃光が走り、音が迸り、フランク・ブライスはグニャリとくず折れた。
床に倒れる前にフランクは事切れていた。
そこから300キロ離れたところで、一人の少女、ハリエット・ポッターがハッと目を覚ました。
「ドラコじゃん。テンション高いけど、なんかあったの?」
「ソーン!そういえば、お前は知らないんだったな。僕は父上から教えてもらったが」
相変わらず元気そうだ。
「まあ、すぐに分かる。僕はエントリーするぞ」
いまを去ること一千年、そのまた昔その昔
私は縫われたばっかりで、糸も新し、真新し
そのころ生きた四天王
いまなおその名を轟かす
荒野から来たグリフィンドール
勇猛果敢なグリフィンドール
谷川から来たレイブンクロー
賢明公正レイブンクロー
谷間から来たハッフルパフ
温厚柔和なハッフルパフ
湿原から来たスリザリン
俊敏狡猾スリザリン
ともに語らう夢、希望
ともに計らう大事業
魔法使いの卵をば、教え育てん学舎で
かくしてできたホグワーツ
四天王のそれぞれが
四つの寮を創立し
各自異なる徳目を
各自の寮で教え込む
グリフィンドールは勇気をば
何よりもよき徳とせり
レイブンクローは賢きを
だれよりも高く評価せり
ハッフルパフは勤勉を
資格あるものとして選びとる
力に飢えしスリザリン
野望を何より好みけり
四天王の生きしとき
自ら選びし寮生を
四天王亡きその後のちは
いかに選ばんその資質?
グリフィンドールその人が
素早く脱いだその帽子
四天王たちそれぞれが
帽子に知能を吹き込んだ
代わりに帽子が選ぶよう!
被ってごらん。すっぽりと
私がまちがえたことはない
私が見よう。みなの頭
そして教えん。寮の名を!
「間違えたことがない、ねえ?」
どうだか。結果論に過ぎないが、少なくとも彼女らが同じ寮ならば、
クィレル先生は、理解者を得たかもしれない。
スネイプ先生も、
「尻尾爆発スクリュートだ!」
何だこの、何?生き物だよな?
殻をむかれた奇形のエビのような形で、ひどく青白いヌメヌメした胴体からは、勝手気ままな場所に脚が突き出し、頭らしい頭が見えない。一箱におよそ百匹ほどいる。
体長約15、6センチで、重なり合って這い回り、闇雲に箱の内側にぶつかっていた。
腐った魚のような強烈な臭いを発する。時々尻尾らしいところから火花が飛び、パンと小さな音をあげて、そのたびに10センチほど前進している。
絶対なんかの混血だ。
実験的飼育禁止令*1に違反している。
まあ面白いけど。
「だから、おまえたちが自分で育てられるっちゅうわけだ!そいつをちいっとプロジェクトにしようと思っちょる!」
「それで、なぜわれわれがそんなのを育てなきゃならないのでしょうねぇ?」
「つまり、こいつらはなんの役に立つのだろう?」
もっともなことをドラコが言った。
まあ明らかに危険だしな。
「かわいくないからって役に立たないとはかぎらないわ」
ハーマイオニーが反撃した。
「ドラゴンの血なんか、すばらしい魔力があるけど、ドラゴンをペットにしたいなんてだれも思わないでしょ?」
いや、俺がいる。あとハグリッドも。
ぜひ欲しい。
「まぁ、コイツは新種だ。もしかしたら、誰も思ってみないような力を持っているかもしれない。要観察だな」
バーン!、という音と共に、ドラコがケナガイタチになった。
白いもふもふだ!!!!!
「やられたかね?」
ムーディが唸るように言った。低い、押し殺したような声だ。
「いいえ、外れました」
ハリーが答えた。まあ当たりそうだったら俺が何をしてでも止めていたが。
にしても、もふもふだ。
「触るな!」
おっと、しまった。
「触るなって何に?」
ハリーは突然叫んだムーディに驚いている。
「おまえではない、あいつだ!」
「でも、すっごいもふもふですよ!」
「そんなことはどうでもいい!」
えー。癒しを求めないのかぁ。
「敵が後ろを見せたときに襲うやつは気にくわん!」
ムーディがもふもふフォイに杖を向け、ドラもふもふが弾む。おもしろ。
「ムーディ!な__何をなさっているのですか?」
あ、マクゴナガル先生。
「教育だ!」
「教─それは生徒なのですか!?」
「今はイタチだ!」
確かに。じゃあいいのか。
バチン、とマクゴナガル先生が変身術を解く。
「ようドラコ。楽しかったか?」
「黙れ!お前が助ければ良かっただろう!」
怒ってる。俺が助ける?
「おいおいドラコ。そんなことするわけないだろ?悪いのはお前だし、ムーディ先生がやらなきゃ俺が殴ってた」
一発良いのをお見舞いしただろう。2,3ヶ月くらいは医務室で過ごすくらいの。
「良かったな。
もしドラコの呪文がハリーに当たっていたら、
どうなっていただろう。
俺は、どうしただろう?
「すぐ取りかかる。呪いだ」
今年、4人目の『闇の魔術に対する防衛術』の教師は、まさに
「服従の呪文をお前達に掛ける」
クラス中が非難した。
「それは犯罪だ!」
「ああそうだとも。故に、備えなければならない。特にお前らはな」
ムーディは生徒を一人ひとり呼び出して、「服従の呪文」をかけはじめた。
ノットは歌を歌った。パーキンソンは変なダンスを。クラッブとゴイルはいつもの三倍は早く動いた。
ドラコは宙返りまでした。
「ソーン、次だ」
そしてとうとう、俺の番が来た。
「
うーむ。酒を飲んだ後のような感じだ。飲んだことはないし、多分俺は酔わないが。
腕を上げろ………動け!
ヌン、と首を回す。
それだけで、俺を服従させることはできない。
「よーし、それだ!それでいい!」
ムーディ先生は喜んでいる。
まったく、演技が上手い。
ボーバトンは天馬で、ダームストラングは船で来た。魔法族は見栄を張りたがる。
「17歳以上じゃないとエントリーも出来ないだと!?ふざけている!」
「いや、妥当だろ」
多分ドラコとかじゃ死ぬ。最近俺は未来が見え始めて来た。占い学のやり過ぎか?
「お前はどうなんだ、ソーン!お前なら年齢線も越えられるんじゃないのか!」
「出来るよ」
「出来るのか!?」
出来る。『鍵』が俺の手にある限り、魔法は意味をなさない。全て解ける。
流石に、あのレベルなら多少の時間がかかるが。
「そんなことしたら、爺さんにバレる」
必ずバレる。爺さんが対策していないはずがない。どうせ、結界を弄った奴に対する魔法もある。
「まあ、そんな方法じゃなくてもいいけど」
シュー、シューと