俺が思うに。
預言とは、神のような存在が作った『運命』という本の中から、一部を抜き出すことだ。
だからこそ、預言に逆らうことは出来ない。
それは、神の決定に逆らうことだ。
『あなたはいつか、愛する者を守って……死ぬ』
つまり、俺は。
ハリー・ポッターにとって、今のホグワーツは最悪だった。
ホグワーツ中がハリーのことを、有名になろうとしてゴブレットに名前を入れたのだと思っていた。
その上ホグワーツ代表として選ばれたアルバートがとんでもなく優秀だった。
黒髪黒目。ずば抜けてハンサムで、顔の良さだったらギルデロイ・ロックハートにも負けない。
一ヶ月で図書館の本を制覇したのは有名な話で、魔法の服や薬など、様々な発明もしている。
今世紀8人しか登録者がいない
しかもドラゴンに変身出来る。
魔法族は魔法に頼って平均的に肉体が弱いが、彼は巨人の血が入っているのかと疑うほど屈強だ。
どれをとっても超一流。まさに代表だ。
それと比べてハリーは、同世代でも(アルバート以外で)上回る存在は多くいる。
ハッフルパフはまだそこまでハリーを疑っているわけでは無いようだ。
しかしレイブンクロー、当然だがスリザリン、さらにはグリフィンドールでもハリーを疑っていた。
ハリーが、自分で名前を入れたのだと。
唯一ありがたかったのは、アルバート自身が
ハリーが名前を入れたことを否定したことだった。
「ハリーがゴブレットに名前を?あり得ない」
「俺が名前を入れた方法は俺以外には出来ない」
「ハリーの名前が出た理由だが、あれはゴブレット自体に魔法をかける必要がある」
「俺ですら年齢線を越えてない。ハリーが越える?しかも、ゴブレットに魔法をかける?」
「無理だ。そんなことは出来ない」
「ゴブレットが俺の名前を出したのは、俺が細工したわけじゃ無い。あくまで、ホグワーツ生として名前を入れた中で、もっとも優れていたからだ」
「ホグワーツでもっとも優れている俺が出来ないことを、ハリーに出来るか?」
「ハリーはやってない。理解しろ」
これによって、ハリーを見る目は落ち着いた。
スリザリンの一部はまだハリーが見栄を張ってゴブレットに名前を入れたと主張したが、そういう時はアルバートが明らかに不機嫌になっていた。
「おお、ソーンさん。手紙で聞いた通り、素晴らしい杖を作ったようですね」
「オリバンダーさんのおかげです。ありがとうございます」
本当に杖作りの技術は役に立った。
おかげで『鍵』も完成したし。
「特殊なスネークウッドに加工したバジリスクの角。34cm、曲がらない。生きているかのようだ」
オリバンダーさんは花を咲かせて、
「未だこの杖は眠っている。しかし、貴方が真に叶えたいことがあれば、惜しみなくその力を発揮するでしょう」
「ドラゴンかぁ」
第一の課題はドラゴンらしい。ハグリッドが見せてくれた。
「ど、どうしようアルバート。僕ドラゴンになんて勝てないよ!」
「大丈夫だ。クラムやフラーも多分勝てない」
俺は当然勝てるが。
魔法耐性をぶち抜いて失神させられる。
「成人した魔法使いでも無理なことを僕にやらせるの!?」
「落ち着けハリー。大事なのは、勝つ必要が無いことだ」
「勝つ必要がない?」
「出し抜けばいい。知恵を尽くして、策を弄して、何とかすればいい」
マグル達のように。
あるいは、先人達のように。
「でも、出し抜くって……」
「俺は天才だ。どんな分野でも超一流だ。そんな俺でも、負けることはある。なぜかわかるか?」
「えーと……もっとすごいから?」
「
あれは例外だ。
純粋に俺の上をいくのは今のところ爺さんくらいしかいない。
「正面から戦う必要はないんだよ、ハリー。
ドラゴンの膂力には勝てないだろう?ドラゴンの守りを突破できないだろう?」
「なら、
騎士道に反するけど。
「そういう誤魔化しが、小細工が。俺のような存在にも届くことがある。勝てないけど、負けない」
「能力で勝ってるのに策で翻弄されるっていうのは、むかつくくらいに効果的だ」
俺も爺さんにそれでボコボコにやられた。
次は絶対勝つ。
「でも、どうやって……」
「それはハリーが考えることだ。ハリーが考えて、やってやるって思ったら、勝てる。そういうもんだ」
「…………うん、ありがと!」
実は負けたことを根に持つタイプ。