『魔王』 アルバート・ソーン   作:アーっr

4 / 45
実はつい癖で開心術をする。
辻開心術の餌食になった黒幕もビビるわ。


闇との契約

 

 

 「クィレル先生。読みたい本があるのですが、禁書にあるので許可証にサインが欲しいんです」

 

 「え、ええ。い、いい、でしょう」

 

 クィリナス・クィレル講師。

 闇の魔術に対する防衛術講義担当。

 生まれつきと思われる吃音症とその臆病さで、生徒達から距離を置かれている。

 

 彼はルーマニアで吸血鬼に襲われたとか何とかで周囲に怯えている。

 まあ、つい出来心で覗いた(初手開心術)せいで怯えている原因などはわかっているのだが。

 

 俺にとって重要なのは、魔法の研鑽と能力の向上。そして、良き友をつくること。

 はっきり言って後頭部にいる誰かさんの事など、どうでもいいのだが···········

 

 「『破れぬ誓い』をしましょう」

 

 「···········は、はい?そ、ソーン君?い、一体なな、何を」

 

 「先生ではなく、後ろの人と『誓い』を立てたいです。先生、仲介人になってくれませんか?」

 

 「······················」

 

 先生(・・)は黙る。

 

 「何を誓う?」

 

 声が、聞こえた。黒く、暗い声。

 

 「あなたの復活。その手助けをします」

 

 「それで、お前は何を望む?」

 

 「知識を。あなたが知っている魔法に関する知識を、俺に教えてくれ、先生(・・)。ただし先払いで」

 

 ·········沈黙。そして。

 

 「───クィレル。手を出せ」

 

 「は、はい、我が君」

 

 俺とクィレル先生が手を合わせる。

 

 ───魔法の鎖が、俺たちを縛る。

 

 「俺はあなたの復活を手助けする」

 

 「その対価として、魔法に関する知識を、お前に与えよう」

 

 よし、交渉成立。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クィレル先生の後頭部には、『闇の帝王』が憑いている。

 

 あまりにも怪しいから初対面で開心術を使ってしまったが、とんでもない真実に危うく声が出そうになった。

 

 『闇の帝王』は死んだと言われている。赤ん坊のハリエット・ポッターに敗れたのだ、と。

 

 ここで疑問なのが、なぜハリエット・ポッターだったのか。

 記録にも、父と母が直前に殺されていることがわかっている。なら、その夫婦が道連れにしたと考える方が自然だろう。

 

 正直まだ答えはわからない。

 死の呪文を受けて無事だったという『伝説』が正しいなら、考えられることは二つ。

 

 一つ目は、両者に圧倒的な力量の差があった。

 

 ホグワーツ一年生·········例えば、マルフォイが爺さん(ダンブルドア)に死の呪文を放っても鼻血も出ないだろう。

 それほどの力の差があるなら、死の呪文は効果を十分に発揮出来ない。

 

 まあ正直これは無い。赤ん坊どころか、今の俺ですら亡霊のような『闇の帝王』の呪文を受けて無事でいられるか不安だ。

 当然、今のハリエット・ポッターの魔法力では話にならないだろう。

 

 二つ目は、防護魔法。

 

 盾の呪文(プロテゴ)に代表されるように、魔法で身を守るというのはかなりメジャーだ。

 だが防護魔法でも、死の呪文を防ぐ事は出来ないはずだ。可能性があるとしたら古代の、失われた魔法だろうか。

 

 まあ、完璧に守れないにしても威力の減衰を果たす可能性はある。

 俺は二つ目の方があり得ると思っている。

 

 重要なのは、ここから。

 復活する手助けをすると言ったら、『闇の帝王』は俺を信じた。

 ということは、あの亡霊のような状態から復活する手段があるということだ。それも、わざわざ大敵(ダンブルドア)のいるホグワーツに来る理由が。

 

 今のホグワーツに、復活する手段が存在しているということなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「··················ふーむ。むーん。いやぁ·········」

 

 「独り言がうるさいぞソーン。何を唸ってるんだ」

 

 「人体を作り出す魔法とかを考えてるんだけど、これがなかなか·········難しい」

 

 「は?何でそんな魔法が必要なんだ」

 

 別に必要では無い。

 

 「今必要じゃなくても、いつか必要になるかもしれない。その時に後悔しないように、今のうちに学んでいるんだよ」

 

 「··················」

 

 黙っちゃった。

 

 「にしても、何なんだろうな、復活の手段」

 

 本当にわからない。古い闇の魔術などでそのような言及があったが、そんなのホグワーツじゃなくても出来る。

 『闇の帝王』がホグワーツにいるのは、ホグワーツじゃなきゃダメだからだ。

 

 「秘密の部屋、かなぁ」

 

 サラザール・スリザリンが遺したとされる部屋。『闇の帝王』は確か、スリザリンの血縁を名乗っていたはずだ。

 秘密の部屋に復活の手段があるのかも知れない。

 あるいは、禁止されている廊下か。

 

 「·········お手上げだな」

 

 千年間見つけられなかった秘密の部屋を、俺がそんな簡単に見つけられるのだろうか。

 見つけたところで、復活の手段が何なのかわかっていない以上、手助けもできない。

 禁止された廊下に立ち入るのもまずい。バレたら退学だろう。

 

 手助けできないまま『闇の帝王』が復活すれば、『破れぬ誓い』によって俺は死ぬ。

 

 「·········しょうがない。地道に秘密の部屋でも探すか」

 

 簡単に決めすぎたかなぁ。今更後悔して来た。

 

 「ねえ、アルバート。聞きたいことがあるんだ」

 

 「この声は·········ハリー?」

 

 どうしたんだろう。授業でわからないところがあったのだろうか。

 

 「ニコラス・フラメル(・・・・・・・・・)っていう人、知らない?

アルバートは本をたくさん読んでるってハーマイオニーが言ってたから·········」

 

 「───ああ、そうなのか」

 

 なるほど、それなら辻褄は合う。

 正直ホグワーツ(学校)に隠すなと言いたいが。

 

 

 

 

 

 

 「え?知ってるの?」

 

 「ああ。ニコラス・フラメルは錬金術で大きな功績を上げている人物だ。歴史の教科書に載ってるくらいだぞ」

 

 「歴史に!?そんなにすごいの?」

 

 「確か、600歳は超えている」

 

 「へえ。すっごい長生きなんだね」

 

 「当然それには理由がある。彼の人生最高にして、未だ他に成し遂げた者がいない偉業(・・)

 

 「飲めば不老不死になる水を生み出す魔法道具『賢者の石』の作成」

 

 俺もいつか錬金術を学んでみたいものだ。

 

 「賢者の石?」

 

 「ああ。それがあればどれだけ瀕死の重体でも、全快するだろうな」

 

 肉体がないような存在にも、効果はあるだろう。

 例えば、亡霊のようなどっかの誰かとかにも。

 

 「───そういえば、ダンブルドアはニコラス・フラメルと共同研究をしていたな」

 

 そのつながりでダンブルドアが預かったのだろう。そして、あの禁止された廊下に隠されている。

 

 「───ありがとう、僕、行かなきゃ!」

 

 「ああ、ハリー。気をつけてな」

 

 他の仲間達と情報を共有するんだろう。

 ───彼らが復活の邪魔をしたら俺はどうなる?

 

 「··········まあいいや。何とかすればいいし」

 

 何とでもなるだろう。だって、俺は魔法使いだ。

 

 

 




マジで大体何とかなる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。