知識が力になるならば、老齢の時だろうか?
肉体が力になるならば、若年の時だろうか?
ならば、この魔女は────
ドラコ。
俺が
「………毒か?」
違う。
「何で僕がそんな事をしなきゃいけないんだ。
お前が自分で飲めばいいだろう」
出来ないかもしれない。
頼んだぞ、親友。
第3の課題は迷路だった。
魔法の罠、魔法生物など、さまざまな障害が用意されていたが、俺の歩みは止められない。
当然、俺はトロフィーの前まで進んだ。
「アルバート!」
「………ハリー」
ハリーは内通者の手助けによって、トロフィーの前まで来た。ハリー自身は気づいていないが。
「
「うん。わかった!」
ハリーは、俺を信じた。
トロフィーは
そして、儀式は始まる。
「あ、アルバート!?一体何を──」
ハリーを石像で拘束する。
館から、女達が出てきた。
杖をこちらに向けている。
「準備は出来てるんだろうな」
「当然よ。それより、貴方はちゃんとやるんでしょうね?」
若い女──20代前半ほど──は言う。
「ああ。『誓い』を果たす」
墓から、骨を取り出す。
「父親の骨………知らぬ間に与えられん」
ワームテールが、手を切り落とす。
「下僕の肉………喜んで差し出されん」
「アルバート、待って………やめて!」
ハリーの腕に、切り傷をつける。
ごめん。必要な事なんだ。
「敵の血………力ずくで奪われん」
本来なら、ここまでで良い。
ここからが重要だ。
「娘の、その涙………微笑んで、流されん」
若い女………デルフィーニが、笑いながら泣く。
流石の演技力だ。
「己の、魂………溶け合い、一つとならん」
そして、『日記』。
最後に。
「友の、
俺に残る、
「蘇れ、『闇の帝王』!」
そして、彼女は。
「………ローブを、デルフィー」
「はい。お母様」
女が、生まれた。
若い女だ。
「ああ………嗚呼。懐かしい姿だ。君もそう思うだろう、アルバート・ソーン?」
肩まで伸びた黒い髪。
妖しい光を灯した目。
聞く者を魅了する声。
成長しているが、確かに
「さあ?その姿は知らない。もっと若い
「ああ、そうだったね………さて」
「ワームテール。手を」
「ああご主人様………ありがたき───」
ワームテールは切り落とした手を差し出した。
だが───
「
所詮は浅はかなネズミ。
「ご主人様………お許しを、ああっ───」
「楽しみだ……何人戻る?誰が来るかな?」
「おお………懐かしい」
召使い達が女の前に跪く。
「13年が過ぎた。それがつい昨日のように、お前達は舞い戻った……」
女は、一定の満足感を、安心を得たようだ。
だが…………
「しかしお前達には……失望した」
「何故助けに来なかった?」
怒りが、満ちている。
女は、今までの召使い達の行動に怒りを覚えているのだ。
自分を捨てた者に。裏切った者に。
「我が君、もし貴女様の消息がちらとでも耳に入っていれば──」
「十分耳に入っていたはずだ、ルシウス。抜け目のない友よ」
召使いの一人が機嫌を取るために発した言い訳を、女は許さなかった。
「だが…………ふむ。
かつての……『闇の帝王』と呼ばれた頃の女を知っている者は、心底驚いた。
癇癪で2,3人は殺されてもおかしくなかった。
「今、俺様は機嫌が良い。何せ、素晴らしい客人が来ているのだから」
「ああ、その前に。俺様の役に立った者を皆に紹介せねば」
役に立った者。
すなわち、復活に手を貸した忠義者。
『敗れた』という噂如きで主人に見切りをつけ、裏切った者ではなく。
『闇の帝王』に心底から与する者。
「まずは………ああ、ワームテール。気が付かなかった」
女は、ワームテールの切り落とした手に杖を翳し、新しい銀の手を付けた。
「此奴はその臆病さと、ある者の命により俺様の下に馳せ参じた、最初の召使いだ」
ワームテールは出血のせいか、顔が青かった。
それでも、主人に認められたことを聞いて喜んでいるようだ。
「そして、ああ。皆が会うのは初めてか?」
「
何と言った?娘?
「俺様が肉体を失う前に作ったのだ。もっとも、
「だが、間違いなく俺様の血を引いている」
「お母様…………」
「ああ、アズカバンを開こう。ベラもお前を誇りに思うだろう」
分からない。ヴォルデモートに娘?
産んだわけではない?ベラとは?
ハリーには全くわからなかった。
「そして…………そして。皆に紹介をしよう」
「アルバート・ソーン・ジュニア。穢れた血でありながらも、
「しかし我が君、一体そのお姿は───」
「聞いてくれるのかい?」
昔の、蛇のような姿ではない。
おそらくは、肉体の全盛。
まさに人生の最高潮。
魅力に溢れるその姿は、まさに魔女だった。
「3年前───ああ、今でも思い出す」
女が、語り出す。
「賢者の石を求めた俺様はハリー・ポッターに邪魔され、アルバート・ソーンに裏切られた」
「あの時は流石の俺様も肝が冷えた。もはや肉体を取り戻すことはできないと、絶望した」
間違いなく、あの時の女はただ消滅を待つだけの、亡霊の末席にも劣るような存在だった。
「だが、2年前」
「ルシウス。お前に預けた『日記』が、思わぬ働きをしたのだ。勝手に使ったことは許してやろう」
「『日記』の尽力もあり、アルバートは俺様を
2年以内に復活させることを余儀なくされた」
あれは分岐点。
『日記』が無ければ、今の女はないだろう。
「そして去年」
「アルバートは
そして、召使いは馳せ参じた。
「デルフィーニに会ったのもその頃だったな」
思い出を振り返るように、女は言う。
「デルフィーニは親を探していた。俺様が消えてすぐ、デルフィーニは海の向こう側へ送られた」
「故に、デルフィーニは
「だが、アルバニアの森で会った時。俺様も、
デルフィーニも、確信した」
「
単なる母娘よりも
「今年」
「我が従順な召使いがホグワーツに入り込み、
ハリー・ポッターをこの
三人目の召使い。
誰にも知られず役目を果たした有能な人材。
「俺様とアルバートの知識、深い闇の業と、開発した呪文。そしてナギニの毒………」
「さまざまな素材によって、
まさかこの肉体になるとはね。女は笑う。
「この肉体はホグワーツを卒業して少ししたあたり。まだあの卑しい
「だが、まあ………悪くない」
「さて、アルバート」
「『誓い』は果たされた。もう僕を助ける必要はない」
その通りだ。もしここで戦っても、お互いに何も影響は出ないだろう。
「確かに、君は穢れた血だ」
「でも、君ほどの人材を失うのは僕としても勿体無いと思う」
………本心だ。あの時と同じように。
「そこで………どうだろう」
「僕の
「………俺は──────」
>なる。互いに高め合おう
>いやだ。俺はしもべにはならない