『魔王』 アルバート・ソーン   作:アーっr

36 / 45
死が、迫っている。


運命

 

 

 俺が思うに。

 預言とは、神のような存在が作った『運命』という本の中から、一部を抜き出すことだ。

 

 だからこそ、預言に逆らうことは出来ない。

 それは、神の決定に逆らうことだ。

 

 『あなたはいつか、愛する者を守って……死ぬ』

 

 つまり、俺は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハリー・ポッターにとって、今のホグワーツは最悪だった。

 

 ホグワーツ中がハリーのことを、有名になろうとしてゴブレットに名前を入れたのだと思っていた。

 

 その上ホグワーツ代表として選ばれたアルバートがとんでもなく優秀だった。

 黒髪黒目。ずば抜けてハンサムで、顔の良さだったらギルデロイ・ロックハートにも負けない。

 

 一ヶ月で図書館の本を制覇したのは有名な話で、魔法の服や薬など、様々な発明もしている。

 

 今世紀8人しか登録者がいない動物もどき(アニメーガス)で、

しかもドラゴンに変身出来る。

 

 魔法族は魔法に頼って平均的に肉体が弱いが、彼は巨人の血が入っているのかと疑うほど屈強だ。

 

 どれをとっても超一流。まさに代表だ。

 それと比べてハリーは、同世代でも(アルバート以外で)上回る存在は多くいる。

 

 ハッフルパフはまだそこまでハリーを疑っているわけでは無いようだ。

 しかしレイブンクロー、当然だがスリザリン、さらにはグリフィンドールでもハリーを疑っていた。

 

 ハリーが、自分で名前を入れたのだと。

 

 

 唯一ありがたかったのは、アルバート自身が

ハリーが名前を入れたことを否定したことだった。

 

 「ハリーがゴブレットに名前を?あり得ない」

 

 「俺が名前を入れた方法は俺以外には出来ない」

 

 「ハリーの名前が出た理由だが、あれはゴブレット自体に魔法をかける必要がある」

 

 「俺ですら年齢線を越えてない。ハリーが越える?しかも、ゴブレットに魔法をかける?」

 

 「無理だ。そんなことは出来ない」

 

 「ゴブレットが俺の名前を出したのは、俺が細工したわけじゃ無い。あくまで、ホグワーツ生として名前を入れた中で、もっとも優れていたからだ」

 

 「ホグワーツでもっとも優れている俺が出来ないことを、ハリーに出来るか?」

 

 「ハリーはやってない。理解しろ」

 

 これによって、ハリーを見る目は落ち着いた。

 スリザリンの一部はまだハリーが見栄を張ってゴブレットに名前を入れたと主張したが、そういう時はアルバートが明らかに不機嫌になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おお、ソーンさん。手紙で聞いた通り、素晴らしい杖を作ったようですね」

 

 「オリバンダーさんのおかげです。ありがとうございます」

 

 本当に杖作りの技術は役に立った。

 おかげで『鍵』も完成したし。

 

 「特殊なスネークウッドに加工したバジリスクの角。34cm、曲がらない。生きているかのようだ」

 

 オリバンダーさんは花を咲かせて、

 

 「未だこの杖は眠っている。しかし、貴方が真に叶えたいことがあれば、惜しみなくその力を発揮するでしょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ドラゴンかぁ」

 

 第一の課題はドラゴンらしい。ハグリッドが見せてくれた。

 

 「ど、どうしようアルバート。僕ドラゴンになんて勝てないよ!」

 

 「大丈夫だ。クラムやフラーも多分勝てない」

 

 俺は当然勝てるが。

 魔法耐性をぶち抜いて失神させられる。

 

 「成人した魔法使いでも無理なことを僕にやらせるの!?」

 

 「落ち着けハリー。大事なのは、勝つ必要が無いことだ」

 

 「勝つ必要がない?」

 

 「出し抜けばいい。知恵を尽くして、策を弄して、何とかすればいい」

 

 (スリザリン)のように。

 マグル達のように。

 あるいは、先人達のように。

 

 「でも、出し抜くって……」

 

 「俺は天才だ。どんな分野でも超一流だ。そんな俺でも、負けることはある。なぜかわかるか?」

 

 「えーと……もっとすごいから?」

 

 「違う(・・)。いや、爺さんとかはそうだけど」

 

 あれは例外だ。

 純粋に俺の上をいくのは今のところ爺さんくらいしかいない。

 先輩(・・)も力が戻れば別だが。

 

 「正面から戦う必要はないんだよ、ハリー。

ドラゴンの膂力には勝てないだろう?ドラゴンの守りを突破できないだろう?」

 

 「なら、誤魔化せばいい(・・・・・・・)

 

 騎士道に反するけど。

 

 「そういう誤魔化しが、小細工が。俺のような存在にも届くことがある。勝てないけど、負けない」

 

 「能力で勝ってるのに策で翻弄されるっていうのは、むかつくくらいに効果的だ」

 

 俺も爺さんにそれでボコボコにやられた。

 次は絶対勝つ。

 

 「でも、どうやって……」

 

 「それはハリーが考えることだ。ハリーが考えて、やってやるって思ったら、勝てる。そういうもんだ」

 

 「…………うん、ありがと!」

 




実は負けたことを根に持つタイプ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。