『魔王』 アルバート・ソーン   作:アーっr

40 / 45
魔法族の全盛期とは、いつだろう。
知識が力になるならば、老齢の時だろうか?
肉体が力になるならば、若年の時だろうか?
ならば、この魔女は────


復活

 

 

 ドラコ。

 俺が帰ってきたら(・・・・・・)この薬を飲ませてくれ。

 

 「………毒か?」

 

 違う。

 

 「何で僕がそんな事をしなきゃいけないんだ。

お前が自分で飲めばいいだろう」

 

 出来ないかもしれない。

 頼んだぞ、親友。

 

 

 

 

 

 

 第3の課題は迷路だった。

 魔法の罠、魔法生物など、さまざまな障害が用意されていたが、俺の歩みは止められない。

 

 当然、俺はトロフィーの前まで進んだ。

 

 「アルバート!」

 

 「………ハリー」

 

 ハリーは内通者の手助けによって、トロフィーの前まで来た。ハリー自身は気づいていないが。

 

 「一緒にトロフィーを取ろう(・・・・・・・・・・・・)

 

 「うん。わかった!」

 

 ハリーは、俺を信じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トロフィーは移動鍵(ポートキー)だった。

 そして、儀式は始まる。

 

 「あ、アルバート!?一体何を──」

 

 ハリーを石像で拘束する。

 

 館から、女達が出てきた。

 杖をこちらに向けている。

 

 「準備は出来てるんだろうな」

 

 「当然よ。それより、貴方はちゃんとやるんでしょうね?」

 

 若い女──20代前半ほど──は言う。

 

 「ああ。『誓い』を果たす」

 

 先輩(・・)を、蘇らせるのだ。

 

 

 

 

 

 

 墓から、骨を取り出す。

 

 「父親の骨………知らぬ間に与えられん」

 

 ワームテールが、手を切り落とす。

 

 「下僕の肉………喜んで差し出されん」

 

 「アルバート、待って………やめて!」

 

 ハリーの腕に、切り傷をつける。

 ごめん。必要な事なんだ。

 

 「敵の血………力ずくで奪われん」

 

 本来なら、ここまでで良い。

 ここからが重要だ。

 

 「娘の、その涙………微笑んで、流されん」

 

 若い女………デルフィーニが、笑いながら泣く。

 流石の演技力だ。

 

 「己の、魂………溶け合い、一つとならん」

 

 ダイアデム(髪飾り)、女が用意した指輪。

 そして、『日記』。

 

 最後に。

 

 「友の、記憶(思い出)………分かち合わん、永遠(とわ)に!」

 

 俺に残る、先輩(・・)との思い出を、入れた。

 

 「蘇れ、『闇の帝王』!」

 

 そして、彼女は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「………ローブを、デルフィー」

 

 「はい。お母様」

 

 女が、生まれた。

 若い女だ。もう一人の女(デルフィーニ)と同じほどだろう。

 

 「ああ………嗚呼。懐かしい姿だ。君もそう思うだろう、アルバート・ソーン?」

 

 肩まで伸びた黒い髪。

 妖しい光を灯した目。

 聞く者を魅了する声。

 成長しているが、確かに先輩(・・)だ。

 

 「さあ?その姿は知らない。もっと若い先輩(・・)は見たことあるけど」

 

 「ああ、そうだったね………さて」

 

 先輩(・・)は、ワームテールに向き直って。

 

 「ワームテール。手を」

 

 「ああご主人様………ありがたき───」

 

 ワームテールは切り落とした手を差し出した。

 だが───

 

 「もう一方の手だ(・・・・・・・)

 

 先輩(・・)が望んだものとは違った。

 所詮は浅はかなネズミ。先輩(・・)の命令を十全に熟すことはできない。

 

 「ご主人様………お許しを、ああっ───」

 

 「楽しみだ……何人戻る?誰が来るかな?」

 

 先輩(・・)が闇の印を押す。

 死喰い人(配下)が、来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おお………懐かしい」

 

 召使い達が女の前に跪く。

 

 「13年が過ぎた。それがつい昨日のように、お前達は舞い戻った……」

 

 女は、一定の満足感を、安心を得たようだ。

 だが…………

 

 「しかしお前達には……失望した」

 

 「何故助けに来なかった?」

 

 怒りが、満ちている。

 女は、今までの召使い達の行動に怒りを覚えているのだ。

 自分を捨てた者に。裏切った者に。

 

 「我が君、もし貴女様の消息がちらとでも耳に入っていれば──」

 

 「十分耳に入っていたはずだ、ルシウス。抜け目のない友よ」

 

 召使いの一人が機嫌を取るために発した言い訳を、女は許さなかった。

 

 「だが…………ふむ。良いだろう(・・・・・)

 

 かつての……『闇の帝王』と呼ばれた頃の女を知っている者は、心底驚いた。

 癇癪で2,3人は殺されてもおかしくなかった。

 

 「今、俺様は機嫌が良い。何せ、素晴らしい客人が来ているのだから」

 

 「ああ、その前に。俺様の役に立った者を皆に紹介せねば」

 

 役に立った者。

 すなわち、復活に手を貸した忠義者。

 

 『敗れた』という噂如きで主人に見切りをつけ、裏切った者ではなく。

 『闇の帝王』に心底から与する者。

 

 「まずは………ああ、ワームテール。気が付かなかった」

 

 女は、ワームテールの切り落とした手に杖を翳し、新しい銀の手を付けた。

 

 「此奴はその臆病さと、ある者の命により俺様の下に馳せ参じた、最初の召使いだ」

 

 ワームテールは出血のせいか、顔が青かった。

 それでも、主人に認められたことを聞いて喜んでいるようだ。

 

 「そして、ああ。皆が会うのは初めてか?」

 

 「我が娘(・・・)、デルフィーニ・ゴーントだ」

 

 何と言った?娘?

 

 「俺様が肉体を失う前に作ったのだ。もっとも、腹を痛めて産んだわけではないが(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 「だが、間違いなく俺様の血を引いている」

 

 「お母様…………」

 

 「ああ、アズカバンを開こう。ベラもお前を誇りに思うだろう」

 

 分からない。ヴォルデモートに娘?

 産んだわけではない?ベラとは?

 

 ハリーには全くわからなかった。

 

 「そして…………そして。皆に紹介をしよう」

 

 「アルバート・ソーン・ジュニア。穢れた血でありながらも、()に匹敵するほどの魔法使いだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「しかし我が君、一体そのお姿は───」

 

 「聞いてくれるのかい?」

 

 昔の、蛇のような姿ではない。

 おそらくは、肉体の全盛。

 まさに人生の最高潮。

 

 魅力に溢れるその姿は、まさに魔女だった。

 

 「3年前───ああ、今でも思い出す」

 

 女が、語り出す。

 

 「賢者の石を求めた俺様はハリー・ポッターに邪魔され、アルバート・ソーンに裏切られた」

 

 「あの時は流石の俺様も肝が冷えた。もはや肉体を取り戻すことはできないと、絶望した」

 

 間違いなく、あの時の女はただ消滅を待つだけの、亡霊の末席にも劣るような存在だった。

 

 「だが、2年前」

 

 「ルシウス。お前に預けた『日記』が、思わぬ働きをしたのだ。勝手に使ったことは許してやろう」

 

 「『日記』の尽力もあり、アルバートは俺様を

2年以内に復活させることを余儀なくされた」

 

 あれは分岐点。

 『日記』が無ければ、今の女はないだろう。

 

 「そして去年」

 

 「アルバートは召使い(ワームテール)を使わせた。復活の手助けをさせるために」

 

 そして、召使いは馳せ参じた。

 

 「デルフィーニに会ったのもその頃だったな」

 

 思い出を振り返るように、女は言う。

 

 「デルフィーニは親を探していた。俺様が消えてすぐ、デルフィーニは海の向こう側へ送られた」

 

 「故に、デルフィーニは(俺様)を知らなかった」

 

 「だが、アルバニアの森で会った時。俺様も、

デルフィーニも、確信した」

 

 「繋がっている(・・・・・・)、と」

 

 単なる母娘よりも近い(・・)存在だからこそ、彼女達は本能的に理解した。

 

 「今年」

 

 「我が従順な召使いがホグワーツに入り込み、

ハリー・ポッターをこの三大魔法学校対抗戦(トライ・ウィザード・トーナメント)に参加させた」

 

 三人目の召使い。

 誰にも知られず役目を果たした有能な人材。

 

 「俺様とアルバートの知識、深い闇の業と、開発した呪文。そしてナギニの毒………」

 

 「さまざまな素材によって、()は復活した」

 

 まさかこの肉体になるとはね。女は笑う。

 

 「この肉体はホグワーツを卒業して少ししたあたり。まだあの卑しい魔女()の姿に近しい姿だ」

 

 「だが、まあ………悪くない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さて、アルバート」

 

 先輩(・・)が、俺を見る。

 

 「『誓い』は果たされた。もう僕を助ける必要はない」

 

 その通りだ。もしここで戦っても、お互いに何も影響は出ないだろう。

 

 「確かに、君は穢れた血だ」

 

 「でも、君ほどの人材を失うのは僕としても勿体無いと思う」

 

 ………本心だ。あの時と同じように。

 先輩(・・)は本心から言っている。

 

 「そこで………どうだろう」

 

 「僕の死喰い人(しもべ)にならないか?」

 

 

 「………俺は──────」

 

 




>なる。互いに高め合おう

>いやだ。俺はしもべにはならない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。