『魔王』 アルバート・ソーン   作:アーっr

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ルビーの石言葉。
情熱、勝利、愛情、勇気、自由。


蛇の本能

 

 

 

 片腕を失った男。

 その身は裂け、血が流れる。

 そして、死が、男に迫って────

 

 ───男は、息絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 「………まじかぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第一の課題。

 

 「諸君の課題は、金の卵を取ることだ!」

 

 進行役のバグマンはそう言った。

 

 俺が引いたのはスウェーデン・ショート・スナウト種。他のドラゴンと比べると温厚だ。

 

 「ソーン君、君が一番だ。ホイッスルが聞こえたら、まっすぐ囲い地に行きたまえ。いいね?」

 

 ハリー達は緊張しているようだ。ちゃんと攻略法を考えたのだろうか?

 

 ピーッ、と。ホイッスルが鳴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シルバーブルーの美しい鱗を持つドラゴンが、

グラウンドにいる。

 その腹の下で、黄金の卵を守っている。

 

 そんなドラゴンの前に、男が現れた。

 

 190cmほどの身長。人間にしては高いが、ドラゴンには敵わない。

 

 男が、近づく。

 影が、揺れて───

 

 

 

 

 ───そして、現れた。

 

 大樹のように長い角、剣山のような鋭い歯。

 空を覆うような翼、赫い紅玉(ルビー)の鱗。

 山を思わせる巨体、揺れ動く尻尾。

 

 何よりも昏い、溟い眼。

 

 シルバーブルーのドラゴンは現れた紅いドラゴンに媚びる。

 元々、このドラゴンは営巣中の雌。新しく生まれる卵を守るため、凶暴になっているのだ。

 

 だからこそ、わかる。目の前にいるこの雄が、

何者よりも強いことを。

 だからこそ、媚びる。目の前の最優の雄に捨てられないように、自分と子供を守れる番を離すまいと本能的に媚びてしまう。

 

 グルル(寄越せ)。紅いドラゴンが吼えた。

 差し出す。雄の言う通りに。

 媚びる。雄に気に入られるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はい、ゲット」

 

 46点。カルカロフ以外は10点を出して、堂々の一位。

 ハリーも上手くやったようだ。

 

 「さて、手短に話そう。第二の課題まで、十分に長い休みがある。

 第二の課題は、2月24日の午前九時半に開始される。しかし、それまでの間、諸君に考える材料を与える!

 諸君が持っている金の卵を見てもらうと、開くようになっているのがわかると思う……蝶番が見えるかな?

 その卵の中にあるヒントを解くんだ。それが第二の課題が何かを教えてくれるし、諸君に準備ができるようにしてくれる!

わかったかな?大丈夫かな?では、解散!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よくやったな、ハリー。箒を使うとは」

 

 「アルバート!ドラゴンに変身したんでしょ?待ってるテントでもわかったよ!」

 

 ハリーはクラムと並んで同率2位。

 肩にちょっと怪我をしたが、命に別状はない。

 

 「にしても、いいな。この模型(ミニチュア)

 

 顎を俺の指に擦り付けている。

 もふもふではないが、かわいい。

 

 「……………」

 

 ハリーがこっちを見ている。

 ………もしかして。

 

 「………よしよし」

 

 ハリーの頭を撫でる。

 黒い髪はサラサラな絹のようだ。

 ………女の子の髪って、こんな滑らかなのか。

 

 「あっ、ちょっと、アルバート!」

 

 「ごめん、嫌だった?」

 

 「………嫌じゃない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「こいつらが冬眠するかどうかわからねえ」

 

 冬が本格的に始まったあたりで、ハグリッドは言った。

 

 「ひと眠りしてえかどうか、ちいと試してみようかと思ってな……この箱にこいつらをちょっくら寝かせてみて……」

 

 スクリュートはもう20匹ほどしかいない。俺を筆頭に、運動に付き合うことで同族殺しを防ごうとしたが、あまり効果はないようだ。

 

 「落ち着け、みんな、落ち着くんだ!」

 

 結果から言う。スクリュートは冬眠しなかった。

 それどころか、箱に詰められることも、一定の場所に留まることすら嫌がった。

 

 「◾️◾️◾️ーーーーー!!」

 

 スクリュートが暴れるのを止めるには、俺が大声で吼えるのが一番効果的だった。

 結局、最後は力技で押さえ込んでいるが。

 

 「おーや、おや、おや……これはとってもおもしろそうざんすね」

 

 うわ、不愉快な女だ。

 

 「この魅力的な生き物はなんて言うんざんすの?」

 

 ニッコリしながら女が聞いた。

 

 「『尻尾爆発スクリュート』だ」

 

 「こんなの見たことないざんすわ……どこから来たのかしら?」

 

 まずい。スクリュートは混血だ。

 実験的飼育禁止法に違反していることは、女が調べればすぐにわかるだろう。

 

 ………黙らせるか。

 

 「やあ、記者さん」

 

 「あらアルバート。君もこの授業を?」

 

 「ええ。実は、秘密で話したいことが………」

 

 「素敵ざんす。ささ、こっちで………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それで、一体どんな素敵なことを教えてくれるざんす?」

 

 「お前の身の振り方についてだ、女」

 

 男が暗く、重い声で放つ。

 

 「み、身の振り方?一体何のことやら───」

 

 「動物もどき(アニメーガス)

 

 女はドキリとした。

 どうして、それを───

 

 「俺はいい。お前如きの言動で、揺れたりはしない」

 

 「だが、俺の周りは別だ。もしお前が、今まで通りの事をして俺の大切な人を不快にするなら」

 

 「俺の愛する人を傷付けるなら、俺は許さない。必ずお前を黙らせる」

 

 「気をつけろ、女」

 

 「お前(虫ケラ)程度、踏んでも気づかない」

 

 

 

 




蛇は種類によって食性が異なる。
魚、鳥、ネズミ。
もちろん、昆虫も。
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