『魔王』 アルバート・ソーン   作:アーっr

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愛は、全てを凌駕する。


本音

 

 

 「マジでダンスパーティーするのかよ」

 

 ユール・ボールとかいうダンスパーティをクリスマスにやるらしい。しかも、代表選手は強制参加。

 

 「───ハリー、俺と一緒に参加しないか?」

 

 「え?う、うん!良いよ!」

 

 よし。先手必勝だ。

 ハリーと踊れるなら何でも良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あ、あの!私と、踊ってくれませんか!」

 

 「悪い。先約がいるんだ」

 

 「私と踊りませんか(allons-nous danser)?」

 

 「すまない( je suis désolé)

 

 「先輩。私と踊りませんか?」

 

 「悪い。先約がいる」

 

 意外と誘われた。

 あまり関わりがないホグワーツ生、会ったばかりのボーバトン生、後輩。

 

 正直嬉しかったが、ハリーとの約束がある。

 残念だが断った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「代表選手は前へ!」

 

 「行くぞ、ハリー」

 

 「うん!」

 

 なんだかんだで、ダンスパーティが始まった。

 2、3曲踊って、一緒に飲み物を飲んで、誰にも見つからないところまで行って。

 そして、二人きりになった。

 

 「えへへ〜。あるばぁとぉ〜」

 

 「うーん。酔ってるね」

 

 「よってらいよ〜」

 

 酔っぱらいが言いそうなことだ。

 ………。

 

 「なあ、ハリー。俺の話を、聞いてくれるか?」

 

 「?うん。聞くよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は、生まれた時から他人と違っていた。

 

 心の中で何を思っているのかわかったし、触らなくても物を動かせた。

 自由に体を変えられて、俺は何でもできた。

 

 でも、母さんが困る。俺が自由にしたら、俺のために働く母さんに迷惑がかかる。

 だから抑えた。

 

 隠して、抑えて、我慢した。

 苦しかった。嫌だった。我慢したくなかった。

 

 でも、抑えた。母さんのために。

 

 

 母さんが病気になった。

 弱くなって、動けなくなった。

 俺の助けがなきゃ、生きていけないくらいに。

 

 だから、使った。

 今まで抑えてきた力を、母さんのために。

 

 正直に言おう。楽しかった。

 今までずっと我慢してきた力の行使。心の底から、嬉しかった。

 

 不謹慎だな。母さんが死に向かってたのに、俺は力を使う事を楽しんでいた。

 

 そして、最後は。

 俺の力で、母さんを殺した。

 

 母さんのためと嘘を吐いて。

 自分のために母さんを殺した。

 

 俺を愛してくれたのに。

 俺も、愛していたのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「俺は、最低な人殺しだ。死喰い人とかと変わらない。自分のやりたい放題やって、他人に迷惑かけて、傷付けても気にしない」

 

 俺は───

 

 「───アルバート」

 

 名前を、呼ばれる。

 

 「ありがとう(・・・・・)

 

 「───え?」

 

 「今までずっと、アルバートに助けられてきた。ずっと、僕は助けられてきた」

 

 「傷付けても気にしないって言ったけど、それは違うと思う。だって───」

 

 「ひどい顔だよ。悲しくて、苦しくて。怒られるのが怖い、子供の顔」

 

 違う。俺は───

 

 「嬉しかったよ、守ってくれて」

 

 ハリーの手が、俺の耳を包む。

 ───温かい。

 

 「嬉しかったよ、撫でてくれて」

 

 ハリーが、俺の頭を引き寄せる。

 ───柔らかい。

 

 「嬉しかったよ、踊ってくれて」

 

 ハリーの心音が、聞こえる。

 ───安心、する。

 

 「よし、よし。大丈夫だよ」

 

 頭を、撫でられる。

 ───ああ、泣きそうだ。

 

 「いいよ。僕は、全部許すよ」

 

 「ハ、リー………」

 

 「なぁに?」

 

 「あい、して、る………」

 

 「───僕も。愛してるよ、アルバート」

 

 

 ──────ちゅっ。

 

 




愛のキスが、呪いを解く。
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